〔イッセーSIDE〕
「―――そんな感じで人間社会の立場としてリアス・グレモリーとその眷属である塔城小猫と知り合った感じだ」
〘引っ越し早々問題の火中に入るとはな…。まあ、お前らしいか〙
俺は昨日起きたことを自分の部屋に設置した[異攻隊]専用の端末で上司であるオヤジに連絡で報告していた。
あの時介入したのが一般人だけだったら報告の必要は無いけど、この町の異形関係を管理している責任者2人の内の独りであるリアス・グレモリーとその眷属である塔城小猫であれば報告の必要があるからな。
働く大人は報連相が重要ってことだ。
「相手は異形とは関係のない一般人だから問題は大きくはないな。まあ、塔城小猫にクソみたいな理由で絡んだ報復は大きいみたいだけど」
〘俺もそれを調べて知った―――まさかの無期懲役とはな。十中八九リアス・グレモリーが介入して罪を重くしたようだな〙
「職権乱用―――でもないか。あの一般人、明らかにいちゃもん付けて違法ポルノか臓器売買をやるつもりだったみたいだからな」
〘人間にもそういうクズが未だに蔓延っているとはな。まあ、そこは俺達ではなく表の治安維持部隊に任せよう〙
「そうだな。というか一応の保険として俺は駒王町に住んでいる事になっているけど―――リアス・グレモリーともう1人、その2人の眷属達に何かない限りは何もしなくて良いって事か?」
〘ああ。それがどうかしたのか?〙
「いや…。流石に事が起こる以外にニートライフってのは流石にきついというか…」
〘ワーカホリック過ぎないか? 表向きは任務だが実際は休暇なんだぞ?〙
「それはわかるんだけど…。流石に仕事せずに鍛えて趣味ばかりだけやるのはなんかなぁ…」
趣味もちゃんとあるけど、今後何も仕事をせずに鍛えて趣味をやり続けるとなんかダメになりそうな気がして落ち着かないんだよな。
本当はゆっくりスローライフってのがオヤジやおふくろ、クレアの望みなのはわかってる。
でも、なんか働いていないと落ち着かないんだよな。
趣味に関しても性欲が絡んでいるから一日中没頭できるわけでもないし。
〘本当に真面目だな。まあ、その真面目に加えて誠実さもあるからこそ俺達があるって事を考えるなら―――[駒王町]を出ない限りはバイトくらいはしていいぞ〙
「バイトかぁ…[はぐれ]*1関係の討伐とかは―――」
〘自重しろ。それは[駒王町]の異形関係を管理する彼女たちの仕事だ。まあ、捜索とかせずに偶然遭遇したり、被害者が殺されそうならやってもいい〙
「お、流石オヤジ!」
〘だが、その際はお前の偽装身分を彼女達に明かして異形関係者として名乗り出ろよ?〙
「良いのか?」
〘俺達[異攻隊]は時が来るまで存在しない部隊として扱われている。異形の連中には俺達が何人いて、どんな力を使って戦っているのかもわかっていないからな。今更力を振るったところでお前が都市伝説の[異攻隊]であると判明するのは不可能だ〙
「なるほど。ていうか、時が来るまで存在しない部隊って事は、いずれ公表するって事なのか?」
〘ああ。少し前から天照と会談を続けていてな―――先ほど決まった〙
「その時ってのは?」
〘少なくとも現存している異形勢力の中で3つの勢力が和平を結んだ際だ〙
「それって本当に実現するのか? はっきり言って無理な気がするけど…」
聖書の三大勢力は冷戦状態とは言え、小さい小競り合いをバンバンしている。
日本神話勢力以外の神話や伝承の勢力は基本的に「他の神話滅べ」だの「我々で世界を滅ぼし新しい世界を再創する」なんて連中ばかりだしな。
〘まあ、実現はほぼ無いとみて良いだろう。ちなみに公表する際は都市伝説と略称だけは名前も同じだ。
「そうか。でも正体を明かす際はどうする? 普通に対異形武器を持った[日本神話治安維持部隊]の特務員としていれば大丈夫か?」
〘ああ。最悪武器だけじゃ強すぎる理由が無いと疑われるのなら現赤龍帝と名のれ。お前があの
「でも、今は神器じゃなくて俺が持つ権能の1つになっているから、相手が神器の専門家だとやばいんじゃ…」
〘そこは実際に受け継いだ内容にフェイクを入れてやれば問題ない。
「それで行けるのか?」
〘天照と俺がお前の証言をもとに口裏を合わせるから問題ない。幸い、そういう覚醒をする事件は過去に山ほどあるからな〙
「俺達が秘密にした事件とか?」
〘ああ。その中で明かせるものは何件かある。例えば京都での[万鬼夜行事件]*2とかな?〙
「あの事件か…。
〘お前も連絡できるならしておいた方が良いんじゃないか? 特に八坂姫には滅茶苦茶気に入られているみたいだしな。それにお前だって結構好みの見た目じゃないか?〙
「まあ、俺の好みにばっちりなのはわかるけど、立場上あまり深く関わるのはよくないと思うけど…」
〘それも俺達が現状の[異攻隊]であればの話だ。ていうか、
笑いながらそう言うオヤジ。
「どうだろうな…。俺はそういう想いに応えて良いのか分からないからな」
オヤジの言っている事は間違ってないし、少なくとも八坂さんを含めた3人の女性に異性としての好意を抱かれているのは自覚している。
しかし、俺は存在しない極秘部隊の隊員であり既に兵藤一誠という人であり赤き龍の帝王の力をもった[
[日本神話]に蔓延る異形犯罪者を公的に処罰せずに、犯罪が証明された際にその全てを抹消してきている。
勿論そういう事は一切証明されない様におふくろやオヤジを中心に徹底的な裏工作をしてある問題はないだろう。
でも―――こんなことをしている俺が異性と恋愛して良いのだろうかと思ってしまう。
クズが似合う犯罪者共、助けられなかった被害者達の流血に染まったような俺が家庭をもって幸せにしてやれることができるのか。
趣味でエロ本とか性癖に関する作品とか楽しんでいるけど、それは性欲からくる趣味で恋愛での異性との関りは違うからな。
〘流石に俺達が非公式で居る限りは恋愛とか家庭を持つのはNGだが、さっきも言った通り公的部隊になれば問題ないだろう?
「まあ、考えておくよ」
俺は話を切り上げた。
その後は適当に別の話題に関して雑談して通信を切った。
◎
駒王町に引っ越してからかれこれ1ヵ月経過した。
街そのものは平和。
俺が対応する対象であるリアス・グレモリーともう1人の上級悪魔。
そして双方の眷属悪魔にこれと言って危険な様子も無い。
まあ、その2人がこの町で異形関係の管理業務をやっている詳細は伏せられている。
表向き出されているのは若い上級悪魔が2人で異形関係の土地管理業務をしている事くらいだ。
まあ、バレたらバレたで2人が対処できるのなら俺は出張る事はない。
出張るとすれば2人が現在敵対中の[天界・教会]と[堕天使]。
それと初代魔王の血族達が襲撃してくるくらいか。
まったく…敵対勢力ならまだしも悪魔は身内同士の争いが絶えないよな。
血統があーだこーだとかいっているが、結局魔王は悪魔において頂点でなければならない。
もちろんただ強いだけではなくて、外交性や人柄なども考慮されて選ばれている。
そういう意味で現四大魔王の内の3人は初代魔王の血族ではない。
残りの1人は初代魔王の血族であり、魔王になるべく他の初代魔王の血族と比べて強くなるためにかなりの修練をして手に入れている。
他の初代魔王の血族は血統があるから努力は必要ないだのいって過去の栄光―――それも先祖の栄光を笠に着て何もしてこなかった連中ばかり。
そんな中で努力家が生れているんだから、そいつを見習ってほしいもんだよ。
「ん?」
そう考えながら散歩を続けていると、目の前にとある看板が目に入った。
―――駒王神社は10m先です。
「寄ってくか」
俺は看板の案内通りに歩く。
そしてついた先は大きめの鳥居に長めの威厳を感じる石造りの階段。
日本にある他の神社と比べて神聖な気配はないが、何処か安心できる雰囲気を感じる。
「悪魔が住めるように
[天界]に属する教会の施設もそうだが、こういった神事や神を祀る施設は魔がや不浄が根源である存在は入れない。
日本の寺や神社も例外ではいけど、この町にある神社だけは常に[悪魔]などの魔がや不浄が根源である存在が入れるようになっている。
まあ、危険な侵入者が入ってきたら知らせたり迎撃する結界は張られているけどな。
俺は階段を上っていく。
こうやって神にまつわる施設に入るのは1年ぶりだったな。
確か―――天照の前任である“
そして階段を上り切った先に見えたのは入り口と同じサイズの鳥居と割と広めな境内と本殿、隣には人が済む用の和風デザインの一軒家がある。
鳥居の中央には[駒王神社]と綺麗に刻印されたものがある。
境内の雰囲気は日本にある神社や寺とはちがう。
神聖というよりも安らぎを感じるな。
そう心の中で感想を述べながら本殿前にある賽銭箱前までくる。
折角だし軽く挨拶するか。
まずは入り口にある手水舎に戻って両手を清める。
そして賽銭箱前位まで戻って財布を取り出し小銭を確認―――って500円硬貨しかない…。
本当は5円硬貨とかが良いんだけど、昨日の買い物で100円硬貨以下の硬貨を全部使ったんだよな。
因みに買ったのはエロ本で俺が購読しているおっぱいとケツ、ふとももがデカく良い感じにエロく描写されていてアンダーヘアーが濃いエロ女優の自家発電特集だ。
二次元なら本番モノとかいけるけど、三次元なら自家発電一択だ。
三次元の息子なんざ自分以外見たくないしな!
因みに三次元は無修正で二次元は黒海苔派だぜ!
っと、神様がいないとはいえ煩悩を出しすぎたな。
俺は500円硬貨を取り出し賽銭箱に優しく投げ入れる。
鈴があるので取り付けられている紐を揺らし、そのまま2回深くお辞儀をする。
そして頭を上げた後は胸のあたりで二拍手。
―――今の
神は祀られていないけど自分が祈りたいことを祈る。
そして最後にもう一度深くお辞儀をした。
さて、本当ならここの住人の様子を少し見ておこうかと思ったけど今は留守みたいだから良いか。
俺はそのまま境内を出るように階段を降りる途中―――容姿が似た2人の女性が階段を上っていた。
黒髪を高めの位置でまとめたポニーテールに、雰囲気は2人ともTHE大和撫子な美人。
顔もとても似ていて、強いて違うと言えるのは目の色、着ている服、ポニーテールの長さとそれを纏めているリボンの色位だな。
1人は一般的な長さの黒髪ポニーテールを紺色で纏めており、目の色は黄色で巫女服を着た女性。
もう1人は足首まで届きそうな長さのポニーテールを橙色のリボンで纏めており、目の色は紫色。
着ている服はリアス・グレモリーと塔城小猫が俺と会ったときに着ていた駒王学園の制服だ。
2人は俺も利用しているスーパーの袋を使って買い物をしてきたようだ。
そして、2人が境内から降りてくる俺に気づいた様子を見せた。
「こんにちわ」
「こんにちわ」
「どうも」
2人が挨拶をしてきたので軽く返すと、巫女服を着た人が話しかけてきたので足を止める
「もしかして、先ほどまで参拝していたお客さんですか?」
「そんな感じです。1カ月前にこの町に越してきまして、町を覚える感じで散歩していたらこの神社が近くにあると勘がんがあったので寄った感じですね」
「そうだったんですね。神社はどうでしたか?」
「良いところです。なんだが安心というか安らぎを得られるってかんじで良い神社ですかね」
「ありがとうございます。この神社は6時から18時まで解放しているので気軽に来てくださいね」
「はい。またの機会に」
俺は簡単な社交辞令を言ってそのまま階段を降り始めると―――
「あの」
突然呼び止められた。
俺は振り返ると、2人がなにやら怪訝な表情で俺を見ていた。
あ、もしかして感づかれたか?
とにかく軽く対応しておくか。
「どうかしましたか?」
「あ、すみません。貴方の背中がつい昔私達家族を救ってくれた恩人に似ていたもので」
「そうなんですか。困っている人を助ける存在に似ていると言われるのは光栄ですね」
「すみません。個人的な事情で呼び止めてしまって…」
「いえいえ。恩人に似ているともなればそう声掛けするのは仕方ないですよ」
「お気遣いいただきありがとうございます。私達にとってその恩人は、名乗らず正体も明かさず私達の安全が確保されるまで助けてくれた大恩人です。私の娘も大変お世話になりましたので」
「はい。あの方にはちゃんとお礼を言いたいですわ」
学生服を着た人が母親に続くように言う。
「いつか、ちゃんと言えるようになると良いですね。それでは」
俺はそう返事をして同じペースで階段を下りる。
少しだけ危なかったな
隠れて様子を見ておくつもりが鉢合わせ。
しかも俺が[異攻隊]の1人というか、あの時あの2人を助けた当人だって勘づかれかけた。
因みにあの2人の事は駒王町に来る前から―――[異攻隊]として活動してある程度経過した時に[
巫女服を着た女性が“
学生服を着た女性が“
その時の任務はその2人の血族である[姫島家]*7が、異形と交わり子を成したってことで、
本当なら当人同士で解決すべく問題で[異攻隊]が関わる問題じゃないが、既に姫島朱璃は[姫島家]から籍を外しているし、結婚相手の堕天使は異形世界でも[神の雷光]と畏れられた堕天使。
そういう理由で、下手に2人に危害が加わると[日本神話]と[神の子を見張る者]との全面戦争になりかねない事から[異攻隊]案件であると判明。
あの時は[姫島家]の暗部からあの2人を護る為に三日三晩戦い続けたうえに、ようやく助けに来た大黒柱たる堕天使とその部下達に襲撃者と勘違いされて戦闘がさらに続いて死にかけた。
オヤジが助けてくれなかったら死んでいた可能性が高かったなぁ。
まあ、そういう出来事があるから正体を隠していたとはいえ雰囲気だけでも覚えているもんなのか?
ま、他人の空似って事で流せたから良いか―――あ、でも正式に[異攻隊]発足したら普通にバレるんじゃないか?
ま、オヤジとおふくろが何とかしくれるから大丈夫か。
とりあえず今をエンジョイするためにバイト探しをしなくちゃな。
次回から本編が始まります。