最初は・・・このままずっと幸せだと思っていた。
あの日、歴史を変える事件に巻き込まれて、僕の人生は少しずつ壊れていった。
戦争に駆り出された。
何人もの仲間が目の前で撃ち抜かれた。
バイト先の先輩、近所の友達、そして・・・
「○○くん・・・君だけでも・・・生き延びて!」
僕の・・・恋人も。
当然僕も無事じゃない。
右腕が動かない、毒矢のせいだ。
左眼が見えない、爆発で飛んできた石のせいだ。
両足が動かない、素早い亜人に脚の腱が切られたせいだ。
結論だけ言うと僕は亜人達からなる軍団からは逃げられなかった。
・・・だが殺されなかった。
可哀想。
戦場では命取りになる感情に僕は生かされていた。
僕は戦場から連れ出され、亜人が住む街に保護という名の監禁生活を過ごした。
月に一度、僕は車いすに乗せられ亜人の兵士の士気向上の道具にされた。
僕が暮らしていたのは一面真っ白な部屋。
理不尽な暴力はない、それどころか治療を受けていた。
だが・・・彼らは僕の友達や・・・恋人を殺した。
仲間を殺した奴らに同情され、生かされている。
それが何よりも悔しくて・・・恐ろしかった。
彼らは僕が何もできないことに同情し、優しさを向けてくる。
だが、僕を不自由にしたのもまた彼らだ。
その感情の落差に僕は心をすり減らしていった。
ある日の夜。
体の隅々までを女性の亜人に拭かれた僕は豆電球のみが光る無機質な部屋のベットで横になっていた。
治療と称して日々僕の体に撃ち込まれる様々な薬品が僕を変えていった。
目を失ったから鼻がよく利くようになった?でもそれだとろくに動いてもいないのに体は弱るどころか強くなっていくことが説明できない。
日に日に変わっていく自分が怖かった、何より彼らに自分の体が近付いていくのが何よりも恐ろしかった。
『その内“ヒト”である事を忘れ彼らの仲間になってしまうのかな・・・』
そんな最悪が実現するかもしれない、そんなの嫌だ、でも・・・どうも・・・・できな・・・・・・・・・・・
僕の意識は何時の間にか途絶えた。
次に僕が目を覚ましたのは何も見えない真っ暗闇。
僕は寝ぼけた頭で周囲を見渡す。
「~~~」
「~~~~」
「~~」
声が聞こえてもノイズみたいなのが走ってよく聞こえない。
水の中にでもいるのだろうか?でも息ができる、なにこれ。
そんなことより眠かったので僕は寝た。
結論
夢ではなかったぽい。
何でこんなことが言えるのか?それは・・・
「実験体1342番の適合実験を開始する。」
今まさに実験体にされているからだ。