キミとアイドルプリキュア♪~魂と輝き~   作:Ryo02913

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第12話 再会、黒い影

 

朝。

はなみちタウンの桜の木の近くを、田中が一人で歩いていた。

「今日も異常はありませんね」

キラキランドとこの町。

二つの世界に何か関係があるのではないか。

そう考えながら周囲を確認していた、そのときだった。

木の根元から少し離れた茂みに、見慣れない大きなものが落ちている。

「……ん?」

田中が近づく。

桃のような形をした、大きな乗り物。

見覚えがあった。

「これはまさか……MOMO?」

田中の表情が変わった。

 

――喫茶グリッター

 

「これ、プリルンが乗ってきたやつじゃない?」

うたがテーブルの横に置かれたMOMOを覗き込む。

「プリ!」

プリルンも目を丸くしていた。

ななとこころも、その周りに集まっている。

少し離れた席では響が飲み物を口にしながら、その様子を見ていた。

「MOMOは、キラキランドの住人がこちらへ来るために使う乗り物です」

田中が説明する。

「じゃあ、誰かがキラキランドから来たってこと?」

「その可能性が高いですね」

「でも……」

ななが少し首を傾げた。

「キラキランドのみんなは、ダークイーネに捕まってるんじゃなかったんですか?」

「そのはずなのですが……」

田中も考え込む。

その横で、プリルンはMOMOをじっと見つめていた。

「……プリ」

「プリルン?」

うたが顔を覗き込む。

「もしかして……メロロンかもしれないプリ!」

「メロロン?」

三人の声が重なった。

響も本から視線を上げる。

初めて聞く名前だ。

「メロロンは、プリルンの大切なお友達プリ」

プリルンは少し寂しそうに話し始めた。

ダークイーネから逃げるとき、本当は一緒に人間界へ来たかったこと。

けれど、こちらへ送ることができたのはプリルンだけだったこと。

「メロロン、きっとプリルンを追いかけてきたプリ!」

プリルンがMOMOへ近づく。

「一人だったら、きっと寂しいプリ……」

「だったら探そう!」

うたがすぐに立ち上がった。

「え?」

「メロロンを! せっかくここまで来てくれたんだもん!」

「うん。私も行く」

ななが頷く。

「もちろん私もです!」

こころも勢いよく手を上げた。

プリルンの顔が明るくなる。

「みんな……ありがとうプリ!」

うたは響を見る。

「お兄ちゃんも行く?」

「悪い。今日は買い出し頼まれてる」

響は立ち上がる。

「終わったら連絡する」

「分かった!」

「見つかるといいな」

「うん!」

響はそう言って店を出た。

その少し後。

うた、なな、こころ、プリルンもメロロンを探すため町へ出ていった。

 

――はなみちタウン

 

「メロローン!」

「メロロンプリ~!」

うたとプリルンの声が通りに響く。

しかし返事はない。

「こっちにもいないね」

ななが周囲を見る。

「メロロンさーん!」

こころも別の方向へ呼びかける。

かなり探しているのに見つからない。

「どこ行っちゃったんだろ……」

うたが困ったように腕を組む。

そのとき、こころのスマートフォンが震えた。

「え?」

画面を確認したこころの目が大きくなる。

「うた先輩! なな先輩! これ見てください!」

「何?」

三人が画面を覗き込む。

そこには、町の上を飛んでいる小さな生き物の写真が投稿されていた。

『空飛ぶうさぎ発見!』

そんな言葉と一緒に、いくつもの写真が並んでいる。

「プリ!」

プリルンが画面へ近づいた。

「メロロンプリ!」

「本当に!?」

「間違いないプリ!」

「じゃあ、この写真が撮られた場所を追えば……」

ななが地図を確認する。

「公園の方です!」

こころが指を差す。

「行こう!」

三人は走り出した。

 

――その頃

 

公園の大きな木の上。

「……ねえたま」

枝の間に、小さな妖精が引っかかっていた。

メロロン。

ようやく人間界へ来ることはできた。

けれど、ずっと探しているプリルンが見つからない。

そのうえ、途中で大きな鳥に捕まり、逃げ出した先がこの木の上だった。

「ねえたま、どこメロ……」

下を見る。

高い。

飛ぼうにも、さっき逃げるときに力を使いすぎた。

「メロロン、ちゃんと会いに来たメロ……」

俯いた、そのとき。

「メロローン!」

遠くから声が聞こえた。

「……メロ?」

顔を上げる。

もう一度。

「メロロンプリ~!」

聞き間違えるはずがない。

「ねえたま!?」

メロロンが身を乗り出す。

木の下へ、うたたちが駆け込んでくる。

プリルンもいた。

「メロロン!」

「ねえたまー!」

プリルンが飛び上がった。

「プリルン!?」

うたが驚く。

いつもより高く。

必死に羽を動かしながら、プリルンはメロロンのいる枝まで上がっていく。

「メロロン!」

「ねえたま!」

二人が抱き合った。

「会いたかったメロ!」

「プリルンもプリ!」

「ねえたまー!」

メロロンがプリルンへ頬を寄せる。

プリルンも嬉しそうに笑っている。

木の下から見ていたうたも笑顔になった。

「よかったぁ……」

「ちゃんと会えたね」

ななも微笑む。

「感動の再会です! 心キュンキュンです!」

こころは目元を押さえている。

やがて二人がゆっくり地面へ降りてきた。

メロロンはプリルンから離れようとしない。

「ねえたま、ねえたま!」

「メロロン、元気だったプリ?」

「大変だったメロ! ねえたま全然見つからないし、大きな鳥にも捕まったメロ!」

「ごめんプリ……」

「でも、もういいメロ」

メロロンがプリルンへ抱きつく。

「ねえたまに会えたメロ」

うたはその様子を見ながら笑った。

「あなたがメロロン?」

メロロンがうたを見る。

「……誰メロ?」

「私は咲良うた! こっちがななちゃんで、こころ!」

「よろしくね」

「よろしくお願いします!」

プリルンが嬉しそうに前へ出る。

「みんなプリルンの大切なお友達プリ!」

「大切な……?」

メロロンの目が少し細くなった。

「うたのおうちで一緒に暮らしてるプリ!」

「一緒に?」

「うん! プリルンとは毎日一緒だよ!」

「毎日……」

メロロンがうたを見る。

さっきまでとは少し違う目だ。

「……メロ」

「え?」

「何でもないメロ」

何だろう。

うたは首を傾げた。

そのときだった。

空気が変わった。

「……!」

プリルンが振り返る。

「ブルッときたプリ!」

「え?」

ななの表情も変わる。

「この感じ……」

「チョッキリ団です!」

こころが周囲を見る。

少し離れた場所。

黒い闇が集まっていく。

その中心に、ザックリーが姿を現した。

「やっと見つけたっすよ、プリキュア!」

「ザックリー!」

うたが前へ出る。

「今日はいつもと違うっす!」

ザックリーが腕を掲げる。

闇が大きく膨れ上がった。

これまでのマックランダーより、濃い。

重い。

その闇の中から巨大な怪物が姿を現した。

「クラヤミンダー!」

「何……あれ」

うたが息を呑む。

「マックランダーじゃない?」

ななが怪物を見上げる。

「メロ……」

メロロンがプリルンへ身を寄せた。

「大丈夫プリ」

プリルンがそっとメロロンへ触れる。

「うたたちがいるプリ」

クラヤミンダーが腕を上げる。

 

―その少し前―

 

公園から数本離れた通りを、響が買い物袋を持って歩いていた。

「……?」

足が止まる。

胸の奥に引っかかるような感覚。

虚とは違う。

けれど、知っている。

「この感じ……マックランダーか?」

いや。

少し違う。

もっと闇が濃い。

響は公園の方を見る。

「うたたちがいる方じゃねぇか」

買い物袋を安全な場所へ置く。

ポケットから死神代行証を取り出した。

「まったく……」

代行証を身体へ押し当てる。

魂が肉体から抜ける。

黒い死覇装。

背中には斬月。

響は公園へ向かって走り出した。

クラヤミンダーの腕が振り下ろされる。

「危ない!」

うたたちが避けようとした、その前に。

黒い影がクラヤミンダーの前へ入った。

巨大な刃が腕を受け止める。

「お兄ちゃん!?」

うたが目を見開く。

「響さん!」

「先に来てたの!?」

響は斬月に力を込めた。

「話は後だ」

クラヤミンダーの腕を押し返す。

一歩踏み込む。

斬月を横に振るった。

刃がクラヤミンダーの胴体を斬る。

確かな手応え。

だが――。

「……?」

響が眉を寄せる。

斬った場所を闇が覆っていく。

傷が消えていく。

「戻った……?」

ななが驚く。

響はもう一度斬月を構えた。

「虚とは違うな」

虚なら仮面を断てばいい。

マックランダーならプリキュアが浄化する。

こいつは、そのマックランダーとも少し違う。

「でも、斬れないわけじゃねぇ」

クラヤミンダーが拳を振る。

響は斬月を立てて受け止め、そのまま身体を横へずらす。

拳が目の前を通り過ぎた。

懐へ入る。

斬月を斜めに振り上げる。

クラヤミンダーの身体が後ろへ傾いた。

「強いメロ……」

メロロンが響を見る。

黒い服。

大きな刀。

自分の知らない人間。

けれど、はっきり姿が見える。

「ねえたま、あの人は誰メロ?」

「響プリ!」

「響?」

「うたのお兄ちゃんプリ!」

「お兄ちゃん?」

メロロンがうたと響を交互に見る。

「でも、何であんな格好してるメロ?」

プリルンが答えようとした、そのとき。

クラヤミンダーの腕が響を狙う。

響は後ろへ跳んだ。

「お兄ちゃん!」

「平気だ!」

着地する。

しかし響はクラヤミンダーを見ながら考えていた。

斬れる。

攻撃も通る。

だが、決定打にならない。

月牙天衝を撃っても、おそらく同じだ。

「……俺じゃ決めきれねぇか」

「だったら!」

うたがアイドルハートブローチを取り出す。

響が少しだけ振り向く。

「私たちの出番だよ!」

ななとこころも並んだ。

「うん!」

「行きましょう!」

三人がそれぞれブローチを掲げる。

 

『プリキュア! ライトアップ!

キラキラ、ドレスチェンジ! YEAH!

キミと~! YEAH!

一緒に~! YEAH!

キミと歌う、ハートのキラキラ! 笑顔ニッコリ、キュアアイドル!』

 

『プリキュア! ライトアップ!

キラキラ、ドレスチェンジ! YEAH!

キミと~! YEAH!

一緒に~! YEAH!

キミと瞬く、ハートの勇気!

お目目パッチン、キュアウインク!』

 

『プリキュア! ライトアップ!

キラキラ、ドレスチェンジ! YEAH!

キミと~! YEAH!

一緒に~! YEAH!

キミと踊る、ハートのリズム! 心キュンキュン キュアキュンキュン!』

 

『ウィアー!キミとアイドルプリキュア!』

 

「待たせたね、お兄ちゃん!」

「別に待ってねぇよ」

響は斬月を肩に乗せる。

「斬ってもすぐ戻る。いつものより厄介だぞ」

「だったら、戻れないくらいキラッキランランにする!」

アイドルが拳を構えた。

ウインクとキュンキュンも続く。

クラヤミンダーが三人へ向き直った。

「来る!」

ウインクの声と同時に、クラヤミンダーが腕を振る。

「ウインクバリア!」

障壁が攻撃を受け止めた。

「今だよ!」

「はい!」

キュンキュンが横へ回る。

「キュンキュンレーザー!」

光がクラヤミンダーの肩へ当たり、身体が揺れる。

そこへアイドルが走り込む。

「アイドルグータッチ!」

拳が正面から入った。

クラヤミンダーが大きく後退する。

「すごいメロ……」

メロロンが目を輝かせる。

「これが……アイドルプリキュア?」

「そうプリ!」

プリルンが胸を張る。

「最高にキラキラしてるプリ!」

「……メロ」

メロロンは三人を見つめる。

その中でも、プリルンが特に嬉しそうに見ているうたへ視線が止まった。

何となく面白くない。

理由は分かっている。

クラヤミンダーが体勢を立て直す。

複数の闇の塊が三人へ向けられた。

「来るぞ!」

響が声を上げる。

攻撃が放たれる。

響が前へ出た。

斬月を振り、正面の一つを斬る。

ウインクもバリアを広げる。

「こっちは私が!」

残る攻撃を障壁が防ぐ。

「助かった!」

アイドルとキュンキュンが左右へ走った。

「お兄ちゃん!」

「ああ」

響は二人の動きを見る。

どうやら狙いは分かった。

「一回止めるぞ」

響がクラヤミンダーへ走る。

正面。

当然、クラヤミンダーも響へ腕を振る。

身体を低くする。

腕の下を抜ける。

「そこだ」

斬月を横から振り抜く。

クラヤミンダーの体勢が崩れた。

「アイドル!」

「うん!」

アイドルが踏み込む。

拳を叩き込む。

さらにキュンキュンの光が重なる。

クラヤミンダーが動きを止めた。

「今なら!」

三人が視線を合わせる。

響はすぐに後ろへ下がった。

ここから先は、自分の役目ではない。

「行こう!」

「うん!」

「はい!」

三人が並ぶ。

ステージの光が広がっていく。

歌が始まる。

先ほどまでクラヤミンダーを覆っていた闇が、少しずつ薄れていく。

響は斬月を下ろした。

やっぱりこれか。

どれだけ斬っても消えなかった闇が、三人の歌には反応している。

三人の光が重なる。

『プリキュア・ハイエモーション!』

クラヤミンダーを包んでいた闇が消えていった。

『キラッキランラン』

 

光が収まる。

クラヤミンダーの姿はもうなかった。

「クソ!……クラヤミンダーまで!」

ザックリーが悔しそうに後ろへ下がる。

「次はこうはいかないっすからね!」

そう言い残し、姿を消した。

「やった!」

アイドルが振り返る。

「三人とも大丈夫?」

「うん」

「大丈夫です!」

響も斬月を背負い直す。

終わったか。

「すごいメロ!」

声のした方を見る。

メロロンが三人のところへ駆け寄ってきた。

「アイドルプリキュア、すごかったメロ!」

「えへへ、ありがとう!」

アイドルが笑う。

その横でプリルンも嬉しそうにしている。

「うたはすごいプリ!」

「プリルン……」

メロロンがうたを見る。

「メロ……」

「どうしたの?」

「何でもないメロ!」

顔を背けた。

響は少し離れたところからその様子を見る。

何だ?

初対面から妙にうたへの当たりが強い気がする。

まあ、気のせいか。

 

――その日の夕方

 

喫茶グリッター。

「ねえたま~!」

メロロンはプリルンへ寄り添っていた。

「メロロン、くすぐったいプリ~」

「ずっと会いたかったメロ!」

うた、なな、こころはその様子を笑顔で見ている。

響はカウンターの端で朝の買い出しが遅れた理由を家族へどう説明するか考えていた。

虚だけでも面倒なのに、今度はクラヤミンダー。

本当に次から次へと厄介なのが出てくる。

「咲良うた」

メロロンが急に声を上げた。

「ん?」

「メロロンは決めたメロ!」

「何を?」

メロロンはうたを指差した。

「あなたたちにライバル宣言するメロ!」

「……え?」

「ええっ!?」

こころも驚く。

ななは少し困ったように笑った。

「どうして急に?」

「ねえたまと一番仲良しなのはメロロンメロ!」

「えっと……」

うたがプリルンを見る。

プリルンもよく分かっていない顔をしている。

「それと!」

メロロンが店の中を見回した。

「今日からメロロンもここでねえたまと暮らすメロ!」

「ここで!?」

うたが目を丸くする。

響も思わず顔を上げた。

また増えるのか。

プリルンは嬉しそうに飛び上がる。

「一緒に暮らすプリ!」

「ねえたま!」

二人が抱き合う。

うたとなな、こころは顔を見合わせた。

そして笑う。

響はその様子を見ながら小さく息を吐く。

騒がしくなりそうだ。

まあ。

悪くはないか。




錆びつけば二度と突き立てられず
掴み損なえば 我が身を裂く
そう 誇りとは
刃に似ている

BLEACH/第8巻 斬月

キミプリの推しは?

  • 咲良うた/キュアアイドル
  • 蒼風なな/キュアウィンク
  • 紫雨こころ/キュアキュンキュン
  • プリルン/キュアズキューン
  • メロロン/キュアキッス
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