数隻の駆逐艦は時津風確定の残り3隻はランダム。
アメリカに到着する少し前に沖合で航行不能になったアメリカ籍の大型輸送船を発見し、曳航して向かう。
アメリカ到着後にネット上に公開される。アイオワ、フレッチャー、ジャーヴィス、時津風、駆逐艦3隻、犬島、藍島、が並んでいる写真も含めて(写真生成指示ではない)
これに対するネット上の反応(日本の反応と海外の反応を分けて)
呉鎮守府・米国広報交流訪問
――招待されたので行ったら、輸送船まで連れてきました――
始まりは、呉鎮守府広報部に届いた一本の正式連絡だった。
送信元はアメリカ海軍広報部門。
内容は、かなり率直だった。
«「可能であれば、海防艦犬島、海防艦藍島、ならびに広報担当官・犬飼藍人の三名に、米国での海軍広報交流行事へ参加していただきたい。」»
呉鎮守府広報室。
犬飼藍人はその文面を二度読んだ。
隣では犬島が同じ画面を見ている。
藍島も覗き込む。
犬島が最初に言った。
「ほんまに来ましたね」
犬飼。
「来たな」
藍島。
「前の動画の話?」
「たぶんそれが大きい」
以前、アメリカ海軍のフレッチャーとアイオワ、イギリス海軍のジャーヴィスが休憩中に話していた動画。
そこに犬島も藍島も犬飼もいなかったにもかかわらず、会話の中心になったのは犬島だった。
その後、アメリカ・イギリス双方から、
「次は本人たちも交えて話したい」
という声が出ていた。
それが今回、正式な招待になった。
---
一 提督は即答しなかった
提督執務室。
提督。
犬飼。
犬島。
藍島。
四人で協議する。
提督は招待文を見る。
「三人だけ?」
犬飼。
「先方の希望としては」
犬島。
「うちらだけでアメリカまで行くんです?」
提督。
「それはやらない」
藍島。
「ですよね」
今回、犬島と藍島は自分の実艦で海を渡る。
太平洋を越える長距離航海。
広報目的とはいえ、海軍艦艇による国外移動である。
提督。
「犬島と藍島だけで太平洋横断はさせない。何かあった時の余裕がなさすぎる」
犬飼。
「俺は艦じゃないですからね」
「お前を海上戦力に数えるつもりはない」
犬飼。
「良かったです」
犬島。
「じゃあ、護衛付き?」
提督。
「最低でも駆逐艦数隻」
藍島。
「何隻くらい?」
提督は少し考えた。
«「四隻。」»
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二 同行する四隻
一隻目。
早い段階で決まった。
時津風。
河口進入事故の件もあり、犬島・藍島とは以前から交流がある。
本人もアメリカ側との交流に興味を示していた。
時津風。
「行く行く!」
提督。
「即答だな」
「アメリカでしょ? 行きたい!」
二隻目。
霞。
長距離航海で規律と実務を支えられる艦として選ばれた。
霞。
「広報旅行じゃないんだから、浮かれないでよね」
時津風。
「まだ何もしてないよ?」
「先に言っとくの」
三隻目。
電。
穏やかな性格と対外交流適性を評価。
電。
「海外の皆さんとお話しできるなら、嬉しいのです」
四隻目。
清霜。
本人の希望と、過去の共同護衛経験から選定された。
清霜。
「アメリカ! 戦艦いっぱいいる!?」
提督。
「広報交流だからな」
「アイオワいる!?」
「いる予定」
「行く!」
霞。
「だから遊びじゃないって言ってるでしょう」
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三 最終メンバー
正式な訪米参加者。
海防艦犬島。
海防艦藍島。
駆逐艦時津風。
駆逐艦霞。
駆逐艦電。
駆逐艦清霜。
そして広報担当官。
犬飼藍人。
艦娘6名。
人間1名。
提督は同行しない。
犬島。
「担当官さんだけ人間ですね」
犬飼。
「そうだな」
時津風。
「海に落ちないでね」
犬飼。
「落ちる前提で話すな」
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四 アメリカ側へ回答
呉鎮守府から回答。
«「犬島、藍島、犬飼担当官の訪米について了承します。」
「ただし長距離航海および安全確保のため、駆逐艦時津風、霞、電、清霜の四隻を同行させます。」»
アメリカ側。
即日了承。
さらに、
アイオワとフレッチャーが受け入れ側として参加予定。
イギリス海軍からは、交流行事に合わせて滞米中の
ジャーヴィス
も参加すると連絡があった。
犬島。
「ほんまに前の動画の人、全員おりますね」
藍島。
「今度はうちらも現地にいます」
犬飼。
「俺までいる」
犬島。
「前は名前だけ5回出ましたから」
犬飼。
「数えなくていいって言っただろ」
---
五 太平洋横断
日本出発。
天候。
良好。
犬島と藍島を中央寄り。
駆逐艦4隻が周囲を分担して航行する。
犬飼は航行中、状況に応じて各艦へ移乗する。
海上指揮は艦隊指揮系統。
犬飼は日常・広報担当。
いつもの分担だった。
序盤。
特に問題なし。
犬島。
「太平洋、広いですね」
時津風。
「今さら?」
犬島。
「こうやって横断するの初めてなので」
藍島。
「陸が全然見えません」
霞。
「当たり前でしょ」
清霜。
「アメリカ着いたらアイオワに会えるんだよね?」
電。
「清霜ちゃん、何回目なのです?」
霞。
「もう十回以上聞いてるわ」
犬飼。
「広報動画に使えるな」
霞。
「使わなくていいわよ」
---
六 到着前日
予定では翌日午前に米海軍側指定港へ入港する。
アメリカ西海岸沖。
陸地までまだ距離がある。
海況は比較的穏やか。
視界良好。
犬島が前方を確認していた時だった。
「……船がおります」
藍島。
『どこです?』
『右前方。大きいです』
霞。
『確認したわ』
大型船。
ただし妙だった。
進んでいない。
海流によって少しずつ横向きに流されている。
煙もほとんど見えない。
AIS情報を確認。
アメリカ籍。
大型輸送船。
犬島。
『呼びかけます』
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七 大型輸送船、航行不能
応答。
すぐ返る。
主機関。
停止。
補機にも問題。
操舵能力。
限定。
自力航行不能。
乗員に重大な負傷者なし。
しかし、漂流方向を考えると放置できない。
海岸へ直ちに座礁する位置ではないものの、数時間後には船舶交通の多い海域へ流れ込む可能性があった。
犬島。
『救難要請は?』
輸送船側。
『発信済み。しかし曳船到着まで時間がかかる』
霞。
『どうする?』
犬島は勝手に決めない。
艦隊指揮系統へ連絡。
アメリカ側にも状況共有。
数分後。
回答。
可能なら安全確保を支援してほしい。
犬島。
『了解です』
時津風。
『アメリカ行く途中でアメリカの船拾うことになったね』
霞。
『拾うって言わない』
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八 どう曳くか
輸送船は大型。
犬島単独で曳くには重すぎる。
そこで複数艦で支援する。
主曳航。
犬島。
補助。
藍島。
姿勢制御。
霞、電。
周辺警戒。
時津風、清霜。
特に大型輸送船の船首方向を安定させるため、複数の曳航索を使用。
犬飼は輸送船側との広報・連絡調整に回る。
犬飼。
「俺、本当に広報担当だよな?」
犬島。
「今日は連絡担当ですね」
「範囲広くない?」
藍島。
「担当官さんですから」
犬飼。
「理由になってない」
---
九 曳航開始
曳航速度。
最初。
2.5ノット。
安定確認後。
3.5ノット前後。
大型輸送船。
ゆっくり動く。
犬島。
艦体へ負荷。
感じる。
『藍島さん、張力どうです?』
藍島。
『安定しています。犬島さん側少し高くないです?』
『少しあります。0.2落とします』
霞。
『船尾の振れ、収まってきたわ』
電。
『こちらも問題ないのです』
時津風。
『周囲異常なし!』
清霜。
『こっちも大丈夫!』
七者。
連携。
船を動かす。
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十 アメリカ側、混乱する
受け入れ港。
米海軍。
日本艦隊。
予定どおり接近中。
しかし。
レーダー表示。
一つ。
妙。
日本側艦隊の後ろ。
非常に大きい輸送船。
受け入れ担当。
「……あれは何だ?」
確認。
«日本側訪問艦隊が、航行不能となった米国籍大型輸送船を曳航中。»
米海軍広報担当。
「来る途中で?」
『はい』
「犬島たちが?」
『正確には日本側艦隊全体で』
「……広報交流に来るんだよね?」
『はい』
---
十一 港外で米曳船へ引き渡し
安全上、日本側艦隊がそのまま大型輸送船を港内深くまで引き込む必要はない。
港外で米側の大型曳船が到着。
犬島たちは曳航索を引き渡す。
輸送船。
安全確保。
乗員。
無事。
犬島。
『引き渡し完了です』
藍島。
『お疲れさまでした』
霞。
『やっと本来の仕事に戻れるわ』
時津風。
『広報交流?』
霞。
『そう』
清霜。
『アイオワ!』
霞。
「清霜!」
---
十二 アメリカ到着
港。
桟橋。
待っていた。
アイオワ。
フレッチャー。
そしてジャーヴィス。
犬島。
艦首。
見る。
「あ」
藍島。
「おりますね」
フレッチャーが大きく手を振る。
アイオワも笑う。
ジャーヴィスも少し控えめに手を振る。
犬島。
「ほんまに三人ともいます」
犬飼。
「今回は同じ場所にいるな」
藍島。
「前はおらんのに話題だけ出ましたから」
---
十三 最初の会話
接岸後。
フレッチャー。
犬島のところへ。
「ようやく本人に会えた」
犬島。
「前はうちがおらんのに十九回名前出ましたね」
フレッチャー。
「最初からそれ言う?」
アイオワ。
笑う。
ジャーヴィス。
「私も覚えてる」
藍島。
ジャーヴィスを見る。
「お久しぶりです」
「久しぶり」
藍島。
「今も思っとったより普通の人です」
ジャーヴィス。
「評価更新されてないんだね」
「良い意味です」
犬飼。
後ろ。
「いつもの会話だな」
---
十四 輸送船の話がすぐ伝わる
しかし米海軍側。
当然。
気になっている。
「来る途中で輸送船を曳航したと聞いたけど」
犬島。
「はい」
藍島。
「航行不能になっとったので」
アイオワ。
「到着前日に?」
犬島。
「今日です」
フレッチャー。
「今日!?」
時津風。
「さっきまで引っ張ってたよ」
霞。
「あなた、軽く言いすぎ」
ジャーヴィス。
少し笑う。
「犬島らしい到着になったね」
犬島。
「うちだけじゃないです。全員でやりました」
そこはすぐ訂正する。
---
十五 公式発表は到着後
輸送船の救援については、安全確保と当事者確認が終わるまで公開されなかった。
到着。
輸送船が米側曳船へ引き渡される。
乗員無事確認。
その後。
米海軍と日本側が共同で発表。
«本日、日米海軍広報交流のため米国へ向かっていた日本側訪問艦隊が、沖合で航行不能となっていた米国籍大型輸送船を発見しました。
米側関係機関との調整後、日本側艦艇が同船を安全海域まで曳航し、米国曳船へ引き渡しました。
輸送船乗員に重大な負傷者はいません。
日本側訪問艦隊にも損傷・負傷はありません。»
---
十六 集合写真
そして翌日。
広報交流の公式写真。
中央寄り。
犬島。
藍島。
犬飼は今回は艦娘だけの集合写真では少し後方に立つ。
その周囲。
アイオワ。
フレッチャー。
ジャーヴィス。
時津風。
霞。
電。
清霜。
合計。
艦娘9名。
アイオワは犬島の近く。
フレッチャーは反対側。
ジャーヴィスは藍島寄り。
時津風は犬島・藍島の近く。
霞と電と清霜も並ぶ。
写真説明。
«「米英日海軍広報交流参加艦娘集合写真」
米:アイオワ、フレッチャー
英:ジャーヴィス
日:犬島、藍島、時津風、霞、電、清霜»
そして別写真。
犬飼も含む全員。
米海軍公式。
«「今回は、日本の参加者も実際にこの写真に写っています。」»
前回の動画を知る人には、すぐ意味が分かった。
---
十七 日本国内の反応
日本。
最初に伸びたのは当然、輸送船救援だった。
«「広報交流に行ったはずでは?」»
«「アメリカ着く前に救難任務してる」»
«「犬島たち、何で普通に輸送船曳いて来てるんだ」»
«「旅行じゃなくて海軍だった」»
別。
«「招待されてアメリカ行く途中でアメリカの大型輸送船を拾って届ける日本艦隊」»
犬島。
後で返信。
«拾ったわけではありません。救援です。»
時津風。
«私も拾ったって言ったら霞に怒られた。»
霞。
«言い方が悪いのよ。»
---
十八 日本――同行メンバーへの反応
«「時津風いる!」»
«「河口組候補がついにアメリカ上陸」»
時津風。
«河口組じゃないよ。»
犬島。
«作ってません。»
藍島。
«加入してません。»
別。
«「霞がいる安心感すごい」»
«「清霜、アイオワに会えるからテンション高そう」»
«「電が海外交流にいるの似合う」»
実際。
清霜。
公式投稿。
«アイオワに会えました!»
霞。
返信。
«それが最初の投稿なの?»
---
十九 日本――集合写真
写真。
非常に伸びる。
«「情報量多すぎ」»
«「アイオワ、フレッチャー、ジャーヴィス、犬島、藍島、時津風、霞、電、清霜」»
«「前の米英3人動画で名前だけ出てた犬島と藍島が本当に並んでる」»
«「犬島ついにアメリカの写真に実体で登場」»
さらに。
«「前回:日本艦娘はこの部屋にいません。今回:めちゃくちゃいる。」»
米公式の、
「今回は、日本の参加者も実際にこの写真に写っています」
というコメントも日本で大人気になる。
犬島。
«今回はおります。»
藍島。
«うちもおります。»
犬飼。
«俺も別写真にはいます。»
ネット。
«「5回さんもいる」»
犬飼。
«その呼び方やめてください。»
---
二十 日本――犬飼について
«「犬飼さん、ほんとにアメリカまで行った」»
«「海外広報担当まで実地派遣されてる」»
«「艦娘6人に人間1人で太平洋横断したのすごい」»
犬飼。
«ずっと海を泳いだわけではありません。»
返信。
«「当たり前」»
犬島。
«担当官さんはちゃんと船に乗っています。»
犬飼。
«説明しなくていい。»
---
二十一 海外――アメリカの第一反応
アメリカ側では救援の方がさらに大きく報じられる。
«「They came for a PR visit and arrived towing an American transport?」»
日本語圏にも翻訳される。
«「広報訪問に来て、アメリカの輸送船を曳いて到着したの?」»
«「That's one way to introduce yourself.」»
«「自己紹介として強すぎる。」»
«「Welcome to America, and thanks for bringing our ship with you.」»
«「アメリカへようこそ。そしてうちの船まで連れてきてくれてありがとう。」»
犬島。
英語翻訳付き投稿。
«輸送船は米側曳船へ安全に引き渡しました。うちらは予定どおり広報交流へ参加しています。»
---
二十二 海外――犬島を以前から知っている人
アメリカの古参視聴者。
«「Inushima finally made it to the United States.」»
«「The 19-mention escort ship is actually here.」»
«「She exists outside of other people's stories!」»
犬島側翻訳。
«「19回名前を出された海防艦が、ついに本人として来た。」»
犬島。
«元から本人としております。»
フレッチャー。
返信。
«今回は同じ場所にいるから大丈夫。»
犬島。
«何が大丈夫なんです?»
---
二十三 海外――フレッチャー
フレッチャー公式。
«以前、犬島とは河口事故についてオンラインで話しました。今回は直接会えました。
本人が来る途中で大型輸送船を曳航してきたので、事故以外の話から始める予定が少し崩れました。»
犬島。
«今回はうちの事故ではありません。»
フレッチャー。
«知ってる。»
ネット。
«「Fletcher can't escape the incident conversation」»
«「フレッチャー、事故以外を話したいのに毎回事故が近づいてくる」»
---
二十四 海外――アイオワ
アイオワと犬島が並んだ写真。
かなり人気。
過去。
二隻には接触事故がある。
それでも現在。
普通に笑って並ぶ。
«「They collided once and now they're doing PR photos together.」»
«「一度ぶつかった二人が普通に広報写真撮ってる。」»
アイオワ。
«今回は接触なし。»
犬島。
«はい。今回は十分離れております。»
ネット。
«「成長した」»
犬島。
«普通です。»
---
二十五 海外――ジャーヴィスと藍島
ジャーヴィス。
藍島。
並ぶ。
英国側。
当然。
反応。
«「Aishima and Jervis are together again.」»
«「Ask her if Jervis is still 'more normal than expected.'」»
藍島。
後日投稿。
«ジャーヴィスさんは今回も思っとったより普通の人でした。»
ジャーヴィス。
«Still a compliment?»
藍島。
«はい。褒めています。»
英国側。
«「SHE SAID IT AGAIN」»
«「また言った」»
---
二十六 海外――時津風
アメリカ側では時津風を初めて詳しく知る視聴者も多い。
そしてすぐに河口事故の説明へ行き着く。
«「Wait, another Japanese ship had a river-mouth incident?」»
«「犬島・藍島以外にも河口に入った艦がいるの?」»
古参。
«「Tokitsukaze. Different river. Not her fault.」»
時津風。
«だから河口組作ろうって言ったんだけど。»
犬島。
«作りません。»
藍島。
«今回アメリカまで来てその話をせんでください。»
フレッチャー。
«I understand this conversation too well.»
犬飼。
«国際河口会議を始めないでください。»
---
二十七 海外――霞・電・清霜
霞。
米視聴者から、
«「She looks like the one keeping everyone organized.」»
翻訳。
«「全員をまとめてる人に見える。」»
霞。
«誰かがやらないとまとまらないから。»
時津風。
«霞はずっとこんな感じ!»
霞。
«余計なこと言わない。»
電。
穏やかな受け答えが好評。
«「Inazuma is extremely polite.」»
«「電、すごく丁寧。」»
電。
«皆さんに親切にしていただいて嬉しいのです。»
清霜。
ほぼ一貫してアイオワを気にしている。
アメリカ側。
«「Why is Kiyoshimo staring at Iowa in every photo?」»
日本側。
«「いつものことです」»
清霜。
«戦艦だから!»
アイオワ。
«I like her.»
清霜。
その返信を見て大喜びする。
---
二十八 輸送船乗員側からの投稿
数日後。
救援された大型輸送船の乗員代表。
許可を得て投稿。
«「機関停止後、自力で航行できず救援を待っていました。最初に見えた救援艦が日本から来た小型艦艇の集団だったことに驚きました。」
「特に犬島と藍島を含む複数艦が連携して船体姿勢を安定させ、米側曳船が到着するまで安全に曳航してくれました。」
「彼女たちが本来は広報交流のため米国へ向かっていたと後から知り、さらに驚きました。全員に感謝します。」»
犬島。
返信。
«無事に引き渡せて良かったです。»
藍島。
«乗員の皆さんも無事で良かったです。»
霞。
«今度は通常航行で会いましょう。»
---
二十九 日米で共通して伸びた写真
集合写真の中で特に人気になった一枚。
アイオワ。
フレッチャー。
ジャーヴィス。
犬島。
藍島。
時津風。
霞。
電。
清霜。
全員が並ぶ。
大型艦。
小型艦。
米英日。
艦種。
全部違う。
それでも普通に一枚の写真へ収まっている。
日本側コメント。
«「これまで事故や河口や魚雷や接触で名前がつながってた艦たちが、最後は普通に並んで写真撮ってるの良い。」»
アメリカ側。
«「This photo has an absurd amount of backstory.」»
翻訳。
«「この写真、背景設定が多すぎる。」»
英国側。
«「Half of these people know Inushima because something strange happened.」»
翻訳。
«「この写真の半分くらい、何か変なことが起きた結果犬島と知り合っている。」»
犬島。
«普通に知り合った人もおります。»
フレッチャー。
«私は河口事故。»
アイオワ。
«私は接触。»
ジャーヴィス。
«私は魚雷。»
犬島。
しばらく返信しない。
そして、
«やっぱり普通に知り合った人が少ないですね。»
この返信が日本・米国・英国すべてで大きく拡散された。
---
三十 犬飼の扱い
艦娘9名の写真とは別に、犬飼も加えた集合写真。
米公式。
«「広報担当官・犬飼藍人を含む交流参加者。」»
海外。
«「That's the five-mentions guy!」»
犬飼。
翻訳を見せられる。
「何で海外までそれ残ってるんだよ」
犬島。
「印象に残ったんでしょう」
藍島。
「今回本人おりますね」
犬飼。
「俺も前から本人だよ」
---
三十一 犬島公式SNS
«アメリカへ到着しました。
今回は藍島さん、時津風さん、霞さん、電さん、清霜さん、犬飼担当官と一緒です。
アメリカ側ではアイオワさん、フレッチャーさん、イギリスからジャーヴィスさんにも会いました。
前の動画ではうちと藍島さんと担当官さんは撮影場所にいませんでしたが、今回はおります。
到着前、沖合で航行不能になったアメリカ籍大型輸送船を発見し、米側と連携して曳航支援しました。
乗員の皆さんは無事です。
うちらにも損傷はありません。
広報交流は予定どおり行います。
今度こそ事故以外の話もたくさんしてきます。»
フレッチャー。
«Please.»
犬島。
«はい。»
---
三十二 藍島公式SNS
«アメリカに来ました。
犬島さんと一緒に海外へ来るのは新鮮です。
ジャーヴィスさんともまた会えました。
アイオワさんとフレッチャーさんとも普通に話せています。
時津風さんたちも一緒です。
到着前に大型輸送船の曳航がありましたけど、無事に米側へ引き渡せました。
集合写真も撮りました。
今回は写真の中に犬島さんもうちもちゃんとおります。»
犬島。
«そこ強調するんですね。»
藍島。
«前回おらんかったので。»
---
三十三 犬飼公式SNS
«【広報担当・犬飼藍人】
米海軍広報部門からの招待を受け、犬島・藍島ほか4隻の駆逐艦とともに米国へ到着しました。
航行不能輸送船の救援が発生しましたが、輸送船は米側曳船へ引き渡され、訪問艦隊にも損傷はありません。
今後、日米英の広報交流行事へ参加します。
以前の米英交流動画では、私は撮影現場にいないにもかかわらず名前を5回数えられました。
今回は本人がいますので、回数を数えないでください。»
海外。
«「Challenge accepted.」»
犬飼。
翻訳。
見る。
«本当に数えなくていいです。»
---
終章 今回は全員いる
交流会場。
休憩。
以前。
フレッチャー。
アイオワ。
ジャーヴィス。
三人。
話題。
犬島。
藍島。
犬飼。
しかし三人とも日本。
今回は違う。
同じ部屋。
犬島。
藍島。
犬飼。
時津風。
霞。
電。
清霜。
アイオワ。
フレッチャー。
ジャーヴィス。
全員。
いる。
フレッチャーが部屋を見回す。
「これなら犬島の話をしても本人がいるね」
犬島。
「はい」
アイオワ。
「藍島も」
藍島。
「おります」
ジャーヴィス。
「犬飼さんも」
犬飼。
「います」
時津風。
「じゃあ河口の話する?」
犬島と藍島。
同時。
«「しません。」»
霞。
「せっかくアメリカまで来て最初からその話はやめなさい」
電。
笑う。
清霜。
アイオワを見る。
「戦艦の話しよう!」
アイオワ。
「いいわよ」
犬飼はその様子を見て、少し笑った。
今回の交流では、誰かが名前だけで登場する必要はない。
事故記録だけで相手を知る必要もない。
全員が同じ場所にいる。
そして犬島が言った。
«「今回は普通に話せますね」»
フレッチャー。
«「それが一番やりたかった。」»
その言葉どおり、次の広報映像には事故も衝突も河口も映らなかった。
ただ、米英日の艦娘たちが同じ場所で話している。
そんな普通の交流映像になった。
ただし動画の冒頭には、米海軍広報部が一文だけ追加した。
«「なお、日本側参加者は米国到着直前、航行不能となった米国籍大型輸送船を曳航支援してから来場しています。」»
日本。
«「普通に始まらなかった。」»
アメリカ。
«「They brought a ship with them.」»
イギリス。
«「Very Inushima.」»
犬島。
その三つを見て、
«最後だけ納得できません。»
と投稿した。