〔イッセーSIDE〕
「イッセー。お前―――しばらく休め」
「はい?」
[異攻隊]として[日本神話治安維持隊]のフォロー任務を終えて拠点に帰って来たばかりにオヤジにそういわれた。
「だから、休めって言っているんだ」
「いきなり休めって言われても困るんだけど…」
俺の返事にため息をつきながらオヤジは話し始めた。
「イッセー。ここ最近お前は任務を終えて数時間後にまた新しい任務みたいなサイクルが続き過ぎている」
「まあ、日本神話の勢力圏内からデカイ他勢力の異形犯罪者は排除で来たけど、中規模や小規模の犯罪者は沢山いるからしかたないだろう?」
「ああ。それでもお前は任務を請け負いすぎだ。クレアや俺がやろうとした案件もお前が全部引き受けてやっているしな」
「まあ、自分に出来る範囲ならやるからな。それにオヤジもクレアも下手に表立って行動すると[悪魔]と[天界・教会]に正体が露見でもしたら危ないじゃないか?」
「その為に徹底的な偽装をしたから問題ないって言わなかったか?」
「まあ、おふくろの偽装が見破られるって事は思いたくないけど万が一が怖いんだよ。それに比べて俺は人間で[赤龍帝の籠手]を宿していた兵藤一誠に関する情報は一切ないどころか兵藤家がこの世に存在した事じたい[神の子を見張る者]によって消されている。そういう意味じゃ俺が出張った方がいいだろう?」
「過去を振り返らない姿勢は良いが、それも過ぎれば危険だぞ? 俺達が心配でならない」
オヤジが本気で心配そうな目を向けながら俺に語りかけてきた。
「そうだよイッセーちゃん。私達家族が心配しているんだよ?」
「そうですよイッセー君。私や長良もアリスや他の協力者によって既に故人であることを特定することは不可能になっています。なので心配無用ですよ」
おふくろと
どうやらまた気負い過ぎていたみたいだな。
[第一次異界大戦]*1で少しはましになったはずだけど、悪い癖は治りにくいもんだな。
「ごめん。流石にやりすぎた。これからは自重するよ」
「わかればよろしい。だが、お前の事だ。ただの休暇じゃ落ち着かないだろうから、殆ど休暇前提の任務を与える事にした」
オヤジがそう言いながら俺の[異攻隊]専用デバイスに新たな辞令が転送されてきた。
俺はその辞令を見る。
「ん? [兵藤一誠殿。日本神話主神たる天照大御神の名において日本神話治安維持隊駒王町特務員へ任命する]って駒王町!?」
「その通り。お前は今年の4月から臨時の治安維持隊として駒王町に駐在してもらう」
「マジか…。でもあそこはクレアの前任者である上級悪魔とその眷属に加えて、もう1人の上級悪魔でちゃんと管理できているところだよな?」
「ああ。現四大魔王の1人である“サーゼクス・ルシファー”*2の妹であり[元七十二柱]に連なる[グレモリー家]次期当主である[上級悪魔]“リアス・グレモリー”。そして同じ[元七十二柱]に連なる[シトリー家]次女である[上級悪魔]“ソーナ・シトリー”が[日本神話治安維持隊]で不足している土地管理業務を代行してくれている」
オヤジがいった二人の悪魔は直接の面識がなくとも、関係者とは知り合いだったり任務であった事がある。
特にリアス・グレモリーの眷族の1人は[異攻隊]の任務で向こうが小さいころに会っていて、ソーナ・シトリーに関しては彼女の姉が[第一次異界大戦]の間だけだが臨時で[異攻隊]に入り共闘した中だ。
それに―――
「その2人は未成熟の悪魔なのに他の悪魔よりもちゃんと管理業務をやっているって評判だったよな?」
「ああ。あの2人は古い悪魔の価値観ではなく、その価値観も尊重しつつ、その勢力や今の時代に合わせた意識をもって働いてくれている。町に住む異形達には物凄く評判がいい」
「私も前任の立場で2人の働きを観ましたが、初任ながらもよくやっていますね。まあ、表向きの立場である学生としての活動で時々魔力を使ってタガが外れるのは心配な所ですが」
「うんうん。あの2人はまさに新世代の悪魔ッて感じでアリスさんも良い評価だよ~。そんな2人の内、リアス・グレモリーは[大王派]の悪魔共に[現魔王の出涸らし]とか[無能姫]とか言ってるんでしょ? いくら上級悪魔としての才能が普通でも、ちゃんと他で努力して結果出しているのにあんまりだよね~」
「それも[悪魔]という生物なのが悲しい事です。現四大魔王は2人と同じような価値観で動いていますが、いまだに[大王派]が強いですから難しい問題ですね」
「常に新しい風を吹かせる者達はどの歴史においても異端者扱いなのは人間じゃなくても同じだな。まあ、そういった古い価値観にとらわれて衰退していくか、その時代に合った新しいものを取り入れて存続させるかは判らない所だ―――さて、話がそれたが、そんな若いながら優秀な二人が[駒王町]の異形関係を管理する仕事で、何かあればフォローに入る仕事にお前がついてもらう事になる」
「もしかして、2人が優秀だからそんなフォローをすることは、ヤバイ敵が侵攻してきたとかくらいしかないから実質休暇って事だよな?」
「その通りだ。駒王町では専用の拠点である一軒家をすでに用意してある。もちろんアリスがすべて手掛けたものだから、最強の拠点ともいえる」
オヤジがそう言い、俺はおふくろの方を観るとVサインをしながら俺にキリッっをおもわせる雰囲気を醸し出していた。
「このアリスさんが全力で設計をした最強の一軒家だよ~。例え神の攻撃が来ても普通に耐えれるし、あらゆる侵入を妨害どころか迎撃して、下手すれば返り討ちに合って消滅させちゃう仕様だよ~」
「さらっと凄い事いうのは相変わらずだな…。まあ、立場的にそれくらいしないといけないよな」
「そうですとも! この[天災]と言われたアリスさんに掛かればどんな奴等もちょちょいのちょいだよ~」
言っている事はマジなんだよな。
本人が全然に出ないのは、自分ばかりに頼り切りという現状を生まないって事だからな。
ぶっちゃけこの拠点とか共通装備に使われている装備の技術はちゃんと人間と異形がたどり着く技術が使われているしな。
それ以外のおふくろ以外しか作れないモノは本人や俺達の専用武装くらいだし。
まあ、その装備もおふくろでも解析不能ななバグだったりブレイクスルー起こしてとんでもないことになっているしな。
オヤジの武装を起点に、俺に施したサイボーグ化と武器、クレアの武器とか。
「そういう訳だ。ちなみに階級―――まあ、いうなれば組織的な立場に関しては上の方であり、様々な勢力の長と対等に話せる立場―――[特務員]と言ったところだ」
「そんな責任重大な権力を俺に振っても良いのか?」
「問題ない。それに日本や日本神話勢力圏内であれば、相手がやらかした瞬間こちらに大義名分がある。そして、リアス・グレモリーとソーナ・シトリー、そして2人の眷属達の正式な所属は[悪魔]となっているが、日本神話勢力圏内で土地管理業務を請け負っている時点で臨時の日本神話の所属となっている。これ以上はわかるな?」
「2人に危険があれば俺の判断で敵を捕縛または撃滅しても問題ないって事だろう?」
「そうだ。この日本神話勢力圏内においては理不尽やルールを逸脱した権力行使をしない限りは無敵って事だ」
要するにそういった事が起こる可能性が2人が管理している[駒王町]で起る可能性が高いって事だろう。
少なくとも[異攻隊]の誰かがいておけば、万が一があっても大丈夫なくらいの保険が必要って事か。
「まあ、そういう事ならその辞令は慎んで受けておくよ。それにしても駒王町か…」
「お前の始まりにして終わり、そして今の兵藤一誠が始まった町。何かと気になる事があると思う―――」
「もう過去の事は全部ケリがついているから大丈夫だっていってんだろ? オヤジもおふくろも、姉貴も心配すんなって」
俺は駒王町に行くことに不安な3人に笑顔を見せる。
そう、あの日―――9年前に両親とばあちゃん、そして一緒にいた悪友にして親友の松田と元浜は、俺が宿していた力を危険視した堕天使に悪辣なやり方で殺された。
そして、それを知っていながらも世界の為や主の教えとかで俺達を見捨てた幼馴染とその家族、当時駒王町の管理をやっていた悪魔であるクレアも俺が宿していた力を危険視して、俺達を見捨てた。
最初は憎んだし復讐しようとした。
まあ、復讐に関してはあの日で両親とばあちゃん、松田と元浜を殺した堕天使とその上の堕天使を殺したことで片を付けた。
[神の子を見張る者]幼馴染とその家族、クレアに関しては俺の宿していた力の先代や力の源自体が普通に色々と悪影響を及ぼしていたから全体を考えれば仕方がない事だと割り切った。
割り切っただけで、今の俺に仲良くしようとして来てもする気はないし、あんなやり方や関係のない両親とばあちゃん、松田と元浜を平気で見捨てた奴等を認める気にはならない。
クレアに関しては巻き込まれた両親とばあちゃん、松田と元浜に関して後から聞いて[神の子を見張る者]に抗議してくれたり、松田と元浜の両親にもちゃんと筋を通して謝ったみたいだから特別に赦している感じだ。
「そうか…。少し心配症が過ぎたな」
「大丈夫みたいだけど、キツくなったらちゃんと相談するんだよ~?」
「はい…。あの事件は私の管理不足で起きた事です。いつでもイッセー君に討たれる覚悟は出来ていますから」
「オヤジとおふくろは良いとして、クレアに関しては大丈夫だって! そういうのはもう気にしてないし、クレアも俺以外が巻き込まれた事に関してちゃんと抗議してくれたし、アフターケアや俺にちゃんと謝ってくれたから大丈夫だからさ!」
「そうです…いえ、イッセー君にそう赦されても私は自分を赦す気にはなれないので」
「まったく。まあ、そういった事をちゃんと忘れずに思い続けてくれるのは嬉しいけどな。ともかく―――[異形犯罪攻性特務部隊]所属:兵藤一誠。辞令を謹んで受けます」
俺は姿勢を正して敬礼をした。
「[異形犯罪攻性特務部隊]隊長としてしかとお前の意思を受け取った。町に入りは今年の4月からだ。ちょうど―――リアス・グレモリーとソーナ・シトリーが高校生になるくらいか」
「中学生の年代で領地管理できるとか凄いな…」
「それほど2人が勉強してきてるって事だ。ちなみに異形サイドで関わるかどうかは状況によって任せる。あ、その形で関わりを持ち、協力関係が出来たら報告しろよ」
「もちろんだ。そんで表向きの立場はどうなるんだ?」
「詳細な過去や経歴は決まってないが、現時点で確定している事は、赤龍帝の籠手を宿していた兵藤一誠ではなく、まったく別の[日本神話]所属の兵藤一誠としている事になる。それに加えて。先ほど話したリアス・グレモリーとソーナ・シトリー双方で解決困難と判断した場合の補充要員としてだ」
「了解。そんじゃ荷造りしてくる」
俺は任務という名の休暇の準備のために自室に戻った。
異世界侵攻を生業とする勢力[闘征覇神軍]が日本を起点にD×Dに侵攻、その際にグレートレッドが瀕死の重傷を負いながらも辛うじて[闘征覇神軍]の侵攻ルートを日本に限定。
その際に数年で日本神話という勢力を外交的に強くした異攻隊に後を託し休眠。
異攻隊は自分達以外では対処が厳しく日本神話の協力と長良とアリスの人脈を使い[異攻隊]以外メンバー以外に3名の堕天使、悪魔、人間が参戦。
この7名でグレートレッドを瀕死で引かせた[闘征覇神軍]との戦いを日本各地で行い戦い犠牲が出つつもイッセーの成長や新たなる力と種への進化、クレーリア・ベリアルこと八重垣クレアのイッセー同様の新たなる力と種への覚醒などがあり[闘征覇神軍]を完全撃滅し勝利した。
この戦争の悲惨さや下手に異世界という概念が実在するという事が、D×D世界において危険だと判断して情報の一切を異攻隊のみで補完し、関係者にも一切口外できない様に徹底的な緘口を敷くことになった。