キミとアイドルプリキュア♪~魂と輝き~   作:Ryo02913

5 / 5
第5話 好きという気持ち

 紫雨こころは、父親と別れたあの日から、何度も自分自身に問いかけていた。

自分はこれから、どうしていけばいいのだろう。

父親を失った悲しみは、今も心の中に残っている。

もう一度話したい。

もう一度、笑った顔を見たい。

そう思うこともあった。

それでも最後に父親へ自分の気持ちを伝えられたことは、こころにとって大きな意味を持っていた。

「お父さん……」

こころは窓の外を見つめる。

「私、ちゃんと前を向いていくからね」

父親との別れを経験したことで、こころの中には一つの変化が生まれていた。

自分の気持ちから逃げないようにしたい。

悲しいからといって、ずっと立ち止まっているだけではいけない。

 そして、もう一つ。

こころには向き合わなければならないものがあった。

アイドルプリキュア。

うたとななが歌や踊りで人を笑顔にしながら、危険な敵と戦っている姿を、こころは何度も見てきた。

自分も二人のようになりたい。

誰かを笑顔にしたい。

そう思っている。

けれど、プリキュアになるということは、ただ歌ったり踊ったりするだけではない。

マックランダーと戦わなければならない。

もしかしたら、自分自身が傷つくかもしれない。

そのことを考えると、怖かった。

「私……本当にプリキュアになりたいのかな」

こころは胸元に手を添えた。

答えを出すことができないまま、その日の放課後を迎えた。

 

 三人は偶然、学校の帰り道で顔を合わせた。

「こころちゃん!」

「うた先輩、なな先輩」

 こころは少し緊張しながら二人を見る。

「この前は……ごめんなさい」

「え?」

「急に帰っちゃって」

 うたは首を横に振った。

「気にしなくていいよ」

「でも……」

 こころは二人を見つめる。

「私、プリキュアになりたいって思ったのに、戦うところを見たら怖くなって……」

「怖いって思うのは、悪いことじゃないよ」

 うたが優しく答えた。

「私だって、最初は怖かったから」

「うたちゃんも?」

「うん」

 うたは少しだけ笑う。

「それでも、守りたいって思ったから戦ってる」

 ななもこころへ向き直った。

「私も最初は、失敗するのが怖かった。でも、うたちゃんと一緒なら頑張れるって思ったの」

「なな先輩……」

「だから、こころちゃんも急がなくていいと思う」

 こころは二人の言葉を聞きながら、胸の奥が少しずつ温かくなっていくのを感じていた。

「……ありがとうございます」

「うん!」

 うたが笑顔を向ける。

「こころちゃんがどうしたいのか、自分で決めればいいんだよ」

 こころは小さく頷いた。

「はい」

 まだ怖さは残っている。

 それでも、今度は逃げずに向き合ってみようと思えた。

 

 そして翌日。

 街では、大きなイベントが開催されることになっていた。

『キュアアイドルとキュアウィンクのなんかスゴイライブ!!』

 大きな看板を見た人々が、次々と会場へ集まっていく。

 しかし、それはザックリーが仕掛けた偽のライブだった。

 そんなことを知らない響は、たまたま会場の近くを通りかかっていた。

「キュアアイドルとキュアウィンクのライブ?」

 響は看板を見上げた。

「うたの奴、こんなことやるなんて言ってたか?」

 少し疑問に思いながらも、その場を通り過ぎようとする。

 そのとき、周囲から人々の悲鳴が聞こえた。

「何だ?」

 響が振り返る。

 そこには、見たことのない怪物がいた。

「……何だ、あれ」

 マックランダーが人々へ向かって襲いかかる。

 響は咄嗟に身を引いた。

「こっちに来るな!」

 怪物が響へ向かってくる。

「何で俺を狙ってるんだよ!」

 響は走り出した。

 これまで虚とは何度も戦ってきた。

 しかし、目の前の怪物は虚とは明らかに違う。

 何者なのか。

 何の目的で現れたのか。

 響には何も分からなかった。

「くそ……!」

 響は周囲を見回す。

 人が多すぎる。

 こんな場所で死神になって戦えば、一般人を巻き込んでしまう。

 それ以前に、今の響にはこの怪物が何なのかすら分からない。

 だからこそ、まずは距離を取るしかなかった。

「何なんだよ、こいつ!」

 響は建物の間を走り、マックランダーから逃げ続ける。

 その姿を、近くにいたこころが見ていた。

「響さん……?」

 こころは足を止める。

 響は戦っていない。

 ただ、怪物から逃げている。

 こころには、それが不思議に思えた。

 けれど、すぐに気づく。

 周囲には大勢の人がいる。

 響は戦うことで、誰かを傷つけてしまうことを恐れているのだ。

「……」

 こころは自分の胸へ手を当てる。

 怖い。

 自分だって、あの怪物と戦うなんて考えただけで怖くなる。

 でも、響も怖いはずなのに逃げるだけではなく、誰かを巻き込まないようにしている。

「私も……」

 こころは目の前の光景を見つめた。

 うたとななも、きっと今から戦う。

 自分はどうするのか。

 こころは、自分の中にある気持ちをもう一度見つめた。

 父親と向き合ったとき、自分は逃げなかった。

 怖くても、自分の気持ちを伝えることができた。

 ならば今度も、逃げなくていいのではないか。

「私は……」

 こころは一歩前へ進む。

「誰かを笑顔にしたい」

 さらに一歩進む。

「歌うことが好き」

 もう一歩。

「踊ることが好き」

 そして、うたとななを見る。

「アイドルプリキュアが好き」

 こころの胸の奥から、強い気持ちが込み上げてくる。

「だから……」

 こころは拳を握った。

「怖くても、私はこの気持ちを諦めない!」

 その瞬間、こころの胸元に光が集まった。

「……え?」

 光の中から、一つのプリキュアリボンが現れる。

 こころは驚きながら、それを両手で受け止めた。

「プリキュアリボン……」

 その手に伝わってくる温かな力。

 こころはもう迷わなかった。

 

『プリキュア! ライトアップ!

キラキラ、ドレスチェンジ! YEAH!

キミと~! YEAH!

一緒に~! YEAH!

キミと踊る、ハートのリズム! 心キュンキュン キュアキュンキュン!』

 

そこには新たなプリキュアが立っていた。

 こころは自分の姿を見つめる。

「私……アイドルプリキュアだ」

 恐怖はまだ消えていない。

 それでも、もう逃げたいとは思わなかった。

 こころはマックランダーへ向かって走り出した。

 こうして、こころは自分の「好き」という気持ちを力に変え、プリキュアとしての一歩を踏み出した。

 






我等は 姿無きが故に
それを畏れ

BLEACH 第1巻/黒崎一護

今回から後書きにBLEACHのポエムを乗せることにしました。

キミプリの推しは?

  • 咲良うた/キュアアイドル
  • 蒼風なな/キュアウィンク
  • 紫雨こころ/キュアキュンキュン
  • プリルン/キュアズキューン
  • メロロン/キュアキッス
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

名探偵プリキュア! 〜A Memoir White〜(作者:秋葉ばっこ)(原作:名探偵プリキュア!)

 まことみらい市で暮らす少年、工藤(クドウ)新二(シンジ)はバイト生活に明け暮れていた。▼ なんてことはない日常を過ごす傍ら、名探偵プリキュアと怪盗団ファントムの戦いに巻き込まれ、ひょんなことから彼女たちの『おとも妖精』になり行動を共にする羽目に。▼「こんな俺にも、決して譲れないモノってのがあるんだよ」▼ 2027年の未来からタイムスリップしてきたという、明…


総合評価:512/評価:8.06/連載:27話/更新日時:2026年06月16日(火) 20:00 小説情報

森亜るるか、そしてアイスの人(作者:ヒラメもち)(原作:名探偵プリキュア!)

勢いで書いてます。不定期更新のためご了承くださいませ。▼今後どんな危険があろうと、アイスを届けるオリ主です。


総合評価:743/評価:8.75/連載:7話/更新日時:2026年04月26日(日) 00:30 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>