楽しんで頂けたら嬉しいです。
side 影村 飛鳥、姫島 朱乃
「…………よ。」
「え?」
朱乃は飛鳥の現状を見て止まった。
彼が子どもの相手をしている。
彼が優しいのは知っているが、やはりあの顔付きや目つきを考えるとどうしても違和感を感じてしまう。
「朱乃?」
「は、はい!」
飛鳥に声をかけられ止まっていた思考が動き始めた。
「悪いな呼んじまって。」
「イ、イエ!だ、大丈夫ですわ。それでどうしましたの?」
飛鳥は子ども達を見ながら、
「この子達がお腹すいたっていうもんでな…料理はある程度出来るんだけど男料理だもんで…流石に子ども向けじゃないから…」
「なるほど…代わりに料理を作って欲しいということですね?」
「ああ…頼めるかな?」
飛鳥は恥ずかしながら言うと、
「ふふ♪分かりましたわ♪」
朱乃は笑顔で答えた。
「ちょっと待っててくださいね♪お姉ちゃんがすぐに作るからね♪」
朱乃は子ども達を見ながら笑顔で言いキッチンに行く、
「これ、借りますわね♪」
朱乃は置いてあったエプロンを身につけ、冷蔵庫を開け料理の準備を始める。
「鶏肉があって…野菜、牛乳がある…うん♪決まりましたわ♪」
桜ちゃんは俺から離れ朱乃のところに行き、
「お姉ちゃん何作るの?」
献立を聞いたが、
「出来るまでの秘密ですわ♪それまでお兄ちゃんと遊んで待っててね♪」
「は〜い♪」
桜ちゃんは戻ってきて、
「お兄ちゃん遊ぼ♪」
再び遊びが再開した。
遊びながら飛鳥は朱乃に声を掛けた。
「悪いな朱乃こんな事頼んじまって。」
「気にしないでください♪これも契約のためですわ。料理の準備をしながらその子のミルクも用意しますわ♪」
「あ、ありがとう。」
「だから、気にしないでいいですわ♪出来たら呼びますのでそれまで頑張って遊んでくださいね…お兄ちゃん♪」
「ふ…分かったよ。それじゃあ料理宜しくね…お姉ちゃん♪」
朱乃は料理とミルクを作り始め、飛鳥は子ども達と遊び始めた。
飛鳥は子ども達と遊びながらふと朱乃の方を見た。
『スゲ〜似合ってんな〜』
朱乃のエプロン姿は本当に似合っていた。
その姿は本当にお嫁さんやお母さんの姿に見えた。
「結婚したら…こんな感じなのかな…」
「お兄ちゃん?結婚がどうしたの?」
「え?」
「お兄ちゃん…今『結婚したら』って言わなかった?」
『口に出ちゃったよ⁉︎』
桜ちゃんにもろに聞かれてしまった。
「な、何も言ってないよ⁉︎」
誤魔化そうとしたが…
「本当に?」
「う、うん‼︎」
「お姉ちゃ〜ん、お兄ちゃんが結婚‼︎「桜ちゃん⁉︎」モガモガ⁉︎」
桜ちゃんが朱乃に言う前に、桜ちゃんの口に手をやり塞いだ。
「桜ちゃんお願い言わないで!」
「モガモガ⁉︎…ガブ‼︎」
「イッテェェェェ!」
口を塞いでた手を桜ちゃんに噛まれ手が離れた。
「お兄ちゃんやったな!龍君‼︎」
コクコク
桜ちゃんは俺の方に振り返り龍君に声をかけると、
「やっちゃえぇぇ‼︎」
ポカポカ
ポカポカ
二人して俺を殴ってきた。
「う、うわ⁉︎」
痛くは無いが攻撃は止まらず、
ポカポカ
ポカポカ
「やっちゃえ!龍君‼︎」
コクコク
二人は笑いながら攻撃をしている。
『この子達…親とこういうのをあまりしなかったのだろう…二人ともすごくいい笑顔だ…』
飛鳥は二人の笑顔を見ながら、
『…出来るなら…………あの夫婦が離婚しないことを願いたい…………』
離婚してしまえばこの子達のこの笑顔が消えてしまうかもしれない、この子達のこの笑顔をあの夫婦に見せれば…………
そんなことを思っていると、
「ご飯出来ましたわよ♪」
キッチンから朱乃の声が聞こえた。
「わ〜い♪お腹すいた〜♪」
コクコク
二人は俺への攻撃を急に止め、
「龍君行こ♪」
トコトコ
トコトコ
二人ともキッチンに歩いて行った。
「さて…椿ちゃんも行くか♪」
飛鳥はベッドで横になっていた椿ちゃんを抱きキッチンに向かった。
「うわ〜すご〜い♪」
コクコク
テーブルにはご飯、味噌汁、サラダ、ハンバーグがあり、どれもいい匂いがし美味しいそうだ。
「それじゃあみんな座ってください。」
飛鳥、朱乃、子ども達はテーブルを囲んで座る。
「それでは手を合わせて…
「「「「いただきます」」」」
はい♪召し上がれ♪それに貴女にもね♪」
朱乃は飛鳥から椿ちゃんを預かり、抱き上げ声をかけ起こした。
「はい♪ミルクですよ♪」
椿ちゃんは目を覚まし、ミルクを飲み始める。
「美味しいですか?」
「うん♪美味しい♪」
コクコク
二人は笑顔で答えながら夢中で食べている。
「龍君、口元汚れてるぞ。」
ふきふき
飛鳥が龍君の口元を拭くと、
「ふふふ♪…なんか家族みたいですわ♪」
「…………え?」
「な、何でも無いですわ!」
「そ、そうか?」
朱乃の言った言葉は飛鳥にはしっかり聞こえていた。
『家族か…』
飛鳥は小さい頃に親を亡くしていた。
そのため家族というのがあまりどういうのか分からないでいたが、
『俺も子どもの頃はこんな感じでいたのかな…いいなこの温かさ……』
今この瞬間に感じるものは飛鳥の心を満たした。
「……お兄ちゃんどうしたの?」
「え?」
「どうして泣いてるの?」
「え、え?」
飛鳥は自分の顔を手で触って確認した。
「あ、あれ?」
飛鳥の頬には一筋の涙が流れていた。
「な、なんでもないよ!目にゴミが入っただけだから!」
飛鳥は涙を拭きキッチンに行き顔を洗った。
涙が出た理由は飛鳥には分かっていた。
今まで忘れていた家族という温かさ、それを思い出したからだ。
家族っていいな…
そう思いながらテーブルに戻ると、
「「ごちそうさまでした‼︎」」
食事が終わっていた。
「朱乃、片付けは俺がやるから子ども達と遊んでなよ。」
「え…………でも?」
「いいよ♪それに…」
「?」
飛鳥は朱乃の脚の方を指指しながら言うと、
「お姉ちゃん…」
クイクイ
桜ちゃんと龍君が朱乃を見上げていた。
「その子達も一緒に遊びたいみたいだからさ♪」
「ふふふ♪分かりましたわ♪」
朱乃は子ども達を連れリビングに行った。
30分程して片付けが終わり、リビングに行くと朱乃は桜ちゃんと龍君を膝に置き絵本を読んでいた。
ベビーベッドの方を見ると椿ちゃんはお腹がいっぱいなったのか幸せそうに寝ていた。
「片付け終わったよ。」
三人に声を掛けると、
「ご苦労様ですわ♪」
「お兄ちゃんおかえり〜」
朱乃と桜ちゃんは返事をしたが、
コク…コク…
龍君は眠そうな顔をしてこちらを向いた。
飛鳥は時間を確認すると、
19:40
子どもはそろそろ寝る時間だ。
「龍君眠い?」
飛鳥が龍君に聞くと、
コクコク
頭を縦に振り返事をした。
「了解ちょと待ってな♪」
寝る前に風呂に入れようと思い風呂を見に行くと、都合良くお風呂が沸いていた。
その後リビングに戻り、
「龍君寝る前にお風呂入ろうか?」
コク
「良し…んじゃ行きますか♪」
「い、いいんですの?」
「別にいいだろ?子ども達を風呂に入れるためなんだから?」
「そ、そうですけど…」
「それに…これは俺の契約だ。もしこれで怒られたなら頭下げて謝るし契約破棄でも構わねえさ。それとリアスにも謝るよ。」
「ふふ♪分かりましたわ♪なら、その時は私も一緒に謝りますわ。」
「…朱乃?」
「今回の契約には私も関係者の一人になりましたから♪だから…責任は半分半分ですわ♪」
「…分かった。ありがとう、朱乃。」
「はい♪それじゃあ先にお風呂に入ってください。次は私と桜ちゃんが入りますから♪」
「分かった。ほら、龍君行くよ♪」
その後二人は子ども達を風呂に入れた。
風呂を上がった後、龍君は直ぐに寝てしまい、桜ちゃんも少ししてから寝てしまった。
「ふふふ♪みんな寝てしまいましたね。」
「ああ。かわいい寝顔で寝てるよ。」
「そういえば…契約の内容聞いて無かったですわ?」
「あ、そういえば言ってなかったな…え〜と…」
飛鳥はここで初めて今回の契約内容について朱乃に話した。
「そうだったんですの…災難でしたわね…」
「ホントだよ…朱乃に聞かなきゃこういのが普通なのかと思ってたよ。」
「これはかなり特殊なものですわ。でも…この子達可哀想ですね…こんな幸せそうな顔見たら考えられないですわ…」
「ああ…本当にこの子達の顔を見てるとあの話が嘘みたいだよ…」
子ども達の寝顔を見ていると、
ガチャ
ドアが開く音が聞こえ、夫婦が帰ってきた。
「おかえりなさい。」
飛鳥が夫婦に対して挨拶をし、
「あ、あの…離婚の…」
『離婚の話をどうにか止めてくれないか。』と、言おうとしたが、
「「スミマセ。ご迷惑をおかけしました。」」
夫婦が頭を下げて謝ってきた。
「え?」
夫婦の行動に二人とも驚いていると、
「君に言われて二人で食事に行ったんだけど…」
「最初はお互い離婚の話だけでね…あの後も喧嘩をしたの。」
「でも…喧嘩して疲れてね、二人で食事してたらさ…」
「少し落ち着いてね…久しぶりに彼とマトモな会話をしたの。」
「お互い言いたいこと言うだけで…」
「相手の話を聞かず理解しようとしなかったの…」
「彼の辛さや…不安が分かって…」
「彼女の孤独さや…寂しさが分かって…」
「自分だけが辛いんじゃないんだってことが分かったんだ…」
「だから…これからはしっかり相談しようと決めて…」
「「離婚やめたんです。本当にご迷惑をかけてすみませんでした。」」
夫婦は飛鳥と朱乃に頭を下げた。
「本当に貴方のおかげです。」
「君が話し合いの場を作ってくれなければ、僕達はあの子達の事を考えず離婚していました。」
「い、いや。俺は自分勝手に言っただけで…」
夫婦の感謝に飛鳥は戸惑うが、
「でも…そのおかげで僕達はやり直すことができた。」
「お礼以外の言葉は出ないわ。」
夫婦二人の言葉に負け、
「きょ、恐縮です…」
飛鳥も頭を下げた。
飛鳥が頭を上げると奥さんから、
「あの…契約についてなんですが…一ついいでしょうか?」
契約についての話が出た。
契約の内容は親権を決めること…
俺の勝手な行動で決める必要がなくなった。
こりゃ…契約破棄だな…
飛鳥はそう思っていたが、
「内容の変更は可能ですか?」
「え?」
飛鳥は予想外な答えに驚いていたが、
「ええ♪可能ですわ♪」
朱乃は笑顔で答えた。
「本当ですか⁉︎」
旦那さんは朱乃に確認すると、
「はい。契約内容は契約者が決め、こちらはそれに答える。なので内容に不満や不服があれば変更は可能です。」
朱乃が丁寧に説明すると夫婦はお互いを見つめ合い、寝ている子ども達を見て、
「「時々子ども達と遊んでください。」」
新しい契約内容が提示された。
「え?それでいいんですか?」
飛鳥は内容に驚いて夫婦に聞きなすと、
「ええ。子ども達の顔を見れば分かります。君と過ごしたことが楽しかったんでしょう。幸せそうに寝ています。」
「それに私達夫婦だけで話す場を作りたいときがあるで…」
「「どうかお願いします。」」
再び夫婦は頭を下げた。
「…分かりました。お引き受けいたします。」
飛鳥は丁寧な口調で頭を下げ夫婦に答えた。
「「ありがとうございます。」」
夫婦が礼を言った後、飛鳥と朱乃は今日の子ども達の事を話した。
夫婦はいつもとは違う子ども達の発言や行動に驚いていたが、
「「私達も負けられない。」」
夫婦はこれからの子ども達との生活にやる気を出していた。
話が終わった後俺達は帰宅することにした。
時間は、
21:10
リアスに連絡を入れ、二人ともそのまま帰ることにしたが、
「朱乃腹減ってないか?」
「…はい…夕ごはんまだですからお腹が空きましたわ………」
あの時子ども達分だけの夕ごはんだけで二人とも何も食べていなかった。
「なら…一緒にメシ食いに行かないか?俺のおごりで?」
「…え?」
「きょ、今日朱乃のおかげで助かったから…そのお礼ってことで…………後、朱乃について色々知りたいから……ダメかな?」
「ふふ♪私も貴方について色々知りたいから…お、お願いしますわ♪」
二人とも顔を赤くしながらも、笑顔でお互いの顔を見ていた。
「リョーカイ♪朱乃は何か食べたいものある?」
「そうですわね……なら、飛鳥さんがいつも食べているところに行きたいですわ♪」
「俺が行くところ⁉︎オシャレな店じゃないぞ⁉︎」
朱乃のリクエストに驚き困惑するが、
「オシャレじゃなくても構わないですわ♪…貴方がいつもどんなお店でどんなものを食べているか知りたいですから。」
朱乃は笑顔で言った。
「分かったよ。いつもの所か…………定食屋だけどいいか?」
「ふふ♪構わないですわ♪」
「なら…行きますか♪あの店22時には閉まっちまうから。」
「分かりましたわ♪お店の名前は何て言いますの?」
「雪村食堂。仲の良い夫婦がやってる店でどれも美味いんだよ♪」
「ふふ♪なら期待してますわ♪」
二人は横に並んで店まで歩いて行った。
店に着くまでお互いのことについて色々話をし、店に着いても話は続いた。
店の中では店長である夫婦とその娘に、
「螢子⁉︎凄いわよ飛鳥くんが女の子連れてきたよ‼︎」
「飛鳥くんにもやっと彼女ができたのか‼︎」
「本当なの飛鳥くん‼︎すごい綺麗な子じゃない⁉︎」
ちやほやされ二人して恥ずかしくなる事もあったが、楽しい時間を過ごした。
初めてお互いのことを知った二人の顔は幸せそうだった。
久しぶりに幽遊白書のキャラ出せました。
主人公を出すかはまだ未定です。
可能だったら出したいと思います。