そして、さらに担当官のことを信頼して、懐いて、一緒にいる様子の動画を投稿した時の
海防艦・犬島/藍島
――名前まで兄じゃないですか――
広報担当官、初めて実名を公開した結果
※メインストーリーとは別世界線
広報担当官。
身長、約百八十センチ。
若い。
整った顔立ち。
黒に近い濃い髪。
犬島。
藍島。
二人の近くにいることが多い。
疲れて寝ていれば起こさず休ませる。
困っていれば手伝う。
忘れ物があれば気づく。
食べきれない昼食を渡されれば文句を言いながら食べる。
二人が広報室周辺をうろうろしていても追い払わない。
そして。
犬島と藍島本人からも。
かなり。
懐かれている。
ただし。
本人。
毎回。
言う。
«「俺は犬島と藍島の兄じゃないぞ」»
そのたび。
視聴者。
«「はいはい」»
犬島。
藍島。
«「はい」»
本人。
«「その返事信用してないからな」»
そんな状態が。
もう。
数か月。
続いていた。
しかし。
一つだけ。
公開されていないものがあった。
名前。
---
一 視聴者の疑問
これまで。
動画字幕。
『呉鎮守府広報担当官』
SNS。
『広報担当より』
それだけ。
名前。
なし。
階級。
必要以上には公開せず。
年齢。
非公開。
視聴者。
当然。
気になる。
«「担当官って名前ないの?」»
«「もう準レギュラーなのにずっと広報担当官」»
«「犬島藍島より動画出てる回あるぞ」»
«「そろそろ名前くらい知りたい」»
«「兄(仮)」»
担当官。
最後のコメント。
見つける。
「仮まで付いたのか……」
撮影補助。
「名前出します?」
「必要ある?」
「一般公開広報の職員紹介やるでしょう」
「まあ」
「そこで出せばいいんじゃないですか」
担当官。
少し考える。
「別に隠してるわけでもないしな」
この判断。
後に。
本人。
少し。
後悔する。
---
二 職員紹介動画
呉鎮守府公式。
通常広報。
企画。
『鎮守府で働く人たち』
整備担当。
港務担当。
通信担当。
給養担当。
そして。
広報部。
カメラ。
広報室。
担当官。
机。
仕事。
している。
撮影補助。
「では、自己紹介お願いします」
担当官。
「今さら?」
「今まで名前出してないので」
担当官。
カメラ。
見る。
そして。
何でもない。
ように。
言った。
«「呉鎮守府広報部の、犬飼藍人です」»
字幕。
『呉鎮守府広報部 犬飼 藍人(いぬかい あいと)』
担当官。
そのまま。
「主に映像広報、印刷物、一般公開関係、沿岸訓練周知などを担当しています」
普通。
説明。
続ける。
撮影補助。
カメラの後ろ。
妙に。
静か。
担当官。
気づく。
「何」
「いや」
「何だよ」
撮影補助。
「名前、すごいですね」
担当官。
「何が」
「犬飼」
「うん」
「藍人」
「うん」
撮影補助。
「犬島」
担当官。
「……」
「藍島」
担当官。
「……」
数秒。
沈黙。
担当官。
«「偶然だぞ」»
---
三 犬島と藍島も初めて聞く
実は。
二人。
これまで。
担当官を。
ずっと。
「担当官さん」
と呼んでいた。
書類上。
名前。
見たこと。
あっても。
ほとんど意識していなかった。
動画公開前。
試写。
犬島。
藍島。
広報室。
一緒。
見る。
担当官。
画面。
«「犬飼藍人です」»
犬島。
止まる。
藍島。
止まる。
犬島。
担当官。
見る。
画面。
見る。
また。
担当官。
見る。
「担当官さん」
「何」
「犬飼さんなんです?」
担当官。
「そうだけど」
藍島。
「藍人さん?」
「そう」
犬島。
少し。
目。
細める。
「……」
藍島。
同じ。
「……」
担当官。
「何だよ」
犬島。
「名前まで寄っとりません?」
担当官。
「俺に言うな」
藍島。
「姓に犬」
犬島。
「名前に藍」
二人。
同時。
「……」
担当官。
「俺が付けた名前じゃないぞ」
---
四 三人並べてみる
撮影補助。
ホワイトボード。
書く。
犬島
藍島
犬飼 藍人
三人。
見る。
担当官。
「やめろ」
撮影補助。
「いや、確認です」
犬島。
「犬が二つ」
藍島。
「藍も二つ」
担当官。
「島は俺にないだろ」
撮影補助。
「そこが人間要素では」
担当官。
「何だ人間要素って」
犬島。
少し。
笑う。
「兄ですね」
担当官。
即。
«「俺は犬島と藍島の兄じゃないぞ」»
藍島。
「でも名前まで」
「偶然!」
犬島。
「顔も雰囲気似とるって言われて」
藍島。
「名前も近くて」
犬島。
「いつも一緒で」
担当官。
「列挙するな」
---
五 公開
動画。
公開。
広報担当官。
初めて。
名前。
出る。
開始。
十二分。
字幕。
『犬飼 藍人』
コメント欄。
一瞬。
静か。
その後。
爆発。
«「待て」»
«「犬飼?」»
«「藍人?」»
«「犬+藍!?」»
«「公式やりすぎだろ」»
«「名前まで兄じゃん」»
«「犬島の犬+藍島の藍を一人で持ってる男」»
«「どういう偶然だよ」»
---
六 最大のコメント
一位。
«「犬島、藍島、犬飼藍人。もう誰が見ても三兄妹。」»
二位。
«「名字に犬、名前に藍。兄が妹二人の名前を一文字ずつ持ってるみたいで出来すぎ。」»
三位。
«「今まで兄扱いされて名前伏せてた人が、名前出したら兄要素増えるのずるい。」»
四位。
«「広報担当官じゃなくて『犬飼さん』って呼べるようになったのに、逆に兄感増した。」»
担当官。
コメント。
見る。
頭。
抱える。
「だから偶然なんだって」
同僚。
「すごい偶然ですね」
「お前まで言うな」
---
七 犬島公式SNS
«広報担当官さんの名前が今回初めて公開されました。
犬飼藍人さんです。
うちの「犬」と、藍島さんの「藍」が入っとります。
今日までそこまで意識してませんでした。
コメントで「名前まで兄」とかなり言われています。
兄ではありません。
犬飼さんです。»
反応。
«「犬島が犬飼さん呼びしてる!」»
«「急に距離感変わった感じする」»
犬島。
«普段は担当官さんって呼びます。»
---
八 藍島公式SNS
«担当官さんの名前は犬飼藍人さんです。
「犬」と「藍」が両方入っとります。
うちも動画で改めて見て、ちょっと驚きました。
名前だけ見ると確かにうちらと近いです。
担当官さん本人は「偶然だ」とかなり言っています。»
担当官。
返信。
«偶然です。»
藍島。
«はい。»
犬島。
«分かっとります。»
一般。
«「この返事絶対分かってない」»
---
九 呼び方問題
翌日。
犬島。
「犬飼さん」
担当官。
振り返る。
「……何」
犬島。
少し。
笑う。
「呼んでみただけです」
「やめろ、変な感じする」
藍島。
「藍人さん」
担当官。
「お前もやめろ」
犬島。
「じゃあ担当官さん」
「それでいい」
藍島。
「兄さん?」
担当官。
「藍島」
犬島。
吹き出す。
藍島。
笑う。
担当官。
「面白がってるだろ」
「ちょっと」
「ちょっとです」
「二人とも反省しろ」
---
十 そして次の動画
名前公開。
数週間後。
今度。
月1特別広報。
企画。
『犬島・藍島の何も決めない一日』
仕込み。
ほぼ。
なし。
カメラ。
複数。
固定。
犬島。
藍島。
普段。
どうしているか。
撮る。
結果。
広報担当官。
犬飼藍人。
出演。
予定。
ほぼ。
なし。
だった。
ところが。
編集。
すると。
やっぱり。
いる。
---
十一 朝
広報室。
犬飼。
机。
編集。
犬島。
扉。
覗く。
「担当官さん」
「何」
「ここおってええです?」
「静かなら」
「はい」
犬島。
入る。
窓際。
座る。
五分後。
藍島。
覗く。
「うちもええです?」
犬飼。
顔。
上げる。
「犬島いるぞ」
「見えます」
「じゃあどうぞ」
藍島。
犬島。
横。
座る。
犬飼。
仕事。
戻る。
二人。
静か。
---
十二 三十分後
犬飼。
仕事。
犬島。
読書。
藍島。
資料。
見る。
犬飼。
席。
立つ。
書類。
持って。
隣室。
行く。
犬島。
顔。
上げる。
藍島。
同じ。
数秒。
二人。
立つ。
犬飼。
廊下。
歩く。
後ろ。
犬島。
藍島。
ついてくる。
犬飼。
気づく。
振り返る。
「……何でついてきた」
犬島。
「何となく」
藍島。
「うちも」
「部屋で待ってればいいだろ」
犬島。
「戻ります?」
藍島。
犬島。
見る。
犬飼。
二人。
見る。
少し。
笑う。
「もういい。来い」
二人。
少し。
嬉しそう。
ついてくる。
コメント。
後に。
«「『もういい、来い』の兄感」»
---
十三 工廠
犬飼。
撮影位置。
確認。
犬島。
右側。
藍島。
左側。
歩く。
犬飼。
止まる。
二人。
止まる。
犬飼。
しゃがんで。
カメラ。
見る。
犬島。
隣。
しゃがむ。
藍島。
反対。
しゃがむ。
犬飼。
横。
見る。
「近い」
犬島。
「見えんので」
藍島。
「うちも」
「俺の肩越しに見る必要ある?」
二人。
「あります」
犬飼。
「何でそこだけ揃うんだ」
---
十四 昼
食堂。
犬飼。
先。
座る。
犬島。
隣。
藍島。
反対。
特に。
相談。
していない。
自然。
三人。
同じ。
テーブル。
時雨。
通る。
三人。
見る。
「もう席決まってるみたいだね」
犬飼。
「決まってない」
犬島。
「でもだいたいここです」
藍島。
「はい」
犬飼。
「お前らが来るんだろ」
犬島。
「嫌です?」
犬飼。
一瞬。
止まる。
「嫌じゃない」
藍島。
すぐ。
「じゃあ問題ないです」
犬飼。
「そういう結論になる?」
---
十五 午後、疲れる
午後三時半。
犬島。
午前。
点検。
午後。
訓練。
少し。
疲れている。
藍島。
同じ。
犬飼。
屋外。
ベンチ。
資料。
確認。
犬島。
来る。
無言。
隣。
座る。
藍島。
反対。
座る。
犬飼。
何も。
言わない。
数分。
犬島。
犬飼。
肩。
少し。
寄りかかる。
藍島。
反対。
同じ。
犬飼。
資料。
読みながら。
「寝るならちゃんと寝ろ」
犬島。
「ここでええです」
藍島。
「うちも」
犬飼。
「またか」
それでも。
追い払わない。
---
十六 寝る
犬島。
最初。
寝る。
藍島。
少し。
遅れて。
寝る。
犬飼。
真ん中。
動けない。
資料。
片手。
持つ。
右。
犬島。
左。
藍島。
犬飼。
二人。
見る。
「……」
カメラ。
少し。
離れて。
固定。
全部。
映る。
犬飼。
犬島。
髪。
撫でる。
藍島。
同じ。
小声。
「ほんとよく寝るな、お前ら」
犬島。
返事。
なし。
藍島。
なし。
犬飼。
少し。
笑う。
---
十七 さらに懐く
別の日。
犬飼。
立って。
同僚。
話す。
犬島。
横。
来る。
何も。
言わず。
犬飼。
制服。
袖。
軽く。
つまむ。
犬飼。
見る。
「どうした?」
犬島。
「別に」
「じゃあ何で袖持ってる」
犬島。
自分。
手。
見る。
「……何となく」
犬飼。
「そう」
特に。
振り払わない。
反対。
藍島。
来る。
犬飼。
反対側。
立つ。
犬島。
袖。
藍島。
隣。
犬飼。
同僚。
見る。
同僚。
笑い。
堪える。
「三兄妹だ」
犬飼。
「言うな」
---
十八 藍島の場合
犬飼。
広報室。
外。
電話。
藍島。
少し。
離れて。
待つ。
電話。
終わる。
犬飼。
「何?」
藍島。
「待っとりました」
「用事?」
「特にないです」
「じゃあ何で」
藍島。
少し。
考える。
「一緒に戻ろうと思って」
犬飼。
一瞬。
黙る。
「……そう」
二人。
広報室。
戻る。
途中。
犬島。
合流。
犬島。
「どこ行っとったんです?」
藍島。
「担当官さん待っとった」
犬島。
「ずるい」
犬飼。
「何がずるいんだ」
---
十九 三人で帰る
夕方。
仕事。
終わり。
犬飼。
広報棟。
出る。
犬島。
待っている。
藍島。
待っている。
犬飼。
「お前ら何してる?」
犬島。
「帰るところです」
「第一岸壁そっちだろ」
藍島。
「途中まで一緒です」
犬飼。
「……」
三人。
歩く。
犬飼。
中央。
犬島。
右。
藍島。
左。
視聴者。
後に。
大騒ぎ。
---
二十 動画公開
タイトル。
【公式】犬島と藍島、最近さらに広報担当官の近くにいる
サムネイル。
犬飼。
中央。
犬島。
右。
藍島。
左。
字幕。
『兄ではありません』
公開。
視聴者。
«「サムネから負けてる」»
«「名前公開後にこれ出すの強すぎ」»
«「犬島、藍島、犬飼藍人」»
«「三兄妹公式チャンネル」»
---
二十一 名前との相乗効果
動画。
犬飼。
«「もういい。来い」»
犬島。
藍島。
ついてくる。
コメント。
«「犬飼さんが犬島藍島を連れて歩いてる」»
«「文字にするとさらに兄」»
犬島。
犬飼。
袖。
つまむ。
コメント。
«「懐き方が進化してる」»
«「もう安心できる人の近くに自然と行ってる」»
藍島。
犬飼。
待つ。
«「用事ないのに待ってるの完全に懐いてる」»
---
二十二 昼寝場面
犬飼。
真ん中。
犬島。
右。
藍島。
左。
二人。
寝る。
犬飼。
両方。
頭。
撫でる。
字幕。
『約4分後』
犬飼。
まだ。
撫でてる。
コメント。
«「犬飼藍人という名前でこの映像は反則」»
«「犬島の犬、藍島の藍、二人の兄ポジション」»
«「名前公開前より兄にしか見えなくなった」»
«「本人だけまだ否定してる」»
---
二十三 担当官本人の反応
犬飼。
動画。
完成版。
見る。
長い。
沈黙。
編集担当。
「どうです?」
犬飼。
「……」
犬島。
袖。
持つ。
藍島。
待つ。
二人。
横。
寝る。
三人。
並んで。
帰る。
「前より懐いてない?」
編集担当。
「かなり」
犬飼。
「何で?」
「犬飼さんが追い払わないからでは?」
犬飼。
少し。
考える。
「別に邪魔じゃないからな」
編集担当。
「それです」
犬飼。
「何が」
「安心していい相手だと思われてる」
犬飼。
少し。
黙る。
そして。
画面。
見る。
「……まあ」
小さく。
笑う。
「それならいいか」
---
二十四 犬島の反応
犬島。
公開動画。
見る。
自分。
犬飼。
袖。
つまむ。
犬島。
顔。
少し。
赤くなる。
「これ撮っとったんです?」
藍島。
「かなり自然でしたね」
犬島。
「無意識でした」
犬飼。
横。
「何で袖持ったんだよ」
犬島。
「……近くにおるか確認?」
「手で?」
「はい」
犬飼。
「犬島」
「何です?」
犬飼。
少し。
笑う。
「別にいなくならないぞ」
犬島。
止まる。
その後。
小さく。
「はい」
---
二十五 藍島の反応
藍島。
自分が。
電話中の犬飼。
待つ。
映像。
見る。
「……」
犬飼。
「お前も用事なかったんだろ?」
「はい」
「何で待ってた?」
藍島。
少し。
考える。
「戻る時、一緒の方がええかなと思って」
犬飼。
「俺が?」
「はい」
犬飼。
少し。
困った。
ように。
笑う。
「そうか」
藍島。
「嫌でした?」
「だから嫌じゃないって」
藍島。
少し。
嬉しそう。
「なら次も待ちます」
犬飼。
「毎回はいい」
---
二十六 犬島公式SNS
«最近の動画を見ると、前より担当官さんの近くにおる時間が増えとるみたいです。
担当官さんの名前は犬飼藍人さんです。
名前までうちと藍島さんに似ていますけど、兄ではありません。
でも、近くにおると落ち着きます。
疲れた時に寝ても起こされません。
仕事の邪魔にならん範囲なら一緒におってええと言ってくれます。
なので、たぶんこれからも近くにおります。»
反応。
«「ついに宣言した」»
«「これからも近くにおります」»
«「完全に懐いてる」»
犬飼。
返信。
«仕事の邪魔だけはするなよ。»
犬島。
«はい。»
---
二十七 藍島公式SNS
«犬飼担当官さんの近くは居心地がええです。
犬島さんもよくおるので、担当官さんのところへ行けば二人とも見つかることがあります。
担当官さんが移動すると、何となく一緒に行くことがあります。
電話が終わるのを待ったり、仕事が終わるのを待ったりもします。
担当官さんは「俺は犬島と藍島の兄じゃないぞ」と言います。
はい。兄ではありません。
でもかなり頼りにしています。»
反応。
«「最後でもう全部」»
«「頼りにしてるって本人から言われるの嬉しいだろうな」»
犬飼。
«ありがとう。»
珍しい。
短い。
返信。
それだけ。
---
二十八 視聴者の反応
圧倒的。
一位。
«「犬島と藍島が『この人の近くなら寝ても大丈夫』って思ってる時点で信頼度がすごい。」»
二位。
«「犬飼藍人という名前が判明してから、犬島・藍島と並んだ時の三兄妹感が二倍になった。」»
三位。
«「兄かどうかは血縁の話なので兄ではない。でも関係性はもう兄。」»
四位。
«「用事がなくても近くに行く、移動すればついていく、疲れれば隣で寝る。懐いてる以外の説明がない。」»
五位。
«「担当官自身も『邪魔じゃないから』で全部受け入れてるのが良い。」»
そして。
一番。
三人らしい。
コメント。
«「犬島と藍島が犬飼さんを信頼して近づく。犬飼さんもそれを当たり前に受け入れる。だからさらに二人が近づく。ずっとこの循環になってる。」»
犬島。
いいね。
藍島。
いいね。
犬飼。
少し。
迷う。
最後。
いいね。
押す。
---
二十九 本人の公式コメント
«【広報担当・犬飼藍人】
名前の件については何度でも言いますが偶然です。
犬島と藍島が最近かなり近くにいることについては、今回の映像を見るまで自分でもあまり意識していませんでした。
二人が近くにいても業務上問題がない場合は、そのままにしています。
疲れて寝ている場合も、急ぎの予定がなければ起こす必要はないと思っています。
信頼されているのであれば、それはありがたいです。
ただし、
俺は犬島と藍島の兄じゃないぞ。»
反応。
«「最後だけ口調戻った」»
«「そこは譲らない」»
«「『信頼されているならありがたい』まで完全に兄なのに」»
---
三十 その日の夕方
広報棟。
犬飼。
仕事。
終了。
外。
出る。
犬島。
いる。
藍島。
いる。
犬飼。
「……待ってた?」
犬島。
「はい」
藍島。
「途中まで一緒に帰ります」
犬飼。
少し。
笑う。
「そうか」
三人。
歩く。
犬飼。
中央。
犬島。
右。
藍島。
左。
犬島。
「犬飼さん」
「何」
犬島。
少し。
考える。
「やっぱ担当官さんの方が呼びやすいです」
犬飼。
「俺もその方が慣れてる」
藍島。
「うちも担当官さんで」
「そうしてくれ」
藍島。
少し。
間。
「お兄――」
犬飼。
「藍島」
藍島。
笑う。
「言ってません」
犬島。
笑う。
犬飼。
「今言いかけただろ」
---
終章 名前を知っても
名前。
分かった。
犬飼藍人。
犬。
藍。
偶然。
二人。
名前。
近い。
視聴者。
喜ぶ。
三兄妹。
言う。
本人。
否定。
する。
でも。
名前。
知る前。
知った後。
犬島。
藍島。
すること。
ほとんど。
変わらない。
担当官。
広報室。
いれば。
近く。
行く。
歩けば。
一緒。
歩く。
止まれば。
横。
止まる。
座れば。
隣。
座る。
疲れれば。
寝る。
犬島。
時々。
袖。
持つ。
藍島。
用事。
なくても。
待つ。
犬飼。
それを。
追い払わない。
寝れば。
頭。
撫でる。
困れば。
助ける。
ただし。
視聴者。
兄。
言う。
そこだけ。
«「俺は犬島と藍島の兄じゃないぞ」»
犬島。
«「はい」»
藍島。
«「分かっとります」»
犬飼。
「……ほんとに?」
二人。
顔。
見合わせる。
少し。
笑う。
犬飼。
ため息。
でも。
そのまま。
三人。
歩いていく。
動画。
最後。
字幕。
『犬飼藍人――呉鎮守府広報担当官』
次。
『犬島・藍島との血縁関係:ありません』
さらに。
小さく。
『信頼関係:かなりあります』
犬飼。
試写。
見る。
«「最後の一行誰が入れた」»
撮影補助。
«「事実なので」»
犬島。
«「合っとります」»
藍島。
«「はい」»
犬飼。
二人。
見る。
しばらく。
黙る。
そして。
小さく。
笑った。
«「……まあ、それは否定しない」»