犬島・藍島、青函トンネル入口広場へ
――大湊で四日待つことになったので、貨物列車を見に行きました――
大湊までの船団護衛そのものは、何事もなく終わった。
犬島と藍島が護衛してきた船団は、予定どおり大湊へ入港した。輸送船にも護衛艦にも大きな損傷はなく、途中で敵潜水艦と接触することもなかった。
問題というほどではないものが発生したのは、その後だった。
本来なら積み荷の一部を積み替え、必要な補給を済ませた後、比較的短時間で次の目的地へ向かう予定だった。
ところが、大湊で船団の輸送計画が変更された。
複数の輸送船について積み荷を入れ替え、一部を別の船へ移し、さらに重量配分を変更することになったのである。
軍需品だけでなく一般補給物資も含まれているため、単純に荷物を積み替えれば終わりというものではない。
積み荷目録の修正。
各船の重量配分確認。
固定方法の再確認。
危険物と一般物資の配置調整。
封印の確認。
その後の検査。
一連の作業には時間がかかる。
最終的に、船団全体が再出港できるまでの見込みは、
約四日。
となった。
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一 「四日です?」
大湊。
犬島は伝達された予定を二度確認した。
「四日です?」
担当者が頷く。
「積み荷変更がかなり大きい。早く終わる可能性もあるけど、現状では四日程度を見ている」
「その間、うちらは?」
「船団護衛艦の待機。必要な点検以外は交代で自由時間を取っていい」
横にいた藍島が犬島を見る。
犬島も藍島を見る。
四日。
思っていたより長い。
ただ、二隻とも実艦を大湊に停泊させて待つだけである。
警戒当番や艦体確認はあるが、一日中付きっきりになる必要はない。
藍島が先に聞いた。
「犬島さん、どこか行きたいところあります?」
「あります」
答えが早かった。
藍島が少し驚く。
「もう決まっとるんです?」
「一個だけ」
「どこです?」
犬島は端末を見せた。
そこに表示されていたのは、青森県今別町。
そして目的地。
青函トンネル入口広場。
藍島は犬島を見た。
「貨物列車です?」
「はい」
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二 犬島の貨物列車知識、現在15%
犬島は以前、艦体整備で二日間の休暇を与えられた時、山陽本線沿線まで貨物列車を見に行っている。
それまでの犬島の貨物列車知識は、本人の自己評価で約8%だった。
知っていたことといえば、
「機関車が貨車を引く」
「コンテナを運ぶ」
「貨物列車は長い」
「EF210という機関車がいる」
その程度だった。
二日間見た結果、
コンテナ車の「コキ」。
12フィートや20フィート、31フィートなどのコンテナ。
機関車だけで走る「単機」。
貨車にもブレーキがあること。
機関車が区間によって交代する場合があること。
そうした基本的なことを少し覚えた。
本人評価では、
8%から15%。
まだ85%分からない。
それでも犬島は、貨物列車を見た時に以前より気づけるものが増えていた。
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三 なぜ青函トンネルなのか
藍島が尋ねる。
「でも、なんで青函トンネルなんです?」
犬島は地図を見ながら説明した。
「北海道へ行く貨物列車が青函トンネルを通るんです」
「はい」
「青森側に入口を見られる場所があります」
「はい」
「貨物列車がトンネルに入っていくところを見られます」
藍島は少し考えた。
「犬島さん、結構調べました?」
犬島。
「昨日調べました」
「15%の人が自主的に調べ始めとる」
「待機中なので」
「理由になっとらんと思います」
犬島は少し笑った。
「藍島さんも行きません?」
藍島はほとんど迷わなかった。
「行きます」
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四 犬飼へ報告
呉にいる犬飼藍人にも連絡しておく。
犬島。
『担当官さん』
犬飼。
『どうした?』
「船団、四日待機になりました」
『聞いた。積み荷変更だろ』
「はい」
『二人とも問題なし?』
「ありません」
藍島も横から声を入れる。
『うちも大丈夫です』
犬飼。
『ならいい。休める時に休んどけ』
犬島。
「それなんですけど」
『何』
「自由時間に青函トンネル入口広場へ行ってきます」
少し間があった。
『観光?』
「貨物列車です」
『やっぱりそっちか』
犬島。
「青函トンネルを通る貨物列車を見たいので」
犬飼。
『前回15%になったんだよな』
「はい」
『何%にする予定?』
「別に勉強しに行くわけではありません」
藍島が横から口を挟む。
「でもたぶん帰ってきたら数字増えます」
犬島。
「藍島さん」
犬飼は笑った。
『安全な場所から見てこいよ』
「はい」
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五 待機二日目
四日間の待機期間。
一日目は船団引き渡し後の点検と打ち合わせで終わった。
二日目。
午前中の確認任務を終えた犬島と藍島は、許可された自由時間を利用して今別方面へ向かった。
二人とも艤装はない。
犬島はいつもの白い半袖水兵服と濃紺のプリーツスカート、深緑のスカーフ。右側には桃の花の髪留め。
藍島もよく似た制服で、髪留めは藍色。
犬島は小さなバッグに端末と飲み物を入れている。
藍島も同じような軽装だった。
目的地へ近づくにつれて、犬島の視線が少しずつ線路側へ向くようになる。
藍島が気づく。
「犬島さん」
「はい?」
「まだ着いてませんよ」
「分かっとります」
「ずっと線路見てます」
犬島は少し気まずそうに前を向いた。
「貨物列車来るかもしれんので」
「もう楽しみにしとるじゃないですか」
「見たいとは思っとります」
以前なら「趣味かどうかは分からない」と答えていた犬島も、そこまでは否定しなくなっていた。
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六 青函トンネル入口広場
到着。
犬島と藍島が最初に見たのは、巨大なトンネル入口だった。
この向こうが北海道へ続いている。
犬島はしばらく黙って眺めた。
藍島も同じだった。
海防艦である二人にとって、津軽海峡とは本来「海上を航行して越える場所」である。
しかし、その海の下を鉄道が通っている。
犬島が言った。
「ここから北海道なんですね」
藍島。
「海の下をずっと?」
「はい」
「うちらなら海の上を行きますね」
犬島は頷く。
「同じ海峡を越えるのに、列車は下なんですよね」
貨物列車を見るために来たはずなのに、二人とも最初は青函トンネルそのものを眺めていた。
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七 最初に来たのは貨物列車
しばらく待つ。
遠くから列車の走行音が聞こえてきた。
犬島が先に反応した。
「来ます」
藍島も線路を見る。
「貨物?」
犬島。
「たぶん」
姿を現したのは、赤を基調とした大型の電気機関車。
犬島は見慣れたEF210と違うことにはすぐ気づいた。
「これ、EF210じゃないですね」
近くにいた鉄道ファンが教える。
「EH800ですね」
犬島。
「EH800」
すぐ端末に入力する。
EH800。
藍島が横から覗く。
「早いですね」
「忘れんうちに」
「何に使う機関車なんです?」
説明を受ける。
青函トンネルを含む北海道方面への貨物列車で使われる機関車。
犬島は機関車から、その後ろへ目を移す。
そして今度は少し自信を持って言った。
「あれはコキですね」
藍島。
「分かるんです?」
「前に覚えました」
貨車の上には大量のコンテナ。
犬島の見る場所も前回とは違う。
機関車だけでなく、貨車。
そしてコンテナ。
藍島。
「犬島さん、見方が前より詳しい人です」
「15%ありますので」
「15%って便利ですね」
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八 トンネルへ吸い込まれていく貨物列車
列車は二人の前を通過し、そのまま青函トンネルへ向かう。
EH800。
その後ろへ長く続くコキ。
色も大きさも違うコンテナ。
次々とトンネルへ入っていく。
犬島はそれを最後まで見送った。
「全部北海道へ行くんです?」
行先は列車やコンテナによると説明される。
当然、全て同じ荷主でも同じ最終目的地でもない。
犬島。
「同じ列車にいっぱい違う荷物があるんですね」
藍島。
「船団みたいですね」
犬島が藍島を見る。
「それ、分かりやすいです」
「輸送船が一隻ずつじゃなくて、貨車がいっぱい繋がっとる感じ?」
「ちょっと違うと思いますけど、うちらにはそれが分かりやすいですね」
二人なりの理解だった。
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九 31フィートを探す
次の貨物列車。
犬島と藍島は、今度はコンテナを見る。
藍島。
「犬島さん、大きいの」
「どれ?」
「あれです」
犬島が目で追う。
「31フィートですかね」
自信はまだない。
近くの鉄道ファン。
「そうですね」
犬島。
「あ、合っとりました」
藍島。
「犬島さん、成長しましたね」
「前に教えてもらいましたので」
「今何%です?」
「まだ15です」
「増やさんのです?」
「一回見ただけで増やしたら信用できんでしょう」
藍島は少し笑った。
「意外と厳しいですね」
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十 そして新幹線が来る
次の列車を待っていた時だった。
貨物列車とは明らかに違う音。
藍島が先に気づく。
「あれ?」
犬島も見る。
緑を基調とした高速列車が近づいてくる。
犬島。
「あ」
藍島。
「新幹線ですね」
犬島。
「来ましたね」
今回、犬島も新幹線が通ること自体は事前に知っていた。
前回のような完全な不意打ちではない。
それでも、実際に見えると二人とも少し嬉しそうだった。
北海道新幹線。
トンネル入口へ向かう。
犬島は端末を出さず、そのまま見る。
速い。
貨物列車とはまったく違う。
藍島。
「同じ線路のところ走るんですよね」
「そうみたいです」
「貨物列車と全然速度違いますね」
犬島。
「そこが気になっとるんです」
新幹線は二人の視界を横切り、青函トンネルへ入っていった。
犬島は少し笑った。
「貨物列車見に来たんですけど、新幹線も見られるのええですね」
藍島。
「一か所で二種類です」
「得ですね」
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十一 犬島の疑問が増える
貨物列車と新幹線を交互に見る。
すると犬島は少しずつ疑問を持ち始める。
「新幹線と貨物列車、速度がかなり違うのに同じところ使うんですね」
藍島。
「追いつかんのです?」
「それも気になります」
さらに。
「線路幅は?」
「電気は?」
「貨物列車が走っとる時、新幹線はどうなるんでしょう」
藍島が笑う。
「犬島さん、質問増えましたね」
犬島。
「分からんことが増えました」
「詳しくなると分からんこと減るんじゃないんです?」
「知った分だけ分からんところが見えるんです」
藍島は少し納得した。
「それ、整備でもありますね」
犬島。
「あります」
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十二 今度は藍島がEH800を覚える
次の貨物列車。
遠くに赤い機関車。
藍島が言った。
「EH800」
犬島。
「覚えたんです?」
「さっき見ました」
「早いですね」
「犬島さんより覚えるの早いかもしれません」
犬島。
「まだ一個でしょう」
藍島。
「犬島さんは何個分かります?」
「EF210とEH800」
藍島。
「二個」
犬島。
「15%ですから」
また出た。
藍島は笑った。
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十三 見つかる
当然、二人の存在は目立つ。
白い水兵服。
桃色と藍色の花の髪留め。
しかも二人揃って、貨物列車が来るたびに熱心に見ている。
SNSに最初の目撃情報が出る。
«「青函トンネル入口広場に犬島と藍島いる?」»
続いて。
«「たぶん本人。二人で貨物列車見てる」»
そして。
前回犬島を見た人たち。
反応。
«「犬島また貨物見てる」»
«「今度は青森」»
«「15%の続編?」»
さらに。
«「犬島、EH800見てる。」»
これが一気に拡散される。
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十四 前回との比較
以前。
«「犬島、貨物列車見てる。」»
今回。
«「犬島、EH800見てる。」»
ネット上では当然比較される。
«「分類が具体的になった」»
«「前回は貨物列車だったのに今回は形式名」»
«「知識15%の成果」»
«「この前EF210覚えたと思ったら今度EH800」»
«「順調に貨物沼へ」»
犬島本人はまだ気づいていない。
その頃。
貨車を数えている。
「一、二、三……」
藍島。
「十一、十二……」
犬島。
「あれ?」
藍島。
「何です?」
「今どっちが数えとりました?」
「犬島さん十一じゃなかったです?」
「分からなくなりました」
二人。
数え直せない。
貨物列車。
もうトンネル。
入る。
犬島。
「また失敗しました」
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十五 「犬島と藍島、コキ数えてる」
今度は別の目撃投稿。
«「犬島と藍島、二人でコキの両数数えて途中で分からなくなってた。」»
ネット。
«「何やってんだ」»
«「平和すぎる」»
«「船団護衛で大湊来た海防艦が休みにコキ数えてる」»
«「事故じゃない犬島ニュース助かる」»
この最後の反応。
特に。
多かった。
«「犬島が鉄道見てるだけで安心する」»
«「今日は何も壊れてない」»
«「列車も犬島も正常」»
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十六 新幹線を見る二人も見つかる
貨物列車だけではない。
新幹線が来ると、二人ともそちらを見る。
犬島は新幹線については貨物列車以上に詳しくない。
藍島も同じ。
そのため。
新幹線が通過した後。
犬島。
「今の何系です?」
藍島。
「犬島さん知らんのです?」
「貨物列車見に来たので」
「うちも知りません」
近くの鉄道ファンが教える。
二人。
「ありがとうございます」
ネット。
«「犬島、貨物列車はEH800って分かるのに新幹線の形式は聞いてる。」»
«「知識配分が偏ってる」»
«「貨物15%、新幹線3%くらい?」»
犬島。
後でこれを見ることになる。
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十七 青函トンネルそのものに興味を持つ
列車が来ない時間。
二人はトンネル入口を見る。
犬島。
「53キロ以上あるんですよね」
藍島。
「長いです」
「海底部分もかなりあります」
犬島は少し真面目になる。
「こういうところ、浸水した時どうするんでしょう」
藍島。
「犬島さん、今度は土木です?」
「海の下なので気になります」
藍島も入口を見る。
「確かに、うちらなら浸水は自分の艦体の話ですけど、これはトンネル全部ですもんね」
「はい」
犬島。
「貨物列車見に来たら、分からんこと増えました」
藍島。
「それ、悪いことじゃないですよ」
犬島。
「そうですね」
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十八 犬島、ネットを見る
昼過ぎ。
休憩。
二人で飲み物。
飲む。
犬島。
端末。
見る。
通知。
多い。
「……またです」
藍島。
「何が?」
犬島。
見せる。
«犬島、EH800見てる。»
藍島。
笑う。
「ほんまに見とりますね」
「はい」
次。
«犬島と藍島、コキ数えてる。»
犬島。
「これも見られとったんですね」
藍島。
「別に悪いことしてません」
犬島。
「それはそうです」
そして。
«犬島、貨物15%なのにEH800覚えた。»
犬島。
少し考える。
「今日で15%より増えたかもしれません」
藍島。
「何%?」
「帰ってから決めます」
「正式査定あるんですね」
「自己申告です」
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十九 大湊へ戻る
夕方。
二人は大湊へ戻った。
犬島。
自分。
実艦。
確認。
藍島も第二の停泊位置で自艦を見る。
異常なし。
船団の積み荷変更作業はまだ続いている。
予定どおり、出港は二日後。
犬島。
「まだ二日ありますね」
藍島。
「明日も行きます?」
犬島。
少し考える。
「別のことしてもええです」
藍島。
「意外です」
「四日全部貨物列車見たら、担当官さんに何か言われそうなので」
藍島。
「もう十分言われると思います」
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二十 犬島公式SNS
その夜。
犬島。
投稿。
«【大湊待機中の自由時間について】
現在、船団護衛任務で大湊まで来ています。
船団は積み荷変更のため、約4日間の待機になっています。
今日の担当時間終了後に自由時間をもらったので、藍島さんと青函トンネル入口広場へ行きました。
前に休暇中に貨物列車を見て少し詳しくなったので、青函トンネルを通る貨物列車を見てみたかったです。
EH800を覚えました。
コキは前から少し分かります。
31フィートコンテナも一つ自分で見つけられました。
貨車の両数を藍島さんと数えましたけど、途中で分からなくなりました。
それから新幹線も見ました。
貨物列車と新幹線が同じ青函トンネルへ入っていくのを実際に見ると、かなり不思議でした。
今まで貨物列車知識15%くらいと言っていましたが、今日で18%くらいになったと思います。
まだ詳しくありません。
でも、前より見るのはかなり楽しいです。»
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二十一 藍島公式SNS
藍島。
投稿。
«今日は犬島さんと青函トンネル入口広場へ行きました。
大湊まで護衛した船団の積み荷変更に4日ほどかかるので、その待機時間中の自由時間です。
うちは貨物列車をちゃんと見るのはほぼ初めてでした。
犬島さんから、
「あれがEH800」
「後ろがコキ」
「あれは31フィートだと思う」
と教えてもらいました。
前に「貨物列車の知識15%」と言っていましたけど、普通にうちへ説明できるくらいには詳しくなっています。
新幹線も見ました。
犬島さんは貨物列車の時より新幹線の方が分からないみたいです。
でも新幹線が来た時もかなり見ていました。
今日の犬島さん自己評価は18%になりました。»
犬島。
返信。
«藍島さんまで%書かんでええです。»
藍島。
«本人が先に書いています。»
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二十二 ネット上の反応
犬島の投稿。
数分。
«「18%になった!」»
«「3%増加」»
«「EH800分か?」»
«「31ft判別成功も入ってそう」»
«「本人の自己評価システム好き」»
鉄道ファン。
«「15%から18%になる過程が妙に分かる」»
«「形式1個覚えただけじゃなく、実際にコキとコンテナ見るようになってるから妥当かもしれん」»
別の人。
«「そもそも100%って何なんだ」»
犬島。
«うちも分かりません。»
---
二十三 「犬島、EH800見てる」が定着する
一番。
拡散。
された。
目撃投稿。
«「犬島、EH800見てる。」»
引用。
大量。
«「前回『犬島、貨物列車見てる』だった人が成長した」»
«「固有形式を覚えた」»
«「次はEH800の号機番号を気にし始めるぞ」»
犬島。
«そこまではまだ分かりません。»
鉄道ファン。
«「“まだ”」»
«「まだって言った」»
犬島。
しばらくして。
«言い方の問題です。»
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二十四 新幹線側からも反応
新幹線ファン。
«「貨物目当てで入口広場行ったのに新幹線もちゃんと見てる犬島と藍島」»
«「新幹線の形式は分からなくて近くの人に聞いてたの良い」»
«「貨物18%、新幹線何%?」»
犬島。
この質問。
見る。
考える。
公式。
«新幹線は5%もないと思います。»
ネット。
«「新しいゲージ作るな」»
藍島。
«うちも同じくらいです。»
犬飼。
後から。
«二人とも知識を全部百分率で管理するな。»
---
二十五 犬飼の反応
呉。
広報室。
犬飼。
投稿。
見る。
犬島。
18%。
藍島。
新幹線5%未満。
そしてSNSには、
「犬島、EH800見てる」
犬飼。
少し笑う。
自分も投稿する。
«【広報担当・犬飼藍人】
犬島・藍島から、大湊までの船団護衛任務が問題なく終了したとの報告を受けています。
現在は船団側の積み荷変更作業に伴う約4日間の待機中です。
二人は当番外の自由時間を利用して青函トンネル入口広場へ行ったそうです。
犬島本人によると、貨物列車知識は15%から18%になりました。
藍島もEH800とコキを覚えたそうです。
私はもうこの%について深く考えないことにしました。»
犬島。
«担当官さんが聞いたんでしょう。»
犬飼。
«最初はな。»
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二十六 待機三日目
翌日。
犬島と藍島は貨物列車を見に行かなかった。
午前。
船団確認。
午後。
大湊周辺で買い物。
犬島は青森のお菓子を少し買う。
藍島も同じ。
ネット。
なぜか。
«「今日は入口広場に犬島いない」»
別。
«「そりゃ毎日はいないだろ」»
さらに。
«「犬島EH800見学、本日運休」»
犬島。
後から。
«運休ではありません。最初から行く予定がありません。»
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二十七 四日目、積み荷変更完了
待機四日目。
夕方。
船団。
積み荷変更。
完了。
各船。
重量配分。
確認。
固定。
確認。
目録。
更新。
最終検査。
問題なし。
翌朝。
出港。
決定。
犬島。
藍島。
再び。
護衛配置。
確認。
犬島は一度だけ北西方向を見る。
藍島が気づく。
「青函トンネル?」
犬島。
「違います」
「ほんまです?」
犬島は少し笑った。
「帰ったらまた貨物列車は見られます」
藍島。
「18%の余裕ですね」
「何です、それ」
---
二十八 帰投後のまとめ
後日。
呉。
第一岸壁。
犬島。
第二岸壁。
藍島。
無事帰投。
犬飼。
待つ。
「おかえり」
二人。
「ただいまです」
犬飼。
まず仕事。
確認。
「船団?」
犬島。
「引き渡しまで問題ありません」
「二人の艦体?」
藍島。
「異常なしです」
犬飼。
頷く。
それから。
「EH800?」
犬島。
「覚えとります」
「コキ?」
「前からです」
「31フィート?」
「たぶん見分けられます」
「新幹線?」
犬島。
「5%未満です」
犬飼。
「本当にその方式続けるんだな」
藍島が笑った。
---
終章 15%から18%へ
犬島が最初に貨物列車へ興味を持った理由は、少し変だった。
自分とは無関係な貨物列車の話で、なぜか事故原因のように名前を出された。
その後、自分に関係する部品輸送で本当に貨物列車が使われた。
そして艦体整備中の休暇。
実際に貨物列車を見てみた。
8%。
15%。
それから今回。
大湊まで船団護衛。
積み荷変更で四日間待機。
その自由時間。
青函トンネル入口広場。
EH800。
コキ。
31フィートコンテナ。
そして北海道新幹線。
犬島の自己評価。
18%。
まだ詳しいとは言えない。
それでも、第一岸壁から遠くに聞こえる列車の音へ少し反応する程度には、興味が残った。
その夜。
犬島公式SNS。
短い投稿。
«大湊で見たEH800のことを少し調べています。
18%からすぐ増やすつもりはありません。
ただ、次に見た時に分かるものが一つ増えたらええなと思います。»
一般ユーザー。
«「それを趣味の始まりと言います。」»
犬島。
少し時間を置いて返信した。
«前より否定しにくくなってきました。»
藍島。
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