大切なもの   作:フューチュラ

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駄文ですが楽しんでいただけたら嬉しいです。


それぞれの不安

side 兵藤 一誠

 

手合わせが終わった後、ゼノヴィアは意識を失っていたイリナを起こし帰り支度を済ませ帰っていた。

去り際、部長は二人に今回の件の首謀者について聞いた。

 

首謀者はグリゴリの幹部コカビエル。

 

『グリゴリ』

 

堕天使にある一団の一つで、別名『神の子を見張る者』。

コカビエルと言えば、グリゴリの幹部。

 

そして、教会側が送ったエクソシストが一人殺され、そのエクソシストを殺したのが『フリード・セルゼン』。以前、俺達と闘った逸れ神父も今回の件について関っていることが分かった。

 

 

 

その後、俺達は部室に戻り、手合わせで負けた木場の治療をしたが、治療終了後、木場は直ぐに部室から出ていこうとした。

部長は佑斗を止めるが、

 

「部長…すみません…」

 

佑斗はそう言って部室を出ていった。

 

「…祐斗…貴方まで居なくなったら…」

 

部長は出ていく木場の背中を見ながら下を向きながら小さく言った。

 

side out

 

side リアス・グレモリー

 

佑斗が出ていった後、私は一人を残して他の下僕を帰した。

 

皆が旧校舎から出たのを窓から見て、

 

「…朱乃…どうしてあんなことをしたの?」

 

私は部室に残した朱乃に言った。

 

いつもなら…朱乃は周りを止め役目なのに、今回は止めるのではなく、朱乃自身が望んであの子達と闘った。しかも、苦手な筈の接近戦で…

 

「仲間を侮辱されたから…飛鳥さんならそうしていたから…」

 

「…やっぱり…朱乃…飛鳥の…」

 

リアスには朱乃がしようとしたことが分かっていた。

 

それは飛鳥の代わりを務めること。

 

今私達のメンバーは飛鳥が抜け、祐斗も私達から離れていこうとしている。

残った子達は不安でいっぱいになっていく中で、朱乃は皆の支えになろうとしていた。

 

だけど…

 

「朱乃の貴方にそれは…」

 

「分かっています。リアスが言いたいことは…ですが…このままでは私達はバラバラになってしまいます。それだけは駄目なんです。飛鳥さんが帰ってくるまで…皆さんを私が守ります。たとえそれが私には無理な役目だとしても…」

 

朱乃にも分かっていた。

朱乃自身その役目が向いていないことに。

 

飛鳥の絶望的な状況でも諦めずに最後まで立ち上がる不屈の根性、そして、その場面であっても余裕の笑みを浮かべ弱さを見せない。その強さが私達の支えになっていた。

 

だけど、その強さを持つ飛鳥だからこそできたこと。朱乃にはその強さは無い。

その役を朱乃が務めるには無理がある。

その無理をする朱乃の姿が私には痛々しく見えた。

 

朱乃は必死に飛鳥の代わりを務め、オカ研を守ろうとしている。飛鳥が帰ってくるのを信じて。

だけど…このままでは朱乃が先に潰れてしまう。

 

『どうすれば…』

 

私はこの状態をなんとかしようと考えたが答えは出ずにいた。

 

 

 

答えが出ずに一日が過ぎ、翌日の放課後、ライバルであり親友でもあるソーナに相談することにした。

 

場所は私の屋敷にあるサウナ室。

いつも二人で話し合うときはここで裸の付き合いで話し合っていて、お互い何も身に着けずに話し合うことで、私達は自分の思いを隠さずに話し合うことができる。

 

私はここでソーナに私の悩みについて話した。

私達から離れていく祐斗のこと、無理に飛鳥の役を務めようとする朱乃のことを。

 

「そんなことが…」

 

「私はどうすれば…」

 

「簡単じゃないですか。信じて待てばいいんです」

 

「え…?」

 

「彼女は飛鳥さんが帰ってくるまでその役目を務めようとするかも知れませんが…彼女自身わかっていると思います。どんなに部を守ってもそこに彼女自身がいつも様な姿でいなければいけないことを。木場さんにつては…貴女は手放す気はないんでしょ?」

 

「当たり前よ。祐斗が何と言っても私は手放す気はないわ」

 

「フフ…グレモリー一族と言えば悪魔の中でも眷属同士の情愛が深いことで有名ですものね…これは今、感情が先走っているのかもしれない。けど…彼もグレモリーの眷属なのですよ。彼と一緒に過ごしていたなら帰ってきますよ…」

 

「…ソーナ」

 

「木場さんは彼とは私達3年の次に付き合いが長いですから、少なからず彼から仲間の大切さや優しさを学んでいるはずです」

 

「フフ…あの馬鹿は私達以外からも信頼されているのね」

 

「ええ…私は彼のことを信頼しています。同じ悪夢として…友達として」

 

そう言ったソーナの顔はいつもの笑顔だった。

だが、いつもの余裕の笑みとは違い、今の笑顔は自然で優しい笑顔だった。

その顔はどこか朱乃の笑顔と被って見えた。

朱乃が飛鳥のことを話す時の顔と一緒…。

 

『そういえば…椿姫も飛鳥の話をする時も…あ…もしかして…』

 

私はあることに気付き、

 

「まさか…ソーナ…貴方も」

 

ソーナに聞こうとしたが、

 

「それは無いです。私は彼のことは友達としか思っていません」

 

ソーナは言い終わる前にいつもの冷静な顔に戻して答えた。

 

『確かに…ソーナはそう簡単に誰かを好きになることは…』

 

ソーナと付き合いが長い私にはソーナの性格は知っていた。

一言で言うなら『固い』。その一言に尽きる。

ソーナの好きなタイプについては聞いても教えてくれないため知らないけど、どんなイケメンで性格が良くても、一つでも自分のタイプからズレていたり、嫌なところがあれば、絶対に好きになることは無い。

私が少しでも興味を持っても、ソーナは絶対に興味を持つことは無く気にすることもなっかた。

 

私以上に理想が高く、妥協を許さないソーナが誰かを好きになることはそう無いと思ってたけど…ソーナは朱乃や私と同じくらいに飛鳥のこと信頼している。

だけど、飛鳥は私が思うソーナのタイプからかなり遠いはずなのに…飛鳥のことを信頼している。自分の側近である椿姫と同等位に…

 

『無いわよ…』

 

私の見当違いかと思ったが、

 

「……ですが………もし…彼の仲間を思う姿を見ていれば…彼のことを貴方や噂を聞く前に会っていて…飛鳥さんのあの時の顔を一番最初に見ていれば…好きになっていたかもしれません…」

 

ソーナは真剣な表情で言った。

 

「…え?」

 

ソーナから出た言葉に私は驚きの表情に変わりながらも、

 

『ソーナがまさか好きになるなんて…私と一緒か…』

 

「フフ…」

 

私は少し笑った。

 

「?…!?いえ!!今のは」

 

「ソーナ…私も同じことを思っていたことがあったわ。飛鳥の良いところにもっと早く気付いてれば…飛鳥のことを好きになったんじゃないかって。……でも…私達より先にそれに気付いて飛鳥のことを思うあの子達がいて、飛鳥も好きな娘がいる…そうなったら今更…」

 

「…リアスもそうだったんですか…」

 

「ええ…それに気付いた時は少し後悔したけど…今は良い経験だと思っているわ。良いところに気付く…私にはその力が足りないことのを気付かせる機会になったわ」

 

「…フフ…確かにそうですね…私もそれに気付かされました。彼は風貌は悪魔以上に悪魔ですが…彼の本当の姿を見て…契約の話を真に受ければ気付いたかもしれないですね…」

 

「契約の話?」

 

「彼の契約はある意味特殊ですから…生徒会の私の耳にも何度か入りましが…椿姫以外は半信半疑でしたけけど」

 

「ああ…あれは仕方ないわ…。飛鳥がまさかあんな契約ばかり多いなんて思いもしなかったから」

 

「…私達はあの子達にすら負けていたんですね……」

 

「でも…それに気付いて学べばいいんじゃないかしら?」

 

「確かにそうですね…ですがリアスも私と一緒」

 

ソーナが最後に言いかけた時、私達の前に小さい魔法陣が一つ現れ、

 

「会長…由々しき自体です」

 

魔法陣から椿姫が出てきた。

 

 

 

side out

 

side 姫島 朱乃

 

私はいつものように、

 

ガチャ…

 

彼から貰った鍵で倉庫のドアを開け、

 

コツコツ…

 

ロフトに繋がる階段を登り、

 

「お邪魔します…」

 

小さく言ってロフトに入りました。

ロフトに入ってから私はいつもの様に掃除をし、夕飯を作ってリビングの机に置きソファーに座りながら彼の帰りを待っていました。

 

私は飛鳥さんが居なくなったことから立ち直ってから毎日ここに来ていた。

もしかしたら、飛鳥さんが居るのではないか、帰ってくるのではないかと思って…

 

『ただいま。朱乃』

 

いつもの様に笑顔で帰ってくること信じて、私はここで待っていました。

 

ですが…

 

何時間経っても彼は帰ってくることはありませんでした。

 

トス…

 

「飛鳥さん…いつ帰ってくるんですか…」

 

私はソファーに横になりながら、

 

ギュッ…

 

飛鳥さんから貰ったペンダントを握り締めながら私は小さく声を震わせながら言いました。

 

正直…私は不安で仕方ありませんでした…

 

帰ってこないのではないか…討伐されたのではないか…

 

一人になるとそんなことをいつも考えていました。

 

飛鳥さんは帰ってくると信じている一方、もしかしたらという思いがありました。

 

パタパタ…

 

「プー…」

 

不安に襲われソファーで横になる私の目の前に小さく鳴き声を上げながらプーちゃんが降りてきて、私のことを心配する様な目で見ていました。

 

「プーちゃん…」

 

私の顔を見てプーちゃんは一瞬悲しい表情を浮かべましたが、直ぐにいつもの明るい顔に戻して私の元にゆっくりと歩いて近づき、

 

「プー!」

 

明るい鳴き声を上げながら、私の頭を羽(?)で撫でてくれました。

 

私を励まそうと優しく笑うような表情をするプーちゃんの姿は何処か飛鳥さんと被りました。

 

不器用ながらも必死に励まそうと笑う表情、そして、私を頭を撫でる暖かさ…

 

『……飛鳥さん…そうですよね……私はまだ…負けてはダメですよね。あなたは絶対に帰ってくる…だから…それまで私は貴方が帰ってくるまで守らないと!』

 

プーちゃんの励ましに私は折れそうになった心をなんとか立て直し、

 

「プーちゃん…ありがとございます」

 

ス…

 

私はプーちゃんの励ましに笑顔で答え、プーちゃんの頭を撫でました。

プーちゃんはくすぐったそうに表情をし、

 

「プー」

 

最後に私を見ながら笑顔を見せてくれました。

その後、私はプーちゃんを抱きながら、プーちゃんに昔の飛鳥さんのことを話しました

まだ、プーちゃんが飛鳥さんの使い魔になる前の話を…

私の話を聞くプーちゃんはずっと私の腕の中で話を聞いていました…

 

「…それでは私はそろそろ帰りますね。プーちゃんはどうします?」

 

話し終えた後、夜も老けてきたので私は帰り支度をしロフトが出る際、プーちゃんに聞きました。

 

「プ!」

 

プーちゃんは小さく鳴きながら、右の羽を曲げて自分の頭に持っていきながら、まるで敬礼するように答えました。

 

「フフ。プーちゃんはここで飛鳥さんを待つんですね。それではプーちゃん私はまた明日の朝来ますね」

 

ガチャ…

 

小さい明かりだけを点けたまま、私はゆっくりロフトのドアを閉めて家路につきました。

 

 

 

 

 

 

この時、私はまだ気付いていませんでした…

 

トサ…

 

「プゥ…プゥ…」

 

プーちゃんが何かに苦しみ、その苦しみに耐えていることに…




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