今回の話は変様者が日本で認知され始めた時で、とある配信者が変様者になった時の記録である
21:03 配信開始
普段通りに配信開始で直ぐに数秒で大量のコメントが流れ始める
・きた
・待ってた
・今日何の配信?
・ゲーム?
・なんか告知あるって言ってたけど
しかしその日は配信内容が違った
配信タイトルは
【報告】変わってしまったので、今日はその顔出しします
最初の数秒画面には誰もいない。
やがて配信者の男だった人物が画面の前に座った。
「……こんばんは」
コメント欄が一瞬で加速する
・!?
・え?
・ちょっと待って
・本物?
・耳……?
・かわ……えっ
・本人?
・本当に変様したのか
・なんかのドッキリ?
彼、いや今は彼女の頭には以前にはなかった獣耳があった。
そして画面の下にはわずかに尻尾も見えている。
その人物はしばらく黙っていた。
「……まあ、見れば分かると思うんですけど」
苦笑する
「今日変様しちゃいました」
コメントがさらに加速する。
・マジ!?
・え???
・ニュースのやつ!?
・本当に本人!?
・加工じゃないの?
・CG?
・マジかよ
・Vの皮被ったんか
・いや耳動いたぞ
男が少し困った顔をする。
「加工でもCGでもモデルでもないです」
そして自分の耳を指差す。
「これ、本物です」
耳がぴくっと動く。
コメント欄が爆発する。
・動いたwww
・えええええ
・マジじゃん
・実質TSじゃん
・マジで本物!?
・どうなってんだよ
・病院行った?
・体調大丈夫?
そこで男の表情が少し真剣になる。
「体調は……今のところ問題ないです」
「ただ朝起きたらこうなってました」
「昨日まで普通だったんですよ」
「寝て、起きたらこうなってた」
「最初は夢だと思いましたよ」
・怖かった?
「怖かったですよ」
即答だった
「そりゃ怖いでしょ 鏡見たら頭の上に耳生えてるんだから」
少し笑う
「しかも耳だけじゃなくて尻尾まであるのにも気づいてさぁ」
「そうそう、服着替えるときに気付いたんだ」
「『……え?』って感じで」
・病院は?
「今朝行きました 検査も受けましたよ」
「今のところ命に関わるような異常は確認されてないそうです」
「ただ原因は分からない」
「そこは皆さんがニュースで見てる話と同じです」
・配信は今まで通り続けるの?
男は少し黙った。
「……それなんですけど今日配信するかどうか正直かなり悩みました」
「普通に休もうかなとも思った でも…」
画面を暫く見てから話し始めた。
「俺、普段からこうやって顔を出して配信してるじゃないですか」
「隠しても、たぶんすぐバレると思ったんですよ」
「外に出たら見られるしニュースになる可能性もある」
「だったら、自分の口から説明した方がいいかなって」
・ありがとう
・無理しなくていいぞ
・いつも通りでいい
・変わってもお前はお前
・応援する
・なんか続けるって聞いて安心した
男はコメントを読んでいた。
そして少し笑った。
「……なんか思ったより普通ですね」
その直後コメント欄の一部が変わる。
・かわいい
・似合ってる
・耳かわいいな
・正直かなり似合ってる
・新しいスタイルを見していけ
・もっと尻尾見せて♡
男が苦笑する。
「そこは複雑だなあ」
「いや、嬉しくないわけじゃないんですよ?」
「でも俺、今日までこの耳なかったんで『似合ってる』って言われても自分ではまだよく分かんないんですよね」
少し耳を触る。
「……これ自分の耳なんだよな」
「なんか変な感じ」
・触った感覚ある?
「あります、普通にあります」
「触るとちゃんと触られた感じするしあと、音にも結構反応する」
突然、配信部屋の外から小さな物音。
耳がぴくっと動く。
「……今、何か落としました?」
撮影協力者が答える。
「ボールペンです」
「やっぱよく聞こえるんだな……」
「すげえ」
「人間の耳より性能いい?」
「進化じゃん」
「キヴォトス症候群すげえ」
男が苦笑する
「いや、俺は進化したとは思ってないですよ」
「俺からすると、ただ変わっただけです」
配信開始から数十分
同時視聴者数は普段の倍を超えていた。
SNSではすでに
「配信者○○、今日変様して配信する」
などのニュースで急上昇している
切り抜き等も早くに投稿さ始める。
ニュースサイトなどでも速報が出る
「有名配信者も変様」という見出しが並ぶ。
そして配信コメントには徐々に変化が現れる
・今まで変様者ってニュースの中の存在だったんだけどなぁ
・知ってる人がなったってなると一気に現実感あるな
・昨日まで普通に配信してたのに
・姿や声変わっても変わってないのが逆に違和感すごい
・普通にいつも通り喋ってるが容姿や声に引っ張られてびっくりする
・なんか変様しても元気そうで安心した
男はそれを見て「そうなんですよ」と答える。
「俺は俺です そこは本当に変わってない」
「だから明日からも普通に配信します」
そして少し考えてから、
「……まあ、耳のせいでヘッドホンがちょっと大変なんですけどね」
と発言し笑う。
コメント欄も笑いで埋まる。
・そこかよw
・気になるとこそこ?ww
・変様者用ヘッドホンレビュー待ってます
・案件来そう
・新ジャンル開拓していけ
男も笑う。
「じゃあ明日、変様者向けヘッドホン探しますか」
配信終了直前男は少しだけ真面目な顔になる。
「最後に一つだけお願いします」
コメントが少し落ち着く
「俺は今回たまたまこうなりました」
「でも、同じように突然変わってしまった人がたくさんいる」
「その人たちを面白半分に追いかけたり、勝手に撮影したりするのはやめてください」
「俺も今日、外で結構見られました」
「気持ちは分かりますよ」
「俺だって他の変様者を見たら気になると思う」
「でも……」
自分の耳を少し撫でる。
「これ、俺の身体なんで珍しい展示物じゃないです」
少し間を置く。
「……まあ、俺も明日からこの身体でなんとか生活してみます」
「それじゃ、今日はここまで お疲れ様でした」
配信終了して画面が暗くなる。
その数分後、SNSには無数の投稿が流れ始める。
「変様者ってニュースでは見てたけど、実際に知ってる人がなると全然違うな」
「普通に○○だった」
「いつも通り変わってないっていうのが一番印象的だった」
「なんか変様者に対する見方が少し変わった」
「明日も普通に配信するらしいの強い」
そして翌日日本中で彼の配信を見た人間がそれぞれの場所で話す。
「昨日の配信見た?」
「見た」
「……本当に変様者って、ああいう感じなんだな」
これまでニュースの中にいた存在が初めて「自分たちが知っている人」として認識された瞬間だった。
コメントや話の流れで入れた方が良さそうなのを出力したりしながらたまに本筋とは別な流れで入れたい描写などを閑話という形で必要だと思ったら入れていきます