キヴォトス型外見変容⁠症候群   作:さめ箱

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今更ですが話のズレがあった為暫くしたら順番通りに直しときます 致命的ではなくてよかった…


三十話

 

第三十話

「いつもの朝」

20XX年9月1日

 

九月 夏休みが終わる

学校、会社、工場、病院

世界は月曜日を迎える

 

 

東京都・会社員

午前七時 電車

 

スーツ姿の会社員たち

その中に一人だけ制服姿の少女、いや制服の上から薄手のカーディガンを羽織りビジネスバッグを肩に掛けた十五歳ほどの少女がいた

中身は四十二歳の営業職

彼女はスマートフォンでメールを確認していた

 

「午前十時 営業会議」

「十三時 得意先訪問」

「資料修正版」

どれも今までと同じ

隣に立つ新入社員が小さく会釈する。

「おはようございます」

「おはよう」

その返事も昨日までと同じだった

 

オフィス

エレベーターが開く

「おはようございます」

受付ももう驚かない

社員証をかざす。

「お疲れさまです」

 

コピー機、会議室、給湯室

誰も彼女を特別扱いしない

それは優しさでもあり世間の慣れでもあった

 

 

 

 

匿名掲示板

 

【Part10】俺たちまだ戻らないんだけど

 

88 :風吹けば名無し

いつも通り出社してきた

 

89 :風吹けば名無し

乙

 

90 :風吹けば名無し

社会人は大変やな(ニート並感)

 

91 :風吹けば名無し

お疲れ

 

92 :風吹けば名無し

>>90 お前は働けよ

 

93 :風吹けば名無し

自分もこれから仕事やなぁ

 

94 :風吹けば名無し

仕事は変様者、普通関係なしにやってくるから

 

95 :風吹けば名無し

嫌だねぇ…(社畜糞土方)

 

96 :風吹けば名無し

どうだった?

 

97 :風吹けば名無し

正直変様者になったらなんかの保険降りてほしい

 

98 :風吹けば名無し

誰も驚かなかったわ

 

99 :風吹けば名無し

へぇそうなんだ

 

100 :風吹けば名無し

まあそんなもんだろ

 

101 :風吹けば名無し

慣れたもんだな

 

102 :風吹けば名無し

まあ流石に時がたっておりますし

 

103 :風吹けば名無し

逆にまだ偏見持っとると差別だやあーだこーだうるさくなってきてるまである

 

104 :風吹けば名無し

それでもまだ適応できない人はいますがね

 

105 :風吹けば名無し

まあそれはそうである

 

106 :風吹けば名無し

いや、普通に全員適応したらそれはそれで怖いだろw

 

107 :風吹けば名無し

そうなったらそれが異常現象だろ

 

108 :風吹けば名無し

怖いねぇ

 

109 :風吹けば名無し

半年前ならまだ騒ぎだったのに

 

110 :風吹けば名無し

慣れてくのは良いことなんだけどな

 

111 :風吹けば名無し

適応しないと社会が動いていかないからな

 

112 :風吹けば名無し

それでもちょっと複雑

 

 

 

 

北海道・老人ホーム 昼食

 

山本和夫八十二歳

今日も窓際の席で味噌汁、焼き魚のご飯を食べる

介護士が話しかける

「今日は全部食べられそうですか?」

「もちろん」

「元気ですね。」

「最近少しだけ」

山本は笑う

 

「階段が楽になった」

介護士も笑う。

「リハビリの成果ですね」

「そうかもしれない」

誰も身体能力の変化とは思わない

少し元気になった

それだけだった。

 

 

 

国立感染症研究所 午前

 

全国調査の新しい統計

変様者へのアンケート

 

質問

「変様後、生活は変わりましたか」

回答

大きく変わった 8%

少し変わった 61%

ほとんど変わらない 31%

 

秋山は数字を見つめる中、教授が隣へ来る

「意外だな」

「はい」

「もっと生活が壊れていると思っていました」

秋山は頷く。

「ですが姿は変わっても人は仕事へ行きます

学校へ行きます

買い物をします

恋人と会います

家族と食事をします」

「ふむ……」

 

教授は静かに言う

「日常は案外しぶといな」

 

 

神奈川県

悠人はコンビニへ寄る

レジの店員は変様者だった

制服の上にエプロンを着ていた

 

「温めますか?」

「お願いします。」

「ポイントカードありますか?」

「あります」

何も変わらない

商品を受け取る

「ありがとうございました〜」

店を出て悠人は振り返る

半年前ならあの光景はちょっとしたニュースになっていただろう

今はただの近所のコンビニだった。

 

 

秋山の研究ノート 9月1日

人間は変化そのものよりも変化した後の生活を作ることに長けている

会社はマニュアルを作る

学校はガイドラインを配布する

病院は診察手順を更新する

行政は書類を書き換える

最初は異常だったものが少しずつ制度へ組み込まれていく

それは社会として正しい。

 

だからこそ私は時々恐ろしくなる。

もしこの現象が止まらなかったら社会はどこまで適応してしまうのだろう。

 

 

 

 

匿名掲示板

 

511 :風吹けば名無し

今日スーパー行ったわ

 

512 :風吹けば名無し

俺は電気屋

 

513:風吹けば名無し

普通に仕事で駅に行った

 

514 :風吹けば名無し

自分は学校

 

515 :風吹けば名無し

自宅最高オオオオオ

 

516 :風吹けば名無し

急になんだよw

 

517 :風吹けば名無し

いや、変様者を見かけた所

 

518 :風吹けば名無し

最近本当に普通に見かけるようになったなあって感じのやつ

 

519 :風吹けば名無し

ふうん

 

520 :風吹けば名無し

レジの人も変様者やった

 

521 :風吹けば名無し

駅員とかも変様者でブルアカ民としては不謹慎だけどちょっとテンションあがった

 

522 :風吹けば名無し

ちょっとわかる

 

523 :風吹けば名無し

そうかぁ?未だに違和感強いが

 

524 :風吹けば名無し

ポはもう見慣れだゾ…(医療関係者並感)

 

524 :風吹けば名無し

そう考えると増えたよな

 

525 :風吹けば名無し

前までは見れたらラッキーみたいな感じだった

 

526:風吹けば名無し

変様者捜索スレも建つくらいだったし

 

527:風吹けば名無し

まさにレアキャラ扱いされてた

 

528 :風吹けば名無し

これだからオタクくんはさぁ…

 

529 :風吹けば名無し

なんでや!ブルアカ民は逆に嘘松乙扱いしてたやろ!

 

530 :風吹けば名無し

一時凄い荒れてたからな

 

531 :風吹けば名無し

ワイは未だにサンクタがいるのを諦めていないからな(アクナイ住民)

 

532 :風吹けば名無し

もう勝負ついてるから

 

533 :風吹けば名無し

まあここまで情報と証拠揃うと流石にねぇ

 

534 :風吹けば名無し

キヴォトス派、サンクタ派で凄いレスバしとったよな

 

535 :風吹けば名無し

ぶっちゃけ迷惑かけなければどうでもいい(変様者並感)

 

536 :風吹けば名無し

良い子は迷惑をかけないようにしようね!

 

537 :風吹けば名無し

未だに変様者だからといって勝手にXとかに無断で上げてるカスとかいるからな

 

538 :風吹けば名無し

所で帰りの郵便局の窓口も変様者だったわ(面倒臭いので話題転換)

 

539 :風吹けば名無し

草

 

540 :風吹けば名無し

おっそうかあ

 

541 :風吹けば名無し

今だと変様者でも普通に働けるようになったのはありがたい

 

542 :風吹けば名無し

そこは適応の恩恵やよな

 

543 :風吹けば名無し

店長が変様者になった一時期バイトなくてヤバかった

 

544 :風吹けば名無し

リーダーとかが変様すると今でももめるから

 

545 :風吹けば名無し

いや、逆にもめなくなったらそれはそれで末期感あるやろ

 

546 :風吹けば名無し

正常な反応無くなるとそれこそ本当の「終わり」やろ

 

547 :風吹けば名無し

重要な役職が食らうと面倒だよなぁ

 

548 :風吹けば名無し

そこは運ゲーだから

 

549 :風吹けば名無し

毎日判定のある運ゲーってそれなんてクソゲー?

 

550 :風吹けば名無し

現実ですやん

 

551 :風吹けば名無し

元から現実はクソゲー定期

 

552 :風吹けば名無し

まあ誰でも変様しても運営できるようにしていかんと駄目な風潮にはなってきとるからな

 

553 :風吹けば名無し

というか元から誰か休んでも動けれないような仕組みになっているのが悪いやろ

 

554 :風吹けば名無し

そうなんやけどなぁ

 

555 :風吹けば名無し

どこもそうなってたら苦労しないってそれいち

 

556 :風吹けば名無し

まあ変様者の存在のおかげ?で改めてそこにも見直された感あ出てきとる

 

557 :風吹けば名無し

しかし変様者前提での仕組みには動いてきとるよな

 

558 :風吹けば名無し

ウチでも変様者でも働けるアットホームな職場です!という宣伝もしとるし

 

559 :風吹けば名無し

それなんてブラック?

 

560 :風吹けば名無し

中には変様者お断りもあって差別だー偏見だーとか騒がれる問題もあるくらいやし

 

561 :風吹けば名無し

見た目の問題もあるからなどうしても

 

562 :風吹けば名無し

見た目ばかりはなぁ

 

563 :風吹けば名無し

まだそこの価値感が合わないところはどうしても出てくる職場はどうしてもね

 

564 :風吹けば名無し

まーしゃーなしやろそこの所は

 

565 :風吹けば名無し

それでもと変様者を受け入れれる世の中にはなってきたよな

 

566 :風吹けば名無し

受け入れざるとも言えるけどな 治療法が見つからん限り

 

567 :風吹けば名無し

そもそも本当に治療法なんかあるのかねえ

 

568 :風吹けば名無し

ワイも正直治療法なんかないと思ってる

 

569 :風吹けば名無し

言うなよそんなこと 

 

570 :風吹けば名無し

いやでもさあ、身体が変化するレベルの現象なんか直しようがなくない?

 

571 :風吹けば名無し

それでも言っちゃあ悪いことあるやん

 

572 :風吹けば名無し

空気は読もーぜせめて

 

573 :風吹けば名無し

でも真面目に現実見ようよ 治す手立てが絶望的だからこんなにも変様者に対してスムーズに受け入れる世の中にはなってきとるんでしょ 

 

574 :風吹けば名無し

それは…そうかもしれんけどなあ

 

575 :風吹けば名無し

正直変様者の自分も元に戻るのは無理かなぁとは思っとる

 

 

576 :風吹けば名無し

まあまだ何とも解ってないから治療が見つかるのを祈ろうや

 

577 :風吹けば名無し

無理やと思うけどな

 

 

治療法の発見に対しての否定的な意見にはやんわりと注目はするが誰も治療法なんかないのではという意見に対して誰も反論はしなかった

 

 

 

その夜研究所の屋上で秋山は街明かりを眺めていた

 

オフィスビル

住宅街

駅前

遠くから見ればいつもの東京。

だがその灯りの下では昨日まで「普通の会社員」「普通の高校生」「普通の祖父母」だった人々が光輪を頭上に浮かべながらそれでも変わらず明日の仕事や学校の準備をしている

世界はまだ現代だった。

しかしその現代は気づかないほどゆっくりと、新しい「普通」を受け入れ始めていた。

 

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