超能力者のプロ野球人生   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

10 / 42
交流戦前まで

「失礼します」

 

「おお、入ってくれ」

 

 中3日ということは、日曜日に投げたら、基本プロ野球の無い月曜日、そして火曜日と水曜日を挟んで木曜日に登板ということになる。

 

 現在5月上旬。

 

 ヤクエナキャッツの順位は4位。

 

 Bクラスには居るものの、上位との差は少なく、戦力の割には勝っているって周りからは見られていたが、俺がフル稼働しているからであり、5月なのに、俺の登板数は10試合に到達していた。

 

「まぁ座ってくれ」

 

 高中監督に呼ばれて、監督室に入り、俺は席に座る。

 

 高中監督は若い時からイケメンで、50歳を超えた今でもイケオジって感じで若い人からモテるのだろう。

 

 とはいえ、5年も監督業をやっていると、精神的にくるものがあって、年々痩せてきているから少し心配であるが……。

 

「1年目のお前を酷使する形になってしまって本当に申し訳ないな」

 

「いえいえ、投げれば投げるほど給料も上がりますし、待遇もよくなると思うのでこれくらい」

 

「いや、私の師匠はそれで若手を酷使して1人潰してしまった過去があるから、先日お怒りの電話をいただいたよ。俺みたいに潰す気かって」

 

「あはは……」

 

「どこか傷む場所とかは本当に無いのか?」

 

「ええ、ピンピンしてますよ」

 

「そうか……それならよかった」

 

 社交辞令はこれくらいにしておいて、本題に入る。

 

「助っ人で雇った投手のデニックは戦力として計算できないし、ロバートソンの馬鹿野郎は神のお告げとか言って帰国したっきり帰ってこない。フロントも大慌てで補強に動いているけど、投手の頭数が更に厳しくなってしまった」

 

「中2日にしますか? 1週間で2回完投すれば、投手陣のごまかしはなんとかなると思いますが」

 

「1選手……しかも新人にこんな負担をかけさせるのは間違っているんだが……交流戦から中2日で回ってくれるか?」

 

「わかりました」

 

 俺は了承する。

 

 監督からもフロントには誠意ある金額を払うように伝えるって言われた。

 

「あの~、監督。年俸というか税金の方で相談がありまして……」

 

「何だ? 言ってみろ?」

 

「副業で稼いだ金額が洒落にならない額になり始めて……税金関係どうすればいいか教えていただきたいんですけど……」

 

「そう言えば株やFXやるとか言っていたな……まさか本当にやっていたのか!」

 

「はい……」

 

「はぁ……勝っているんなら良いが……幾らくらい勝ったんだ?」

 

「な」

 

「700万くらいか? 税理士に」

 

「いえ、7億ほど……」

 

「はぁ!?」

 

 監督、目ん玉飛び出るくらい驚いていた。

 

「同僚にも相談することができず……監督なら相談できるんじゃないかと」

 

「ま、まてまてまて……え? 契約金貰ったのが1月だよな?」

 

「はい」

 

「今5月で4ヶ月しか経ってないぞ」

 

「倍率最大にして取引していたら……どんどん膨らんでいって……現金として引き出せる額が7億でして……」

 

「まて、現金としてって?」

 

「金融商品とか株とかにも振り分けていて……そっちは10億くらいあるかもしれません」

 

「お前……野球の天才だけど、株取引も天才なのかよ……球団を通じて税理士紹介するから、不動産や株、金融商品は整理しておけよ」

 

「すみません」

 

「全く……儲けすぎて相談されるなんて始めて聞いたわ……金にがめつい師匠が聞いたらぶん殴られるぞ」

 

 監督の師匠はヤクエナキャッツを何度も優勝に導いた伝説の監督で、元々ヤクエナキャッツよりも貧乏球団で選手をやっていたこと、母子家庭でお金をとにかく大切にする姿勢から金については人一倍うるさい人らしい。

 

「最悪、中1日や連投もスタンバイしておきますか?」

 

「今でも選手運用でプロの先輩方や知り合い連中から怒られてるのに、中1日なんかしたら首が飛ぶわ……中2、中2でなんとか踏みとどまる。大久保が作ってくれた時間で補強して整備進めるから」

 

「任せてください!」

 

 監督とそんな会話をできるくらいには新人なのに、信頼関係が出来上がっていた。

 

 

 

【酷使】ヤクエナ大久保投手、壊れずに交流戦を迎える

 

1:名無しの民

 交流戦までの大久保投手の成績

 登板数14 投球回130回 防御率0.07 勝13 負0 奪三振238

 完投14 完封13 四死球3 自己失点1

 

2:名無しの民

 K/BB 79.33(奪三振数/四死球数の指標 一流で4、ローテ投手が3くらい)

 WHIP 0.07(投手がいかに野手を出してないかの指標 1.4で並み、1.2でローテ級、1以下で球団を代表するエース)

 

3:名無しの民

 化け物で草

 

4:名無しの民

 交流戦前だよ? 

 今は昭和じゃなくて令和だよ! 

 

5:名無しの民

 戦前の記録にもねーよこんなの

 

6:名無しの民

 なんで登板数14回で掛ける9の126よりも投球回上なのバグだろ

 

7:名無しの民

 延長投げきったのあったからなぁ……

 それで引き分けたの以外全部勝ってるし

 

8:名無しの民

 奇跡的に1点取れたことあったけど、その試合に限ってヤクエナ打線爆発するし……

 

9:名無しの民

 信じられるか? 

 まだ日程的には3分の1しか消化されてないんだぜ

 

10:名無しの民

 ちょっとまって……このまま行くと勝ちはともかく、投球回3倍だから390回いくの!? 

 

11:名無しの民

 近年のイニングイーターって呼ばれる人で180回前後だから……その倍以上って

 

12:名無しの民

 大久保が壊れなかったら性転換します

 

13:名無しの民

 今令和だよな? 

 なんで昭和頃の酷使を見てるんだ? 

 俺達は

 

14:名無しの民

 このままいくと60年以上現れなかった30勝投手が現るってこと! 

 

15:名無しの民

 わ、わぁ……

 

16:名無しの民

 他球団からしたら悪魔やろ

 

17:名無しの民

 大魔王大久保

 

18:名無しの民

 大久保大臣やろ……

 

19:名無しの民

 1年走りきったら大久保首相か大久保大統領だろ

 

20:名無しの民

 流石にここ最近は安打性の当たりも出てきたから……

 

21:名無しの民

 ヒット現在6本

 

22:名無しの民

 流石プロやな。

 6本もヒット打ってるなんて! 

 

23:名無しの民

 ちな、奪三振数

 

24:名無しの民

 奪三振238って……あれ? 奪三振王って去年165だよな? 

 

25:名無しの民

 なんでシリーズ3分の1時点で最多奪三振取ってるの? 

 

26:名無しの民

 怖いよお兄ちゃん

 

27:名無しの民

 お兄ちゃんも怖いわこんな化け物

 

28:名無しの民

 なおヤクエナキャッツなんでこんな投手居て4位なんですかねぇ

 

29:名無しの民

 24勝26敗1引き分け

 うち大久保13勝

 

30:名無しの民

 大久保いなかったらマイナス13で、ヤクエナダントツ最下位やんけ! 

 

31:名無しの民

 一応今年はまだ差が少いからな。

 交流戦から差がつくけど首位と5ゲーム差ならまだなんとか

 

32:名無しの民

 ネコちゃんズのローテが

 大久保、小林、藤寺、少林寺、大久保(2回目)、適当な投手

 だから実質4人しか埋まってないのヤバくないのか

 

33:名無しの民

 少林寺新人で頑張ってるけど、防御率が5点台でプロの洗礼浴びまくってるし、小林は安定してるけど、イニング食えないか、小林の日はブルペンフル稼働だし、藤寺は本来ならローテ失格だし

 

34:名無しの民

 大久保と小林で作った貯金を他の投手がほぼ吐き出してるからなぁ

 

35:名無しの民

 エッグ……そしてグロい

 

36:名無しの民

 打線は寺門が新人離れした打撃力で打点量産してくれてるのがほんまにありがたい

 

37:名無しの民

 100打点いきそうだよな

 

38:名無しの民

 25ホーマーもいけそうだし、大卒新人でも大当たりだろ

 

39:名無しの民

 なお新人王は大久保様に阻まれる模様

 

40:名無しの民

 いやぁ同期が強すぎるだけやで

 

41:名無しの民

 西住も頑張ってるよな

 

42:名無しの民

 打率.268、1本、14打点……新人捕手ってことを考えるとめっちゃ頑張ってる

 

43:名無しの民

 ネコちゃんズなんで当たり3人ドラフトで引いてこんな惨状なん

 

44:名無しの民

 なんもかんもフロントが悪い

 

45:名無しの民

 これ来年の年俸1億超えなきゃおかしいだろ

 

46:名無しの民

 プロ1年目の不文律破るに値するけどさぁ……

(2年目選手の俸最高値は8000万であるが年俸高騰を恐れて、7000万がボーダーとされている)

 

47:名無しの民

 緊縮財政中のネコちゃんズよ

 MAXでも7000万じゃね? 

 

48:名無しの民

 30勝確実の投手……というかこのままだと先発が取れる投手タイトル独占するぞ……それが7000万って

 

49:名無しの民

 ネコちゃんズならしかねない

 

50:名無しの民

 ネコちゃんズの負の信頼感よ

 

 

 

 

 

 

 ネットでは色々言われているが、俺は特に気にせずに淡々と投げるだけであるが、投手コーチや先輩投手に近づいては、俺は教えてくださいと頭を下げて、変化球の投げ方や握り方を習ったり、練習方法、ルーティンの決め方、やり方、食生活どうしているかなんかを細かく聞いて、メモを取っていく。

 

「大久保、なんでそんなに皆に色々聞きに行くんだ? お前の投球は完成されてるだろ」

 

 同期で年上でもある江西さんに聞かれたが、俺は確かに投手としては超能力ありきで投げやすく、疲れにくいフォームをお義父さんと一緒に作り上げたが、投手としての理論を知っておいた方が後々役に立つと俺は確信していた。

 

 そして超能力の株みたいじゃないけど、合う人にその練習方法だったり、変化球を教えることができたら、将来投手コーチとして食っていけるだろうって打算もある。

 

「なるほどなぁ……将来を見据えてか」

 

「俺だから壊れないですけど、普通の選手だと壊れますからね」

 

「お、采配批判か?」

 

「やめてくださいよ……」

 

 そんな感じで交流戦が始まる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。