「ここをこうやってやれば購入ができて」
「ふむふむ……」
俺は(清水)静香と一緒に銀行口座を作りに行ったり、株の購入のやり方を教わったり、色々していた。
「そう言えば利通はブログというかSNSで発信するのはやらないの?」
「うーん、どうなんだろう……やっぱりやったほうが良いのかな?」
「球団職員の人に連絡取ってみれば?」
「それもそうか……呟く内容って何が良いとかあるのか?」
「私と付き合っていることを呟けば? たぶん食いついてくると思うけど」
「球団職員の人に聞いてみるわ」
俺はヤクエナキャッツの職員の人から何かあれば連絡してくれって言われていたので、SNSで婚約者がいることを発表したいんだけどと言うと、
『え? 婚約者いるんですか?』
「はい、そちらの新人合同練習が始まる前に入籍しておこうかと」
『に、入籍まで行くんですか……SNSをやる分には構いません。連絡ありがとうございます』
SNSをやる為の注意事項を少し話された後に、基本的にヤクエナキャッツはSNS制限はしないことが言われたので、よほどでなければ自由にやっていいとのこと。
「許可降りたから報告するか」
「まぁ入籍の時にSNS始めるでいいんじゃない?」
「それもそうか……」
というわけで、3年は冬休み以降は高校もほぼ自由登校になるし、静香も推薦で東京の大学に進学が決まっていたので、12月中に18歳になっているからと学生結婚を発表。
ネットの掲示板では話題のビックマウスのヤクエナキャッツドラ1、学生結婚wwwって見出しで少し話題になったが、その程度だった。
1月上旬……まずは選手寮への入寮が行われた。
茨城県にあるヤクエナキャッツの選手寮に到着すると、記者に囲まれながら入寮が行われる。
「大久保選手! 入寮の意気込みをおねがいします!」
「最近FXのやり方を覚えたので、休みの時は株を勉強したいと思います!」
パシャパシャと写真を撮られ、翌日の見出しに大久保選手株トレードに熱中、やばい新人現るとすっぱ抜かれていて、記者から叩けばボロが出る玩具扱いされるようになる。
とりあえず入寮直後に、俺は個別でコンプライアンス研修を他の人の倍の時間受けさせられてげっそり。
同期の仲間達は大笑いだった。
入寮に伴い選手寮に残っている先輩方への挨拶も行い、部屋に入る。
全員同じ広さの部屋だけど、各部屋にトイレがついていて、寝室が12畳ほどの広さ。
2メートルある俺でも余裕を持って寝れるベットも備え付けられているし、寮全体Wi-Fi完備。
しかも寮は大浴場や食堂、室内練習場と直結されていてとても住心地が良く、野球をしやすい環境が整っていた。
2軍の球団施設も新築なので全部が全部新しい。
強豪校じゃない公立校出身の俺は、見る設備が全部新しくて、滅茶苦茶驚いていた。
そのままコンプライアンス研修の後は寮やヤクエナキャッツでのルール説明が行われ、夕食を食堂で食べ終わった後に、新人全員で風呂に入ることになった。
「流石ドラ1……めっちゃ肉体しっかりしてるなぁ!」
寺門さんが俺の身体を見て、褒める。
俺の身体は身長2メートル、体重95キロで、がっちりとした体格に見えるだろう。
「手足も大きいな……ボール握るのも楽なんじゃないか?」
「そうですね……フォークやスライダー投げるのに重宝してます」
「なるほどなぁ」
まぁフォークやスライダーは超能力を頼りにしているから、実際にはストレートを投げる時がこの身体を一番使えていると思うけど。
夏の大会では体力消耗を考えて、8割の力で145キロ前後で投げていたけど、超能力無しでも投げようと思えば150キロを少し超えるくらいにはストレートを投げられるようにしてきた。
あとはとにかくコントロール練習で、ストライクゾーンを9分割に投げ分けられるように頑張った。
超能力使えば100%狙ったところに投げられるけど、体温調整とか疲労回復とか投球以外にも超能力使う場面は多いからセーブできるところはセーブしないと。
「入団会見では170キロ投げたいって言ってましたが、今どれくらいの球投げられるんです?」
西住が聞いてきた。
「全力で投げれば余裕で170キロ超えるよ俺。それをヤクエナキャッツの上層部は知ってるから1位指名に踏み切った訳だし」
周りに居た同期全員が凍りついた。
「大久保、流石に俺達の前でビックマウスしなくて良いぞ」
「本当なんだけどなぁ……明日自主トレ始まるし、西住俺の全力受けてくれないか? 他のメンバーも打席で見て良いから」
「ええ、受けさせてもらいますよドラ1様」
西住も受けてくれると約束してくれた。
風呂から上がって、持ち込んだノートパソコンを開く。
「お、ちゃんと契約金入金されてる。とりあえず静香に送金してっと」
俺が忙しくなるから、母校に寄付金を送ったりは静香に手続きを進めてもらう。
あと実家のリフォーム代金も親に送金して、口座には4700万と書かれているけど、税金で来年苦労するって言われているので、実際に使えるのは半分ほど。
「とりあえずFX始めてみるか……静香からやり方は教わっているし……」
とりあえず個人でできるレバレッジ最大の25倍に設定して、取引を始めてみる。
「えっとトランプのハイアンドローと一緒で……高くなるか安くなるか分かればいいんだろ……」
俺は高くなりそうな相場をとりあえず買っていく。
そして釣り上がって暴落しそうなのを売りを選択する。
「あと金利差で儲けを出すことができるんだっけか?」
スマホで音楽を掛けながらチャートを見ていく。
ここまで相場が伸びたら自動売却とかの設定を個別でしていく。
「俺の超能力を使った予想が正しければこれで利益が出るはずだけど……どうなるかなー」
自動購入、自動売却の設定も行う。
普通にFXやっている人からしたら舐め腐っていると怒られそうだが、初心者の俺は相場を先読みして、いつ売る、買うの設定をしておくしかない。
「どうなんだろう……1000万でレバレッジ25倍にしてるから、負けると億単位の借金背負うけど……静香は大丈夫って言ってたけど……」
良い子の皆はこんな状態でFXを始めちゃダメだぞ……。
翌日、朝食を食べて、早速練習着に着替えると、アップをして、新人自主トレが始まる。
球団職員が新人に付いて、選手の能力を測る事を目的である。
メディカルチェックとか故障の有無については入寮前の仮契約期間に調べられているので、今日から能力測定がメインとなる。
「よし、じゃぁ西住と大久保。ペア組んで軽く投げてみるか」
「「はい!」」
球団職員の人に呼ばれたので、俺はブルペンで色々測定する機械やカメラが沢山ある場所で、投げることに。
新人の他メンバーも俺が投げるということで集まってきた。
「さて、ビックマウスの実力見させてもらいますか」
寺門さんはそんな感じでこっちを見ている。
「じゃぁ西住、170キロ行くよ~」
「はいはい」
西住は170キロなんて投げれないと思っているらしく構える。
どっこいしょっと
スパーン
ゆったりとしたオーバースローから投げられた直球は超能力の力で指先から離れた瞬間的に更に押し込まれて、力が加えられる。
最初の頃は紙をめくるくらいしか出来なかった超能力であるが、今では4トントラックを引っ張るくらい力を伝えることができるようになった。
元々150キロの直球に更に力が加えられれば球速は跳ね上がる。
しかも超能力でコントロールしているからミットに一切ズレなく飛び込む。
気持ちがよいミットの乾いた音が響き渡り、周りは一瞬の静寂が包み込む。
計測器には171.5キロと表示されていた。
勿論世界最速である。
「おいおい、ビックマウス違うんかよ」
「なんでこんな化け物がドラフト前まで全国的な知名度無かったんだ?」
周りの同期もスタッフも驚いている。
キャッチングした西住自身も驚いていた。
「あと5球、おんなじの」
俺は顧問と一緒に作り上げた疲れにくいフォームで、腕をしならせながら、鞭のように腕を振るう。
170キロ超えが連発し、それが全て西住の構えた場所ドンピシャに。
スパーン……スパーン……スパーン
うちの捕手でこれを捕れる奴はいなかったけど、一発で捕る西住は流石ドラフトで捕られるだけの捕手だと思う。
「な、ナイスボール」
「じゃぁ次、変化球」
スライダーはカットボールの握りでストレートと同じ感じで投げる。
あとは超能力で回転を更に掛ければ、勝手に曲がっていく。
打者直撃のコースから外角低めギリギリに決まる。
超能力の力を使っているので、それがボール半分くらいの微調整ができる精度で150キロくらいで飛び込んでくる。
変化量は約80センチ。
そんなに動けばバットにまず当たらない。
そしてフォークは更にえげつない。
ストレートと同じ軌道、通常のストレートと同じ150キロ前後で飛んできて、打者の手前で急ブレーキがかかる。
ストレートと同じ感じで打とうと思ったら視界から消えるのである。
狙って撃つのは不可能だし、えげつないのはフォークの落差を調整できること。
キャッチャーが捕りやすい落差にすることで、ワンバウンドを回避する。
高校でフォークを使えたのも、俺が捕りやすいように調整できたからである。
他から見ると落差の激しいキレのあるフォークボールに見える。
そこから120キロのボール1個分斜めに沈むチェンジアップと打者の手元でボール1個分曲がるカットボールが使える。
「あとシンカー」
超能力を使えば変化球は実質全部使える。
高速シンカーとパワーカーブの曲げ方は練習したので、実戦でも使えるレベルと自負していたため、西住に取ってもらった感じ、球団スタッフからも使えると太鼓判を押された。
ここまでは西住も捕れる球あるが、俺は魔球を投げることを指示する。
「西住、高めに構えて、絶対にミットを動かさないでくれ」
「こうか?」
「絶対に動かすなよ……ライズボールいきます」
職員たちの表情が一段と真剣になる。
そして俺が投げた直球は途中までホームベース前に突き刺さるコースを描いていたが、超能力の力でグイッと浮き上がり、約30センチ近く上方向に変化して、西住のミットに入っていった。
「「「「はぁ!?」」」」
同期だけでなく球団職員の皆さんも本当の魔球を見て、中には顔をビンタして夢じゃないか確認している人が居た。
「大久保の大魔球1号……ライズボール」
それを俺は3球続けて投げ込んだことで、西住は3球目を捕った時には腰を抜かし、寺門さんは目ん玉が飛び出るくらい……というか白目剥いて、驚いていた。
主人公の変化球カーソル
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