次の話も今週中に投稿出来るように頑張ります。
皆さんが楽しんでいただけたら嬉しいです。
side 影村 飛鳥
〜二年前〜
あの森であの卵を拾ってから数ヶ月。
俺はいつも卵を胸元に入れて過ごしていた。
ザトゥージ曰く、
『主人の心によって生まれてくるのが左右される。主の心が悪ければ邪悪なものが産まれ、産まれた瞬間に主人を喰うらしい』
俺はそれを聞いて、
卵を拾ってからは、
『一瞬でも手元から離せば、悪い主と思われのでは?』
と思い肌身離さず持つようにし、
『良いことをすれば良いのが産まれるのでは?』
そう思い、喧嘩をせず良いことをするように心掛けた。
因みにこの期間の間、俺の印象が少し変わったらしい。
二人からお墨付きをもらっていたが、やはり不安があった。
二人が言っても判断するのはこの卵。
この卵と過ごして数ヶ月この卵がどう判断するのか…
俺はそんな不安に駆られていた。
そんな中、ある日の休み時間、教室で過ごしていると、
パァ…………
胸元に入れていた卵が少しづつ光り始めた。
「⁉︎」
俺はそれを見て驚きながらも、
『ここじゃマズイ‼︎』
周りには一般生徒がいる。
もし…襲ってきたら…
俺だけじゃなくて誰かを襲ったら…
俺はそう思い、
ダッ‼︎
教室から走って出た。
「キャ⁉︎」
急な俺の行動に周りの女の子達は驚くが、俺はそれを無視して、
1人になれる場所…
いつもの林に向かった。
いつもの林に着き、
バ!
胸元に手を入れて卵を出すと、
パァァァァ
卵の光は更に強くなって、卵からは小さいながらも魔力を感じ始めた。
産まれる⁉︎
俺はそう思い少し身構えようとすると、
「飛鳥さん⁉︎」
俺の名を呼ぶ声が聞こえ、
「⁉︎」
驚きながら声をした方を見ると、
「あ、朱乃⁉︎」
朱乃がいた。
更に…
「いったい何があったの飛鳥?」
朱乃の後ろからリアス。
「廊下を走るのは感心しないわ」
ソーナとその背後に椿姫までいた。
「ど、どうしてここにいるんだよ⁉︎」
俺は少しパニックなりながらも、朱乃達に聞いた。
「貴方が教室から急に出て行くのが見えたので…」
「朱乃が貴方を追うのを見たから」
「貴方が廊下を走っているのを見たから」
「ソーナ様と同意見です」
皆んなしっかりと答えてくれた。
それを聞いて、
「あっお〜」
乾いた笑い声を出しながら、自分がした行動に後悔をした。
冷静に考えて、いつものようにここに来れば誰も付いて来なかったはず…
そうすれば、皆んなに危害は無かったはずなのに…
俺はそう思いながら、少しでも何かあった時の危害を減らすために、
「オマエら直ぐにここから離れろ‼︎」
大きく強い口調で言った。
「「「「え?」」」」
皆んな俺の言葉に驚いていた。
今までこんな口調で皆に言ったことがない、それで皆んな驚いているようだが、
「卵が産まれんだよ‼︎邪悪なものが産まれれば襲ってくるかもしれないから離れてろ‼︎」
俺は再び強い口調で皆に言い、魔力を上げた。
襲ってきたら…最悪同士討ち覚悟でオマエを…
俺の頭の中には邪悪なものが産まれてくる。
それしか無かった。
俺は卵を左手の上に置き、右手には炎を出して臨戦態勢に入った。
だが…
「?何を言ってますの?」
朱乃は頭を傾けて言い、ゆっくり俺の元に歩いて近づいてきた。
「バ、バカ⁉︎近づくなって…」
俺は近づいてくる朱乃に言おうとしたが、
「貴方の心を栄養にして産まれてくるのが邪悪なものの訳がないですわ」
朱乃は言い終わる前に俺に言い、更に近づいてきて炎が出ている右手を掴んだ。
「あ、朱乃⁉︎手を離…」
俺が出す炎は俺以外のものには普通の炎と同じだ。
朱乃はそれを知っているのに…
熱いはずなのに…
痛いはずなのに…
俺は手を離すように言おうとしたが、
再び、言い終わる前に、
「信じてください…飛鳥さんの心を。そして…飛鳥さんを信じる私達のことを」
朱乃は優しい声で俺に言った。
「私達…」
その言葉を聞いて周りを見ると、
「貴方の使い魔が邪悪なわけないじゃない。ま…凶暴かもしれないけど?」
リアスは腕を組んで、笑みを見せながら言い、
「飛鳥さんの心を栄養にして産まれてくる使い魔…興味ありますね」
ソーナはメガネを指で上げながら興味津々の表情でこちらを見ている。
「貴方の心は邪悪じゃない、優しい心で満たされいるわ」
椿姫は俺に言った。
「皆んな…」
誰も邪悪なものが産まれてくると思っていない。
皆んな…産まれてくるのは誰も襲わない優しいものだと信じている…
「信じてください私達を…そして…飛鳥さんを信じる私のことを♪」
朱乃は俺に笑顔で言った。
俺の炎で傷ついているのに…
我慢しながら優しい笑顔で言った…
俺は、
「分かった…朱乃や皆んなを信じるよ♪」
俺はそう言って、朱乃が掴んでいる右手の炎を消して、卵に右手を添えた。
「ええ♪」
朱乃は優しい笑顔をして俺に返答し一緒に両手を添えた。
パァァァァァァァァァァァ…
それと同時に卵の光は更に強くなり、
パリ…
ヒビが入った。
その瞬間、
ギュ!
俺の手に少し力が入るが、
「信じて…」
朱乃のその言葉で、力を抜いて産まれてくるものを見ようとした。
だが…
パァァァァァァァァァァァ‼︎
光は最高潮に達し、
「「「「「⁉︎」」」」」
この場にいた全員の目を眩ませた。
目を眩ませた数秒後、
俺はゆっくりと目を開いた。
「どうなった…?」
俺を周りを見てどうなったか見ようとしたが、
フニャ…
俺の胸に柔らかいものが当たった。
何が当たってるんだ?
俺は周りを見るのを止めて、当たったものを見ると、
「////」
俺の腕の中には顔を真っ赤にしている朱乃がいた。
そして、柔らかいのは朱乃の胸だった。
「…………」
目の前にある朱乃の顔を見て呆然としている中、冷静に状況を考えて、
俺はあの光が出た後、
…………朱乃を抱きしめたのか?
「チョット!何があったのよ⁉︎」
リアスは目を少し瞬きしながら言った。
「⁉︎ゴ、ゴメン!」
俺はその声に反応して朱乃を離した。
「い、いえ!こちらもすみません…」
朱乃は顔を赤くしたまま俺に謝っているが、表情はどこか残念そうだった。
「…………貴方達何かあったの?」
二人して顔を赤くしている俺達にソーナは言った。
どうやら、あの光のせいで皆んな目を眩ませたのか俺達が何かをしていたのか分からなかったらしい。
「い、いや⁉︎何もなかったよ!そ、それより卵は⁉︎」
俺は慌てながら誤魔化して、目の前で割れた卵を見るが、
地面には割れた卵の殻が散らばっているだけで何もなかった。
「どこに…行った?」
俺は産まれた筈であろう使い魔を探すが見当たらない、
まさか…どこかに飛んで行って人を襲っているんじゃ⁉︎
俺はそう思い、立ち上がってあてもなく探し始めようとするが、
「プッ…………アハハハ‼︎」
リアスは俺を見て突然笑い始めた。
なんで笑うんだ?
俺は訳も分からず考えようとするが、
「クッ‼︎ク…………」
ソーナも俺を見て笑い始めた。
若しかして自分の体に何かが⁉︎
そう思い体を見るが特に変化は無い。
「朱乃?皆んな何が…」
俺は朱乃に聞こうとしたが、
朱乃は、
ジー
俺の顔をじっと見ていた。
「あ、朱乃?」
「飛鳥さん…頭の上…」
朱乃は俺の頭の上を指差した。
「え?頭の上?」
俺は自分の頭の上に手をやると、
「⁉︎」
何かが手に触れて驚いた。
自分の頭の上に何か乗っている…
重さは感じないが何かが乗っているのが分かり、
ピタピタ…
手で触りながら大きさをそして襲わないかを確認する。
『大きさは人の頭ぐらい…何度も触ったが襲ってこないなら…邪悪なヤツじゃないんだよな?』
確認しながらそう考えていると、
「プッ‼︎」
「クッ‼︎」
リアスとソーナは更に笑い始めたが、
「「…………か、可愛い‼︎」」
朱乃と椿姫は俺に近づき、頭の上にいるものを見ながら言った。
「可愛い…?」
俺はその言葉を聞いて少し不安になりながら、頭の上にいるものを手で掴んで降ろした。
そして…自分の目で確認する。
そこには、人の頭ぐらいの大きさの青い体と丸い目、頭には黒い毛、嘴と足が黄色の…まるで、ペンギンと犬が混ざったような生き物がいた。
「え?何これ?」
俺は手で掴んでいる可愛らしい生き物に言うと、
「プー」
可愛い鳴き声を出した。
「「可愛い‼︎」」
その鳴き声は朱乃と椿姫のハートを完全に掴んだようだ…
「…………まさか…オマエが卵から産まれたのか…?」
俺は掴んでいる可愛らしい生き物に聞くと、
「プー♪」
笑顔らしき表情をして鳴いた。
「コレが…俺の使い魔…………」
俺は…邪悪なものを想像していた。
自分を襲う凶暴なものを…
だけど…もし邪悪なものじゃなければ…
カッコよくて強いのがいいと思っていた。
だが…産まれてきたのは両方の期待を裏切り、可愛いものが生まれてきて、俺は拍子抜けをし呆然としていると…
「「飛鳥さん‼︎」」
朱乃と椿姫が俺の前に立ち俺の名を呼んだ。
「あ、はい!」
俺はその声で意識を戻し返答するが、マヌケな声で答えた。
「「抱かせてもらってもいいですか⁉︎」」
二人は更に俺に近づいて聞いてきた、
「は、はい!どうぞ…」
二人の勢いに負けながら俺は使い魔を二人に渡すと…
「「か、可愛い♪」」
二人は交代、交代で抱きながら俺の使い魔と遊んでいた。
「プッ…………良かったわね…邪悪なのじゃなくてあんな可愛らしいのが産まれてきて…………」
リアスは俺の肩に手を置き言った。
だが…その顔は笑いを我慢していた。
「笑いたきゃ…笑えよ…………」
俺は笑いを我慢されるよりは、まだマシだと思いリアスに言うと、
「プッ…………アハハハハハハハ‼︎」
リアスは大爆笑した。
「まさか…こんな可愛いらしのなんて…プッ!私はオルトロスやキュプロプスみたいのが産まれると思ったから…アハハ⁉︎」
バコ⁉︎
俺はリアスの頭を殴った。
「イタ⁉︎殴ることはないじゃない‼︎貴方が笑えって…」
俺は『笑えよ』と言ったが、余りにもムカついたので殴っていた。
「うるさい…」
なんだよ邪悪で凶暴なヤツが産まれてくると思って…ビビってたのに…
でも…朱乃を信じて良かった…
朱乃や皆んなの言葉が無ければ俺は自分の使い魔を殺していただろう。
だけど…皆んなのおかげで…
ありがとう…
俺は心の中で皆んなに礼を言うと…
「プ〜」
使い魔は鳴き声を上げ、抱いていた朱乃と椿姫から離れて羽だか耳か分からないものを上下に動かし、
パタパタ…
飛んで俺の元に近づき、
トン…
俺の頭の上に止まった。
「どうやら…そこがお気に入りのようですね」
ソーナはその姿を見て言い、少し考えて、
「確か…貴方の心を栄養にしているんですよね?」
俺に聞いてきた。
「ああ…そうらしいけど…」
ザトゥージの言葉を思い出し、ソーナに答えた。
「と…言うことは……貴方の分身てことですよね?」
「…………分身?」
「ええ…貴方の心を栄養にしたということは、言わば貴方の心の形を体現したもの…」
「コレが…俺の分身…………」
俺は頭の上に乗っている使い魔を見た。
「嘘でしょ…」
自分の分身がこんな可愛らしい生き物…
何故か…否定したくなった。
だが…
「あれが…飛鳥の分身…………アハハハハハハハ‼︎」
リアスは再び爆笑した。
「リアス…」
俺は笑うリアスに再び鉄拳を入れようとしたが、
「飛鳥さんもう一度抱かせて…」
朱乃はまた抱こうとしたいのか、俺に聞いてきたが、
パタパタ…
朱乃が言い終わる前に俺の頭から離れて、朱乃の目の前に飛んで行き、
「プー」
一言鳴いて、前に出していた朱乃の手の上に止まった。
「飛鳥さんと同じでいい子ですね♪」
朱乃は使い魔を抱きながら、俺を見て言った。
「あ、ありがとう…」
俺はその言葉に恥ずかしくなり顔を背けて答えた。
「そう言えばこの子の名前はどうするんだ?」
椿姫は俺に聞いてきた。
「名前…そうだな…」
「却下」
リアスに断られた。
「飛鳥が決めるとなると、『タマ』とか『ポチ』とか安直すぎるのよ」
「なら…何かあるのかよ?」
俺はリアスに聞くと、
「そうね…あの可愛らしい姿と鳴き声をとって…『プー』なんてどうかしら?」
俺より適当なものだった。
「おいおい…それこそ適当すぎるだ…」
俺はリアスに言おうとしたが、
「プー♪」
朱乃の胸に抱かれている使い魔は喜んでいるようだ…
「どうやら気に入ったみたいですわよ♪」
朱乃は使い魔を見ながら言い、
「プーちゃん♪」
リアスが決めた名前を言うと…
「プープー♪」
更に喜んだ。
「ダメ…ですか?」
朱乃は上目遣いで俺に聞いてきた。
「う…」
俺は朱乃のこの目に弱い…
あの目で言われたら俺の答えは…
「分かったよ…」
一つしかなかった。
「良かったですわね♪」
朱乃は抱きながらプーに言った。
「プー♪プー♪」
プーはあの分からぬものを動かし喜んでいた。
「これから…頼むぜ…プー」
俺は朱乃に抱かれているプーに向けて、聞こえているか分からないがプーに言った。
「プ‼︎」
プーは聞こえていたのか、こちらを見て鳴いた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
俺の頭から離れて、アーシアに抱かれているプーを見ながら、産まれた時のことを思い出していると、
トントン
部室のドアをノックする音が聞こえ、
ガチャ
ドアが開き…
ソーナ達、生徒会のメンバーが入ってきた。
やっと…やっと…プーが出せた‼︎
長かった…本当に長かった…
そして…UA突破35000件、お気に入り200件突破‼︎
読んで下さる方々、本当にありがとうございます‼︎
これからも楽しんで読んでいただけるよう、頑張って書いていきますのでよろしくお願いします。
感想、評価お待ちしています。