海防艦 犬島   作:重装甲空母信濃

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提督と犬飼が話す広報動画
お互いの仕事内容を共有し合ったり、犬島と藍島以外の艦娘で困っていることを提督が話をしている。

ネット上の反応


提督と犬飼 広報

呉鎮守府 月1広報特別編

 

提督と犬飼担当官、二人で話してみました

 

――「お互い、相手の仕事を全部は知らない」――

 

犬島と藍島が月に一度担当している呉鎮守府特別広報。

 

今回は、少し変わった企画だった。

 

犬島はいない。

 

藍島もいない。

 

画面に座っているのは男性二人だけ。

 

一人は呉鎮守府提督。

 

もう一人は呉鎮守府特別広報担当官、犬飼藍人。

 

撮影開始前。

 

提督は企画書を見ながら言った。

 

「これ需要あるのか?」

 

犬飼も隣で読む。

 

「俺も同じこと思ってます」

 

撮影スタッフ。

 

「あります」

 

提督。

 

「言い切るな」

 

犬飼。

 

「いつもの二人いませんよ?」

 

スタッフ。

 

「だからです」

 

二人。

 

顔を見合わせる。

 

提督。

 

「どういう理屈だ?」

 

犬飼。

 

「分かりません」

 

それでもカメラは回り始めた。

 

---

 

一 今回のテーマ

 

画面に字幕が出る。

 

『今回は提督と犬飼担当官の仕事について話します』

 

提督。

 

「呉鎮守府提督です」

 

犬飼。

 

「特別広報担当官の犬飼藍人です」

 

提督。

 

「普段は犬島と藍島がいるんですが」

 

犬飼。

 

「今日は二人とも別勤務です」

 

提督。

 

「なので、おじさん二人です」

 

犬飼。

 

「俺まだ二十代なんですけど」

 

提督。

 

「じゃあ俺だけで」

 

犬飼。

 

「そこ訂正するんですね」

 

撮影スタッフの笑い声が入る。

 

最初からいつもの広報動画とは少し違った。

 

---

 

二 提督の仕事

 

犬飼。

 

「これ、俺から質問していいんですよね?」

 

提督。

 

「たぶん」

 

犬飼。

 

「提督って普段何してるんです?」

 

提督。

 

少し黙る。

 

「今さら?」

 

犬飼。

 

「実は全部は知らないです」

 

提督。

 

「お前、俺の部下だよな」

 

「広報側なので」

 

提督は少し考えてから説明した。

 

「一番大きいのは艦隊運用だな」

 

出撃。

 

警戒。

 

護衛。

 

演習。

 

訓練。

 

艦隊編成。

 

各方面との調整。

 

整備状況を踏まえた出撃可能艦の確認。

 

補給。

 

入渠。

 

事故発生時の指揮。

 

他鎮守府との連携。

 

そして戦闘が発生した場合の判断。

 

提督。

 

「艦娘が何十人いても、同じ日に全員出せるわけじゃない」

 

犬飼。

 

「整備とかありますもんね」

 

「整備だけじゃない。本人の体調もある。昨日まで元気でも、今日は休ませた方がいい場合もある」

 

犬飼。

 

「そこまで見るんですね」

 

提督。

 

「そこを見ないと指揮官じゃないだろ」

 

犬飼。

 

少し頷く。

 

「それは俺の仕事とも近いですね」

 

---

 

三 犬飼の仕事

 

今度は提督。

 

「じゃあお前は何してる?」

 

犬飼。

 

「本当に知らないんです?」

 

「広報してるのは知ってる」

 

「かなり大雑把ですね」

 

犬飼は指を折る。

 

公式SNS。

 

広報動画。

 

撮影許可。

 

編集内容確認。

 

機密情報除外。

 

他部署との公開範囲調整。

 

海外海軍広報部門との連絡。

 

犬島・藍島の通常生活上の相談。

 

休養状況。

 

外出。

 

移動。

 

食事。

 

基地内設備利用。

 

事故後の本人説明。

 

記者問い合わせ対応。

 

ネット上の誤情報訂正。

 

提督。

 

「多いな」

 

犬飼。

 

「誰の鎮守府だと思ってるんです?」

 

提督。

 

「俺の鎮守府だけど」

 

犬飼。

 

「なら少し手伝ってください」

 

提督。

 

「艦隊指揮手伝ってくれるなら」

 

犬飼。

 

「無理です」

 

提督。

 

「じゃあこっちも無理」

 

字幕。

 

『業務交換、成立せず』

 

---

 

四 提督が知らなかった仕事

 

提督。

 

「海外のコメントまで見るの?」

 

犬飼。

 

「全部ではないですけど、反応が大きい時は」

 

「例えば?」

 

「アイオワ、ジャーヴィス、フレッチャーが犬島の話ばっかりしてた動画とか」

 

提督。

 

「あれか」

 

犬飼。

 

「犬島19回、藍島12回、俺5回」

 

提督。

 

「まだ覚えてるのか」

 

犬飼。

 

「本人じゃなく海外公式が数えたんですよ」

 

提督。

 

「お前まで5回出てたの、今考えても面白いな」

 

犬飼。

 

「俺は撮影場所にすらいません」

 

提督。

 

「犬島もいなかった」

 

犬飼。

 

「犬島は19回です」

 

二人。

 

少し笑う。

 

---

 

五 犬飼が知らなかった仕事

 

逆に犬飼が驚いたのは、提督がかなり細かな生活情報まで把握していることだった。

 

提督。

 

「演習前日に寝不足の艦を出したくないからな」

 

犬飼。

 

「睡眠時間まで見るんです?」

 

「直接全部確認するわけじゃない。報告が上がる」

 

「食事も?」

 

「極端に食べてないとかなら」

 

犬飼。

 

「もっと戦術だけ見てる人かと思ってました」

 

提督。

 

「俺を何だと思ってたんだ」

 

犬飼。

 

「地図の前で腕組んでる人」

 

提督。

 

「偏見がひどい」

 

字幕。

 

『提督=地図の前で腕を組むだけではありません』

 

---

 

六 ここから他の艦娘の話

 

撮影スタッフ。

 

「犬島さんと藍島さん以外で、最近困っていることはありますか?」

 

提督。

 

「ある」

 

返答が早かった。

 

犬飼。

 

「結構あるんですね」

 

「あるよ」

 

「聞いていい範囲で」

 

提督。

 

「個人情報にならない程度なら」

 

犬飼。

 

「じゃあお願いします」

 

提督は最初にため息をついた。

 

---

 

七 朝が弱い艦娘

 

提督。

 

「まず、朝起きない」

 

犬飼。

 

「誰です?」

 

「名前は出さない」

 

犬飼。

 

「残念」

 

「残念じゃない」

 

提督によると、出撃予定がない日は本当に起きない艦娘がいる。

 

午前七時。

 

起床予定。

 

反応なし。

 

七時十五分。

 

反応なし。

 

七時半。

 

ようやく起きる。

 

しかし二度寝。

 

犬飼。

 

「それ普通の学生みたいですね」

 

提督。

 

「艦娘だ」

 

「それで困るんです?」

 

「午前の訓練に間に合えばまだいい。でも健康診断の日まで寝る」

 

犬飼。

 

「それは起こしてください」

 

提督。

 

「起こしてる」

 

---

 

八 冷蔵庫問題

 

次。

 

提督。

 

「名前を書かずに食べ物を入れる艦娘」

 

犬飼。

 

「ああ」

 

「分かる?」

 

「広報室でもたまにあります」

 

提督。

 

「鎮守府の共用冷蔵庫だと規模が違う」

 

プリン。

 

ゼリー。

 

飲み物。

 

保存容器。

 

誰のものか分からない。

 

一定期間経過。

 

処分。

 

翌日。

 

「私のだったのに!」

 

提督。

 

「名前を書けと言ってる」

 

犬飼。

 

「何回?」

 

提督。

 

「かなり」

 

犬飼。

 

「犬島なら書きそうですね」

 

提督。

 

「犬島は書く。藍島も書く」

 

犬飼。

 

「今回はあの二人以外の話ですからね」

 

提督。

 

「だから困ってる」

 

---

 

九 洗濯物

 

提督。

 

「次、洗濯物を回収しない」

 

犬飼。

 

「提督の仕事なんですか、それ」

 

「俺の仕事じゃない。でも報告が来る」

 

共同設備。

 

乾燥済み。

 

服。

 

ずっと残る。

 

次の人が使えない。

 

犬飼。

 

「名前は?」

 

「言わない」

 

「複数?」

 

提督。

 

「複数」

 

犬飼。

 

「大変ですね」

 

提督。

 

「お前、他人事だな」

 

犬飼。

 

「犬島と藍島は比較的その辺ちゃんとしてるので」

 

提督。

 

「羨ましい」

 

字幕。

 

『提督、犬飼担当艦の生活態度を羨ましがる』

 

犬飼。

 

「担当艦って言い方やめてください」

 

---

 

十 装備を勝手に直そうとする艦娘

 

提督。

 

「あと、自分で直そうとする」

 

犬飼。

 

「犬島?」

 

提督。

 

「今回は犬島以外」

 

犬飼。

 

「いるんだ」

 

「いる」

 

軽微な設備不良。

 

本来。

 

工廠へ報告。

 

ところが、

 

「これくらい自分でいける」

 

と工具を持ってくる。

 

結果。

 

直ることもある。

 

逆に悪化することもある。

 

犬飼。

 

「犬島なら?」

 

提督。

 

「犬島は直せる範囲と工廠へ渡す範囲がかなり分かってる」

 

犬飼。

 

「経験値ですね」

 

提督。

 

「だから真似しないでほしい」

 

字幕。

 

『犬島を基準にしてはいけません』

 

---

 

十一 犬飼が笑った悩み

 

提督。

 

「あと廊下で走る」

 

犬飼。

 

少し吹き出す。

 

「小学校ですか」

 

「艦娘だ」

 

「誰です?」

 

「言わない」

 

「駆逐艦?」

 

提督。

 

「言わない」

 

犬飼。

 

「ほぼ答えてません?」

 

提督。

 

「答えてない」

 

走る。

 

角。

 

曲がる。

 

人。

 

いる。

 

急停止。

 

提督。

 

「危ない」

 

犬飼。

 

「普通に危ないですね」

 

「だから『廊下を走るな』という通達を海軍基地で出す羽目になった」

 

犬飼。

 

「文章残ってます?」

 

「残ってる」

 

「広報に使いたい」

 

「使うな」

 

---

 

十二 部屋に物を溜める

 

提督。

 

「次は片づけ」

 

犬飼。

 

「深刻?」

 

「人による」

 

書類。

 

本。

 

工具。

 

お菓子。

 

空箱。

 

記念品。

 

艦艇模型。

 

全部。

 

置く。

 

通路。

 

狭くなる。

 

提督。

 

「検査に行ったら床が半分しか見えなかった」

 

犬飼。

 

「誰か分かりそうなので詳細やめましょう」

 

提督。

 

「そうだな」

 

字幕。

 

『本人保護のため詳細非公開』

 

ネット公開後、この字幕だけで犯人当てが始まることになる。

 

---

 

十三 提督の一番困ること

 

犬飼。

 

「結局、一番困るの何です?」

 

提督。

 

少し考える。

 

「無理して『大丈夫』って言うこと」

 

空気が少し変わる。

 

犬飼も真面目になる。

 

提督。

 

「怪我でも疲労でもそうだけど、本人が『いけます』と言うと、周りもその言葉を信じたくなる」

 

犬飼。

 

「ありますね」

 

「でも本当はいけない時もある」

 

犬飼。

 

「犬島と藍島にもありました」

 

提督。

 

「そう」

 

犬飼。

 

「動けるから大丈夫、浮いてるから大丈夫、みたいな」

 

提督。

 

「あの二人だけじゃない」

 

提督はカメラを見る。

 

«「休む判断も仕事のうちです」»

 

犬飼。

 

「それは広報側からも言いたいです」

 

---

 

十四 犬飼が困っていること

 

今度は提督。

 

「お前は?」

 

犬飼。

 

「何がです?」

 

「犬島と藍島以外でなくてもいい。広報で困ること」

 

犬飼。

 

即答。

 

「事故発生直後にネットが原因を決めること」

 

提督。

 

「ああ」

 

犬飼。

 

「調査前なのに『誰が悪い』『これが原因』って決める」

 

「多いな」

 

「犬島本人はかなり慎重なので、公式投稿も『分かっていることだけ』にしますけど」

 

提督。

 

「広報側は大変だな」

 

犬飼。

 

「あと、普通の投稿より事故投稿の方が伸びると思ったら、白桃食べてるだけの動画の方が伸びたりする」

 

提督。

 

「それはいいことじゃないか」

 

犬飼。

 

「予測できないんです」

 

提督。

 

「諦めろ」

 

---

 

十五 「提督は犬飼の仕事をやりたい?」

 

撮影スタッフ。

 

「一日だけ仕事を交換するとしたら?」

 

提督。

 

「嫌だ」

 

犬飼。

 

「俺も嫌です」

 

即答。

 

字幕。

 

『双方拒否』

 

犬飼。

 

「提督の仕事、責任重すぎます」

 

提督。

 

「お前の仕事、SNSの反応を見るのが怖い」

 

犬飼。

 

「そこですか」

 

提督。

 

「俺なら一日でコメント欄閉じる」

 

犬飼。

 

「向いてないです」

 

提督。

 

「知ってる」

 

---

 

十六 犬島・藍島について少しだけ

 

提督。

 

「犬飼はあの二人の通常指揮やってて大変じゃない?」

 

犬飼。

 

「事故の時は大変です」

 

提督。

 

「通常時は?」

 

犬飼。

 

「比較的楽ですよ」

 

「本当に?」

 

「言えば聞きますし、分からなければ聞いてきます」

 

提督。

 

「たまに河口入るけど」

 

犬飼。

 

「それは俺の通常管理の問題じゃないです」

 

提督。

 

笑う。

 

犬飼。

 

「最近は自分の損傷確認も先にするようになりました」

 

提督。

 

「あれは良くなった」

 

犬飼。

 

「それ以外なら、広報室に勝手に来て隣に座るくらいです」

 

提督。

 

「それ大変?」

 

犬飼。

 

「別に」

 

提督。

 

少し笑う。

 

「だろうな」

 

---

 

十七 犬飼から見た提督

 

撮影スタッフ。

 

「犬飼さんから見て、提督はどんな上司ですか?」

 

犬飼。

 

少し考える。

 

「思ったより細かいところ見てる人です」

 

提督。

 

「藍島みたいな評価だな」

 

犬飼。

 

「『思ったより普通』とは言ってません」

 

「似たようなもんだろ」

 

犬飼。

 

「戦闘や艦隊運用だけじゃなく、睡眠とか食事とか生活面まで見てるのは今日改めて知りました」

 

提督。

 

「全部一人で見てるわけじゃないけどな」

 

犬飼。

 

「でも最終的に気にしてる」

 

「まあな」

 

犬飼。

 

«「ちゃんと人を見てる提督だと思います」»

 

提督。

 

一瞬黙る。

 

「広報動画だからって持ち上げなくていいぞ」

 

犬飼。

 

「本当に言ってます」

 

提督。

 

「そうか」

 

---

 

十八 提督から見た犬飼

 

逆。

 

提督。

 

「犬飼は、思ってたより仕事してる」

 

犬飼。

 

「急に失礼ですね」

 

提督。

 

「最初、広報動画撮ってSNS更新してるだけだと思ってた」

 

犬飼。

 

「ひどい」

 

提督。

 

「でも実際には、公開情報の整理、本人の状態確認、外部調整までやってる」

 

犬飼。

 

「はい」

 

提督。

 

«「犬島と藍島を任せて良かったとは思ってる」»

 

犬飼。

 

少し照れたように視線を外す。

 

「ありがとうございます」

 

提督。

 

「事故多いけど」

 

犬飼。

 

「それ俺のせいじゃないです」

 

---

 

十九 動画の締め

 

撮影スタッフ。

 

「最後に一言ずつお願いします」

 

提督。

 

「何を?」

 

犬飼。

 

「今回そういうの多いですね」

 

少し考える。

 

提督。

 

«「鎮守府は戦闘だけで動いてるわけではありません。日常業務をしている人も、整備する人も、広報する人もいます。艦娘も同じです。」»

 

犬飼。

 

続ける。

 

«「事故や任務の時だけじゃなく、普通に働いているところも知ってもらえたらと思います。」»

 

提督。

 

「真面目に終わったな」

 

犬飼。

 

「良いじゃないですか」

 

提督。

 

「じゃあ終わり?」

 

スタッフ。

 

「はい」

 

提督。

 

「お疲れ」

 

犬飼。

 

「お疲れさまでした」

 

カメラが止まる直前。

 

提督。

 

「ところで例の廊下走る艦娘、今日も走ってたぞ」

 

犬飼。

 

「映像あります?」

 

提督。

 

「広報に使おうとするな」

 

暗転。

 

---

 

二十 公開

 

三日後。

 

動画タイトル。

 

【月1広報特別編】提督と犬飼担当官、互いの仕事について話してみました

 

動画時間。

 

34分21秒。

 

サムネイル。

 

提督。

 

犬飼。

 

二人。

 

字幕。

 

「鎮守府の裏側、意外と知らない。」

 

公開。

 

---

 

二十一 ネットの第一反応

 

最初に多かったのは、

 

«「犬島も藍島もいない!」»

 

«「男二人回だ」»

 

«「これ誰が見るんだと思ったら普通に面白い」»

 

«「提督と犬飼さんの仕事内容全然違うな」»

 

そして。

 

«「お互い相手が何してるか意外と知らないの草」»

 

犬飼。

 

公式返信。

 

«同じ鎮守府でも部署が違うので、全部は分かりません。»

 

---

 

二十二 提督の生活指導が人気

 

特に伸びた部分。

 

«「提督の悩み:朝起きない」»

 

«「提督の悩み:冷蔵庫に名前書かない」»

 

«「提督の悩み:洗濯物回収しない」»

 

«「提督の悩み:廊下走る」»

 

«「海軍の最高指揮官が生活指導の先生みたいになってる」»

 

提督公式。

 

«すべて実際に困ります。»

 

返信。

 

«「特に廊下?」»

 

提督。

 

«ぶつかるので危険です。»

 

犬飼。

 

«急に学校の先生みたいです。»

 

提督。

 

«安全管理です。»

 

---

 

二十三 犯人当てが始まる

 

当然。

 

ネット。

 

「朝弱いの誰?」

 

「片づけできないの誰?」

 

「廊下走ってるの誰?」

 

推測。

 

大量。

 

しかし。

 

提督。

 

«個人名は出しません。推測で他の艦娘の名前を出すのも控えてください。»

 

犬飼も。

 

«今回の話は特定の誰かを晒す目的ではありません。»

 

この対応。

 

評価される。

 

«「ちゃんとそこで止めるの良い」»

 

---

 

二十四 一番真面目に評価された部分

 

提督。

 

«「一番困るのは、無理して『大丈夫』と言うこと」»

 

この部分。

 

大きく切り抜かれる。

 

«「これは艦娘だけじゃなく人間にも刺さる」»

 

«「休む判断も仕事」»

 

«「提督が生活面見る理由ここなんだな」»

 

犬飼。

 

公式。

 

«本人が大丈夫と言っていても、状況を見て休ませる必要がある場合があります。»

 

犬島。

 

この動画。

 

見た後。

 

«うちも前にやりました。今は先に自分の状態を確認します。»

 

藍島。

 

«うちもです。»

 

提督。

 

«二人は特に忘れないように。»

 

---

 

二十五 「犬島を基準にしてはいけません」

 

装備修理の話。

 

字幕。

 

『犬島を基準にしてはいけません』

 

ネット。

 

非常に。

 

人気。

 

«「名言」»

 

«「犬島は修理できる範囲見極めてるからな」»

 

«「他の艦娘が『犬島もやってた』って真似するの危険」»

 

犬島。

 

«分からん物は工廠に持っていきます。»

 

提督。

 

«その判断まで含めて真似してください。»

 

---

 

二十六 犬飼の仕事への反応

 

ネット。

 

«「犬飼さん思ったより広報だけじゃない」»

 

«「事故後の本人確認までやるんだ」»

 

«「海外海軍広報との調整まで?」»

 

«「犬島と藍島の日常指揮もあるし結構忙しい」»

 

そして。

 

«「なのに広報室で二人が横に座ってる」»

 

犬飼。

 

«仕事の邪魔にならない時なら問題ありません。»

 

藍島。

 

«今度も行きます。»

 

犬島。

 

«うちも。»

 

犬飼。

 

«はいはい。»

 

---

 

二十七 提督と犬飼の関係性

 

視聴者。

 

意外。

 

感じた。

 

こと。

 

二人。

 

上下関係。

 

ある。

 

でも。

 

会話。

 

かなり普通。

 

«「提督と犬飼さん思ったより仲良い?」»

 

«「友達ではないけど仕事仲間感ある」»

 

«「互いに専門分野違うからちゃんと尊重してる」»

 

«「提督が犬飼さんに犬島藍島任せて良かったって言うところ好き」»

 

犬飼。

 

«上司です。»

 

提督。

 

«部下です。»

 

同時期。

 

投稿。

 

ネット。

 

«「息ぴったり」»

 

提督。

 

«偶然です。»

 

---

 

二十八 最も伸びたコメント

 

動画公開翌日。

 

最上位。

 

«「提督は艦隊を動かす人、犬飼さんは帰ってきた艦娘の日常を整える人、って感じがする。仕事内容は違うけど、結局どっちも『無事に出して、無事に帰ってきてもらう』ところにつながってるんだな。」»

 

提督。

 

いいね。

 

犬飼。

 

いいね。

 

犬島。

 

いいね。

 

藍島。

 

いいね。

 

提督は後で短く返信した。

 

«その認識でだいたい合っています。»

 

犬飼。

 

«俺もそう思います。»

 

---

 

二十九 犬島と藍島の反応

 

翌日。

 

広報室。

 

犬島。

 

藍島。

 

犬飼。

 

犬島。

 

「動画見ました」

 

犬飼。

 

「どうだった?」

 

「担当官さん、結構仕事しとるんですね」

 

犬飼。

 

「お前まで言うの?」

 

藍島。

 

「うちは知っとりました」

 

犬飼。

 

「ありがとう」

 

犬島。

 

「うちも知っとりますよ」

 

犬飼。

 

「今さら修正するな」

 

藍島。

 

「提督の悩み、面白かったです」

 

犬飼。

 

「廊下走るやつ?」

 

「はい」

 

犬島。

 

「誰なんでしょう」

 

犬飼。

 

「詮索するなって公式が言ってただろ」

 

犬島。

 

「聞いただけです」

 

---

 

終章 仕事は違う

 

数日後。

 

提督執務室。

 

犬飼。

 

資料。

 

届ける。

 

提督。

 

「動画、結構伸びたらしいな」

 

犬飼。

 

「伸びました」

 

「男二人なのに」

 

犬飼。

 

「そこ気にしてたんです?」

 

「ちょっと」

 

犬飼。

 

笑う。

 

「次もやります?」

 

提督。

 

「毎月は嫌だ」

 

「俺もです」

 

提督。

 

「でも、たまになら」

 

犬飼。

 

「ですね」

 

提督は資料を受け取る。

 

「犬島と藍島は?」

 

「今日は訓練です」

 

「帰投予定は?」

 

「夕方です」

 

提督。

 

「そうか」

 

犬飼。

 

「帰ったら俺のところに来ると思います」

 

提督。

 

「いつものことだな」

 

「はい」

 

少し間が空く。

 

提督。

 

«「海に出した後は俺の仕事」»

 

犬飼。

 

«「帰ってきた後は俺の仕事」»

 

提督。

 

「分かりやすいな」

 

犬飼。

 

「前からそう言われてます」

 

二人は少し笑った。

 

仕事内容は違う。

 

責任の持ち方も違う。

 

見ている時間も違う。

 

それでも最終的に確認することは似ている。

 

今日も出ていった艦娘が、

 

ちゃんと帰ってくること。

 

そして帰ってきた後に、

 

普通の日常へ戻れること。

 

その二つを別々の場所から支えるのが、

 

提督と犬飼の仕事だった。

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