話がかなり長くなるので取り合いずキリのいいところで投稿しました。
いつもよりかなり短いですが楽しんで頂けたら嬉しいです。
side 姫島 朱乃
「どうぞ…。」
「ありがとう。姫島さん。」
私は南野さんに紅茶を出すと、南野さんは笑顔でお礼を言い紅茶に口を付けました。
「うん…美味しい。飛鳥君は毎日こんなに美味しい紅茶を飲んでるなんて羨ましいな。」
「朱乃は紅茶以外も料理も最高に美味いんすっよ。」
「あ、ありがとうございます…。」
私は二人の言葉に少し恥ずかしくなりながら、ソファーに座る飛鳥さんの隣に座り南野さんの方を見た。
『南野秀一さん……飛鳥さんの保護者。この方が全てを知っている?飛鳥さんのことを子どもの頃から知っている南野さんなら飛鳥さんの知らないことを知ってると思いますが、…飛鳥さんを強くした蔵馬という方が来ると思っていたのに…。もしかして…この方が?でも…魔力は全く感じない…』
頭の中で考えていると、
「朱乃。…?朱乃?」
「は、はい⁉あ、飛鳥さん何か?」
考えるのに夢中になってしまい、飛鳥さんに声をかけられていることに気付かず、慌てながら応えると飛鳥さんは不思議そうな顔をして私の方を見ていました。
「何か考え事か?」
「い、いえ。別に…。」
「そっか?なら…話を初めてもらっていいっすか?」
飛鳥さんが南野さんを見ながら言うと、南野さんが私の方を見た。
「姫島さんには何か話したのかい?」
「町を出た後の事は全て話しました。だけど、俺自身まだ知らないことが多いっすから…それ以外の事は何も話してないっす。」
「確かに…。じゃあ…先ずは…。」
南野さんは下を向いて少し考え、再び私の方を見た。
「姫島さんが疑問に思っている事…。俺が何者か、から話そうか。姫島さんは僕が来てからずっと考えてたみたいだから、『何故ここに来たのが蔵馬じゃなくて南野秀一なのか?』て。」
南野さんはカップを持って再び紅茶を一口飲み、ゆっくりカップを置いて私達二人を真剣な表情で見ました。
「俺は…人であって人ではない。『妖狐』それが僕の本当の正体。」
「妖狐⁉」
「?」
私はその言葉に驚きの表情を浮かべるが、飛鳥さんは頭を傾げるだけでした。
「飛鳥君。妖狐というのは何百年も生きた狐が妖力を持って妖怪になった者たちのこと言うんだよ。…姫島さん。君は妖狐について知っているんだね?」
「は、はい…。ですが…。私が知っているのは昔話のことです。」
私は小さく頷いて応えました。
「昔話?」
「……ええ。冥界に伝わる昔話で…冥界、天界を自由に行き来し盗みを働く妖怪の盗賊団のお話で、その盗賊団の頭領が妖狐という妖怪なんです。」
「それってどれくらい昔の話なの?」
「…何百年も前です。ですが…お話の最後で盗賊団は壊滅し妖狐は」
「『死んだはず』だよね?」
「⁉…はい。そうです…。」
私が言い終わる前に、南野さんが先に言い私は少し驚きながら応えた。
「ふ…。確かに俺が盗賊団を組んでいたのは何百年も前だけど、その昔話は処々違うんだ。壊滅したのは40年前。それに、俺は死なずに人間界に逃げて人間に取り憑いたんだよ。」
「取り憑いた?」
「ああ。40年前…俺達盗賊団は冥界で悪魔の精鋭軍団に襲われて壊滅し、俺自身も死にかける程の重傷を負った。だけど、何とか命かながら人間界に逃げて人間の胎児に憑依融合したんだ。それが、南野志保利の子ども…南野秀一だった。そして、何十年も掛けて傷を治し、力を戻して今に至っているんだ。」
「そうなんっすか。」
「………」
飛鳥さんは南野さんの言葉に納得していますが、私は半信半疑でした。
飛鳥さんからは名前。『蔵馬』と言う事しか聞いておらず、『妖狐』と言うのはここで初めて聞きました。
もし、南野さんが本当にあの昔話に出てくる妖狐なら、何らかの力を感じるはずですが、今は全く感じない。
『あの表情から嘘ではないと思うですが』
私が頭の中でそう考えていると、
「…姫島さんは半信半疑のようだね。」
「え?」
南野さんは私を見ながら目を閉じました。
「これが証拠だよ。」
南野さんがそう言うと、
「⁉」
私は今まで感じたことのない力とその力の差に、寒気を感じその場から動けなくなりました。
「まだ…これは俺の全力じゃない。半分位の力でも君達よりも高い力があるんだ。それに…」
ス…
南野さんはゆっくりと右手を握りながら挙げて手を開くと、
チャリン…
金属が鳴る音が聞こえ、青いストラップに着いた鍵が2つ出てきました。。
「⁉」
そのストラップを見て私は驚きました。
「これ…何か分かるよね?」
南野さんの言葉に私は恐怖し身体が震えました。
南野さんが持っている青いストラップ。その先にあるのは、私の家と飛鳥さんの家の鍵。
『え、え、え⁉鍵は後ろにあるキッチンの机に置いたバックの中⁉南野さんがどうしてその鍵を⁉一歩もあの場から動いて』
「力を抜くから、上を見てごらん。」
私の身体は南野さんが出す力から自由になり、ゆっくり顔を上げて上を見ると、
「⁉植物⁉」
何かの植物が天井を伝い伸び、その先を見ると、
「⁉」
私のバックの中に伸びていました。
「これが俺の力。植物を自由に使うことができる。」
南野さんを見ると、南野さんの後ろから伸びていた植物と同じものがあり、ゆっくりと戻っているところでした。
「ふふっ。姫島さんは驚いているようだけど」
南野さんは私の反応を見て少し笑いましたが、
「飛鳥君は驚かないんだね。」
飛鳥さんを見て表情を戻しました。
「ええ。秀一さんが『蔵馬』。じゃなくて、妖狐でしたっけ?それには気付いてたんで。それに、その力も嫌ってほど体験したんで。だけど…………何…楽しでんすか‼…朱乃が怯えるようなやり方は…秀一さんでもこれ以上は許さないっすよ‼」
飛鳥さんは始めは少し嗤いながら言いましたが、最後は笑みは完全に消え怒りと殺気を漂わせていました。
「⁉」
それを感じて、南野さんは驚きながらもが、
「…………フッ⁉…………ハハハハハハハハハッ‼」
小さく息を吐いた直後、大きな声を上げて笑い出しました。
「何笑って」
「嫌。少し遊びが過ぎたのは謝るよ。だけど、君が彼と同じだからつい…。」
「彼?」
飛鳥さんは秀一さんが言った『彼』という言葉に反応いて聞き返すと、
「ふう…。ああ、君は彼…………俺の友であり仲間」
秀一さんは小さく息を吐き、表情を一変させて、真剣な表情になって、
「『桑原和真』。…………彼と同じ反応をしたからね。」
「…桑原和真?誰っすかそれ?」
飛鳥さんも初めて聞いたのか、秀一さんに聞き返すと、秀一さんは表情を変えずに飛鳥さんを見ながら言いました。
「桑原和真。………人間でありながら悪魔、堕天使と闘い、この人間界を救った男。…………………………君のお父さんの名前だよ。」
「「え………?」」
秀一さんの言葉に私と飛鳥さんは小さく声を上げました。
「お、お父さん?」
「お……お、俺の親父?」
「ああ。桑原和真。それが君のお父さんの名前だよ。」
「え、え………でも…名字が」
「それについて話を始めよう。君の両親、名字が違うこと………両親がいないか。…そして、何故君に黒龍の力が宿ったかについて。」
秀一さんは真剣な表情で飛鳥さんを見て言いました。
早く投稿出来るように頑張ります。
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