正月のスポーツ番組の撮影で、移動するバスの窓に向かって、中にボールを投げ入れろとか言う無茶苦茶な企画を達成しつつ、正月過ぎに新助っ人外国人としてデロスサントスの入団が球団側から正式に発表。
入寮したデロスサントスはロビカスと俺を取り合っていたが、とりあえず春季キャンプが始まるまでは俺と一緒に練習をすることに。
「デロスサントス、日本での寮生活は快適か?」
『A+で給料貰って生活するよりも快適、快適! ロビカスの部屋で一緒にゲームやらせてもらったりもするし! 飯も美味い! 球場までの移動でもゆったりとしたバスで移動できるんだろ! マイナーリーグに比べたら待遇は日本のほうがいいねぇ』
「でもデロス、日本は活躍できなかった外国人は枠の関係で容赦なくクビ切られまーす! 活躍してくださいねー」
『分かってるよロビカス。絶対に活躍してやるからな』
ちなみにヤクエナの2軍球場は試合をする場所とは別に、練習用グラウンドが用意されていて、そこで俺とデロスサントス、ロビカスに球受けてもらうために西住と世話役がすっかり定着した寺門さんの5人で練習をしていた。
「寺門さん、デロスサントスに日本式の打撃練習を教えてやってください」
「お、おう? 日本式ってトスバッティングとかか?」
「俺の直感ですけど、デロスサントスのミート力がもう少し上がれば日本に適応できると思うんですよね。選球眼の目は滅茶苦茶良いですし、内安打や盗塁できる足もある。本職サードですけど、広い守備範囲のショートやっても面白そうだなって」
「そんなに色々やらせて大丈夫なのか? 助っ人外国人に」
「球団側はそんなに期待してないっぽいんで……呼び寄せたのに入団テストをさせたくらいですし」
「そうか」
ちなみにヤクエナ上層部的にはデロスサントスは保険で、本命はメジャー経験のあるシャーマン・ジャンボという選手に熱烈なラブコールを送っているらしい。
俺の直感センサー的には昨年神のお告げとか言って帰った助っ人よりはマジだけど、嫌な予感がプンプンする。
後半戦から秋季キャンプにかけて、若いこともあり順調に成長を続けるロビカス。
去年よりも打撃の確実性が増している西住、長打力だけでなくコンタクト力も上がっている寺門さん、そしてデロスサントスが化けてくれれば、打線は去年と同じくらいには成りそう。
あとは投手陣がどれだけ頑張れるかか……。
新人の育成……頑張ろう。
新人選手の入寮を終えて、新人選手達が先輩である俺達に挨拶をしてきた。
チームの戦力に成れるように、主軸を打つ打者になりたい、ローテ守ります……色々いうが、9位指名の井端と巴は長くプロで活躍したいとのこと。
俺は早速2人に近づき、
「井端と巴だよな」
「は、はい!」
「うわぁ……大久保先輩……滅茶苦茶デケェ……生大久保さんだ……」
「あはは、球団に言って、俺2人がビビッと来たから、春季キャンプ一緒に行動するからよろしく」
「え、ええ! いいんですか? 僕らで」
「そうですよ1位とか2位指名の先輩方がいますけど」
「いやぁ……俺も高卒だから純粋に年下の2人の方が教え甲斐があるし……合同自主トレが終わった後に時間があるなら2人の投球見たいんだけどいいか?」
「ぜ、ぜひ!」
「私大久保さんの負担を少しでも軽減させたくて! ヤクエナのファンだったので!」
めっちゃ前のめりに志願してきた。
昼間はロビカスや西住、デロスサントス、寺門さんの5人……後から少林寺、江西さん、床田さんも合流して自主練習を続け、練習が終わってから井端と巴の2人についても室内練習場で見続けた。
「うーん、気持ち足の踏み込みを広げてみてくれないか」
「中指で弾くような感覚で」
「肩から背中を動かすような感覚で……」
俺は2人にアドバイスを続けながら、練習が終われば2人を全身マッサージ。
「ほ、本当に大久保さんにマッサージしてもらっていいんですか!」
「普通後輩の俺達がマッサージするんじゃ」
「球団の整体師もドラフト上位の選手優先するから時間かかるだろうし、整体師の勉強しているからいいのいいの」
俺は2人をベッドに寝かせてマッサージを始める。
超能力で身体の歪みや筋肉の修復を促したり、疲労回復や老廃物の除去などを行う。
後は肩や肘などの消耗する箇所の復元を行なって……はい、おしまい。
「すっごく気持ちいいんですけど、大久保さんにマッサージされるとお腹が空くのなんででしょう」
「身体が修復しようとエネルギーを欲しているんだよ。食堂で飯食うぞ飯!」
「「はい!」」
実際は超能力を使って、代謝を良くし、全身の成長を促しているだけである。
まあ俺だけができる技だな。
そんな感じで2週間ほどすると、井端こと端コと巴の投球が目に見えて良くなった。
端コは最速140キロだった球速が9キロアップの149キロまで上がり、変化球も実戦で使えるレベルの球が無かったのが、縦に落ちる……縦スライダーと横に曲がるスライダー、それに小さく曲がるツーシームを覚えた。
巴は155キロまで球速が上がり、マッスラと呼ばれる癖のあるストレート(ちょっと曲がるストレート)にチェンジアップ、フォークを覚えた。
俺的には超能力による占いでその選手に合いそうな変化球の握り方、投げ方を教えているだけなので、そこまで苦じゃない。
というか、多くの指導者が羨む事をしてるなって自覚はある。
お義父さんから超能力頼りで技術指導はできないだろうって言われたけど、超能力を技術指導に転換できればこの通りである。
「コーチからめっちゃ褒められました!」
「俺もです! 大久保先輩って投げるだけじゃなくて、教えるのも一流なんですね! 完璧超人じゃないですか!」
「いやぁ、2人の飲み込みがよかっただけだよ。キャンプに成ればもっと実戦的に教えることができるし、監督に言ってるから2人は1軍に帯同だと思うから沖縄キャンプに行くぞ」
「「はい!」」
普通のプロはこんなことはしない……というか新人選手間の相互指導を禁止している球団もあるくらいだからなぁ。
もっと相互に教え合った方がいいと思うけど、派閥や序列、チームの雰囲気とかもあるんだろうし……。
その点ヤクエナキャッツは良い意味でも悪い意味でもムラっけがある球団だし、年配の先輩で残ってるの小林さんくらいしか居ないから、新人がノビノビできる環境ではある。
というか2年目の寺門さんがカリスマあるからって今年チームの副キャプテンに任命されるらしいし……。
どんな球団だよ……と思う。
「これでよしっと……ずいぶん稼いだな」
「確定申告の手続き協力してもらってありがとうございます。渡井さん」
「いやいや……でもカジノでも100万ドル近く稼ぐなんてな……大久保さんの運はそこでも強いらしいな」
「あはは……」
「FXは来年もするのか? 俺的には早く辞めてもらいたいが」
「趣味なんで来年も続けますよ。まぁ税金が払えなくならない程度にしますが……」
「しっかし……1年で何億稼いだ? 株や金融商品に回したのも含めて20億円はいってたよな」
「ええ、だいぶ稼がせてもらいました」
「プロ野球選手なのに、野球の収益が40分の1以下って……」
「あはは……」
渡井さん曰く、俺の資産状況を知っているのはオーナーと球団社長、球団代表の3人でそれ以外の人は知らないとのこと。
「FXの為替取引は計測されないけど、株の売買は記録が残るから、大量の株取引をするとスポーツ選手の長者番付に載るから気をつけてくれよ」
「わかりました」
そうじゃなくても1億円プレイヤーなので、金持っているんだろとたかる人が出てきてもおかしくない。
うちの両親も、知らない親戚が増えて困ったと連絡があったので本当に気をつけてもらいたい。
お義父さんの方は、静香の名前までは公表されてないから大丈夫らしいけど、高校の監督として評価されて、なんか私立の高校から熱烈な引き抜きを受けているらしい。
私立に行くのか聞いたら、教員として働いているつもりだから、公立で働けるだけ働くとのこと。
お義父さんらしい。
そんなこんなで、確定申告も終わり、1年目の収益が確定。
税金で取られるのが半端ない(2割強持ってかれた)ので、節税のために今年は不動産投資を増やしていこうと俺は思うのであった。