提督と犬島は所属したての頃たくさん話をしているが、藍島は提督と日常的にはそんなに話をしたことがない設定
それに対する反応
月1広報特別編
提督・犬島・藍島、三人で話してみました
――「藍島とは、こういう話をする機会が意外となかった」――
呉鎮守府の月1広報。
今回の企画は、いつもと少し違った。
犬飼藍人は出演しない。
正確には、撮影現場にはいる。
しかしカメラの外。
今回、画面に映るのは三人だけだった。
呉鎮守府提督。
海防艦犬島。
海防艦藍島。
企画書の題名は非常に簡単だった。
「提督と犬島・藍島が普通に話す」
犬島は企画書を読んで、少し首を傾げた。
「これ、広報になるんです?」
カメラの外から犬飼。
「なるらしい」
藍島も紙を見る。
「何話すんです?」
提督。
「俺も聞きたい」
犬飼。
「そこから普通に話してください」
提督。
「本当に雑だな今回」
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一 意外な事実
撮影前。
広報担当が確認する。
「提督、犬島さんとは普段から結構話しますよね」
提督。
「ああ。昔からな」
犬島も頷く。
「所属したての頃、かなり話しました」
「藍島さんとは?」
そこで。
少し間があった。
藍島。
提督を見る。
提督も藍島を見る。
藍島。
「……そんなに話してませんね」
提督。
「そうなんだよな」
犬島。
少し驚く。
「そうでした?」
藍島。
「任務の指示とか報告はありますけど」
提督。
「日常的な雑談は少ない」
犬島。
「意外です」
提督。
「お前とは所属直後に色々あったからな」
犬島。
「色々ありましたね」
藍島。
「うちが来た時には、通常指揮が担当官さん中心になっとったのもあります」
提督。
「それが大きい」
現在。
海上任務。
艦隊運用。
戦闘。
演習。
そうした場面では提督が二人の指揮官。
一方。
日常生活。
基地内。
広報。
休養。
外出。
そうした通常指揮は犬飼藍人が担当している。
そのため藍島は提督と仕事上の接点こそ多いが、
一対一で普通に雑談した経験は意外と少なかった。
広報担当。
「じゃあ今回ちょうどいいですね」
藍島。
「何がです?」
「普通に話してください」
藍島。
「それが一番難しいやつでは?」
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二 撮影開始
カメラ。
回る。
画面。
中央。
提督。
左。
犬島。
右。
藍島。
字幕。
『今回は三人で普通に話します』
提督。
「呉鎮守府提督です」
犬島。
「海防艦犬島です」
藍島。
「海防艦藍島です」
三人。
少し。
沈黙。
提督。
「……で?」
犬島。
「担当官さんがおらんと始まりませんね」
カメラ外。
犬飼。
「俺を呼ぶな」
藍島。
少し笑う。
その笑いで、ようやく空気がほぐれた。
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三 犬島と提督の昔
提督。
「犬島とは本当に最初かなり話したな」
犬島。
「はい」
藍島。
「どんな話です?」
提督。
「所属直後だから、仕事の話が多かった」
犬島。
「最初はうちもかなり警戒しとりました」
提督。
「そうだった」
「命令の確認も何回もしました」
「したな」
藍島。
「犬島さん、そんな感じだったんです?」
犬島。
「最初は今より固かったです」
提督。
「固いというか、全部確認してから動くタイプだった」
犬島。
「今もです」
提督。
「今は確認した後に余計な一言が増えた」
犬島。
少し笑う。
「慣れたので」
藍島。
「提督にも?」
「はい」
提督。
「今は普通に言い返してくる」
犬島。
「言い返してるつもりはありません」
字幕。
『本人に自覚なし』
犬島。
「そこ付けるんですね」
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四 最初の頃の面談
提督。
「所属したての頃、犬島とは毎日のように面談してた」
藍島。
「毎日?」
犬島。
「最初の一週間くらいはかなり」
提督。
「どこまで命令理解できるか、艦体をどう感じてるか、疲労がどう出るか、誰を信用してるか。何も分からなかったから」
犬島。
「うちも自分で分からんこと多かったです」
提督。
「だから話すしかなかった」
藍島。
「それで今の距離になったんですね」
犬島。
「たぶん」
提督。
「あと犬島、黙ってても顔に出るから」
犬島。
「そんなに出ません」
提督。
「出る」
藍島。
「出ます」
犬島。
「藍島さんまで」
提督。
「そこは妹の方が詳しいな」
藍島。
「はい」
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五 藍島とは業務会話が多い
今度は藍島。
提督。
「藍島とは逆に、仕事の会話が多い」
藍島。
「そうですね」
「出撃前確認」
「はい」
「帰投後報告」
「はい」
「演習評価」
「はい」
「事故後の聞き取り」
藍島。
「それは多いですね」
提督。
「お前ら事故が多いからな」
犬島。
「そこは今回関係ないでしょう」
提督。
「関係ないけど事実」
藍島。
笑う。
提督。
「でも、『最近何食べた』とか『休み何してた』とかは、ほとんど犬飼が聞いてる」
藍島。
「担当官さんとはかなり話します」
提督。
「知ってる」
犬島。
「広報室にもよく行きますし」
提督。
「それも知ってる」
藍島。
「提督、意外と把握しとるんですね」
提督。
「一応指揮官だからな」
---
六 提督、藍島へ質問する
提督。
「じゃあせっかくだから聞く」
藍島。
「はい」
「最近何が楽しい?」
藍島。
少し考える。
「犬島さんと一緒に何か見ることです」
提督。
「具体的には?」
「貨物列車とか」
犬島。
「そっちなんですね」
藍島。
「犬島さんが先に興味持ったので」
提督。
「ああ、18%」
犬島。
すぐ反応。
「提督まで知っとるんです?」
提督。
「鎮守府であれだけ話題になったら知る」
藍島。
「今はもっと増えたんです?」
犬島。
「そこは今関係ないでしょう」
字幕。
『貨物列車知識の話になると少し逃げる犬島』
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七 藍島から提督へ質問
藍島。
「じゃあ、うちからも聞いてええです?」
提督。
「どうぞ」
「提督は、うちら二人をどう見とるんです?」
犬島。
少し。
藍島を見る。
提督。
すぐには答えない。
「仕事として?」
藍島。
「両方です」
提督。
少し考える。
「仕事なら、二人ともかなり信用してる」
犬島。
「ありがとうございます」
藍島。
「はい」
提督。
「ただし、自分の損傷確認を後回しにする癖は信用してない」
二人。
少し黙る。
犬島。
「前より改善しました」
藍島。
「うちも」
提督。
「そこは認める」
そして。
「人としてなら」
少し間。
«「帰ってきてくれると安心する二人」»
犬島。
表情。
少し柔らかくなる。
藍島も。
「それ、ええですね」
提督。
「指揮官としては、それが一番大事だからな」
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八 犬島の反応
犬島。
「うち、最初の頃は提督のこと怖かったです」
提督。
「今言う?」
犬島。
「今なら言えるので」
藍島。
笑う。
提督。
「何が怖かった?」
犬島。
「何考えとるか分からんかったので」
提督。
「それは俺も犬島に対して思ってた」
犬島。
「お互い様ですね」
提督。
「そうだな」
藍島。
「うちは最初からそんなに怖くなかったです」
提督。
「何で?」
藍島。
「犬島さんが普通に話しとったので」
犬島。
「うち基準?」
藍島。
「はい」
提督。
「姉の信用をそのまま使ったのか」
藍島。
「かなり」
犬島。
「知らんかったです」
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九 提督と藍島、少し距離が縮まる
提督。
「じゃあ藍島」
「はい」
「今後もう少し普通に話すか」
藍島。
少し驚く。
「ええんです?」
提督。
「別に今まで禁止してない」
「忙しそうなので」
「忙しいけど、五分くらいならある」
犬島。
「担当官さんみたいになります?」
提督。
「そこまではならん」
カメラ外。
犬飼。
「俺を比較対象にするな」
三人。
笑う。
藍島。
「じゃあ、たまに話します」
提督。
「そうしよう」
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十 休憩時間
撮影。
一旦。
休憩。
ただしカメラは少し離れた位置で回り続けていた。
提督。
お茶。
犬島。
同じ。
藍島。
水。
提督。
「藍島」
「はい」
「白桃好き?」
藍島。
「好きです」
「犬島もだよな」
犬島。
「はい」
提督。
「犬飼も?」
犬島。
「岡山なので食べます」
カメラ外。
犬飼。
「岡山県民全員白桃だけで生きてるみたいに言うな」
藍島。
笑う。
提督。
「高梁だったな」
犬飼。
「そうです」
犬島。
「提督、担当官さんの出身まで覚えとるんですね」
提督。
「部下のことだからな」
犬島。
「意外です」
提督。
「お前ら俺を何だと思ってる?」
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十一 動画内で一番自然だった場面
提督。
犬島。
藍島。
三人。
特に話題を決めずに話し始める。
犬島。
「提督、犬飼さんの月1広報見ます?」
「見る」
藍島。
「全部?」
「だいたい」
犬島。
「コメント欄も?」
「上の方だけ」
藍島。
「何が好きでした?」
提督。
「三人で何もせず飲み物飲んでた回」
犬島。
「そこなんです?」
提督。
「事故も訓練もないから安心して見られる」
犬島。
「ああ」
藍島。
「提督もそこなんですね」
提督。
「俺は特にそうだよ」
三人。
少し笑う。
この会話は編集でもほぼそのまま残された。
---
十二 提督から犬島へ
提督。
「犬島は俺と話しすぎて、逆に最近あまり話さなくなったな」
犬島。
「担当官さんがおりますので」
提督。
「寂しいって意味じゃないぞ」
犬島。
「分かってます」
「必要なら来いよ」
犬島。
「はい」
藍島。
「うちも?」
提督。
「もちろん」
藍島。
「じゃあ行きます」
提督。
「本当に来そうだな」
藍島。
「行くって言いましたので」
犬島。
「藍島さん、言ったらほんまに行きますよ」
提督。
「知ってる」
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十三 最後の質問
広報担当。
最後。
カメラ外。
質問。
「三人とも、今日話してみてどうでした?」
提督。
「犬島はいつも通り」
犬島。
「それだけ?」
提督。
「安心するくらいいつも通り」
犬島。
「ならええです」
提督。
「藍島は」
藍島。
「はい」
「思ってたより話すな」
藍島。
少し笑う。
「普段機会が少ないだけです」
「それが分かった」
藍島。
「うちも提督が思っとったより普通に話す人だと分かりました」
犬島。
「あ」
提督。
「何?」
犬島。
「どこかで聞いた言い方ですね」
藍島。
少し考えて。
「思っとったより普通の人でした」
提督。
「それ褒めてる?」
藍島。
「褒めています」
カメラ外。
犬飼。
吹き出す。
提督。
「ああ、ジャーヴィスにもそれ言ったやつか」
藍島。
「はい」
提督。
「俺とジャーヴィスが同じ評価になった」
犬島。
笑う。
---
十四 動画公開
三日後。
タイトル。
【月1広報特別編】提督と犬島・藍島、三人で普通に話してみました
動画時間。
31分08秒。
概要欄。
«今回は呉鎮守府提督、海防艦犬島、海防艦藍島の三名による対談です。
犬島は所属初期から提督との面談・会話が多く、比較的日常的な距離感があります。
一方、藍島は艦隊指揮上の報告・命令では提督と接するものの、通常生活では犬飼担当官との接点が多いため、提督との雑談経験は意外と少ないことが撮影前に判明しました。
そこで今回は特別な議題を設けず、三人で普通に話してもらいました。»
---
十五 ネットの第一反応
公開直後。
«「藍島、提督とあんまり雑談したことなかったの意外」»
«「任務では普通に話してるから気づかなかった」»
«「犬島は昔からめちゃくちゃ話してるんだな」»
«「姉妹で提督との距離感違うの面白い」»
特に。
«「犬島は提督と昔から話す。藍島は犬飼さんと日常会話が多い。」»
という整理が広がる。
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十六 犬島と提督の距離感
ネット。
«「犬島、提督に普通にツッコミ入れてる」»
«「所属直後から積み上げた関係なんだな」»
«「『最初は怖かった』を本人に言えるくらいには近い」»
«「提督も『俺も何考えてるか分からなかった』って返すの好き」»
犬島公式。
«最初は本当にかなり話しました。
今は話さなくても分かることが増えたので、前ほど面談はしません。»
返信。
«「長年の関係だ」»
犬島。
«そうかもしれません。»
---
十七 藍島側の反応
一方。
藍島。
«提督とは任務の話はかなりします。
でも普通の雑談は本当に少なかったです。
今回話してみて、もう少し普段から話してもええと思いました。»
ネット。
«「距離縮まった」»
«「提督、藍島に『最近何が楽しい?』って聞くのちょっと父親っぽい」»
この反応。
提督公式。
«父親ではありません。»
犬飼。
«その訂正、俺も何回かしたことあります。»
提督。
«お前と一緒にするな。»
犬島。
«似たことしとります。»
藍島。
«かなり。»
提督。
«二人とも黙ってくれ。»
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十八 「思ってたより普通の人でした」
そして案の定。
一番伸びる。
藍島。
«「提督、思っとったより普通の人でした」»
ネット。
«「また言った」»
«「ジャーヴィスに続いて提督」»
«「藍島の最高評価」»
«「“思ってたより普通”=かなり好印象」»
ジャーヴィス側。
過去の件を知る人。
«「同じ評価だ!」»
藍島公式。
«どちらも褒めています。»
提督。
«そういう評価基準なんだな。»
犬島。
«藍島さんらしいです。»
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十九 提督の「帰ってきてくれると安心する二人」
動画内で最も真面目に受け止められたのは、この言葉だった。
«「人としてなら、帰ってきてくれると安心する二人」»
ネット。
«「提督らしい評価」»
«「強いとか有能とかじゃなく“帰ってきてくれると安心”なんだ」»
«「事故多い二人だから余計に重い」»
«「犬島と藍島が『ただいま』って言う意味が分かる」»
犬島。
«うちらも帰った時に「おかえり」と言ってもらえると安心します。»
藍島。
«提督にも担当官さんにも言ってもらいます。»
犬飼。
«これからも言います。»
提督。
«俺も。»
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二十 犬飼が映っていないのに存在感がある
今回。
犬飼。
画面。
ほぼ。
映らない。
しかし。
声。
何度か入る。
ネット。
«「犬飼さん出演なしとは?」»
«「声はいる」»
«「提督と二人に話させる企画なのにカメラ外から笑ってる」»
«「結局いつもの担当官」»
犬飼。
«今回は撮影補助です。»
返信。
«「出演してないのに会話に10回くらい出てくる」»
犬飼。
«数えなくていいです。»
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二十一 提督公式SNS
«今回の月1広報に参加しました。
犬島とは所属初期から多く話してきましたが、藍島とは艦隊指揮上の会話が中心で、日常的な雑談は思っていた以上に少なかったようです。
今回話してみて、それがよく分かりました。
犬島は昔よりかなり自然に話すようになりました。
藍島も今後は、何かあれば普通に話しかけてくれればと思います。
なお藍島から「思っていたより普通の人でした」と評価されました。
褒め言葉だそうです。»
藍島。
«褒めています。»
犬島。
«かなり良い方です。»
提督。
«なら受け取っておく。»
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二十二 最上位コメント
公開翌日。
最も評価されたコメント。
«「犬島は提督と最初からいっぱい話して信頼を作った。藍島は犬島がすでに信頼してる提督だったから、その信頼を少し借りた状態から始まった。その後は犬飼さんとの日常が中心になったから、提督と雑談する機会が少なかった。今回やっと藍島自身が提督との距離を作り始めた感じがして良かった。」»
犬島。
いいね。
藍島。
いいね。
提督。
いいね。
犬飼。
いいね。
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終章 翌週
数日後。
提督執務室。
ノック。
「どうぞ」
扉。
開く。
藍島。
「提督」
提督。
少し驚く。
「どうした?」
藍島。
「五分くらいなら話せるって言ってましたよね」
提督。
一瞬。
止まる。
それから笑う。
「本当に来たな」
藍島。
「行くって言いましたので」
「どうぞ」
藍島。
座る。
提督。
「で、何の話?」
藍島。
少し考える。
«「特に決めてません」»
提督。
「一番困るやつだな」
藍島。
笑う。
その日の会話は七分ほど続いた。
任務の話は一度も出なかった。
翌日。
犬島が提督執務室の前で藍島と会う。
「藍島さん、何しとったんです?」
「提督と話してました」
犬島。
「何の?」
「普通の話です」
犬島は少し笑った。
「良かったですね」
「はい」
それから藍島は、毎日のように提督のところへ行くわけではなかった。
月に一度か二度。
何となく話したい時だけ。
そのくらいが、ちょうどよかった。
提督にとっても。
藍島にとっても。
そして犬島は、それを少し嬉しそうに見ていた。