side 影村 飛鳥
俺は敵を吹っ飛ばして地面に降り立った後、朱乃を抱えたままリアス達の元に向かって歩いてき、皆の元に着いたところで、
「朱乃。降ろすぞ。」
俺は朱乃にそう言うと、朱乃は涙を流しながら小さく頷き、俺はそれを見て朱乃をゆっくりと降ろし、
「リアス…皆…ごめんな。迷惑を掛けて。それにイッセー…すまねえ。お前にそんなことをさせちまって…」
イッセーから感じる腕の力からイッセーが神器に自分の身体の一部を犠牲にして力を得たことが直ぐに分かり、俺はイッセーに更に頭を下げた。
俺がいればイッセーは自分のことを犠牲にしなくて済んだかもしれない…
だけど、イッセーは、
「飛鳥さん…気にしないでください…これは俺が望んでやったことっすから。それに…飛鳥さんばかりに辛い役をやらせるわけにはいかないっすから…」
魔力を使い果たして立っているがやっとなはずなのに、イッセーは必死に笑いながら俺に言った。
「バカ野郎…無理しやがって。………だけど…ありがとな皆を守ってくれて。」
俺は着ていたパーカーを脱いで巫女装束がボロボロになっている朱乃の肩にかけた。
「ごめんな…朱乃。心配かけちまって。」
「飛鳥さん…」
「…もう道は間違えねえ。俺は皆の前から絶対に消えたりしねえ。」
「うん…うん…」
朱乃は泣きながら俺の言葉に合わせて頷いて答え、
「朱乃…皆もゆっくり休んでくれ。ここからは心配かけた分…俺がやるからよ。」
俺は森の方を向きながら眼鏡に手を外し、
「朱乃。これ頼むわ。」
朱乃に眼鏡を渡すと、
「はい…」
朱乃は眼鏡を受け取り手で握りしめた。
俺はそれを見てから皆の前まで歩き立ち止まって、
「…リアス。今俺が蹴っ飛ばしたやつ誰だ?」
ズル‼
リアスに聞いたのだが何故か皆滑りながら呆れた表情をしていた。
「あ、貴方!何も知らないで⁉」
「あ、ああ…。邪眼で皆がヤバイこと知って飛んできたから…何がどうなってるか全く知らねえんだ。ここに着いて、アイツから敵意を感じたのと朱乃に手を出したから蹴っ飛ばしたけど…」
「あ、あんたね…」
俺の言葉にリアスは頭に手を置きながら更に呆れた表情をしたが、
「しょうがねえだろ。邪眼はあくまで現状を見せるだけで情報とかは全く分からねえんだからよ。それに、見ない顔も一人いるし。取り敢えず簡単に説明してくれ。」
「はぁ…。貴方が蹴っ飛ばしたのは堕天使の幹部でコカビエル。彼は戦争を起こすために天使や悪魔に手を出してきたのよ。それで、この子はゼノヴィアって言って教会側の人間だけど、この子はコカビエルを倒すために協同戦線を張ってくれているのよ。」
「つまり…敵は俺が蹴っ飛ばした堕天使のコカビエルって奴だけでいいんだな?」
「ええ。そうよ。」
それを聞いた俺は、
「コカビエルさんよ‼いつまでそこに居るつもりだ⁉早く出てこいよ‼」
プールに向かって大声で言うと、プールからドデカイ魔力の柱が出てきてこの中からコカビエルが出てきた。
「そんな…あの蹴りを受けたのに…」
「あれ程まで吹き飛ばされたのに…まだ…ピンピンしてるなんて…」
祐斗とゼノヴィアという子は無傷で出てきたコカビエルに驚いた表情をし、他の皆も暗い顔をしているが、
「当たり前だろ。堕天使の幹部があんな蹴り程度でダウンするわけねえだろ。」
蹴っ飛ばした俺としては予想通りだった。
あの程度の蹴りで堕天使の幹部クラスを倒せないのは分かっていた。あの蹴りはあくまで吹っ飛ばすだけのもので、派手に吹っ飛んだがダメージなんて全くない。
「さて…リアス。いつもの頼むわ。」
「え?いつもの?」
俺は予想通りだった為、慌てることもなくいつも通りの状態でリアスに言ったが、リアスは急に声を掛けられた為か分からないでいた。
「リアス。てめえは俺達のキングなんだからよ…そんな暗い顔しないで、自信満々の顔でどっと構えて命令しろよ。」
リアスはその言葉でやっと分かったのか、
「ふぅ…そうよね。」
小さく息を吐いた後、顔を上げ、
「飛鳥‼リアス·グレモリーの名において命ずるわ‼堕天使コカビエルを消し飛ばしなさい‼」
「O.K. ボス。」
俺は右手の親指を上げながら答えてコカビエルの方へと歩いていった。
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side リアス·グレモリー
私の言葉に答えて右手を上げたのを見て、初めてそこで気づいた。
飛鳥の右腕には包帯がキツく巻かれていることに。
そして、その巻き方が、
「
忌呪帯法だということに私は驚きの表情を浮かべた。
「二世帯住宅?何っすかそれ?」
イッセーが何を聞き間違えたのか馬鹿なことを言ったが、私にはそれに反応する程の余裕はなかった。
それ以上に飛鳥が巻く包帯に私は驚きの方がイッパイだった。
『忌呪帯法』
余りにも大きな力を抑える為に特殊な包帯で封印の呪縛を施す術。
昔、お兄様が持っている文献の中で見たことはあるけど…飛鳥の巻き方は基礎はある程度押さえているけど、我流が混ざっていて雑な巻き方だが…
『それでも…忌呪帯法を使うなんて…飛鳥はこの短期間で黒龍拳をマスターしたというの…?』
あの莫大の力を飛鳥が自分のものにしたのか分からず不安がよぎるが、
「リアス。飛鳥さんなら大丈夫ですわ。」
飛鳥の眼鏡を大事そうに握りしめながら、飛鳥の背中を見る朱乃が私の横に立って言い、朱乃の顔は私や皆とは違って何処か自信みたいなのが感じられた。
「今の飛鳥さんの顔はあの時のライザーと闘った時とは違います。あの時みたいに飛鳥さんは死ぬつもりはありません…絶体にコカビエルにも黒龍にも負けませんわ。そして…絶対に私達の元に笑いながら帰ってきますわ。」
「朱乃…」
「だから…私達はあの人を信じて待ちましょう。」
朱乃は最後にいつもの優しい笑顔を私に見せながら言、
「…ふ…そうね。…飛鳥を信じるわ…」
私は朱乃の顔を見て小さく息を吐いて、コカビエルに向かって歩いていく飛鳥の背中を見送った。
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side 影村 飛鳥
コカビエルの前に立って俺はズボンのポケットからタバコを取り出して口に咥えて火を着け、
「ふぅ~。コカビエルさんよ…ウチの者達に随分なことしてくれたじゃねえか‼」
タバコの煙を吐きながら言うと、コカビエルは小さく笑って俺に言った。
「ふふ。影村飛鳥。黒龍の宿主のお前のことを忘れていた…。お前らの主は多種多彩の者達を集めたようだな。」
「多種多様?何言ってるんだてめえ?」
「お前は気づいていないのか?お前を含めた仲間がどんな者達なのかを?」
「はぁ?お前何を言って」
「赤龍帝…」
コカビエルはイッセーの方を見ながら言い、次に、
「聖剣計画の成れの果て…」
祐斗の方を見て言い、
「邪王…」
そして、俺の方を見て言った後、俺の後ろの方に目を向けて、
「そして…我が同族バラキエルの娘‼」
言った。
『バラキエル…確か…昔リアスが堕天使の幹部について俺に話した時に出てきた奴だ。だけど…ウチのもんに堕天使はいない…』
俺はリアスが話したことを思い出しながらコカビエルが見た方に顔を向けた。
そして…その先には…
「え?朱乃…」
下向きながら何かに怯えて震えている朱乃がいた。
「お前は知らなかったのか?リアス·グレモリー、バラキエルの娘とは付き合いが永いのに?彼奴はお前を騙して」
その言葉にリアスは下を向き何かを悔いるような表情に、朱乃は更に怯える表情をになり、他の奴らは朱乃が堕天使の子だということを知り驚いた表情に変わったが、
「ふぅ~。コカビエル…」
ピッ!
俺はゆっくりとタバコの煙を吐いて、指で挟んでタバコを弾いて飛ばしたのと同時に、
「‼」
コカビエルの前に跳んだ。
side out
side リアス·グレモリー
『この子達…特に飛鳥には話しておくべきだった。」
私は後悔をしていた。
私は朱乃が堕天使の娘だということは知っていた。
だけど、それをこの子達には話さないでいた。
朱乃は私にとって大切な仲間であり親友。
もし、この子達が朱乃が堕天使の子だと知れば討伐することはないと思うけど、朱乃を見る目は大きく変わる。
特に飛鳥がこの事を知れば…朱乃は傷ついてしまう。
だから、私は皆には言わずにいたが、コカビエルの口からその言葉が出て、私は下を向いた。
『皆が…飛鳥が知ってしまった。皆…飛鳥は…朱乃のことを…』
私は下を向きながら隣にいる朱乃に目を向けると、
「……」
朱乃は下を見ながら顔を真っ青にして震えていた。
朱乃は恐れている。
仲間から軽蔑されることに、そして、それ以上に飛鳥に嫌われることに。
「……!あ」
私は意を決して飛鳥に朱乃が悪魔になったのかを言おうとした。
本当なら朱乃が話すべきだけど、今の状態では朱乃は言えない。
私は朱乃に嫌われる覚悟で言おうとしたが、
「ふぅ~。コカビエル…」
飛鳥はそれよりも先にコカビエルを睨みながら言って、指でタバコを弾いたの同時に姿が消え、
ドゴ‼
「っ⁉うおぉ…」
次に飛鳥が出てきたときにはコカビエルの鳩尾を殴り、コカビエルは腹を押さえて膝をついていくところだった。
「コカビエル…朱乃が堕天使だろうが関係ねえ。朱乃は俺にとって最高の女なんだよ。それ以上何か言うのは許さねえぞ…」
「くぅ…ぅ……中々やるな…俺を二回も倒すとはな。特に今の…バラキエルの娘の話をした後のは効いたぞ。お前はあの女がそんなに大事か?堕天使の娘だというのに?」
「堕天使だろうが関係ねえよ。俺はそれを引っくるめた朱乃の全てが好きなんだからな。コカビエル…テメエ只で帰れると思うなよ。ウチの者達に手を出したこと…朱乃を傷付けたこと後悔しろよ‼」
「抜かせ小僧が!一瞬で終わらせてやる‼」
コカビエルは飛鳥に向かって幾つもの光の槍を出して飛鳥に向けて投げ初めた。
その数はかなりの数で逃げ場など無い程だったが、飛鳥はさっきよりも素早い動きで避けていた。
コカビエルの今までの中で一番激しい攻撃、それを軽々避ける飛鳥に普通は驚くはずなのに…
それ以上に私達は違うことに驚き、
「…今…飛鳥はなんて言ったのかしら…」
「まさか…こんな状況で…」
「イッセーさん…多分聞き」
私はイッセーに確認し、イッセーもアーシアの方を見て確認していた。
「どうしたんだお前達?」
その光景を見てゼノヴィアは疑問の顔を浮かべているが、
「アイツが言った、『堕天使だろうが関係ねえよ。俺はそれを引っくるめた朱乃の全てが好きなんだからな。コカビエル…テメエ只で帰れると思うなよ。ウチの者達に手を出したこと…朱乃を傷付けたこと後悔しろよ』と言ったのがそんなに…」
ゼノヴィアは飛鳥が言った言葉を一言一句間違えずに言った。
「言ってるね。」
「言ってますね。」
「あの馬鹿ァァァァァ‼」
祐斗と子猫がゼノヴィアが飛鳥の言葉を一言一句間違えずに言った後に頷きながら言って、私は声を上げてしまった。
「飛鳥さん…」
「部長さん飛鳥さんはそんなに馬鹿じゃ」
イッセーは呆れ顔をし、アーシアは飛鳥を必死にフォローをしようとしたが、
「飛鳥さん‼」
アーシアがフォローするよりも先に、顔を真っ赤にした朱乃が飛鳥に向かって声を上げて、
「私も飛鳥さんのことが好きです‼だから…だから…絶対に帰ってきてください‼」
朱乃も自分の想いを飛鳥に伝えていた。
それを聞いた飛鳥は、
「了解‼」
一瞬止まってサムズアップしながら答えて、再び目にも写らぬ速さでコカビエルの攻撃を避け初めた。
「はぁ…あの馬鹿も朱乃も…こんなところで普通告白なんて…」
私は二人の告白劇に頭に手をやって溜め息を吐いた。
「もっと場所とタイミングを選びなさいよ。」
「でも…飛鳥さんらしいと言えば飛鳥さんらしいですけどね。」
祐斗は飛鳥を見ながら少し呆れ顔をしながら言った。
「飛鳥らしい?」
「ええ。飛鳥さん不器用ですし、恥ずかしがり屋だから自分の想いを言えない人ですから、ああでもしないと言えないと思いますよ。」
「でも⁉」
「いいんじゃないんですか?これで部長が二人の相談を受けずに済みますよ?」
「うっ…そうだけど……」
この告白で私の最大の悩みが減るのであれば私は有難い。
『朱乃も喜んでくれたなら良いか。』
飛鳥の眼鏡を大事そうに握り顔を真っ赤にしながらも、飛鳥のことを信じて疑わない目を見て、私はそれ以上何も言わずに光の槍を避ける飛鳥の方を向いて、
「飛鳥。絶対に帰ってきなさいよ!貴方には私達が…それ以上に待ってる人がいるんだから‼」
聞こえているか分からないが飛鳥に向かって言った。
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