現実世界で離島の病院で孤独な闘病生活を送っていた小学二年生の少女、石田ミコト。
初音島に咲いている不思議な「枯れない桜」の力によって異世界・デジタルワールドへと転送された彼女は、勝率100%を誇るテイマーの八神太一と相棒のゼロ丸、城までの案内役のガーボ、そして初めて自分を必要としてくれた運命のパートナー・ブイモンと出会う。
元の世界へ戻る手掛かりを求め、大陸の要である「ホーリーエンジェル城」を目指す一行。
しかしその道中、謎の黒幕「デーモン」に仕える凶悪な悪魔・デビモンの強襲を受けてしまう。
空からの容赦ない猛攻に太一たちすら追い詰められる中、ミコトは相棒を守りたい一心で、自らの体力を激しく削り取る『とある力』を解放した。
ミコトの強烈な祈りと生への渇望に応え、ブイモンは巨大な漆黒の暗黒竜・デビドラモンへと奇跡の進化を遂げる。
ミコトの的確な戦況把握と、タイチ・ゼロ丸との完璧な連携によって、見事にデビモンを打ち倒したのだった。
だが、世界の理を書き換える代償はあまりにも大きく、激しい消耗によりミコトは鼻血を出して気を失ってしまう。
タイチたちは急いで彼女を背負い、ホーリーエンジェル城へと歩みを早めた。
そして、現在、限界を超えて倒れ込んだミコトだったが、タイチたちの迅速な対応と寄り添い続けたデビドラモンの看病のおかげで、今は無事に意識を取り戻し、すっかり元の元気を取り戻していた。
進化という「決して戻れない変化」の恐怖を乗り越え、より一層深まったパートナーとの絆。
確かな仲間の温もりを胸に、ミコトたち一行はいよいよ、雲海を突き抜けてそびえ立つ白亜の巨城「ホーリーエンジェル城」へと足を踏み入れる――!
「ほら、着いたよ。ここがホーリーエンジェル城だ」
雲海を突き抜けるようにそびえ立つ、白亜の巨城。
デジタルワールドの秩序の要――ホーリーエンジェル城。
「すげぇなこの城!
「うわぁ~大きい‥‥本当に、デジタルワールドにお城があるんだ‥‥」
「うん、この門とかかっこいい!」
ミコトは隣を歩く大きな漆黒の邪竜――デビドラモンにそっと寄り添いながら、息を呑んだ。
病室の中で見ていた絵本やアニメの中の世界が、今、ミコトの目の前に広がっている。
一度進化したら二度と戻れないこの世界で、ブイモンは成熟期のデビドラモンになってしまったけれど、その四つの赤い瞳は、今も変わらずミコトを優しく見守っていた。
「へへ、どうだいタイチ、ミコト! これが僕の働いているホーリーエンジェル城さ!」
ガーボがようやく誇らしげに胸を張る。
「よおし! やっと着いたな! ゼロ、美味いもんが待っているぞ!」
「オッケー、タイチ! 俺、お腹と背中がくっつきそうだったんだ!」
相変わらず緊張感のないゴーグルボーイとその相棒に、ミコトは小さくクスリと笑った
しかし、城の中に入った瞬間、ガーボはどこかに去ろうとする。
「それじゃあ、僕が案内できるのはここまでだ。あとはテキトーに頑張って」
「おいおい、何でそんな冷てぇんだよガーボ。この城の主のとこまで連れてってくれよ」
「バカ言うな、僕はこの城の中では下っ端なんだから無理だよ」
やはりデジタルワールドでも身分の差はあるみたいで、ガーボではこの城の主・ホーリーエンジェモンには直接会えないらしい。
どうやって城の主であるホーリーエンジェモンと会うか困っていると、中庭の方から声が聞こえてきた。
「えいっ」
「えいっ」
「ガウッ」
「ん? なんだろう?」
ミコトが声のする方へと向かうと、そこには……
「うわぁ~タイチさん!!橙色の小さな恐竜みたいな子たちが赤いグローブつけてポカポカやっていますよ!!」
「どれどれ? おっ、アグモンじゃないか!!」
沢山の成長期の恐竜型デジモン・アグモンが、両手に赤いボクシンググローブをつけて戦闘訓練をしていた。
「懐かしいなゼロ、お前も小さい頃はああだったよな」
「う、うん。何だか恥ずかしいな」
照れ臭さを出しながらタイチとゼロ丸は昔を思い出す。
「そいつらは訓練中のモンスターたちだ。成長期のモンスターとは言え、戦闘種族のデジモンで結構血の気が多いモンスターだよ」
ガーボはそう言うが、ミコトは興味津々な様子でアグモンたちの輪の中に近づいていく。
「あっ、何か来た?」
「あれって人間?」
「どうして人間がこの世界に来ているの?」
アグモンたちもミコトの存在に気づき、訓練の手を止めて不思議そうに見つめる。
彼らの目に敵意や害意はまるで感じられない。
それは恐らく、ミコトの体形がまだ幼く小さい事と、彼女が醸し出す温かい雰囲気によるものだろう。
「えっと‥‥初めまして、私は石田ミコトと言います。この子は私のパートナーのデビドラモン」
しかし、ミコトがパートナーを紹介した瞬間。
「デビドラモン!?」
「ウィルス種のデジモンじゃないか!?」
「どうして、ウィルス種のデジモンが此処に!?」
アグモンたちが一斉に警戒し、たじろいで数歩後ろへ下がった。
一方のデビドラモンも大きな翼を広げてミコトを庇うようにアグモンたちを睨み返す。
その四つの赤い瞳がアグモンたちを威嚇するように妖しく光った。
「あ、あの、この子は怖くないよ!!デビドラモンだけど、私の大切なパートナーなの‥‥」
ミコトが必死に弁解するよりも早く、いつの間にか輪の中に飛び込んでいたタイチがニカッと笑った。
「こいつはウィルス種のデビドラモンかもしれないけど、中身は誰よりも優しいんだぜ。お前たち、訓練で忙しいのは分かるけど、もっと柔軟に視野を広げて物事見ないと強くなれねぇぞ!」
タイチはそう言って、一番近くにいたアグモンの頭を豪快に撫で回した。
「ほ、本当に大丈夫なのか……?」
「あいつ、暴れたりしないよな……?」
「でも、人間に懐いているし‥大丈夫じゃないか?」
ウィルス種のデビドラモンのあまりの自然さに、アグモンたちは唖然として、次いで面白そうに笑い出した。
「わはは!お前、人間なのに面白いやつだな!?」
「それに、そのデビドラモンの目……本当に怖くないかも‥‥」
「うん。なんだか、ミコトを守ることに必死なだけみたいだぞ」
タイチの持つ不思議なカリスマ性と、ミコトの柔らかな雰囲気が、瞬く間にアグモンたちの警戒心を解いてしまった。
「あ、あの! もしよかったら、私たちも一緒に……その、練習……見学させてもらってもいいかな?」
ミコトが恐る恐る聞くと、アグモンたちは一斉に頷いた。
「いいぜ!一緒にやろうぜ!」
「いいんですか……?あっ、でも……私、身体が弱くて、みんなみたいに強くはなれなくて……」
ミコトが少し悲しげに俯くと、アグモンの一体が力強く胸を叩いた。
「強さだけが全てじゃないだろう?俺たち、ここで強くなるために毎日必死に頑張っているんだ。強い奴は、自分の限界を知っている奴のことさ!」
「そうだよ、ミコト! お前みたいに優しいやつが一人いるだけで、なんだか力が湧いてくる気がするぜ!」
その時だった。中庭の奥から、冷徹で威圧的な怒号が響き渡った。
「こら!! 貴様ら!! 何をサボっている!?」
現れたのは、黄金のたてがみと鋭い眼光を持つ獣戦士デジモン、レオモンだった。
彼の登場に、アグモンたちは直立不動の姿勢を取る。
「れ、レオ様」
「何だ? あいつ? 鬼軍曹みたいな奴だな」
「ば、ばか! シィー! あれは戦闘指揮官のレオ様だよ」
タイチが近づこうとするのをガーボが止めるが、レオモンは容赦なくアグモンたちを罰し始めた。
「サボった懲罰として!!全員、杖刑五回!!」
レオモンは鞘に入ったままの獅子王丸でアグモンを激しく叩く。
激痛に耐えかねて倒れ込むアグモンに対し、レオモンはなおも打ち据えようとした。
「これしきの事で倒れる奴があるか!!」
倒れているアグモンに対してなおも獅子王丸で叩こうとするレオモン。
「やめろー!!」
「っ!?」
タイチが割って入ると、レオモンは手を止めた。
「むっ!?貴様……人間か?なぜ訓練の邪魔をする?」
レオモンの黄金の瞳が、侮蔑と怒りで細められた。
「訓練?これを訓練と呼ぶなら大間違いだ。強くなるために死ぬほど追い込むのと、倒れた仲間に暴力を振るうのは全くの別物だ。このアグモンを見てみろ、もう限界を超えているじゃないか!!」
タイチの反論に、レオモンは冷ややかに鼻で笑った。
「甘いな。モンスターは厳しい訓練で鍛え、強くなるのだ!!限界などと言い訳が通用すると思っているのか? 強者のみが生き残れるこの世界で、弱さに寄り添うような甘っちょろい方針など、ただの自殺行為だ!!」
「へっ、その理屈なら……お前が今ここで、俺たちに『負ける』ことになっても文句は言えねぇな!?」
「なんだと!?」
「やるぞ、ゼロ!」
「おうよ、タイチ! ボクの100%の力で、そのガチガチの頭を叩き直してやる!」
ゼロ丸が地を蹴り、強烈な一撃を見舞う。
レオモンもまた鞘のままでそれを受け流し、一対一の激しい鍔迫り合いが繰り広げられた。
その傍らで、ミコトは倒れているアグモンのもとへ駆け寄った。
「大丈夫?しっかりして……」
ミコトがアグモンの胸元へ手のひらを添えた瞬間、淡いさくら色の光が溢れ出した
光が浸透すると、深かった打撲痕や荒れていたデータがみるみるうちに修復されていく。
アグモンが本来の力強さを取り戻したその時――
光が消えた途端、ミコトの身体から急速に熱が奪われた。
(あれ……? 急に、身体が……重い……)
「っ、あ……っ……あの、激痛が……っ」
胸を締め付ける発作。
力を絞り出した代償が彼女の肉体を一気に襲い、ミコトはアグモンを優しく地面に下ろすと、彼女はその場に崩れ落ちた。
激突していたゼロ丸とレオモンの動きが止まった。
中庭に満ちていた「さくら色の癒やしの光」の残滓が、レオモンの目にも映ったからだ。
レオモンは戦いを中断し、倒れ伏すミコトを見下ろした。
「…………」
レオモンは獅子王丸を握りしめ、その場に縫い止められたかのように動けなかった。
数秒の重い沈黙、彼の頭には「弱肉強食」という絶対の真理があった。
弱い者は強者によって淘汰される。
それがデジタルワールドの理だ。
しかし今、目の前で起きた奇跡はなんだ?
自分よりも遥かに弱く、脆い人間の少女が、自らの身を削ってまで倒れた仲間を救ったというのか?
長年信じてきた「強さの理論」が根底から揺らぐのを感じながら、レオモンはゆっくりと獅子王丸の柄から手を離し、それを腰に収めた。
その瞳には、かつてない深い困惑と畏怖が混じり合っていた。
「……し、信じられん。今の光……ホーリーエンジェモン様の聖なる力に近いが、それ以上に『命』そのものを直接再構成するような輝きだった。この人間は、一体何者なのだ?」
その問いに答えたのは、空から降り注いだ圧倒的な光の粒子だった。
「そこまでだ、レオモン」
黄金の兜と純白の翼を持つ大天使、ホーリーエンジェモンが舞い降りた。
「ホーリーエンジェモン様!」
レオモンたちが即座に膝を突き、アグモンたちも慌てて整列してレオモン同様畏まった。
ホーリーエンジェモンは苦しげに喘ぐミコトを優しく抱き上げた。
「レオモン、そして異世界から来た少年よ。この少女の力について伝えておかねばならぬ。ついて参れ」
タイチとゼロ丸、ガ—ボとデビドラモンは互いに見つめ合うとホーリーエンジェモンの後を追って城の中へと入って行く。
「うっ‥‥うーん‥‥」
ミコトが瞼を開けると、そこは豪華なベッドの上だった。
胸の激痛は消え去り、傍らではタイチ、ゼロ丸、そしてデビドラモンが心配そうに見つめていた。
「ミコト!? 気がついたか!」
「よかった、ミコト……っ」
「私…また倒れちゃって……みんなに迷惑を……」
うつむくミコトに、ホーリーエンジェモンが近づき、聖なる手をかざした。
再びさくら色の光が波紋のように広がり、部屋を温かく満たす。
「この少女の肉体は、本来であれば今すぐにでも活動を停止してしまってもおかしくはないほど、深く病に蝕まれている。彼女の魂の奥底に、極めて高位の『ヒーリング魔法』が息づいているからこそ、命の灯火が限界以上に繋ぎ止められているのだ」
「ま、魔法?」
ミコト本人が我が目を疑う。
「それじゃあ、ミコトは魔法が存在する世界から来たって事か?」
タイチが尋ねると、ホーリーエンジェモンは首を静かに横に振った。
「いや。君たち二人に、まず重要な事実を伝えておかねばなるまい。八神太一、そして石田ミコト。君たちは、それぞれ別々の世界からこのデジタルワールドに呼ばれたのだ」
「えっ!?」
「別々の世界?」
「そうだ‥八神太一。君の世界では、デジモンは『育成ゲーム(Vペット)』として広く知られて存在している。故に君はテイマーとしての知識と戦術を遊びの中で既に身につけていた」
ホーリーエンジェモンの問いにタイチは頷いた。
「ああ、俺たちの世界じゃデジモンは最高のゲームだ」
「しかし石田ミコト、君のいた世界は違う。君の世界においてデジモンはゲームとしても現実にも存在せず、君にとって彼らは全くの未知であったはずだ」
「は、はい……私の世界には、デビドラモンやゼロ丸さん、ガーボさんみたいな不思議な生き物はいませんでしたし、デジモンと言う名前のゲームは聞いた事がありません……」
「俺とミコトが‥‥別々の世界から‥‥」
「八神太一。君は初音島と言う名の島を聞いたことがあるか?」
「いや、そんな島の名前なんて聞いた事がない‥‥」
タイチは驚きつつも、ミコトを見つめた。
「うむ、つまり太一、君の世界にデジモンがある代わりに初音島が無いように、ミコト、君の世界では初音島がある代わりにデジモンが存在しないと言う事だ」
ホーリーエンジェモンは二人に分かりやすいように例える。
「そしてミコトの魔法も、君の世界の理ではない。彼女の魂から溢れ出た『癒やしと生への渇望』の波動――彼女が住む世界の地‥初音島の枯れない桜が、彼女の無垢な優しさを認め、奇跡の力を託したのだ。デビドラモンへの進化もこの魔法のバックアップがあったからに他ならない。だが……」
ホーリーエンジェモンは表情を引き締めた。
「この力は万能ではない。使用するたびに、彼女自身の生身の体力を著しく消耗させる。いや、体力だけならばいいが、無理に使用すれば君の命を削る行為かもしれん」
「消耗?‥‥それじゃあ、ミコトがこの世界に来て何度か倒れたのは、その魔法のせいなのか!?」
「その通りだ。自らの生命エネルギーを修復データに変換し、分け与えているに等しい」
ミコトは申し訳なさそうに視線を伏せた。
「ごめんなさい……でも、あの子が消えちゃうのが、見ているのが怖くて……」
「ミコト‥バカ野郎……お前、そんな無茶していたのかよ!?」
タイチはミコトの手を強く握りしめた。
「いいかミコト。お前がそんな無理をして自分を削るなんて聞いてねぇぞ! お前が倒れてまで守らなきゃいけないような戦い方、俺は絶対に認めねぇ!でもな……その『魔法』は、お前が誰かを助けたいって心から願ったから味方してくれたんだ。現に俺たちもお前に救われた。お前は邪魔なんかじゃないぜ!」
「僕、ミコトの温かい光があったから怖くなかった。ミコトは命の恩人だよ」
デビドラモンも深く頷く。
タイチたちの言葉に救われ、ミコトの瞳に涙が浮かぶ。
自分の命も誰かの役に立てるのだと、心に温かいものが脈打った。
それを見ていたレオモンは、無骨な表情を崩して深く頭を下げた。
「……私の無知と狭量さが、この少女に過分な代償を支払わせてしまった。仲間をただの駒としか見ていなかった我が身が恥ずかしい……君たちに、戦士としての真の在り方を教えられた気がする……詫びる言葉も無い」
ホーリーエンジェモンは、優しく微笑むように羽を揺らした。
「その通りだ、石田ミコト。初音島の枯れない桜は、君の無垢な優しさを認めたからこそ、その大いなる奇跡の力を託したのだ。君は決して、無力な存在などではない。むしろ、このデジタルワールドの危機を救う、優しき『癒やしの聖女』なのだから」
「優しき‥癒しの聖女……」
元の世界では、誰にも必要とされず、ただ白い部屋で一人寂しく消えていくだけだと思っていた自分の命‥‥けれど、この世界では、この魔法の力があれば、大好きなデビドラモンを‥‥そして一緒に歩んでくれるタイチたちを後ろから支えることができるかもしれない。
(私は、生きていていいんだ……誰かの役に立てるんだ……!)
タイチたちの言葉に心の底から救われたミコトの目には光るモノが浮かぶ。
タイチ、ミコトがそれぞれ別の世界からこのデジタルワールドに召喚された事、
そしてミコトに不思議な力が宿っており、その代償についての説明を終え、ホーリーエンジェモンは本題へと入る。
「そして君たちを、異なる二つの世界から呼び寄せた理由を話そう。心して聞いてくれ‥‥ある厄災が、この世界を滅ぼそうとしている」
「ある厄災‥‥」
「それって、なんだ?」
「ガーボから聞いて知っての通り、ここはデジタルワールドのフォルダ大陸だ。かつてここはモンスターたちが調和を取って暮らすことのできた平和な大陸だった。だが、一体の変異種のモンスターがその平和を壊している」
「変異種のモンスター‥‥」
「そのモンスターもデジモンなんですか?」
「そうだ。その者の名は魔王デーモン……かつてダークエリアに幽閉された極悪非道のデジモンだ。奴は今、各地のデジモンを狂暴化させ、自らの城で『超究極体』の卵を育てている」
「超究極体……!」
「それって完全体よりも強いんですか?」
「ああ‥デーモン自身、究極体のデジモンだ」
「究極体‥‥完全体以上のランクがあったのか‥‥」
「私は奴の野望を阻止するため、デジタルワールドのルールに縛られない『100%の絆』の力を持つテイマーたちを呼び寄せたのだ。君たちを巻き込んだのは心苦しいが、どうか協力してくれないか!?」
タイチは不敵に笑い、立ち上がった。
「協力してくれ、なんて他人行儀なことは言わなくていいよ。ここまで来ちまったんだ、俺たちの冒険のついでに、その『魔王』とかいう奴をぶっ飛ばしてやるぜ!」
ミコトもまた、デビドラモンの鱗に手を添えながら確かな意志を込めて頷く。
「……最初は不安でした。でも、今はみんなと一緒に、誰かを救いながら歩みたい。魔王デーモンを止めること、私に協力させてください!」
ミコトの凛とした声に、レオモンは目を細め、敬意を込めて言った。
「石田ミコト、君のその強き心……敬服する。君は立派な『テイマー』だ」
ホーリーエンジェモンが静かに羽を広げ、神々しい光を放ち、二人の決意に応えようとした、その時――
「お待ちくださいゲロ!! ホーリーエンジェモン様!!」
突如として、部屋の中に第三者の甲高い声が響き渡った。