海防艦 犬島   作:重装甲空母信濃

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広報活動として犬島と藍島と担当官が宇野港に行きそこからJRの宇野みなと線、瀬戸大橋線に乗って岡山市街に行く話。そして担当官が高梁市出身であることを知る。
呉から宇野港までは犬島の実艦。
動画が投稿されるのは呉に戻ってからであり、偶然岡山で犬島と藍島と担当官に会うことができた人の反応があるとなお良い。


犬島藍島広報9

呉鎮守府特別広報

 

――犬島・藍島・担当官、岡山へ行く――

 

宇野港から宇野みなと線・瀬戸大橋線で岡山市街へ

 

今回の広報企画は、いつもの呉鎮守府内ではなかった。

 

目的地。

 

岡山県。

 

犬島にとっては、玉野造船とのつながりから最も強く「故郷」と感じている土地。

 

藍島にとっても、自分の建造記憶に玉野が残る土地。

 

そして、犬飼藍人にとっても――。

 

この時点では、犬島も藍島もまだ知らなかった。

 

犬飼自身も岡山県出身であることを。

 

---

 

一 今回の企画

 

広報室。

 

犬飼が企画書を机に置いた。

 

「次の月1広報だけど、外へ出ます」

 

犬島。

 

「どこです?」

 

藍島。

 

「また一般公開です?」

 

「違う」

 

犬飼は企画書の一番上を指した。

 

『海から鉄道へ――海防艦犬島・藍島と行く岡山県広報訪問』

 

犬島。

 

数秒。

 

止まる。

 

「……岡山?」

 

藍島も犬島を見る。

 

「玉野です?」

 

「最初は玉野」

 

犬飼。

 

「呉から宇野港まで犬島の実艦で行く。その後、宇野駅からJRに乗って岡山市内へ」

 

犬島。

 

一気に。

 

表情。

 

明るくなる。

 

「うちで宇野まで行ってええんです?」

 

「今回正式に許可取った」

 

「ほんまに?」

 

「ほんと」

 

藍島。

 

「うちは?」

 

「犬島に乗っていく」

 

藍島。

 

「犬島さんの艦に?」

 

犬島。

 

「ええですよ」

 

藍島。

 

少し。

 

嬉しそう。

 

「乗ります」

 

犬飼。

 

「俺も乗る」

 

犬島。

 

「担当官さんも?」

 

「そう」

 

犬島。

 

少し。

 

笑う。

 

「じゃあ三人ですね」

 

---

 

二 呉出港

 

当日。

 

午前六時四十分。

 

呉。

 

第一岸壁。

 

犬島実艦。

 

出港準備。

 

藍島の実艦は呉に残す。

 

今回は戦闘任務ではない。

 

広報訪問。

 

犬島自身が艦橋に立つ。

 

藍島。

 

艦橋横。

 

犬飼。

 

撮影機材。

 

持つ。

 

撮影補助も同行。

 

ただし。

 

今回は主カメラを犬飼自身が持つ時間も多い。

 

犬島。

 

「出ます」

 

犬飼。

 

「よろしく」

 

藍島。

 

「お願いします、お姉ちゃん」

 

犬島。

 

少し。

 

止まる。

 

「……はい」

 

離岸。

 

ゆっくり。

 

呉。

 

離れる。

 

---

 

三 犬島の実艦に乗る藍島

 

航海中。

 

藍島。

 

かなり。

 

興味深そう。

 

犬島の艦内。

 

見る。

 

犬島。

 

「そんなに見ます?」

 

「見ます」

 

「うちとあんまり変わらんでしょう」

 

「細かいところ違います」

 

犬飼。

 

カメラ。

 

回す。

 

「どこ?」

 

藍島。

 

「ここです」

 

機関監視。

 

補助表示。

 

「うちの方が少し後から変更された配置です」

 

犬島。

 

「そこですか」

 

藍島。

 

「あと点検口」

 

犬島。

 

「また点検口」

 

藍島。

 

「大事です」

 

犬飼。

 

後ろ。

 

小さく。

 

笑う。

 

犬島。

 

「今笑いました?」

 

「いや」

 

「笑いました」

 

「姉妹で艦内設備の点検口比較してるのが面白かっただけ」

 

藍島。

 

「大事ですよ?」

 

「分かった、分かった」

 

---

 

四 瀬戸内海

 

午前。

 

海。

 

穏やか。

 

犬島。

 

巡航。

 

約十二ノット。

 

藍島。

 

艦首側。

 

出る。

 

犬飼も。

 

撮る。

 

島々。

 

見える。

 

犬島。

 

「岡山側、見えてきました」

 

藍島。

 

少し。

 

身を乗り出す。

 

「あっち?」

 

「はい」

 

犬飼。

 

「落ちるなよ」

 

藍島。

 

「落ちません」

 

犬島。

 

「担当官さん、過保護です」

 

犬飼。

 

「カメラ持ってる時に事故起こされたくないだけ」

 

犬島。

 

「ほんまです?」

 

「ほんと」

 

藍島。

 

「兄みたいですね」

 

犬飼。

 

「今日はそれやらないぞ」

 

---

 

五 宇野港

 

午前十時前。

 

宇野港。

 

犬島。

 

ゆっくり。

 

入港。

 

犬島にとって。

 

特別。

 

土地。

 

海から。

 

玉野。

 

見る。

 

岸壁。

 

近づく。

 

犬島。

 

少し。

 

無言。

 

藍島。

 

気づく。

 

「犬島さん」

 

「はい」

 

「嬉しいです?」

 

少し。

 

間。

 

犬島。

 

«「……はい」»

 

接岸。

 

無事。

 

犬飼。

 

「おかえり、でいいのかな」

 

犬島。

 

宇野港。

 

見る。

 

少し。

 

笑う。

 

«「はい。ただいまです」»

 

藍島。

 

続く。

 

「うちも、ただいまです」

 

犬飼。

 

二人。

 

見る。

 

何も。

 

言わず。

 

少しだけ。

 

笑う。

 

---

 

六 ここから鉄道

 

犬島実艦。

 

宇野港。

 

係留。

 

港務。

 

管理。

 

確認。

 

三人。

 

徒歩。

 

宇野駅。

 

向かう。

 

犬島。

 

白い半袖水兵服。

 

濃紺プリーツスカート。

 

桃色。

 

花。

 

髪留め。

 

藍島。

 

ほぼ。

 

同じ。

 

藍色。

 

花。

 

髪留め。

 

犬飼。

 

私服ではない。

 

広報担当。

 

制服。

 

ただし。

 

撮影。

 

しやすい。

 

軽装。

 

三人。

 

港町。

 

歩く。

 

当然。

 

目立つ。

 

特に。

 

犬島。

 

藍島。

 

知られている。

 

でも。

 

公式。

 

今日。

 

どこにいるか。

 

発表。

 

していない。

 

---

 

七 最初に見つけた人

 

宇野駅前。

 

高校生くらいの二人組。

 

通り。

 

犬島。

 

見る。

 

一人。

 

止まる。

 

「……え」

 

友人。

 

「何?」

 

「犬島じゃない?」

 

「え?」

 

二人。

 

見る。

 

桃色の髪留め。

 

隣。

 

青い花。

 

さらに。

 

後ろ。

 

カメラ。

 

持った。

 

長身。

 

若い男性。

 

友人。

 

小声。

 

«「いや、あれ絶対三人だろ」»

 

「犬飼さんまでいる」

 

犬島。

 

気づく。

 

軽く。

 

会釈。

 

二人。

 

慌てて。

 

会釈。

 

犬飼。

 

その様子。

 

見る。

 

「もう気づかれたな」

 

犬島。

 

「そりゃそうでしょう」

 

藍島。

 

「隠れてませんし」

 

---

 

八 宇野駅

 

駅。

 

犬島。

 

券売機。

 

見る。

 

少し。

 

楽しそう。

 

犬飼。

 

「IC使えるぞ」

 

犬島。

 

「知っとります」

 

「ならいい」

 

藍島。

 

「担当官さん、うちらが鉄道初めてみたいに扱ってません?」

 

「そこまで言ってない」

 

犬島。

 

「ちょっと言っとります」

 

ホーム。

 

列車。

 

入る。

 

犬島。

 

じっと。

 

見る。

 

藍島。

 

同じ。

 

犬飼。

 

「二人とも海の時より集中してない?」

 

犬島。

 

「いつもと違うので」

 

藍島。

 

「自分で動かさん乗り物ですから」

 

犬飼。

 

「そこか」

 

---

 

九 宇野みなと線

 

宇野。

 

発車。

 

犬島。

 

窓側。

 

藍島。

 

反対。

 

犬飼。

 

二人の前。

 

撮影補助。

 

少し離れて。

 

カメラ。

 

犬島。

 

車窓。

 

見る。

 

港。

 

離れる。

 

街。

 

住宅地。

 

田畑。

 

変わる。

 

犬島。

 

「陸から見ると全然違いますね」

 

藍島。

 

「犬島さん、さっきからずっと外見てます」

 

「藍島さんもでしょう」

 

「はい」

 

犬飼。

 

「こういう広報動画、撮れ高あるのかな」

 

撮影補助。

 

「二人が普通に電車乗ってるだけであります」

 

犬飼。

 

「最近それで成立するから困るんだよ」

 

---

 

十 茶屋町で乗り換え

 

茶屋町。

 

到着。

 

ここで。

 

一度。

 

列車。

 

降りる。

 

犬飼。

 

「ここから岡山方面は瀬戸大橋線の列車に乗り換える」

 

犬島。

 

「同じ方向ですけど列車変えるんですね」

 

藍島。

 

「瀬戸大橋の方から来る列車です?」

 

「そう」

 

犬島。

 

ホーム。

 

見る。

 

「なんか不思議です」

 

犬飼。

 

「何が?」

 

「海から来たうちらが、今度は瀬戸大橋線で岡山へ行くの」

 

犬飼。

 

少し。

 

笑う。

 

「確かに」

 

---

 

十一 また見つかる

 

茶屋町。

 

ホーム。

 

中年。

 

男性。

 

一人。

 

犬島。

 

見る。

 

藍島。

 

見る。

 

犬飼。

 

見る。

 

かなり。

 

迷う。

 

最終。

 

犬飼。

 

近く。

 

来る。

 

「あの……」

 

犬飼。

 

「はい」

 

「もしかして……犬飼さんですか?」

 

犬飼。

 

一瞬。

 

驚く。

 

「俺から?」

 

犬島。

 

小さく。

 

笑う。

 

藍島。

 

「担当官さんから気づかれましたね」

 

男性。

 

「いや、二人も分かったんですけど」

 

犬飼。

 

「ですよね」

 

男性。

 

「動画、いつも見てます」

 

犬島。

 

「ありがとうございます」

 

藍島。

 

「ありがとうございます」

 

男性。

 

「今日は撮影ですか?」

 

犬飼。

 

「そのうち公開されると思います」

 

男性。

 

すぐ。

 

理解。

 

する。

 

「あ、じゃあ今は場所書かない方がいいですね」

 

犬飼。

 

「助かります」

 

男性。

 

「帰ってから楽しみにしてます」

 

この。

 

やり取り。

 

動画。

 

後。

 

少しだけ。

 

使われる。

 

---

 

十二 瀬戸大橋線で岡山へ

 

列車。

 

入る。

 

三人。

 

乗る。

 

犬島。

 

今度。

 

藍島。

 

隣。

 

座る。

 

犬飼。

 

向かい。

 

藍島。

 

窓。

 

指。

 

「犬島さん、あっち」

 

「何です?」

 

「田んぼ」

 

犬島。

 

「田んぼは見えます」

 

「広いです」

 

犬飼。

 

「岡山南部は平野だからな」

 

犬島。

 

少し。

 

犬飼。

 

見る。

 

「詳しいですね」

 

「そりゃまあ」

 

犬飼。

 

普通。

 

答える。

 

«「岡山県民だから」»

 

犬島。

 

「……え?」

 

藍島。

 

「……はい?」

 

犬飼。

 

「あ」

 

犬島。

 

完全。

 

犬飼。

 

見る。

 

藍島も。

 

見る。

 

撮影補助。

 

後ろ。

 

カメラ。

 

そのまま。

 

犬飼。

 

「言ってなかった?」

 

二人。

 

同時。

 

«「聞いてません」»

 

---

 

十三 担当官も岡山県出身

 

犬島。

 

「担当官さん、岡山なんです?」

 

「そう」

 

藍島。

 

「岡山市?」

 

「違う」

 

犬島。

 

「玉野?」

 

「違う」

 

藍島。

 

「倉敷?」

 

「違う」

 

犬飼。

 

少し。

 

笑う。

 

«「高梁市」»

 

二人。

 

「高梁?」

 

「そう。備中高梁の方」

 

犬島。

 

しばらく。

 

犬飼。

 

見る。

 

「ほんまに岡山県なんです?」

 

「なんで疑うんだよ」

 

藍島。

 

「だって今まで一回も」

 

「聞かれなかったから」

 

犬島。

 

「言ってくださいよ」

 

犬飼。

 

「自己紹介で出身地まで普通言わないだろ」

 

---

 

十四 三人とも岡山

 

藍島。

 

少し。

 

考える。

 

「じゃあ」

 

犬飼。

 

「何」

 

「犬島さんは玉野が一番故郷」

 

「はい」

 

「うちも玉野の建造記憶があります」

 

「うん」

 

「担当官さんは高梁」

 

「そう」

 

藍島。

 

少し。

 

嬉しそう。

 

«「三人とも岡山ですね」»

 

犬飼。

 

「まあ、そうなるな」

 

犬島。

 

窓。

 

見る。

 

岡山。

 

景色。

 

流れる。

 

そして。

 

小さく。

 

笑う。

 

「なんか」

 

藍島。

 

「はい」

 

犬島。

 

«「それ、ちょっと嬉しいです」»

 

犬飼。

 

犬島。

 

見る。

 

犬島。

 

いつもの。

 

「担当官さん」

 

ではなく。

 

少し。

 

感情。

 

大きく。

 

動いた。

 

«「……犬飼さんも岡山だったんですね」»

 

犬飼。

 

気づく。

 

少し。

 

笑う。

 

「今、名前になったな」

 

犬島。

 

「あ」

 

藍島。

 

「嬉しかったんですね」

 

犬島。

 

「藍島さん」

 

---

 

十五 犬飼と岡山駅

 

犬飼。

 

話す。

 

「高梁に住んでた頃、岡山市内へ出るなら岡山駅はよく通ったよ」

 

犬島。

 

「じゃあ今日、担当官さんにとっても帰ってきた感じあります?」

 

犬飼。

 

少し。

 

窓外。

 

見る。

 

「あるな」

 

藍島。

 

「高梁まで行きます?」

 

「今日は行かない」

 

「いつか?」

 

犬飼。

 

「広報企画になるなら」

 

犬島。

 

「行きたいです」

 

「なんで犬島が一番乗り気なんだ」

 

「担当官さんの故郷なので」

 

犬飼。

 

少し。

 

言葉。

 

止まる。

 

「……そうか」

 

---

 

十六 岡山駅

 

列車。

 

岡山駅。

 

到着。

 

三人。

 

ホーム。

 

降りる。

 

犬島。

 

上。

 

見る。

 

大きな駅。

 

人。

 

多い。

 

藍島。

 

犬島。

 

横。

 

つく。

 

犬飼。

 

後ろ。

 

「離れるなよ」

 

犬島。

 

「子供じゃないです」

 

藍島。

 

「でも人多いですね」

 

犬飼。

 

「だから言ってる」

 

藍島。

 

「兄ですね」

 

犬飼。

 

「今その話しなくていい」

 

---

 

十七 桃太郎像

 

駅前。

 

桃太郎像。

 

犬島。

 

止まる。

 

桃。

 

見る。

 

犬飼。

 

桃の花。

 

髪留め。

 

見る。

 

「犬島と並ぶと岡山感強いな」

 

犬島。

 

「そうです?」

 

藍島。

 

「写真撮ります?」

 

犬島。

 

「撮りたいです」

 

犬飼。

 

撮影。

 

犬島。

 

桃太郎像。

 

横。

 

藍島。

 

隣。

 

その後。

 

犬飼。

 

「俺も入るの?」

 

藍島。

 

「岡山県民なので」

 

犬島。

 

「高梁代表」

 

犬飼。

 

「代表ではない」

 

三人。

 

写真。

 

撮る。

 

後。

 

動画。

 

サムネイル。

 

候補。

 

なる。

 

---

 

十八 岡山市街を歩く

 

駅前。

 

市役所筋。

 

西川。

 

表町方面。

 

広報。

 

撮影。

 

目的。

 

単純な観光。

 

だけ。

 

ではない。

 

「海軍関係者が一般交通機関を使い、地域とどう接するか」

 

「犬島・藍島が自分たちと関係深い岡山を陸側から見る」

 

それを。

 

撮る。

 

犬島。

 

街。

 

看板。

 

見る。

 

藍島。

 

路面電車。

 

見る。

 

犬飼。

 

二人。

 

見失わないよう。

 

歩く。

 

犬島。

 

急に。

 

止まる。

 

犬飼。

 

危うく。

 

追い越す。

 

「どうした?」

 

犬島。

 

「白桃」

 

店頭。

 

白桃。

 

使った。

 

菓子。

 

犬飼。

 

「ああ」

 

藍島。

 

「犬島さん」

 

犬島。

 

「見るだけです」

 

犬飼。

 

「買っていいぞ」

 

犬島。

 

「ほんまに?」

 

「自分の金なら」

 

犬島。

 

買う。

 

藍島。

 

同じ。

 

犬飼。

 

「結局二人とも買うのか」

 

---

 

十九 一般人との偶然の遭遇

 

岡山市街。

 

昼。

 

親子。

 

歩く。

 

小学生。

 

犬島。

 

気づく。

 

母親。

 

袖。

 

引く。

 

「あれ、犬島ちゃんじゃない?」

 

母親。

 

最初。

 

分からない。

 

その後。

 

「え?」

 

犬島。

 

目。

 

合う。

 

小さく。

 

手。

 

振る。

 

子供。

 

嬉しそう。

 

犬飼。

 

撮影。

 

止める。

 

母親。

 

「お仕事中ですか?」

 

犬飼。

 

「はい。まだ公開前なので、今いる場所だけSNSに出さないでもらえると助かります」

 

「もちろんです」

 

犬島。

 

「ありがとうございます」

 

藍島。

 

「後で動画出ると思います」

 

小学生。

 

「見る!」

 

犬島。

 

少し。

 

笑う。

 

「お願いします」

 

後日。

 

この親子。

 

動画。

 

公開。

 

後。

 

SNS。

 

投稿。

 

する。

 

«「この日、岡山駅近くで本当に犬島ちゃんと藍島ちゃんに会いました。位置情報を出さないでほしいと言われたので黙っていました。娘がずっと『本当にいた』と言ってました。動画見てようやく言えます。」»

 

大きく。

 

拡散。

 

される。

 

---

 

二十 犬飼を先に見つける人、再び

 

表町。

 

若い。

 

女性。

 

三人。

 

向こう。

 

歩く。

 

一人。

 

犬飼。

 

見て。

 

「あの人」

 

友人。

 

「誰?」

 

「犬島と藍島の担当官に似てる」

 

「そこから?」

 

犬島。

 

藍島。

 

その横。

 

見る。

 

「いるじゃん」

 

三人。

 

一気。

 

気づく。

 

ただ。

 

撮影中。

 

なので。

 

少し。

 

離れた。

 

ところ。

 

会釈。

 

犬島。

 

返す。

 

藍島も。

 

返す。

 

犬飼。

 

少し。

 

笑う。

 

後日。

 

その人。

 

動画。

 

公開。

 

後。

 

投稿。

 

«「最初に犬飼さんで気づきました。『あの人絶対広報担当官だ』と思ったら右と左に犬島と藍島がいました。本当にいつもの並びでした。」»

 

ネット。

 

«「担当官が識別点になってる」»

 

«「三人セット認識」»

 

犬飼。

 

後で。

 

これ。

 

見る。

 

「俺で気づく人増えてない?」

 

撮影補助。

 

「顔出ししたので」

 

---

 

二十一 昼食

 

岡山市内。

 

三人。

 

昼食。

 

犬島。

 

量。

 

少なめ。

 

藍島。

 

同じ。

 

犬飼。

 

普通。

 

犬島。

 

「担当官さん」

 

「何」

 

「今日は残しません」

 

犬飼。

 

「言わなくていい」

 

藍島。

 

「うちもです」

 

「それも言わなくていい」

 

撮影補助。

 

後ろ。

 

笑う。

 

犬飼。

 

「間接キスとかまた言われるから絶対残すなよ」

 

犬島。

 

「担当官さん!」

 

藍島。

 

「自分から言いましたね」

 

犬飼。

 

「先に潰した」

 

---

 

二十二 高梁の話

 

食事。

 

途中。

 

犬島。

 

気になる。

 

「高梁って、どんなところです?」

 

犬飼。

 

「山が多い」

 

藍島。

 

「海ないですね」

 

「ないな」

 

犬島。

 

「担当官さん、海の人なのに」

 

犬飼。

 

「仕事で海側に来ただけ」

 

藍島。

 

「意外です」

 

犬飼。

 

「何が?」

 

「担当官さん、ずっと港の近くで育った感じします」

 

「高梁は内陸」

 

犬島。

 

「じゃあ」

 

少し。

 

笑う。

 

「うちと藍島さんが海側の岡山で、担当官さんが山側の岡山ですね」

 

犬飼。

 

「そういう分け方する?」

 

藍島。

 

「三人で岡山県だいたい担当できます」

 

「無理だろ」

 

---

 

二十三 犬島にとっての岡山

 

午後。

 

西川沿い。

 

少し。

 

休憩。

 

犬島。

 

ベンチ。

 

座る。

 

藍島。

 

隣。

 

犬飼。

 

立つ。

 

犬島。

 

街。

 

見る。

 

「玉野とは違いますね」

 

犬飼。

 

「岡山市だからな」

 

「でも」

 

少し。

 

間。

 

「岡山県の中におる感じはします」

 

藍島。

 

「分かります」

 

犬飼。

 

二人。

 

見る。

 

犬島。

 

続ける。

 

「うちは玉野で中央部を造ってもらったので、岡山が一番故郷って思っとります」

 

藍島。

 

「うちは記憶だけですけど、玉野に帰った時『ただいま』って言えました」

 

犬飼。

 

「うん」

 

犬島。

 

犬飼。

 

見る。

 

「担当官さんも今日、ただいまです?」

 

犬飼。

 

少し。

 

考える。

 

そして。

 

«「そうだな。俺も、ただいまだ」»

 

犬島。

 

柔らかく。

 

笑う。

 

藍島も。

 

笑う。

 

---

 

二十四 帰り

 

夕方。

 

岡山駅。

 

戻る。

 

犬島。

 

少し。

 

疲れている。

 

藍島。

 

同じ。

 

犬飼。

 

「帰り寝てもいいぞ」

 

犬島。

 

「電車で?」

 

「乗り過ごさないよう俺が起こす」

 

藍島。

 

「兄ですね」

 

犬飼。

 

「通常指揮官としてだ」

 

犬島。

 

「今は広報担当官でしょう」

 

犬飼。

 

「両方だよ」

 

---

 

二十五 瀬戸大橋線

 

岡山。

 

発車。

 

茶屋町。

 

向かう。

 

犬島。

 

最初。

 

外。

 

見る。

 

十分。

 

後。

 

眠る。

 

藍島。

 

犬島。

 

見る。

 

「寝ました」

 

犬飼。

 

「見れば分かる」

 

五分。

 

後。

 

藍島。

 

寝る。

 

犬飼。

 

左右。

 

見る。

 

「結局二人とも寝るのか」

 

撮影補助。

 

カメラ。

 

向ける。

 

犬飼。

 

「撮るの?」

 

「撮れ高です」

 

「電車で寝てるだけだぞ」

 

「いつもの三人です」

 

犬飼。

 

「俺は寝てない」

 

---

 

二十六 宇野みなと線へ

 

茶屋町。

 

到着。

 

犬飼。

 

二人。

 

起こす。

 

犬島。

 

肩。

 

軽く。

 

「犬島、乗り換え」

 

犬島。

 

「……はい」

 

藍島。

 

「起きてます」

 

犬飼。

 

「目閉じてるぞ」

 

藍島。

 

「今開けます」

 

犬島。

 

寝起き。

 

犬飼。

 

袖。

 

少し。

 

つまむ。

 

犬飼。

 

「何」

 

「人多いので」

 

「はいはい」

 

藍島。

 

反対。

 

犬飼。

 

近く。

 

歩く。

 

撮影補助。

 

後ろ。

 

撮る。

 

---

 

二十七 宇野へ戻る

 

夕方。

 

宇野駅。

 

三人。

 

降りる。

 

港。

 

歩く。

 

犬島実艦。

 

見える。

 

犬島。

 

少し。

 

嬉しそう。

 

「おった」

 

犬飼。

 

「自分の艦だろ」

 

「離れて見ると、なんか安心します」

 

藍島。

 

「うちも犬島さんの艦見ると帰ってきた感じします」

 

犬島。

 

「今日はうちの艦に乗って帰りますよ」

 

藍島。

 

「はい」

 

---

 

二十八 宇野港出港

 

日没。

 

近い。

 

犬島。

 

実艦。

 

離岸。

 

宇野港。

 

後ろ。

 

犬島。

 

振り返る。

 

「また来ます」

 

藍島。

 

「次はうちの実艦でも来たいです」

 

犬飼。

 

「二隻で来たら宇野港側の調整増えるけどな」

 

犬島。

 

「担当官さん」

 

「何」

 

「高梁もいつか」

 

犬飼。

 

少し。

 

笑う。

 

「はいはい」

 

藍島。

 

「約束です?」

 

「企画通ったら」

 

「じゃあ企画書作ります」

 

犬飼。

 

「お前らが?」

 

犬島。

 

「広報部行きます」

 

犬飼。

 

「来る気満々だな」

 

---

 

二十九 呉帰投

 

夜。

 

呉。

 

第一岸壁。

 

犬島。

 

接岸。

 

事故。

 

なし。

 

故障。

 

なし。

 

河口。

 

進入。

 

なし。

 

犬飼。

 

「普通に帰れたな」

 

犬島。

 

「当然です」

 

藍島。

 

「何も起きませんでした」

 

撮影補助。

 

「それが一番です」

 

犬島。

 

「はい」

 

---

 

三十 動画編集

 

翌日から。

 

犬飼。

 

編集。

 

開始。

 

宇野港。

 

宇野駅。

 

宇野みなと線。

 

茶屋町。

 

瀬戸大橋線。

 

岡山駅。

 

岡山市街。

 

白桃。

 

三人。

 

犬飼。

 

自分。

 

喋る。

 

場面。

 

«「岡山県民だから」»

 

犬島・藍島。

 

«「聞いてません」»

 

犬飼。

 

再生。

 

止める。

 

「ここ使うの?」

 

撮影補助。

 

「使います」

 

「俺の出身地紹介動画じゃないぞ」

 

「犬島と藍島が一番驚いた場面なので」

 

犬飼。

 

「……まあいいか」

 

---

 

三十一 動画公開

 

呉帰投。

 

三日後。

 

公式。

 

タイトル。

 

【月1広報】犬島の実艦で宇野へ行き、JRで岡山市街まで行ってきました

 

説明欄。

 

«今回は海防艦犬島の実艦で呉から宇野港へ移動し、その後JR宇野みなと線・瀬戸大橋線を利用して岡山市内を訪問しました。

 

撮影中は警備上の理由から位置情報をリアルタイム公開していません。

 

現地でお声がけいただいた皆様、ご協力ありがとうございました。

 

なお、今回初めて広報担当・犬飼藍人の出身地も判明します。»

 

犬飼。

 

説明欄。

 

見る。

 

「『判明します』って何だよ」

 

撮影補助。

 

「視聴者目線です」

 

---

 

三十二 公開直後の反応

 

冒頭。

 

犬島実艦。

 

呉。

 

出港。

 

«「犬島の艦で岡山行くのいいな」»

 

«「藍島が姉の艦に乗ってる」»

 

宇野港。

 

犬島。

 

«「ただいまです」»

 

コメント。

 

«「おかえり」»

 

«「犬島、ほんと玉野好きだな」»

 

宇野駅。

 

«「普通にJR乗るんだ」»

 

«「海防艦姉妹が電車乗ってる絵面かわいい」»

 

---

 

三十三 鉄道ファンの反応

 

宇野みなと線。

 

«「宇野駅だ!」»

 

«「犬島が宇野みなと線乗ってる」»

 

«「海から宇野入ってそのまま駅へ行くの良い」»

 

茶屋町。

 

乗り換え。

 

«「ちゃんと瀬戸大橋線にも乗った」»

 

«「海防艦→宇野みなと線→瀬戸大橋線」»

 

«「交通手段の変化が激しい」»

 

さらに。

 

犬島。

 

車窓。

 

真剣。

 

見ている。

 

«「犬島、鉄道でも見張りみたいな顔してる」»

 

犬島。

 

後日。

 

«普通に景色見とっただけです。»

 

---

 

三十四 最大の爆発点

 

犬飼。

 

«「岡山県民だから」»

 

犬島。

 

«「……え?」»

 

藍島。

 

«「……はい?」»

 

コメント。

 

一気。

 

«「待って」»

 

«「犬飼さん岡山!?」»

 

«「初耳」»

 

«「犬島と藍島だけじゃなく担当官まで岡山属性!?」»

 

そして。

 

«「高梁市」»

 

コメント。

 

さらに。

 

増える。

 

«「高梁!?」»

 

«「海から一番遠い人が広報担当官だった」»

 

«「犬島=玉野、藍島=玉野、犬飼=高梁」»

 

«「岡山三兄妹じゃん」»

 

犬飼。

 

後日。

 

«三兄妹ではありません。»

 

一般。

 

«「最近兄って名乗ってたじゃん」»

 

犬飼。

 

«広報上です。»

 

---

 

三十五 犬島の「犬飼さん」

 

犬島。

 

«「……犬飼さんも岡山だったんですね」»

 

ネット。

 

即。

 

気づく。

 

«「名前呼び出た」»

 

«「犬島かなり嬉しかったんだ」»

 

«「普段担当官さんなのに」»

 

«「感情メーター動いた」»

 

犬島。

 

公式。

 

後。

 

説明。

 

«担当官さんも岡山県出身だと初めて知ったので、かなり驚きました。

 

しかもちょっと嬉しかったです。

 

なので犬飼さんになりました。»

 

---

 

三十六 偶然会った人たち

 

動画公開。

 

十五分後。

 

宇野駅。

 

高校生。

 

投稿。

 

«「三日前、宇野駅前でこの三人見ました。リアルタイムで場所書いたら駄目かなと思って何も投稿しなかったけど、やっぱり撮影だったんだ。犬島ちゃんがこっちに会釈してくれました。」»

 

写真。

 

なし。

 

その時。

 

撮影。

 

していない。

 

「位置情報出さない方が」

 

自主的。

 

判断。

 

していた。

 

ネット。

 

«「偉い」»

 

«「公開まで黙ってたの助かる」»

 

---

 

三十七 茶屋町で会った男性

 

別。

 

投稿。

 

«「茶屋町駅で声かけた本人です。

 

最初に犬飼さんに『今いる場所は書かないでもらえると助かります』と言われたので今日まで黙ってました。

 

犬島も藍島も普通に電車待ってました。

 

犬飼さん、画面で見るより背が高かったです。」»

 

コメント。

 

«「最後そこ」»

 

«「180くらいある設定ほんとなんだ」»

 

«「犬島藍島と並ぶと余計高く見えそう」»

 

---

 

三十八 親子の投稿

 

岡山市街。

 

会った。

 

母親。

 

«「娘が犬島ちゃんを見つけました。

 

撮影前後ではなく本当に歩いている途中だったみたいで、三人とも普通に買い物したり街を見たりしていました。

 

位置情報の投稿だけ控えてくださいと言われました。

 

娘に犬島ちゃんが手を振ってくれて、藍島ちゃんも『動画見てください』と言ってくれました。

 

三日間言いたかったです。」»

 

ネット。

 

«「三日間よく耐えた」»

 

«「娘さんよかったな」»

 

犬島。

 

公式。

 

返信。

 

«見つけてくれてありがとうございました。動画も見てくれたら嬉しいです。»

 

---

 

三十九 担当官から気づいた女性

 

さらに。

 

«「岡山で三人を見ました。最初に気づいたのは犬飼さんです。

 

『あれ、動画で後ろから笑ってる人では』と思って見たら、横に犬島と藍島がいました。

 

本当にだいたいいつもの並びでした。」»

 

この。

 

投稿。

 

かなり。

 

伸びる。

 

«「犬飼さんが目印」»

 

«「本当に三人セットになってる」»

 

犬飼。

 

«私は目印ではありません。»

 

藍島。

 

«でも見つけやすかったみたいです。»

 

犬飼。

 

«藍島。»

 

---

 

四十 犬島公式SNS

 

«今回の広報で岡山へ行きました。

 

呉から宇野港までは犬島の実艦です。

 

藍島さんと担当官さんも乗りました。

 

宇野からはJRで、宇野みなと線と瀬戸大橋線に乗って岡山市内へ行きました。

 

海から玉野へ帰るのも好きですけど、電車から岡山を見るのも良かったです。

 

それと、今回初めて担当官さんが岡山県高梁市出身だと知りました。

 

今まで聞いとりませんでした。

 

担当官さんまで岡山県に関係があるのが、うちはかなり嬉しかったです。

 

いつか高梁にも行ってみたいです。»

 

犬飼。

 

返信。

 

«勝手に次の企画を決めるな。»

 

犬島。

 

«企画書は出します。»

 

---

 

四十一 藍島公式SNS

 

«犬島さんの実艦に乗って宇野へ行きました。

 

犬島さんの艦はうちと似とりますけど、やっぱり細かいところが違います。

 

宇野からは電車に乗りました。

 

岡山市内も歩きました。

 

担当官さんが高梁市出身なのは、うちも初めて知りました。

 

犬島さん・うち・担当官さんで、全員岡山県に縁があります。

 

次は高梁へ行きたいです。

 

担当官さんはまだ許可してません。»

 

犬飼。

 

«最後の一文が正しいです。»

 

---

 

四十二 犬飼の公式投稿

 

«【広報担当・犬飼藍人】

 

今回、犬島・藍島と岡山県を訪問しました。

 

私自身が岡山県高梁市出身であることも動画内で初めて話しています。

 

特に隠していたわけではありません。

 

単純に聞かれていなかっただけです。

 

犬島と藍島には想像以上に驚かれました。

 

なお、二人から高梁市を次回広報企画の候補にすると言われています。

 

まだ決定していません。»

 

コメント。

 

«「高梁回待ってます」»

 

«「伯備線?」»

 

«「犬飼さんの故郷案内回見たい」»

 

«「次は担当官が案内役だ」»

 

犬飼。

 

«まだ決まってません。»

 

---

 

四十三 一番人気だった場面

 

岡山市街。

 

ベンチ。

 

犬島。

 

«「担当官さんも今日、ただいまです?」»

 

犬飼。

 

«「そうだな。俺も、ただいまだ」»

 

この。

 

場面。

 

派手。

 

ではない。

 

事故。

 

なし。

 

笑い。

 

ほぼ。

 

なし。

 

なのに。

 

動画。

 

一番。

 

切り抜かれる。

 

«「犬島にとっての玉野、犬飼さんにとっての高梁。出身は違うけど同じ岡山なんだな」»

 

«「藍島も玉野を『ただいま』って言えるようになってる」»

 

«「三人とも帰ってきた側なの良い」»

 

そして。

 

最上位。

 

コメント。

 

«「今まで犬飼さんが犬島と藍島の『帰ってくる場所』みたいになってたけど、今回は犬飼さん自身にも帰ってきた場所があると分かった回だった。」»

 

犬島。

 

いいね。

 

藍島。

 

いいね。

 

犬飼。

 

しばらく。

 

見た後。

 

いいね。

 

押す。

 

---

 

終章 海の岡山、山の岡山

 

犬島。

 

玉野。

 

藍島。

 

玉野。

 

犬飼藍人。

 

高梁。

 

三人。

 

同じ。

 

岡山県。

 

でも。

 

育った場所も。

 

生まれた記憶も。

 

違う。

 

犬島。

 

海。

 

側。

 

藍島。

 

その。

 

隣。

 

犬飼。

 

山。

 

側。

 

今回。

 

犬島実艦。

 

呉。

 

出る。

 

瀬戸内海。

 

渡る。

 

宇野。

 

到着。

 

犬島。

 

「ただいま」

 

藍島。

 

「ただいま」

 

そこから。

 

鉄道。

 

乗る。

 

宇野みなと線。

 

茶屋町。

 

乗り換え。

 

瀬戸大橋線。

 

岡山。

 

到着。

 

そして。

 

初めて。

 

犬飼。

 

言う。

 

«「俺、高梁市出身」»

 

犬島。

 

藍島。

 

驚く。

 

犬島。

 

«「……犬飼さんも岡山だったんですね」»

 

帰り。

 

三人。

 

同じ。

 

列車。

 

乗る。

 

宇野。

 

戻る。

 

犬島実艦。

 

乗る。

 

呉。

 

帰る。

 

事故。

 

なし。

 

故障。

 

なし。

 

ただ。

 

一日。

 

岡山。

 

歩いた。

 

それだけ。

 

でも。

 

三人にとって。

 

少しだけ。

 

お互い。

 

知る。

 

一日。

 

だった。

 

動画。

 

最後。

 

宇野港。

 

離れていく。

 

夕景。

 

映る。

 

犬島。

 

声。

 

入る。

 

«「また帰ってきます」»

 

藍島。

 

«「次は高梁です?」»

 

犬飼。

 

«「まだ決まってない」»

 

犬島。

 

«「行きたいです」»

 

犬飼。

 

笑う。

 

«「分かったから、まず企画書出せ」»

 

暗転。

 

最後。

 

字幕。

 

『犬島・藍島――玉野に縁を持つ姉妹艦』

 

『犬飼藍人――岡山県高梁市出身』

 

そして。

 

小さく。

 

『高梁編:未定』

 

犬飼。

 

完成版。

 

見る。

 

«「最後の字幕いらないだろ」»

 

撮影補助。

 

«「反響次第です」»

 

犬島。

 

«「うちは行きたいです」»

 

藍島。

 

«「うちもです」»

 

犬飼。

 

二人。

 

見る。

 

少し。

 

ため息。

 

それでも。

 

笑う。

 

«「……そのうちな」»

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