【活俠傳】に転生したッター   作:どくいも

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+唐清荷の一般的な一日

 

――唐清荷の朝は早い

 

唐門本拠地にある裏山、その山中にある自前の秘密基地にて目を覚ます。

ほのかな温かみを感じながら、状況を確認する。

日はまだ上っていない、が、湿気や鳥の鳴き声から今が明け方なのを確認。

予定起床時間ぴったりに目を覚ましたことを、自覚した。

 

なお、現代人にしてみれば早すぎるように思えるが、唐門で武芸を習う身としてはこれは別にそこまで変なことではない。

唐門に限らず、いくつかの門派では、門下人に朝の早起きて、鍛錬の準備や雑務の支度を行うことを推奨している。

もちろん、唐門でもそう。

前世ではもちろん、今世でも夜型であった清荷にとって、これはなかなかつらい事であった。

が、唐門に入って早十数年、今では、当り前のように他門人同様(むしろそれ以上に)早起きができるようになったものだ。

 

「……むにゃ……すぴぃ……」

 

※ただし、小師妹は例外とする

 

いつの間にか、自分の寝床に潜り込み、盛大に寝息を上げている唐黙鈴の姿を見て、思わず苦笑する。

一応、あんた敵陣営の未亡人って設定であるはずなのに、何やってるの?と思わないでもないが、ここは優しくスルーする。

小師妹に関して少し補足すると、唐門にいたころの彼女は普通に早起きできていた。

が、嫁入り後は激しいストレスによりなかなか寝入ることができず、未亡人化した今も向こうの家では安眠できないらしい。

だからこそ、唐門に帰ってきた時は普通に朝までぐっすり寝貯めをし、寝過ぎてしまうことも多いのだ。

もっとも、普通に専用部屋のある女弟子房で寝ているはずなのに、わざわざ夜の間にこちらに来て、こっそり寝具に潜り込んでくるのは、すこしやりすぎじゃないかなぁと思わないでもない。

……でも、これを責めすぎると、なら小兄の所に行くと言いかねないので、深くは注意しないが。

 

というわけで、小師妹を起こさない様に、ゆっくり寝具から脱出。

毛布を掛けなおしてから、部屋を後にした。

 

「……あ、涎ついてる。

 洗濯に出すか」

 

 

 

「おっはよ~!師弟!

 おお、相変わらず早いねぇ」

 

起床後、顔を洗い、早朝の軽い鍛錬を済ませた後に、厨房へと移動。

そこで朝食の準備をしていた趙活に会い、朝の挨拶をすませる。

別に今の趙活はわざわざ朝食の当番を入れる必要はないのだが、それでも新人弟子たちの負担を減らすためや作業自体を忘れないために、今でもこうして雑用当番をやっていたりする。

なお、一応外弟子ではありながら、今では元盟主にして、唐門の門人たちを指導する立場でもある趙活だが、こうして厨房に立っている姿は昔とあまり変わらない。

そんなカワイイ(※ブサイク)師弟の様子に、どこかうれしさを確認しながらどこまで作業が済んだのかを確認する。

 

「饅頭は蒸し中で、粥は茹での段階に入ってる……。

 なら、卵の調理とクルミの準備はこっちでやっておくから。

 干し肉の切り分けはお願いね~」

 

「おう、わかった!」

 

粥や具無し蒸しパン(饅頭)の火加減に関しては、自分より趙活の方が上だからなぁ。

炒り卵やクルミの蜜漬けではまだ負けてないつもりだが、それもいつまで続くやら。

そんなことを考えながら調理していると、なぜか趙活が自分の真横で作業をし始める。

ん~?いや、隣合いながらの作業は悪くないが、なんか立ち位置的に違和感が。

しかも、なぜかこちらの首下をちらちら見ているが、かといってこちらに話しかけるわけでも……、って、あ。

 

「……ふぅ~~、この、エロ猿め!」

 

「へへっ♪」

 

う~ん、このスケベ趙活!!

どうやら、朝の自主修行の後、少し着崩れていたらしく、いつもより大きく胸元が開いていたらしい。

例の表情をしている趙活の額をかるく小突いておくが、効果はない様だ。

むしろ喜んでる。

 

以前、こういう時は、もうちょっと遠慮していたり、こっそり見ようかと葛藤していたようだが、今では結構積極的に見てくる。

ま~、私をしては、お互い知らない身でもないし、変に卑屈になられるよりも、この程度のスケベ程度なら、全然オッケーではある。

でも、ただでさえきもい顔が一層ひどくなるので、軽く注意はするが。

 

「……でも、師弟よ。

 今のおまえのスケベ顔はお前が元々ちょいブサだから、笑える程度のひどさで済んでるんだぞ。

 もしおまえがイケメンだったら、そんなスケベな表情をした瞬間、すぐに唐門のみならず、江湖中で噂されていただろう。

 その顔に生まれた事を感謝するんだな」

 

「そりゃねぇよ!師姉!!」

 

そんな冗談を言い合いながら、お互い笑い合い、朝の準備を進めていった。

なお、途中で大師兄が「荷妹、ずるいぞ!!!俺も混ぜろ!!!」とか言いながら乱入したので、漬物を切らせることにした。

さもあらん。

 

 

「はい、あーん」

 

「あ~ん♪」

 

なお、朝食の調理が終わった後、一旦趙活と分かれ、朝食をもって秘密基地へと戻る。

そこで改めて小師妹を起こし、持ってきたぬるま湯で顔を洗わせ、朝食を餌付けする。

なお、メニューに関しては、先ほど調理したものに加えて、趙活が小師妹のために焼き魚までつけてくれた。

っく!!いいだろう!!なら、私の炒り卵と師弟の焼き魚、どっちがおいしいか勝負だ!!

 

「……小エビの匂いがしておいしい♪」

 

くっそおおおおお!!まけたぁぁああああ!!

だよねぇ!自分の炒り卵は門人全体用に作った奴のだけど、焼き魚はわざわざ小師妹のために趙活が作ったスペシャルな奴だからなぁ!!

自分も一本貰ったが、とても勝てる気がしなかった、無念。

 

「……師姉のも、おいしい、よ?」

 

小師妹がそうやって慰めてくれるも、悔しいものは悔しい。

しかし、背中をポンポンしてくれたので総合的にはこちらが勝ちだ。

ふふふ、やったぜ!

そんなかわいらしい小師妹の様子に満足しながら、次のリベンジの時は専用の卵料理でも作るかと思案するのであった。

 

 

 

朝食後、裏山から改めて移動をし、唐門鍛錬場へと移動する。

そこで朝の合同修業へ指導役として参加をする。

 

「……というわけで、座学から。

 今から体の仕組みについて話していくぞ~」

 

「「「「ぶ~~!!!!」」」」

 

なお、自分の修業内容の半分は座学。

そのせいで暴れ盛りの門人からは不満が出て、生意気な門人へのわからせが発生することもしばしば。

なお、ここまで来てなぜわざわざ座学をと思う方もいるだろうが、理由としては必要だから。

なぜなら、外弟子などの新人の多くは、文字の読めない無学者が多いので、こういった武術を学ぶ以前の基礎教養が圧倒的に足りず、そのせいで武術修行すらまともにできないからだ。

だからこそ、熟練者に役立ちつつ、素人にも基礎教養を教える武術学問を教えることが多くなるわけだ。

もっとも私も私で、割とこの時代の基礎教養は怪しい上、知識が西洋医学に偏ってる。

しかし、他師兄からこういうのもいいんじゃない?というお墨付きをいただいてるので、問題ないのだろう。

多分。

 

「……はい、それじゃぁ座学はここまで!

 ここからは今学んだ知識を生かして、いくつかの動きをやってみよう!

 と言うわけで早速型の方を……「おっしゃ!またせたな!ここからは模擬戦の時間だ!!今回はこの球をつかって、目標にけり込む修行だ!!つまりは、蹴鞠するぞ!蹴鞠!!」おい」

 

さらにいえば、体を動かす系の修業は他師兄(特に大師兄)の方が担当だからね!

でも、人の講義を乗っ取って、あげく勝手にサッカーの授業に変更するのはどうかと思うの。

なお、サッカーの授業に関しては、途中まではいい感じの勝負をやっていたが、小師妹が乱入してから形勢が大変動。

如何に小師妹の猛攻をとめるかという集団戦術の授業になりました。

 

 

午前の講義+サッカーの時間が終わり、正午。

普通の門人あらば、昼ご飯+休憩の時間である。

もちろん、自分もその例に漏れないわけだが、その前に厨房へと行き、昼食当番になれていない新人に少々アドバイスと手伝いした後、昼飯を持って移動をした。

目的地は鍛冶場だ。

 

「お疲れ~お昼ご飯持ってきたよ~」

 

「おぉ!師姉!ありがと……いってぇ!!」

 

声を掛けたら、鍛冶場で作業をしていた趙活の手がひどいことになった。心相-40。

急いで冷やして、優しく緊急治療した。

ついでに、安全を考慮して、趙活のご飯をあーんで食べさせた。心相+40。

 

「まったく、気を付けてよねぇ。

 今の唐門の鍛冶技術、趙弟の腕にかかってるんだから!

 はい、あ~ん」

 

「いやぁ、面目ない。

 ぐへへ♪」

 

ホンマコイツはいつまでも迂闊なんだから。

なお、今の唐門内で唐門の鍛冶技術を正しく継承しているのは、なんとこの趙活だったりする。

というのも、師父は容体がよくないし、大師兄はあれ、二師兄も微妙に専門外。

三師兄は多少は教わったそうだが、事務作業に忙しくて鍛冶実務をやってる暇がない。

四師兄?あの人は商売で忙しいからなぁ。

なので、唯一古参の鍛冶技術を持った唐門の師兄(※死亡済み)から知識を伝授され、正しく実践できているのは趙活しか残っていなかったりするのだ。

このままでは、名高い唐門鍛冶技術の評判がやばい、具体的には後継者不足で。

 

「というわけで、そっち方面の弟子とかとらない?

 何人かイイ感じの弟子を紹介するよ?」

 

「いや……まだ唐門の立て直しも完全に済んだわけではないし……。

 もうちょっと極めてからでないとなぁ」

 

唐門一の鍛冶技術の癖に何言ってるんだ。

お前の鍛冶技術は唐門精鋭短剣どころか、伝承短剣、なんなら瀝泉短剣まで作れるレベルだろ。

しかも、鍛冶技術だけでなく無形矢みたいな硝子加工技術や雷火弾みたいな火薬の合成技術まで極めているし。

お前はゲームの主人公か、主人公だったわ。心相0でもやり続けてたに違いない。

 

よって、今の趙活がいなくなったら、唐門の暗殺技術の5割が失われるといってもいい。

なぜなら、唐門の技に暗具は切っても切れない関係だからだ。

地味に放浪の旅なんてされたら、唐門全体の危機でもあったのだな。

グッジョブ自分。

でも、だからこそ、誰かにその技術は教えておけって言ってるのに……。

 

「それよりも師姉。

 師姉専用の治療暗具の打ち直しが終わったから、確認しといてくれ」

 

「きゃ~~!!流石趙活きゅん素敵♪♪」

 

っく!!あまりにも立派な成果物を見せられては、言うべき文句も引っ込んでしまう。

そうだ、実は自分はこの時代で医療知識チートをするために、いくつかの医療器具の作成を趙活に頼んでいるのだ。

もっとも、初めのころはお互い作成に難儀したものの、いつの間にか趙活がそっちの方面で技術を極め、今では切れ味抜群のメスから顕微鏡用のレンズまで一通り制作できてしまう。

趙活は唐門だけではなく、今の私のチート知識のためにも、なくてはならない存在だったりするのだ。

 

「師弟、本当に愛してる♥♥

 趙活は唐門一、いや、大陸一の鍛冶師だよぉ♪♪」

 

「ぐへ、ぐへへへ♪でへへへへ♪♪」

 

胸や唇を押し付けつつ、趙活をほめちぎった。心相+50。

騒動以前は、こういう露骨な褒め方をすると、恥ずかしいのか微反抗することも多かったが、最近は素直にこちらの好意を受け入れている。

いいことだ。WIN=WINの関係である、間違いない。

これで、弟子さえとれば満点なのになぁ~、なんで取らないんだろうなぁ。

 

「じゃぁね!趙活!

 それじゃぁ、午後は働くにしても適度に休養を入れつつ、無理しない様にするんだぞ~♪」

 

かくして、働き者で天才技術者でもある趙克の頭をなでつつ、鍛冶場を後にするのであった。

その後、趙活は、怪我の隙をつかれて他門人から羨ま死刑で袋叩きにされた。心相-40。

 

 

午後ももちろん、合同の修業である。

が、今から行うのは内弟子用、しかも、自分に近しい内弟子にだけ行うそんな修行である。

分直下の内弟子は他の只の門人よりも高いハードルであり、戦闘力だけではなく高い学力や医学知識が前提。

そんな身内の内弟子に行う修行なので、当然教える内容も厳選されていたりする。

 

「と!いうわけで、今回は唐門秘薬のための蜂蜜採取をしていくよ~~!!

 イエ~~イ!!!」

 

「「「「イエーーーイ♪♪♪」」」」

 

まぁ、今回の授業は違うがな!!!

今回は唐門の裏山にて、個人的に行っていた養蜂から、蜂蜜を採取する修行(作業)だ。

修行とは。

後、この時代の中華圏にはすでに養蜂自体は存在している。

が、ここで行われているのは、本来この時代にはない、現代式の壊さないで取り出せる巣箱と遠心分離で蜂蜜を取り出せる地味現代チート(趙活作成)養蜂である、すごいじゃろ。

それに加えて、一般販売や薬用の普通の巣箱と唐門用の毒花の蜜を集めている巣箱の二種類が存在している。

なので、内弟子でないとこれらの作業を任せられない危険だが有用で秘匿性の高い修業内容というわけだ。

 

「ね~清お姉ちゃ~ん!こっちの蜂蜜は舐めていいのよね?

 ついでにこれでお菓子作って!!黙鈴も食べたいって言ってるし、ね、ね!」

 

「こら、妹。あまり、清師姉を困らせるんじゃない」

 

「へ~、これが唐門秘伝の特性薬蜜ですか!

 見た目は普通のと変わらないですが……匂いが少し違う……かな?」

 

え?部外者がいるって?

ははは、彼彼女らは現在は唐門に所属しているし、アシスタントとか同盟者とか、そういうのでもあるからセーフセーフ。

さらに言えば、初期に唐門女子寮でなかなかなじめなかった関係上、蜂蜜やら美容液、美容法で同門女子の評判を上げて、同門内では唐門美容法のパイオニア扱いされてるため、必然お付きの内弟子もそっち方面(※武力より美容や頭脳)が多い。

だからまぁ、こういう身内雇用のカジュアル秘伝授業でも許される雰囲気なのだ。

 

ふふふ、元々結構硬派な門派なのに、私が乱してしまって済まないと思うが反省もしない。

が、今の唐門のいわゆる師範クラスの人材は、葉兄妹や鶏ももなどの外部の人間を除けば、大師兄や四師兄、それに自分と割とゆるふわ組しか残っていないことに気が付いた。

いかん、このままでは唐門が太極拳みたいな健康暗殺術教室という、江湖の武侠にあるまじき門派になってしまう!!

はやく復帰してきてくれ、二師兄。

 

「というわけで、此方が今回の修業で作った二種類の蜂蜜糖葫芦となっております。

 片方は、砂糖じゃなく蜂蜜で作った普通においしい蜂蜜味。

 もう片方は唐門秘伝の毒花の蜜で作った特製糖葫芦だからね!

 ふふふ、唐門製毒糖葫芦は普通のよりも甘くてコクがあるが、知ってなければ毒が入ってることにまず気付かれない!

 一応、ここに参加している門人なら、軽い痺れはするけど死にはしないから、さっそくこっちも食べてみようか!」

 

「かり……もきゅ……。

 ……!!おいしい……!!!!」

 

小師妹がおいしそうに毒糖葫芦をかじる。

小師妹だけでなく、他の内弟子(ほぼ女挟)からの評判も良好であり、今度の毒耐性を付ける食事では、これをある程度調節して出してもいいかもしれない。

 

「………」

 

「妹よ、やめなさい。

 まだ、完全には治ってないのだから、おちつけ、おちつけ、な?」

 

今回の講義もそれなりに有用な結果、かつ楽しい抗議で終わったことをここに記しておく。

※ただし、葉兄の胃袋と葉妹のお尻は別物とする。

 

 

そして、夕方。

講義で手に入れた蜂蜜と毒蜂蜜を厨房に納品、夕飯に彩りを増してもらうように説得する。

そして、少し休んでから夕食、の前に講経道に顔を出すことにした。

そこで目にしたのは、なんと、書類の山に倒れ伏す三師兄の姿が!!

 

「……あ、お、おお!

 清荷か、よくきたな。なにかあったか?」

 

「むしろ、そっちこそ何かあったのかいよと言いたいよ。

 三師兄」

 

一応、最近は事務処理仕事がましになったって聞いていたのだが、まだ認識は甘かったようだ。

このままだと育て親が早死にするのが目に見えているため、少しの間休んでもらって、その間は私が書類を引き継ぐことにした。

計算と医療、それに金勘定については三師兄以上の自信はある!!任せろ~バリバリ!!

いや、やっぱり医療関係は二師兄の方がふさわしいかな。

はやく戻ってこいボケナスアンポンタン。

 

「うぅ……荷児もこんなに頼もしくなって……!!」

 

三師兄が、目元を拭きながらなんか戯言を言っている。

もっとも、この程度の書類関連は以前からできたのだから、そんな風に改めて感動するのは色々場違いな気がする。

 

「いや、以前はそもそもお前はここに来なかったからな。

 ここにいないと、仕事を手伝うこと以前の問題だし、唐門に直接貢献することもない。

 だから、私視点では以前に比べたら、今の方がはるかに好ましいぞ」

 

いわれてみれば、そうである。

でも、私個人としては騒動以前は外部からの印象をよくするために各方面に奔走していたので貢献してないと言われるのは心外である。

もっとも、そのことで文句を言われるのは覚悟の上なので、甘んじで受け入れるが。

 

「この清荷の変化はやはり、先日の趙弟への告白が理由……。

 ……く!荷児を趙弟に嫁にやるのは複雑だが、この娘がここまで変わるのなら……!!」

 

おっと、どうやら三師兄の思考はちょっと予想外の方向に波及したらしい。

いやちゃうねん、なんか三師兄も変な勘違いしてるって。

でも、下手に否定したら勘違いがさらに深まるので、聞き流しの準備をしておく。

弁舌80なんかに、絶対に負けない!!

 

「……なぁ、清荷。

 お前もそろそろ真面目に身を固めることを考えたらどうだ?

 それに、趙弟とは真剣につきあうつもりなのか?

 それなら、今の彼の立場を考えて、事前の準備が必要で……」

 

「叔父上、そろそろ仕事に戻りましょう、そうしましょう。

 はいこれ、三師兄の確認が必要な書類です。

 いくつかには印を入れておいたから、そこに注意して確認をお願いします」

 

「あ、うん、はい」

 

幸い、三師兄がお義父さんモードを発動したのでそこまで弁舌は発揮されず。

仕事を割り振ることで、口論キャンセルに成功。

その後、積み重なった書類を二人で迅速に処理していくのであった。。

 

 

そして、夜。

現代とは違い、街灯はほとんどなく、唐門自体も山中にあるので夜は基本真っ暗だ。

だから、当然早寝をする……わけもなく、唐門も武門らしく、夜警を行うのが常だ。

なお、今回の当番は自分。

そして、同じ当番仲間として、小師妹と趙活がおり、今の唐門でも間違いなく最強クラスのスリーマンセルの完成だ。

え?流石に戦力過多だろって?

ふふふ、新前弟子を気遣うふりをして、うまく誘導したのだ!

天才軍師って呼んでくれていいのよ?

 

「なぁ、聞いたところによると今日の師姉、小師妹と一緒にい過ぎじゃないか?

 ずるい、ずるくない?」

 

なお、基本夜警と称して、三人の雑談散歩になってる模様。

会話内容は、清姉小師妹構いすぎ問題についてだ。

まぁ、今日に関しては一理あるが、もとはと言えば趙活が小師妹を引き留めなだら発生し得たなかった問題だ。

さらに言えば、昨日に関して趙活がほぼ一日中小師妹といっそにいたことを知ってるので、今度はこちらから反撃させてもらうとしよう!!、

 

「くくくくく、わるいな趙弟!私と小師妹はすでに一夜を供にする仲になったのだぁ!!

 今更文句を言っても遅い!!

 昨日の夜も、小師妹の方から夜這いに来てくれたからな~!

 はははは!小師妹を手放した君が悪いのだよぉ!!」

 

「……!!」

 

「な、なにぃ!」

 

おぉ、久々(数日ぶり)に見た趙活のびっくり顔。

なんかこれ見ると地味に笑えて好きなんだよね、やっぱり芸人や役者向きの顔だろ、こいつ。

 

「う、嘘だよな!小師妹!!

 君の方から、そんなことをするだなんて……嘘だと言ってくれぇ!!」

 

「……師姉、おっきくて、柔らかかった。

 それにいい匂いもした、好き」

 

「……!!!!うわぁあああああ!!!」

 

趙活死亡確認!!活俠傳・完!!

姉に小師妹を寝取られた趙活君の脳破壊完了!!

そんなバカな会話を繰り広げながら、夜警は楽しく進む。

三人仲良くだべり合う、実に幸せな時間を過ごせたのであった。

 

「芝居に乗ってくれてありがとうね~!

 お礼に今夜寝る前に何でも言うこと聞いてあげるからね!」

 

「………!!!!」

 

 

で、夜警後、秘密基地寝室において。

 

「というわけで、今夜は久々に、3人で川の字になって寝たい。

 これが私のお願い」

 

「……まじ?」

 

「うん」

 

まさかの秘密基地寝室に趙活までもがIN。

あまつさえ、小師妹含めて、三人で一緒に寝たいなどと申した。

いやいやいや……それは、ねぇ?ちょっと、ねぇ?

 

「……?昔はよくやってたし、何も問題ないはず。

 でも、ここ数年は忙しくてあまりできなかったから……」

 

いや、その数年前ってまだお互いにガキの頃だからな?

仮にも一人結婚適齢期、一人未亡人、一人性欲過多の男性で行うべきことじゃねぇ!!

現に趙活もやばいという焦りの表情はあるが、それ以上に色欲で表情がゆがんでるし。

 

「ダイジョウブ、絶対変なことしない。

 シナイから」

 

う~~んならだいじょうぶかぁ、とはならないぞアホが!!

絶対一緒に寝ることにかこつけて、未亡人小師妹に変なことする気なのだろう。

そんなリアル倫理観でも、感情面でも危な過ぎることは絶対にやらせはしないぞ!!!

でも約束した手前、この願い事を断るすべもないので、とりあえずは一番被害の出ない配置にするべきだろう。

 

「じゃぁ、私が真ん中に寝てもいい?」

 

当然、その案は却下する。

小姉妹としては私達兄姉に挟まれた愛され包囲網で寝たいのだろう。

が、この場合、趙活がこっそり小師妹に不埒なことをしたら止められないので、その案は却下する。

なら、代案として私が真ん中で寝るパターンを提案してみたが、これは小師妹に却下されてしまった。

 

「師姉は昨日一緒に寝たからダメ。

 今日は小兄に触れながらがいい」

 

そんな!私とは遊びだったのね!

今日は趙活とがいいだなんて……この浮気者!!

もっとも、そんな冗談が頭に浮かぶが今の小師妹は敵陣営の未亡人でもあるのだ。

何か間違いがあったら、マジでヤヴァイ。

なので、しぶしぶ第三案である、趙活を真ん中にして寝るという案に落ち着いた。

 

「……趙活?」

 

「……俺、今日ここで死ぬかもしれん」

 

三人仲良く寝具の上で横になった結果趙活がスケベ顔を超えて、賢者顔になってしまった。

いや、わかるよ。

片方は中身が自分とは言え、外見は美少女だし、さらにもう一つは未亡人化した小師妹だ。

狂わないわけがない。

その証拠に、表情は真面目なのに趙活の股間の紳士が大変なことになっている。

やめろよ、ここでの放精は、仮にも女子部屋だぞ。

 

「ダメ、小兄死なないで」

 

「……うっっっっ!!!!」

 

なお、趙活の冗談を真剣にとらえたのか、小師妹が趙活の体へとつよく抱きついた。

そのせいで趙活の趙活がさらにひどい事になってるわけで。

いけないぞ!!せめて、そういうことするなら、二人きりにとか、陣営関係を整理してからにしなさい!!

と、いうわけで、自分もここにいるぞアピールというか、趙活がこの場で小師妹を押し倒さないよう、片腕を封印。

すなわち、自分の目の前にある趙活の右腕を思いっきり胸元に抱え込んだ。

 

「……!!!!!!!!」

 

よしよし、趙活の趙活がさらに大変なことになったが、これでこの部屋で趙活が小師妹相手に盛り合うことはないだろう。

 

「……ぎゅ~」

 

「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

なお、小師妹は自分の行動を見て対抗心を燃やしたのか趙活の左手を封印。

う~ん、両手に花の果報者め、元男の身としては羨ましいけど可哀そうみたいな感情が沸き上がるが、かろうじて羨ましいがかった。

だから、手加減はしない。

 

「というわけで、このまま寝るからよろしく。

 おやすみ~~~」

 

「……ゑ?」

 

「……すぅ」

 

かくして、唐清荷の一般的ながら、すこし小師妹や趙活に甘い日々は過ぎていくのでした。

めでたしめでたし。

 

翌朝、股間が干からびた趙活の姿が確認された。

なのに、此方の体はおろか、布団すら汚していない事実に気が付いた。

趙活……あんた漢だよ。









小師妹「趙活ハーレムエンド?ちがう、私のハーレムエンド」
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