〔語り部SIDE〕
イッセーと彼が助けた男子生徒が公園から去ったその後すぐ。
出現していたグレモリー家の家紋が中心とした魔法陣から駒王学園の制服を着た4名の学生が悪魔式の転移魔方陣から出現した。
1人目は長い紅色を腰まで伸ばし、ターコイズ色の双眸に年上な雰囲気の西洋美少女。
2人目は黒髪をオレンジ色のリボンでまとめた膝まで伸ばしたポニーテールに、紫色の双眸に1人目と同じく年上な雰囲気ではあるが和風の美少女。
3人目は金髪のショートヘアーに灰色の双眸、眼つきが鋭い西洋風の美青年。
4人目は白髪ミディアムヘアーに金色の双眸、小柄な体格で無表情でありながら可愛さがある美少女。
「堕天使式の術式が発動したのを感知して来てみれば―――後の祭りの様ね」
紅髪長髪の女子学生がそう呟く。
「そうですわね。軽く探知をかけてみましたが堕天使がこの公園で[
黒髪ポニーテールの女子学生が手元に悪魔式の術式を展開しながら紅髪の女子学生にそう報告した。
「堕天使が侵入は知っていましたが、まさか力を行使するとは…。向こうの侵略行為でしょうか?」
金髪の鋭い目つきの男子学生が腰に帯刀した西洋の両刃剣に手をかける。
「“
紅髪の女子学生が金髪の鋭い目つきの男子生徒―――祐斗を宥めるように言葉を吐いた。
「…では、私はにおいなどの残滓を探ります」
「ええ。お願いね“
紅髪の女子生徒は白髪の女子学生―――小猫の具申を聞き入れる。
「“
「はい、“部長”」
「わかりました」
紅髪の女子生徒―――部長は黒髪ポニーテールの女子学生―――朱乃はこの場の公園に人払いの結界を展開し調査を始めた。
部長と祐斗も公園内に物的証拠がないか捜索を始め―――2時間後。
「部長。私の方で悪魔と堕天使の両方で調査してみました。結果的にこの場で堕天使―――強さでいおえば[中級クラス]といったところでしょうか。他には人間が1人居合わせているみたいですわ」
「ありがとう朱乃。小猫は?」
「…匂いの残滓からみて朱乃さんと同じ感じです。ですが戦闘をした感じがしません」
「血の匂いとかそういうのが無いって事かしら?」
「…はい。血どころか攻撃をしたであろう堕天使の攻撃による余波の形跡もありません」
「私も同じですわ。確かに堕天使は[光力]を使って攻撃したのは残滓で確認できました。ですが、その後の形跡が一切ありませんわ」
「やっぱりね…。私と祐斗も物的証拠がないかと探してみたけど一切なし。それどころか堕天使の他に他であろう人間の同行が一切つかめないのよ」
「足跡が一切ありませんでした。明らかに不審な点が多いいです」
部長に続き祐斗がそう意見を述べる。
「堕天使と人間がいて、堕天使は攻撃をしたのはわかってもその後の形跡はなし。相対した人間が反撃したり逃げた形跡もない―――そうなると可能性は二つね」
「1つは人間側が堕天使よりも上手で証拠を残さずに立ち去ったとかですわね?」
「そうね朱乃。でも、そうなると堕天使の人払いの結界に入った理由にならない。たとえ人間が中級クラスの異形を簡単にあしらえる神器所持者か異能持ちだとしたら、わざわざ堕天使の罠に入るなんて意味がないのも」
「そうなるともう一つは―――
祐斗がそう言い部長は頷いた。
「人間は未覚醒の神器所持者で堕天使は中級クラスの実力者。そして堕天使は神器所持者の人間を堕天使の仕事である未覚醒であり制御できないと判断された人間の排除を人よけの結界を使用して実行。人間は殺されそうになったが、間一髪で中級クラスを意に返さず、この場に証拠を残さず殺されそうな人間を堕天使に気づかれずに救出した」
「そんな存在がこの町に来ているのでしょうか? 少なくとも私体にそういった実力者が来れば[日本神話]の方から連絡があるはずですが…」
「ええ。本来であればね」
「まさか…部長を狙った暗殺者とかですか?」
「だとしたら人間を助けるなんて正体を露呈させる行為なんてしないわ祐斗。現に私達に察せられているもの。そもそもそういう介入が無いように日本神話と魔王様が色々と工作しているしね」
「…そしたら誰がこの町の人間を助けたのでしょうか?」
小猫の疑問に部長は空を見上げながら口を開く。
「そんな事をする強者は―――[異攻隊]しかいないわ」
部長の言葉に祐斗と小猫は小さく驚き、朱乃は二人よりも大きく驚いた。
「[異攻隊]ですか…ですがその存在は都市伝説なのでは?」
「…祐斗先輩のいう通りです。[異攻隊]がいるという証拠としてあるものは全て事故死や現地の[日本神話]所属の戦闘員が解決しています」
「そうね。[異攻隊]がいたという確実な証拠はないわ。でも、その都市伝説に結び付いた事件に関して明らかに[日本神話]に都合がよく、外交的な力を強くする要因ばかり。状況証拠は確実にそろろっているわ」
「そうですわね」
部長の言葉に朱乃はどこか懐かしむような表情をした。
「とりあえず、ダメもとで日本神話の方にこの町に中級クラスの異形を簡単にあしらえる存在が町の住人を堕天使から助けた可能性があると報告、そして町にいるのならお礼や顔合わせをしておきたいとお願いを入れておきましょう」
「部長の意見に賛成ですわ」
「正体不明の存在が[異攻隊]であるかは良いとして、中級クラスを簡単にあしらえる存在は気になりますね」
「…私達にとって言い方であると良いですね」
「とにかくこの件は
部長はそう言葉で締めて朱乃に結界の解除と同時に、現場から悪魔式の転移魔方陣で仲間と共にその場から消えた。
〔語り部SIDE OUT〕
◎
〔イッセーSIDE〕
堕天使に襲われた男子生徒を助けた後、[異攻隊]の拠点に連れて行き事後処理の為にオヤジにこの事を報告した。
「―――っというわけで、この後の事後処理をお願いしたいんだけど…」
「はぁ…」
報告して最初に聞いたのはオヤジのため息だった。
この光景は何度も見た。
そして、このため息は「またお前は事件に首を突っ込んだな…」って思っている。
「毎回そうだが、お前は厄介事に愛される運命なのか?」
「そんなわけ……そんな…訳…。あるかもしれない」
「まったく。休暇を与えて2年は平和でこのままお前の連続休暇最高記録を更新し続けると思ったが…」
「なんだよ…その連続休暇最高記録って…」
「お前に休暇を与えて、その休暇が長続きした記録だ。
「そんな事あったけ?」
「ああ。休暇を与えてお前がショッピングモールで買い物を始めて1時間後に[
ああーあの時か。
確かサタナエルのクソ野郎が創ったプロトタイプの[
あの時の俺はちょうど[神器]を破壊されたと同時に奴から能力だけを奪って別の存在に進化して新しい力を手に入れたばっかの時だったな。
俺としても目覚めたばかりの力を実戦かつこの世界の異形と戦う場面で少しだけ加減ミスって証拠になる襲撃者と[人工神滅具]を跡形も無く消滅させちゃったんだよな。
まあ、すぐに対処したおかげで一般人や一般人として暮らす異形の死亡者は0だったから結果オーライだった。
「いや、あれってサタナエルの糞野郎が原因で俺には非はないんだけど…」
「だとしてもだ。折角平和に馴れさせようとしても1日2日でトラブルに巻き込まれるように首を突っ込んでは最良の解決をしていく。いや、組織として良いんだがな……」
「もうあきらめたらどうだ? まあ、今回は俺がやったってばれないようにちゃんと[ステルス・ペネレイト]で一切存在悟らせない様にしたから問題ないだろ?」
「ああ。でも向こうは相当優秀なようだぞ?」
そういいながらオヤジは座っている机の立体ディスプレイを俺に見えるように反転。
そこに書かれていたのは報告書。
制作者は―――リアス・グレモリーだ。
私とソーナ・シトリーが異形関係を駒王町で堕天使の不法行為及び不法侵入をしていた形跡有。その形跡に堕天使による神器所持者襲撃が行われておりました。
ですがその襲撃は失敗に終わっており、襲われた者は日本神話に認めらている者に救出、この報告が上がる前後のタイミングでそちらに身柄が預けられている事でしょう。
そして、少なくとも中級クラスに存在を気づかれない様に人間を救出できる実力者が町にいる可能性があります。
しかし、その様な実力者が駒王町に住んでいる報告や異形関係者の住人データにありません。
本部でそれらに該当する人物が町に住んでいるか潜入しているので該当する人物が日本神話に居るのであれば管理者として礼をしたいので紹介をお願いします。
っと書かれていた。
えーと、つまり…これって…。
「あまりにも証拠が無さすぎて、お前が連れて来た男子生徒を助けた事が速攻でバレたぞ」
「えぇ…なんでバレるのぉ……」
俺はその場で両手をついて落ち込んだ。
ステルス・ペネレイトで完璧に隠れたはずなんだけど!?
「言っておくがリアス・グレモリーとソーナ・シトリーは2人でやっているとはいえ異形管理に関しては毎回最高評価だぞ? 今回の件よりも前は正規の手続きを踏んでない異形関係の侵入者もだしてないしな」
「報告書を見る限りじゃ、形跡を残さずに助けたのがあだになった…あれ、でも形跡を残して助けても普通にバレるよな…。もしかして詰んでる?」
「そういうのは俺達がチームで動いているから今まで都市伝説の[異攻隊]が都市伝説のままであり、俺達が介入した証拠を一切残さずにいれたんだ。お前だけじゃ彼女達にかかれば特定されるのは当たり前だ」
「最近の学生は優秀ですな…」
そういえば、俺が男子生徒を助けた時点で第三者が居るのはわかるよなぁ。
未覚醒の…それも今まで異形と関りが無い一般人が中級クラスの異形から助けなしに生還できる可能性は無いに等しいし。
「というわけでお前を偽装身分である特務員としてリアス・グレモリーに紹介する事が決まった。今日にてお前の隠居休暇生活は終わったというわけだ―――はぁ…」
呆れた口調でオヤジにそういわれる。
まあ、オヤジやおふくろ、クレアは俺を休ませたいのはわかる。
ちゃんと俺を休ませて、1人の生きる存在としていて欲しいってのは言われているからな。
「なんか…ごめん」
「結果的に殺される一般人を助けられたから良いんだ。そういうのを見逃してまでお前に平穏を強制するなんざ思ってないしな」
「流石オヤジ」
「これからはお前は一般人ではなく異形関係者。少なくとも[勢力長クラス]*2の実力者であり、権力は勢力の長と対等という立場になる。何かあればリアス・グレモリーとソーナ・シトリー、その双方の眷属達が対処できないことがあれば助けてやれ」
「こういう状況になると思っていたから問題ないぜ。まあ、その2人は優秀だから俺の出番何てないに等しいかもな」
「そういう事を言うと、本当に事件が起きるからやめてくれ…」
「大丈夫だって。ちゃんと平穏に生きて日常を謳歌してくるよ」
「頼むぞ」
そんなこんなで堕天使の女に襲われた男子生徒を助けた日に駒王町の異形管理者の独りであるリアス・グレモリーに俺というよりかは勢力長クラスの存在が町に住んでいる事は判明してしまった。
お陰で一般人として過ごして来た時期は終ったが、結果的には俺も動きやすくなるから良いことだろう。
そして明日はリアス・グレモリーと会う事になった。
こういう時って何かお土産とか持って行った方が良いよな…。
相手は悪魔という勢力でも貴族。
しかも[元七十二柱]に連なる公爵家の令嬢で次期当主。
そうなると何もないのは失礼だな……。
八坂さんに京都で発売している高級和菓子セット頼むか。