秋季キャンプでは主力の面々は俺が定期的にマッサージしてメンテナンスをしたお陰で、故障者は出ず……というか、危なかったのは井端。
最速160キロまで直球の出力が上がっていたことで、負荷が肘に蓄積していて、それで怪我の前兆が起こっていた。
俺は慌ててマッサージで治癒及び復元を行い、井端に今のフォームだと肘への負担がヤバくて故障するから、桑葉コーチに確認して怪我しないフォームの確認を行ってこいって伝えた。
井端が顕著だったけど、先発でフル稼働したロビカスと巴、それに同じ先発として大切に思っている笹木さんとかも大なり小なり負荷は掛かっていたので、超能力を使って治癒をしていく。
そのお陰で、今季秋季キャンプは故障者0を達成。
それと同時に選手各自のレベルアップだけでなく、デロスサントスや寺門さんは自己の打撃理論がしっかりしていたので、他の人にも技術論を共有する。
実績を挙げているので、教えをこう人物も多いわけで……。
ヤクエナキャッツの新人の中で技術や生活習慣、トレーニング方法の共有が行われていて、プロ意識の高い集団になっていく。
自己を律する人が育つ土壌ができれば、自我が強い年配選手の居心地は悪くなるが、この年を境に不良債権化していた年配選手は一掃。
サクセン監督時代中にヤクエナに蔓延していたプロ意識の低さ、負け癖、ヤクエナの悪習であるなあなあな空気を一掃。
チームの若返りに成功したことになる。
そんな感じで秋季キャンプは終わっていくのだった。
オフシーズン、来年で22歳になるので退寮を視野に入れながら、静香と一緒に自宅の建築を業者に頼んで去年から建築してもらっていた。
ヤクエナから離れるつもりはないので、神宮球場から車で20分圏内、駅近くの場所に自宅を構える予定であり、土地代込みで30億円……ほぼマンションの様な家を建てて、静香の知り合いだったり、俺の高校時代の知り合い……というか同じ野球部だったけど野球を引退して料理人になっていた奴とか、大学卒業して職に困っていそうな奴に声をかけて、マンションの管理人だったり、住民が割引で利用できる食事処やフィットネスジムの従業員に雇用し、退寮予定のメンバーに声をかけた。
デロスサントスとロビカスも億の年俸をもらっていたので退寮を勧められてしまい、俺と同期の面々も退寮後の住居について困っていたので、マンションの屋上(マンションと言っても10階建てでタワマンって感じじゃないけど)と最上階を野球練習場として整備していたので、ある程度のトレーニングやマシンを使った打撃練習、ブルペンなんかも完備していた。
マンションスタッフも野球経験者が多いので、住民の要望で練習の手伝いをできると、退寮後も住宅を持つのが面倒くさい面々……というか長くヤクエナで活躍した、俺と仲の良い選手は片っ端から俺のマンションに呼び寄せて囲い込んだ。
ちなみに部屋の感じは7LDKの部屋(トイレ3箇所、お風呂2箇所で各部屋の広さが12畳以上)という家族を呼び寄せても十分に暮らしていける広さでそれが1フロア4カ所、2階から7階までが住居スペース、1階にエントランスや共有スペースなどがあり、8階にレストランやトレーニングルーム。
9階に住民の憩いの場としてバーと図書室を併設。
10階が室内練習場で、屋上が打撃練習や内野ノックが受けられる広さの空間に仕上がっていた。
3年間で俺が為替や株で滅茶苦茶に稼いだ金で作り上げた俺の城であり、完成後に静香の友達や住民として住むことになったヤクエナの仲間を含めて、引っ越しや連日パーティを開いていると、奇しくも合コン会場の様な場になり、静香が付き合っている友達連中は大学でスポーツ栄養学について学んでいたり、結構良いところのお嬢さんとかが多数。
俺の嫁って最初から公表していたから、静香も一流プロ野球の奥さんとして大学で振る舞っていたので、付き合う面子や取り巻きの人選とかも相当苦心したらしい。
で、そんなお嬢さん達と俺のマンションという金曜日の雑誌が入り込むことができない完全プライベートゾーンで連日俺と静香主催で合コンみたいなのが開催されたら……付き合い始める人も出てくるわけで……
「大久保さん、良い彼女を紹介してくれてありがとう」
「ええ、笹木さんとは家族ぐるみで長い付き合いにしていきましょう!」
俺の4つ歳上だけどプロとしては1つ先輩という奇妙な関係であるドラ1位組である俺と笹木さんの関係もこれで一気に親密化。
笹木さんも俺のアドバイスを受けるようになり、笹木さん経由で笹木さんの同期の奥寺さん、斎藤さんとの関係も改善。
1軍の主力投手で俺の息が掛かってない選手の方が少なくなり、来季から投手リーダーを任される土壌を自ら整えていった。
退寮して、自分のマンションに引っ越し、別居になっていた静香と同居を始め、俺の両親も俺のマンションに引っ越させる予定だったが、部屋が広すぎて落ち着かないとして、セキュリティがしっかりした別のマンションの部屋を購入して直ぐに来られるようにしてあげた。
両親には働かなくても良いって言ったが、働かないとボケるとして、俺のマンション1階に作られたコンビニで2人揃ってアルバイトを始めていた。
あと生活で変わったのは自分の車についてだろうか。
俺としては静香と将来産まれる子供を踏まえてファミリーカーを持っておけば良いだろうって思っていたが、寺門さんが、年俸に見合った車を持ってないとプロ野球選手として恥ずかしいし、お前は球界の盟主なんだからって言われて、スポンサー契約している車の生産、販売を行なっている会社と相談して、CM出演する代わりにその会社の最高グレードの高級車を定期メンテを込みで報酬としていただいた。
なんならCM数種類撮影して、契約の関係で撮影する度に車を貰えたので、そんなに要らないからヤクエナで仲の良い人に譲っていったら、俺のマンションに住むメンバーは色違い、少し型違いの同系列の高級車が駐車場にズラッと並ぶことに。
車庫に並べられた車を見て笑ってしまった。
他のメンバーも神宮に来る時にその車に乗ってくるので、神宮や東京や関東近辺の球場に行く時はヤクエナ選手の駐車場にはズラッっと同じ感じの高級車が並ぶことに……。
他球団選手は羨ましそうに見ていたが、これはあくまで俺個人からのプレゼント。
住居提供も俺の意志であり、金銭的なやり取りは発生していないのが恐ろしい。
ヤクエナフロント側は俺が年俸制限をしているから他の選手の年俸を上げにくい状態であるが、ヤクエナ側の年俸が安くても、俺経由でスポンサーの紹介だったりプレゼントとして物品や株券、金券が渡されるので、年俸の補填になっている状況。
そうなってくるとフロントも俺に逆らえなくなり、ヤクエナフロントは俺の事を第二のジェネラルマネージャー……GMとか選手兼任GMとか呼ぶようになってくるのであった。
選手の私生活にも大きな影響を及ぼすことで、ある野球記者はヤクエナは大久保の私兵って言われるくらいヤクエナ内で巨大な派閥を形成していくことになる。
それはヤクエナフロント側としても、本社指示で俺に対して将来首脳陣にして長期政権を築くことで、ヤクエナの人気を爆発させる長期計画が動いていたので、誰も俺の事を止める人物は居ないのであった。