ですけど…当日に間に合わなかった…
誠に申し訳ないです。
これは彼らが一年生の時の話。
男女共に勇気がいる日の話。
side 影村 飛鳥
2月14日
バレンタインデー
俺にとって今日は悪夢の日だ。
ボッチ生活を送っている俺にはこの日ほど辛くて残酷な日はない…
通学中聞こえる女の子の話は、
「誰に渡すの?」
「私はねえ…織斑君♪」
「私は淳平に」
「わ、私は…………」
誰にチョコをあげるかの話。
男子の方は、
「今年は何個かな?」
「分からん。数えたことないし」
「俺は無いな…来ても断る」
「羨ましい‼︎俺なんか母ちゃんだけだよ…」
貰うチョコの話をしていた。
イライラ
俺はムカついていた。
『貰えるだけ良いじゃねえか‼︎俺は1個も貰ったことねえよ‼︎』
俺は今までチョコを貰ったことがない。
小学生の時は周りからイジメられて女子達には嫌われていたから貰えず、中学生の時は孤立していて友達がいなかったため貰えなかった。
それに俺には家族がいないため、親からも貰うというのは無かった。
中学生の時、
誰かに見られると恥ずかしくて渡さないのかな?
そう思い学校や町の中で1人に慣れるところを探して歩いたが、チョコは1個も貰えず、貰ったのは喧嘩だけ。
結局ボッチ力を上げてしまうだけだった。
そして現在、この日は俺のボッチさを痛感し悲しむ日になっている。
「はぁ〜殻にこもろ…………」
俺は周りの声を聞かないようにするため、スマートフォンにイヤホンをつけ音楽を聴き始めた。
この日の為に作ったプレイリスト。
ラブソングはゼロ。
入っているのは自分を励ますための応援ソング。
「負けるな…俺…」
自分を励ましながら登校した。
校舎に入り自分の下駄箱を開ける。
ガチャ
中に入っているのは俺の上履きだけ、
そして教室に行き自分の席に座り机の中に手を入れる。
ガサゴソ
中は空だった。
「ですよねー」
俺は少しだけ期待していた。
ボッチ生活しているとはいえ、新しく始まった学園生活。
もしかしてまだ俺のことをあまり知らない子がいるかも知れない、その子が入れてくれるかも…
だが…現実は甘くなかった。
「はぁ〜負けるな…」
俺は涙組なから自分を再び励ました。
それから授業を受け休み時間に、
「これ…」
「あ、ありがとう…」
「はい♪部活のよしみであげる」
「よっしゃぁぁ」
周りの数少ない男子たちはチョコをもらっているが、
俺の周りは、
シーン
誰もいない…
何故だろう…泣けてきた…
現実を直視したくなかった。
周りはチョコをもらって笑顏の男子、恥ずかしながらも笑顔でチョコを渡す女子達。
なのに…なのに…
止めよ…考えるの…更に悲しくなる…………
俺は周りがだす空気から逃げるため教室から出るが、
「あげる」
「ありがとうございます」
「しょうがないからあげるわ!義理だからね!別に本命じゃないんだから‼︎」
「あ、ああ」
廊下も教室と同じだった。
俺の安らぎの場所はどこにある…………
逃げ場がなくなった俺は絶望し始めていた。
「おはようございます。飛鳥さん」
背後から声をかけられ振り向くとそこには、
「ソーナ…」
生徒会のメンバーの一人、ソーナがいた。
「どうしたんですか?この世が終わったような顔をして」
「え、いや…」
俺は答えるのに戸惑っていると、
「バレンタインデーで他の男子はチョコを貰っているのに自分だけ貰えなくて絶望しているんですね」
「グハ‼︎」
ソーナは俺にトドメを刺し、
俺は壁に頭をつけ、
「バレンタインデーなんて…嫌いだ…………」
更に落ち込んだ。
「そうですか。では…これは要らないんですね?」
ソーナは綺麗にラッピングされた小さな箱を出した。
俺はソーナの方を向き、
「これは?」
「貴方が嫌いになった日に渡すものです」
「…………チョコですか?」
「はい。そうです。ですが要らないんですよね?それなら他の男子に…」
「欲しいです!」
俺は元気良く答えた。
「そうですか。では、どうぞ」
ソーナは俺にチョコを渡した。
「あ、ありがとう…」
「お礼ならいりません。義理チョコですから」
ソーナはあっさりと言うが、
「でも…嬉しいよ。俺今まで貰ったことないから…」
俺は少しだけ涙目になった。
「ふふ♪そうですか……それは良かったです。ではまた今度」
ソーナは優しい笑顔で言い、教室に帰っていった。
「や、やった…!」
人生で始めて貰ったチョコ。
義理と言われたけど…
俺の心は絶望の淵から救われた。
side out
side ソーナ・シトリー
私はこの日になると、私が関わりのある人達にチョコを渡している。
悪魔である私が教会の行事に参加すというのはおかしいことだが、現在はそれと意味が離れていて、特に今いる日本では独自なものになっている。
初めはお姉さまが始めた。
私はまだ幼かったため理由は分からなかったが、
お姉さまから、
「お世話になっている人にあげるのは悪いことじゃないから☆」
そう言われ私もチョコを渡している。
初めは私が作り渡していたがいつからか、
「ソーナちゃん!お姉ちゃんが作るからそれを渡してあげて‼︎」
お姉さまが必死な顔で言うため今ではお姉さまが作ったチョコを私がラッピングし渡している。
今年も関係がある悪魔の方々に渡したが、今年は新しく一人加わった。
影村飛鳥さんである。
彼は今年リアスの眷属悪魔になったが、私にも時折関わりを持ち、特に私の眷属である椿姫と関わりが深い。
私は彼も関わりのある人の一人だと思い彼にチョコを渡した。
彼は私の一言で落ち込んでいたがチョコを出すと表現を変え、
「欲しいです!」
言った。
チョコ一つでこうなるものなの?
彼の表情を見て私は驚いた。
それから彼が言ったことで私は分かった。
「でも…嬉しいよ。俺今まで貰ったことないから…」
私は以前リアスから聞いた。
彼には家族がいないこと、友達が一人もいないことを、
今まで彼は誰からも貰ったことないんですね…
私は彼の顔を見て充実感に満たされた。
彼の顔が幸せそうな笑顔だからだ。
「ふふ♪そうですか……それは良かったです。ではまた今度」
私はいつも通りに冷静に言いその場を離れたが、
私が初めてで良かったのか?
本当なら椿姫や朱乃が良かったのでわ?
そう考えていた、
二人は彼のことが気になっている。
友人としか思っていない私が彼のあの笑顔を見ていいのかな?
でも…可愛かったな彼の笑顔。
彼の見せた本当の笑顔。
椿姫や朱乃が惚れた理由がなんとなく分かった。
私は彼のことをあまり知らない。
私が知っていることとすれば、彼の噂が殆ど。
だけど…本当の彼はまるで子どものようだ。
ふふ♪確かに面白い人だわ♪
私はそう思いながら教室に戻った。
side out
side 影村 飛鳥
人生初めてチョコがまさか…
我が学園の男女共に人気があるソーナからとは…
俺は昼休みいつもの林に行き一服していた。
休み時間に貰ったチョコを見ながら、
「イヨッシャァァァァ‼︎」
叫んだ。
義理チョコと言われたが人生初めてのチョコ。
16年間生きてきて初めて同学年の女子から貰ったもの喜ばずにはいられなかった。
「食べよっかな〜♪でも…勿体無いよな〜♪どうしようかな〜♪」
まるで子どもがオモチャを貰ったかの様に迷っていると、
「何をそんなに騒いでいるですか?」
声を掛けられた。
「え?」
声を掛けられた方を向くと、
「こんにちわ。騒いでいるところ悪いですが…貴方が口に咥えているのはなんですか?」
椿姫が厳しい表情でこちらを見て指差している。
「え…………‼︎い、いやこれは⁉︎」
椿姫が指差した先にはタバコがあった。
「よし。停学処分で…」
「待って‼︎今回は見逃して〜‼︎」
俺は直ぐにタバコを消しその場で土下座をした。
「はぁ〜。今回だけです。今後は校内では吸わないでください」
「はい…」
「吸うなら校外で、それと人に見られないようにして下さい」
「以後気を付けます…」
椿姫の説教を受け俺の気持ちは一変し落ち込んだ。
「隣良いですか?」
「お構いなく」
俺がそう言うと俺の隣に座った。
椿姫と出会って1年近く経つ。
椿姫は学園内で俺に声を掛けては、
「服装を直しなさい」
「テスト結果はどうでした?赤点ギリギリ?もっと勉強して下さい」
「また喧嘩ですか?はぁ〜貴方は…」
説教などをしている。
初めは、
うるせぇな〜。迷惑はかけてないだろうが…
そう思っていたが、
それが何日も続き、言い終わった後の少し悲しそうな顔を何度も見て、
椿姫は俺のことを本気で心配しているんだ…
椿姫の気持ちが分かった。
教師達は俺の顔色を伺ってなにも言わないが、朱乃、椿姫、リアス、ソーナは違う。
みんな俺の顔色なんて関係無く、怒ったり厳しいことを言う。
特にその中でも椿姫は一番厳しく言うが今ではそれが嬉しく感じる時がある。
「それで何か用か?」
「え?」
「こんな寒空の下、しかもこんな林の中に来るなんてなんか俺に用があるんだろう?」
「そ、それは…」
「また成績の話か?それともこの前の喧嘩の話…」
「違います‼︎」
椿姫は急に立ち上がり少し怒った表情でこちらを見ている、
「つ、椿姫…?」
「す、すいません」
椿姫は顔を赤くしながら再び座るが、
ソワソワ
どこか落ち着かないでいる。
「椿姫?」
「あ、あの…あの…今日は…」
「今日は?」
「バ、バレンタインで、ですから…」
「あ、ああ…そ、そうだな…」
椿姫がここに来た理由、落ち着かない理由がやっと分かった。
「あの…だから…コレを……」
椿姫は顔を更に赤くしながらラッピングされた包みを俺の前に出した。
「あ、ありがとう…」
俺も顔を赤くしながら受け取った。
「べ、別にぎ、義理ですから‼︎」
「え…………?」
「か、勘違いしないでくださいね‼︎」
「は、はい…?」
俺がチョコを受け取った途端、椿姫はテンションが上げた。
それを見た俺は、
「ツンデレ?」
「///⁉︎バカァァァ‼︎」
バチン‼︎
「アベシ⁉︎」
「フン!もう知らないです‼︎」
椿姫は俺の頬を叩き、怒りながら校舎に戻っていった。
俺は倒れながら空を見上げ、
「チョコ嬉しいんだけど…最後のはいらなかった…………」
自分が言った言葉を後悔した。
side out
side 真羅 椿姫
バレンタインデー
今までこの日に興味は無かった。
ソーナ様の眷属になってから、ソーナ様と一緒にシトリー家と関係がある人に渡してる。
バレンタインデーがどういうものか知ってはいたが、そのような人や思う人はいなかった。
私は年間の行事の一つとして余り深く考えることなく淡々とチョコを渡していた。
だけど…今年は少し違う。
影村飛鳥。
彼と出会ってから1年近く経つ、初めて出会った時から彼のことを気にしていた。
本当の彼は噂で流れている姿とは違い、優しく笑ったり安心した時の顔はまるで子どもような人。
正直な所、私は彼のことが好きかは分からない。
でも…彼のことは嫌いでないことは確か…
私は今までこの様な感情を持ったことがないから、彼にどう接していいか分からず、
「服装を直しなさい」
「テスト結果はどうでした?赤点ギリギリ?もっと勉強して下さい」
「また喧嘩ですか?はぁ〜貴方は…」
説教じみた接し方をしてしまう。
本当は…笑ったりして話したいのに…………
私はそう思いながらも変えられずにいた。
昼休み。
彼がいつも行く林に行った。
林の中に入ると直ぐに彼を見つけた。
彼は何かの包みを持ちながら叫んでいるが…
口にはタバコを咥えている。
はぁ〜またですか…
彼がタバコを吸う姿は何度も見ている。
少しいじめますか♪
「何をそんなに騒いでいるですか?」
私は普通に声をかけ彼がこちらを振り向いく、
「こんにちわ。騒いでいるところ悪いですが…貴方が口に咥えているのはなんですか?」
私はいつもの様に冷静な声で言うと、
彼は子どもが怒られるのを避けるような言い方をした。
「よし。停学処分で…」
更に言うと、
今度は許しを乞う姿に変わった。
私は彼が見せる姿可愛く見え、
噂とは全然違い今の彼は本当に子どもに見えた。
これ以上したら本当に泣くかもしれないですね♪
私は彼をいじめるのを止めた。
「隣良いですか?」
私は彼の隣に座った。
目的を果たさなければ、
チョコを渡す。
ただそれだけなのに私は緊張してしまっていた。
『なんて言って渡せばいいんだ?』
私は第一声を考えていたが、
「それで何か用か?」
彼の口が先に開いた。
私は先手を打たれて答えに詰まった。
もしかして…何をしに来たか分かっている…?
そう思ったが、
「また成績の話か?それともこの前の喧嘩の話…」
全然違った。
「違います‼︎」
私は彼が言った事に私は怒った。
今日はバレンタインデー。
普通女子が会いに来たとしたらチョコを貰うことを期待する筈なのに、
彼から出たのはいつもの様にしている話の内容。
私がここまで来てするわけがないでしょ‼︎
貴方の中で私はどれだけ説教キャラになっているんですか⁉︎
そう思い腹が立った。
彼から言ってもらえれば少しは気楽に渡せたのに…
私は今まで個人的に渡したことが無いため緊張しながら言った。
彼も少し緊張しながらやっと理解してくれチョコを受け取ってくれたが、
私は恥ずかしさの余りに、
「べ、別にぎ、義理ですから‼︎」
「か、勘違いしないでくださいね‼︎」
別に言う必要無いのに恥ずかしさを隠すために言ってしまった。
それを見た彼は、
「ツンデレ?」
私はその一言で恥ずかしさは頂点に達し、
「///⁉︎バカァァァ‼︎」
バチン‼︎
彼の頬を叩いてしまった。
「フン!もう知らないです‼︎」
私は怒りながらその場を離れたが、
こんな事をするつもりはなかったのに…………
自分がした事に後悔していた。
side out
side 影村 飛鳥
放課後、俺は部室に向かっていた。
「いってぇぇ…」
椿姫に叩かれた頬を摩りながら部室に入ると、
「飛鳥。こんにち…どうしたの?」
ソファーに座って俺の姿を見ながらリアスが聞いてきた。
「色々あってな」
「椿姫に叩かれたのね?」
「何故それを⁉︎」
「昼休み椿姫が林から出てくるのを見たのよ。あそこにいるの貴方しかいないし、貴方の顔を見て何となく分かったのよ」
「はは…」
「で…何があったの?」
それから俺はリアスに昼休みにあった話をした。
「はぁ〜貴方ねどんだけ馬鹿なのよ…」
「いや…」
リアスは呆れ顔で言った。
「明日椿姫に謝りなさいよ。あとお礼もね」
「そのつもりだよ…ホントに申し訳ない事をしてしちまったよ…」
「分かっていれば良いわ♪…そういえば聞いたわよソーナからチョコをもらったそうね?」
「え⁉︎」
「噂になってるわよ♪休み時間ソーナが貴方にチョコを渡したって」
「はは…」
噂になってるのか…
いつもとは違う内容の噂。
しかも…学園で人気のある女子の1人…嬉しさ半分、恥ずかしさ半分…
「貴方がソーナを脅して貰ったてね♪」
リアスが言った一言で、
一瞬で思いは消えた。
「…………」
「気にする必要は無いわ♪貴方がそんなことするわけじゃない。それにソーナも気にしてないと思うわよ♪」
「そうなのか…?」
「ええ♪むしろ怒ってるんじゃない?生徒会側の彼女達も貴方の本当の姿を知ってるからね」
「はは…」
ソーナが怒る姿を想像し俺は乾いた笑いが出た。
「あの2人が渡したなら…はい♪受け取って♪」
リアスは俺の目の前に来て、派手なラッピングをされた箱を渡した。
「え?…これって?」
「決まってるじゃない。バレンタインのチョコよ♪」
リアスは俺に笑顔を向けていった。
「ありがとう」
「礼はいらないわ♪同じ部の仲間だからね♪」
「それでも…俺は感謝の気持ちでいっぱいだよ」
「そう?なら…お返し期待してもいいかしら?」
「お返し…?」
「バレンタインのお返しよ♪」
「バレンタインのお返し……………あ⁉︎」
ここで俺は気付いた。
お返しのこと何も考えてなかった⁉︎
今まで貰った事がないからお返しがあるのをまるっきり忘れていた‼︎
「ど、どうしよ〜…………」
俺がお返しについて途方に暮れていると、
「ふふ♪精一杯考えなさい♪」
俺の姿がおかしいのかリアスは笑いながら言った。
その後二人で少しだべった後、
「さて…貴方、確か今日は契約の話は無かったのよね?」
「ああ。今日は無いけど…それがどうかしたか?」
「なら…今日は休みにしましょう♪」
「え?いつものビラ配りは?」
「それも良いわ。今日はゆっくり休みなさい♪」
「良いのか?」
「別にいいわ♪それとも…したいのかしら?」
リアスは妖しい笑顔で言うが、
「休ませてもらいます」
頭を下げて丁寧に断った。
「分かれば良いのよ♪それじゃあ…今日はこれで解散ね」
「了解」
俺は鞄を持ち部室から出ようとすると、
「あ…飛鳥一つ頼みがあるんだけどいいかしら?」
「え…仕事は休みんなんだろ?」
「仕事じゃないわ。一つ買ってきてもらいたいものがあるの…ここに書いてあるお店に行けば渡してくれるから。お金は明日返すから…お願い出来ないかしら?」
リアスから渡されたメモを見ると店の場所は俺の帰り道の近くだった。
「ああ。分かったよ」
「それじゃあお願いね」
「了解。んじゃ、また明日な♪」
「ええ♪また明日」
部室から出てメモに書かれている店に向かった。
向かう中今日の事を思い出し、
「初めてのチョコ…………♪」
喜んだが、
「でも……………」
大事なことに気づいた。
「一番貰いたい人から貰ってないな…」
三人から貰えたのは凄く嬉しいが、
あいつからは貰ってない。
それに気づいた時、急に淋しくなった。
いつもなら一緒に登校して、休み時間も一緒にいることが多い、食事も一緒に食べているのに……………
今日は彼奴とまだ会っていない…
そう思っていると、
「あ…ここ通んねえと…」
店は俺の通学途中にある公園の入り口の反対側。
公園の中を通るのが一番近い道。
そう考えていたのに、俺は通り過ぎようとしていた。
「はぁ〜調子狂うな…」
俺はそう言いながら公園中に入る。
彼奴に会いたいな…
そう思いながら公園の中を歩いていると、
ベンチにウチの学園の制服を着た女子が座っていた。
「あ……………」
そこに座っていたのは俺が一番会いたく、そして一番チョコを貰いたい人だった。
side out
side リアス・グレモリー
彼にチョコを渡した後私は部室で彼女から貰ったチョコを食べていた。
「やっぱり♪美味しい♪」
彼女が作るものはどれも美味しい。
私は毎年彼女からチョコを貰っている数少ない一人。
彼女からチョコを貰う人は決まっている。
私。
お兄様。
グレイフィア。
ミリキャス。
お父様とお母様。
私達の仲間。
それ以外の人には渡さない。
だけど…今年は仲間が一人増えた。
彼女は彼のために一生懸命作っていたが、当日になり渡せないでいた。
私はいつものように渡すものだと思っていたが、恥ずかしいのかずっと渡せないでいた。
放課後になり彼女は部室で彼を待っていたが、また恥ずかしくなり、
「きょ、今日は何もないですよね⁉︎私…帰りますわ!」
「帰るの?なら…紅茶買ってきてもらっていい?持ってくるのは明日でいいから♪」
「わ、分かりましたわ」
そう言い帰っていった。
「はぁ〜ホント疲れるわ…」
私は紙を取り出し店の名前と場所を書いて彼が来るのを待った。
数十分後彼が来た。
私は彼にチョコを渡した後少し話して、彼を帰すための理由を作り、先程書いた紙を渡し頼みごとをした。
彼はそれを了承し帰っていった。
彼が出た後私は窓から外を見て旧校舎から出る彼に、
小さな声で、
「頑張りなさいよ♪」
そして茜色に染まる空を見ながら、
「頑張りなさい…朱乃」
side out
side 姫島 朱乃
バレンタイン私は飛鳥さんにチョコを渡す…
つもりだった…
朝彼の家に行き渡そうとしたが、彼に会って渡すのが恥ずかしくなって渡せなかった。
休み時間も彼に渡そうとしたが、ソーナ様や椿姫さんに先を越されて渡せず、
今度こそと思い部室で彼を待っていたが、恥ずかしさがぶり返し……
私は耐えきれずに帰ってしまった。
自分の家に帰ろうとしたが、リアスに頼まれた買い物を思い出し私は行きつけの店に行き買った後、店の前にある公園に入りベンチに座っていた。
何十分経ったのだろう…
私は座りながら彼に渡すはずのチョコを手に持ちながらずっと考えていた。
『何で恥ずかしがっていたの…いつものように笑顔で話して…渡せば良かったのに…………』
私は後悔していた。
恥ずかしさのあまりに彼に渡さなかったこと、そして彼に会わなかったことを。
『何でだろう…私はそういうのは得意なはずなのに…』
私は自分の感情を隠して人と接するのは得意なはずなのに、彼の前だとそれができない…
『何でですの…………』
私は自問自答していると、
サァァァァァ…………
冷たい風が吹いた。
「寒いなぁ…」
寒さで少し身体が震えた。
部室から急いで出たあまり、コートを忘れてしまった。
それにいつもならこの時間は彼の家で家事をしている時間。
なのに…今私は公園のベンチに座って落ち込んでいる。
「ハハ…私は…何がしたいんだろう…」
自分の姿を滑稽に思いながら、
「そういえば…今日は…飛鳥さんと会ってないな…………」
思い出し。
「…………淋しいな…」
口に出していた。
たった1日彼と会ってないだけで私はこんなにも落ち込んでいる。
『何で…………?』
再び自問自答が始まろうとしたが、
「朱乃♪こんなところで何してんだ?」
声をかけられ止まった。
そして、声をかけられた方を見るとそこには飛鳥さんがいた。
「あ、飛鳥さん⁉︎」
「よ♪」
「ど、どうしてここに?」
『この公園は彼の家に帰るには遠回りになるのに…』
そう考えながら理由を聞くと、
「リアスにこの先にある店で紅茶を買って来てくれって頼まれたから」
「え?それなら私が…………!」
リアス…図りましたわね…
私は心の中でリアスに対して愚痴を言った。
「そうなの?…………なら買い物はいいか…」
彼は来た道を戻ろうとしたが、
私は、
「あ、あの‼︎」
勇気を振り絞って
「渡したいものがあるんです‼︎」
彼に言った。
リアスが折角作ってくれた二人っきりの場を無駄にしたくない!
今渡せないと私はずっと渡せず後悔をする‼︎
そう思った。
「こ、これ…バレンタインデーのチョコです…」
「え…………」
「う、受け取ってくれますか…?」
「う、うん」
彼は顔を赤くしながら受け取ってくれた。
受け取った後、彼は更に顔を赤くしながら、
「俺…朱乃からチョコを貰いたかったんだ…………」
顔を隠すように言った。
「///!」
彼の言葉で私も更に顔が赤くなった。
「ありがとう。朱乃」
笑顔で私に言った。
「どういたしまし…!」
私も笑顔で返答しようとしたが、また冷たい風が吹き身体が震え言えなかった。
「…これ着なよ」
私の姿を見た彼は自分が着ていたコートを脱ぎ、私に渡した。
「え?で、でもそれじゃあ、飛鳥さんが…」
「気にするなよ♪」
彼は優しい笑顔で私の言おうとしたことを止めたが、
再び風が吹き、
ブル!
彼の身体を震わせた。
「ふふ♪ならこうしましょう♪」
私は彼の腕を抱き、私と彼の肩にコートを掛けた。
「あ、朱乃⁉︎」
彼は私の行動に驚いているが、
「これなら二人とも暖かいですわ♪」
彼を見ながら笑顔で言うと、
「…………そうだな…」
彼は顔を赤くしながら答えた。
「それじゃあ…帰るか?」
「ええ♪」
私達は同じ歩調で歩き始めた。
side out
side 影村 飛鳥
俺は今までバレンタインデーが嫌いだった。
だけど…今年から俺はバレンタインデーが好きになった。
初めてチョコを貰った。
渡され方は個性的だったけど…俺にはとっては嬉しかった。
それに…一番貰いたい人から貰えた。
それが俺の心を満たし、ある事に気付かせた。
……俺…朱乃ことが好きなんだ…………
side out
side 姫島 朱乃
私は彼の笑顔を見て心の中が満たされた。
今まで何度もあった。
だけど…今までこの気持ちが何か分からなかった……
他の男子と話しても笑顔を見ても満たされないのに…
彼の笑顔は私を満たし、私を暖めてくれる。
そして…今日彼に満たされ暖めてもらってやっと分かった…
………私…飛鳥さんのことが好きなんだ…………
side out
side 影村 飛鳥・姫島 朱乃
『『だけど…朱乃(飛鳥さん)はどう思っているんだろう(思っていますの)?』』
二人はそう考えていた。
間に合わなくてすみまん‼︎
最後のコートのところ、ときメモ2のイベントをパクリました‼︎
独創力がなくてごめんなさい‼︎