今年は素材型ドラフトをするからと、桑葉新監督から俺にビビッと来るやつ居るかってドラフト前に言われたが、俺はスカウトじゃないからなぁ。
こいつ化けそうだなっていうのはなんとなくわかるし、ドラフトの指名順で天狗になって潰れる奴も居れば、真面目な性格の奴も居るし……。
まぁ井端と巴の2人が大当たりだっただけに、ドラフトの下位指名権を俺に与えるという暴挙をやっているわけで……。
「和歌山石山高校の雑賀って外野手と……京都の古都平安高校の山嵐遊撃手が気になりますかね……他にも居ますが、下位で取れそうなのだとこれくらいで」
「うむ、分かった。今回も指名させてもらうよ」
桑葉監督はドラフトで実際に2人を指名。
ちなみに鈴原は2軍戦に10試合ほど出場してまずまずの成績をしていたが、まだまだ発展途上。
超能力に関しては、念力は適性が無いらしく、球を俺みたいに曲げたり浮かせたりはできないが、俺がやっているように自己治癒力や身体の成長促進に彼は念話ができる。
打者が狙っているボールを読む事が出来るから、あとは身体が出来上がれば、戦力として上がってこれるだろう。
球速は138キロだったのが、今年で147キロまで上がっているし、2軍首脳陣も成長著しいと評価しているらしいし。
秋季キャンプも俺は投手リーダーとして投手陣が怪我をしないように努め、多くの選手がレベルアップを達成していた。
それにヤクエナの現在のチーム年齢が平均26歳と若いので、チーム全体がまだまだ伸び盛り。
ここから黄金期になるのか期待したいところである。
法人化したことで、決算報告書を閲覧することができるようになり、それがネット記事にすっぱ抜かれていた。
「高給取りだし、スポーツ選手だからマスコミが嗅ぎつけるわな」
「うちの物件を買わないかとか、投資話の電話がしょっちゅう家にかかってくるけど」
「あー、全部無視でいいから。投資先は俺が決める」
ネット記事を見てみるとこんな感じに書かれていた。
【大久保利通選手、決算報告書を公開】
プロ野球選手でおなじみの、大久保選手が今年法人化を行い、それに伴って決算報告書を公開。
それによると収入は多岐に渡り、野球選手としての年俸だけでなく、不動産、株の配当金、競走馬の賞金、スポンサー収益となっている。
それらの収益を確認すると、約400億。
利益でも30億程を手に入れていることが判明した。
更に公開されている保有の株銘柄は本稿記事を書いている段階で、跳ね上がったのが幾つかあり、売却されていた場合更に50億近くの利益が出た可能性が高い。
競馬では先日2歳重賞を勝利する馬が出るなどで、持ち馬18頭のうち、1頭は入厩前なので除外するとして、現在10頭が勝ち上がっている。
やはり持っている男は馬をみる目も違うのだろう。
今後の活躍も期待したいところである。
「両親も関わりある親戚に関しては整理したし、静香の方は大丈夫か?」
「私の方は大丈夫……というよりも私に近かった友達のお嬢さん方は殆どこのマンションの住民になっちゃったし」
「まーな」
シーズン中も静香がマンションに親しい友達を呼んでパーティーをしたり、食事会を開くと、大抵女性に飢えたうちのチームメイト達が群がり、笹木さんだけでなくて、寺門さんや西住、床田さん、少林寺に井端と巴も球団側から変な所に遊びに行くくらいなら俺のマンションに遊びに行けって言われたらしく、しかも井端と巴は一応寮住みではあるが、年俸が上がるし、俺の近くに住みたいって懇願していた。
なので秋季キャンプ後にうちのマンションに引っ越してきたが、それと同時に、今シーズン中に静香の大学での友達(結構いいところのお嬢さん)と2人もつきあい始めていたらしく、引っ越しと同時に同居を始めたらしい。
井端の彼女は司法試験受かって弁護士事務所で働く予定で、巴の彼女は両親が医者で本人も薬学部を受講中。
巴の彼女はあと2年は大学で勉強しないといけないけど、大学が近いし、巴と一緒に過ごすのが楽しいらしく、特にトラブルには発展していなかった。
静香も来年の春には大学を卒業するが、単位とかはもう大丈夫だし、卒論も提出済み。
そのまま専業主婦になる予定。
高校の時は若干芋っぽかったけど、完全に垢抜けちゃって……。
「そう言えば、最終的にメジャーに行くんだったらそろそろ英語の勉強を始めた方がいいんじゃないかな?」
「確かに……始めておくか」
俺は今オフから英語の勉強を始めるのだった。
『来年で俺達日本から出ていくのかぁ』
「思えば早かったな」
俺とデロスサントス、ロビカス、金、オリマの5人で、俺のマンションにあるレストランで食事をしていた。
ちなみに金とオリマは俺のマンションじゃなくて、別のマンションを借りて住んでいる。
度々俺のマンションに引っ越さないかって誘ったが、いつ首を切られるか分からないし、こんな広いマンションより小さくても、自分で選んだマンションに住みたいのだと。
まぁ、居心地がよい場所には変わらないので、度々ウェイトトレーニングをしに来たり、レストランで食事をしに来ていた。
金とオリマは既婚者なので、奥さんや子供達も一緒に来ることがある。
「金とオリマはどうするんだ? メジャー目指すのか?」
俺が金に質問する。
金払い的には韓国よりも日本のプロ野球の方が多いし、韓国球界に戻るとしても指導者として戻るって思っているらしい。
本人がアニメオタクの親日っていうのも影響しているかもしれないが
「いやぁ……自分は日本だからこれだけ活躍できているし、アニメの聖地巡りやアニメ配信が遅れるアメリカには行きたくないな。アメコミも嫌いじゃないけど、自分はきらら系の方が好きだし」
自分の娘(幼稚園生くらい)にきららアニメのコスプレさせるくらい気合い入ってる金は日本から出ていきたくはないだろう。
奥さんも韓国のチームでチアやっていたけど、休みの日はアニメのコスプレしていたくらいお互いの趣味を分かりあっているお似合い夫婦だし……。
一方でオリマは実力的にメジャーは厳しいって感じていたらしい。
オリマは145キロ前後のストレートでストライクゾーン全体を使って相手を打ち取るピッチャーなので、パワーが日本の倍以上あるメジャーだと、詰まらせてもスタンドに持っていかれるから、日本の環境が合っていると話す。
『ヤクエナで続けたい気持ちは強いが、ヤクエナが金満球団じゃないからなぁ……もしかしたら数年後は別球団でやっているかもしれないな』
「そっか……まぁそれは仕方がないな」
オリマの実力なら他球団でもローテは守れるだろう。
その頃には鈴原も成長しているだろうし……。
『オオクボはどうなんだ? メジャーから声かかってるんじゃないのか?』
「とりあえず25歳超えるまではメジャーに行く気はないけどな。できれば西海岸のチームがいいなぁ……温暖なところだとなおいいけど」
『奥さんは連れて行くのか?』
「連れていけたらな。たぶん付いてきてくれると思うけど。まぁ条件が一番いいチームに入るよ」
「なるほどな」
そんな会話をするのだった。