姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~ 作:東雲(しののめ)
ヴェルグ先輩と別れた後。
下半身がとても軽くなった僕は、教室へと登校する。
「――カゲルヤ・ノアさん。あなただけは午前休講です」
すると、いきなり担任に声を掛けられる。
「女王様のご命令で、午前中は『収容所』で勉強をさせろと」
社会科見学のようなものです、と告げられる。
「午後の階級戦には参加できますから、そこはご安心を」
説明不足の上に、もちろん拒否権もなし。
女王の部下がやってきて僕は即連行されるのだった。
「――で、ここが、収容所」
学園を出て、半刻ほど移動するとすぐに到着。
厳重な玄関口をパスして、広大な敷地に足を踏み入れる。
「収容されているのは全員男って話だけど……」
無機質な建物群、四方には高い柵、警備巡回する女騎士。
厳重だ。一体どんな罪状で彼らは収容されているのか。
「貴様には、ここで刑務作業を体験してもらう」
先導する女騎士に、工場のような建物入口に通される。
「作業内容は、ここのリーダーに教えてもらえ。せいぜい
そう言い残すと、女王の部下たちは去って行く。
「――カゲルヤ・ノア様であられますね」
入れ替わるように現れたのは初老の男性。
穏やかな表情と声で、僕に話しかけてきた。
「班のリーダーを務めております、フレディと申します」
丁寧にお辞儀され……とても罪人とは思えないな。
「ほほほ。ぱっとしない老いぼれが出てきて、拍子抜けですかな?」
「い、いや、そんなことは……」
「作業場に向かいながら、ご説明をしましょう」
彼に連れられ工場内を進む。
「ここは牢獄と同じ。むろん収容されているのは全員男性です」
「牢獄……どんな罪を犯してここに?」
真面目に尋ねると、彼は一瞬戸惑ったが。
「決まっていますよ。
苦笑しつつも、当然のようにそう答えた。
「え。窃盗とか暴行とか、なにかしら犯罪をして……」
「ありません。我々は
……無罪なのに、性別だけで牢獄行き?
女王の傍若無人ぶりは知っているが、いくらなんでも酷くないか。
「――こちらが、この建物の
彼が扉を開けてくれて、ついに足を踏み入れる。
「お、男が、たくさんいる……!」
男性の収容所なのだから当たり前。
しかし転生してから、女ばかりと接触してきたのだ。
なんだか仲間を見つけた気分で……ちょっと感動する。
「あれ」
「お気づきになりましたか?」
ただ安心感を抱いたのも束の間。違和感を覚える。
「ご覧の通り、ここには子供と老人しかおらんのです」
フレディなる人物の言う通り、
正確には、一〇代後半から六〇代くらいまでの男性が、一人もいないのだ。
「ここでは軽作業が中心。ゆえにこのような年齢層です」
「じゃあ大人は……?」
「辺境の収容所にいます。そこで過酷な重労働を課せられています」
自分たちはまだマシな環境だ、とのことだ。
「――あ、英雄様! ホントに来てくれた!」
僕が絶句していると、幼い子供が駆け寄ってくる。
「え、英雄? 誰のこと、ですか?」
「カゲルヤ様のことですよ。あなたのことは随分噂になっていました」
別世界からやってきた最強の男。
そんな話が広まっているという……過大評価すぎる噂だな。
「カゲルヤ様って
「あ、う、うん、そう……だね?」
キラキラした目で見てくる男の子。
子供の相手なんかしたことがなく、ぎこちなく応じてしまう
「すっごー! ねえ学園ではどんな│」
「およしなさいオリヴァー。カゲルヤ様が困ってらっしゃる」
興奮している男の子を、まとめ役のフレディが戒める。
「申し訳ありません。この子はまだ幼く……」
そう謝られるが、周囲の人たちの歓迎ぶりはすさまじく――
もちろん当惑はするが、それでも嫌な気持ちはしない。
「――では、本日の作業内容を、ご説明させていただきます」
リーダー……いやこの際フレディさんと呼ぼうか。
彼が場を収めて、仕事について教えてくれる。
「この建物では主に『洗濯作業』を行っています」
「洗濯……?」
「学園の生徒様たちの、制服や戦闘服をここで洗うのです」
強者たる女性は、洗濯などという面倒事はやらない。
ではどうするか――弱者である男性にやらせればいい。
「僕は自分で洗ってたけど……」
確かに生徒数からして、こういった専門施設がないとまかなえない。
そして洗濯なら、子供でも老人でもできると。
「しかしそう簡単な仕事でもないのです」
フレディさんが深刻そうに告げる。
「まず各員に、それぞれに洗濯台が用意されていまして――」
実際に作業している人を見学させてもらう。
「洗濯台の
「生徒様たちの衣服が入っております」
袋には名札が付いていて、どの生徒のものか分かる仕組みだ。
「袋から出して、洗濯台に入れて……あれは何をしているんですか?」
洗剤入りの水槽、そこに沈められた一人分の衣服。
作業員が棒を両手で持って……すごくゆっくりかき混ぜている?
「柔らかい木の棒を用いて、優しく洗濯しております」
「失礼ですけど……手で洗った方が、効率的では?」
何十人分をまとめてやるならともかく。
これでは全部洗うのに、数時間はかかるだろう。
「しかし女性の衣服に、直接手を触れるなど……恐れ多くてですね」
フレディさんが震えた声を発す。
「もし衣類に、傷一つでも付けばどうなるか……」
「ただの洗濯ですよね? 気にしすぎでは?」
「これほど徹底しないと、不良を出したとえん罪をかけられる可能性も……」
改めて見回すと、ここには女性の服や下着が山のよう。
前の世界にいる男たちなら、狂喜乱舞する光景だ。
「みんな、必死の形相だ……」
でも彼ら異世界の男たちは違う。
そこに色欲や劣情は一切なく、ひたすら恐怖に
「――フ、フレディさん! 大変だ!」
作業員の一人が、血相を変えて飛んでくる。
「そんなに慌てて、どうしたんですか?」
「ア、アレが来ちまったよ!」
何か察したらしいフレディさんが、険しい顔をする。
「――カゲルヤ様、緊急事態ですぞ」
一体何事なのか。僕は現場へと案内される。
人がいっぱい集まって、一つの洗濯台を囲んでいた。
「これが今朝届いて……」
皆の視線の先には、衣類が詰まった袋が一つ。
中身は見えないけど、しっかり名札はついていて――
「……あ、ヴェルグ先輩のですか」
ポツリとそう呟くと、瞬く間に場が凍り付いた。
「い、いけません! 男が七聖様のことを名前で呼んでは……!」
フレディさんが慌てて、口元に人差し指を立てる。
皆も信じられないって顔で……僕がおかしいのか?
「七聖様の洗濯は、棒を持つ手が震えてな……」
「もし糸一本ほつれさせてみろ。生きたまま燃やされるぞ……」
フレディさんがガックシと
「これがあると、作業が滞ってしまい……二時間以上はかかるかと」
たった一人分の洗濯に二時間!?
そんな馬鹿な!
しかしマジな話のようで、誰も手が出せないでいる。
「……はぁ」
とても見ていられない。たかが洗濯なのに。
「カ、カゲルヤ様?」
「僕がやります」
洗濯台の前に立ち、袋の中身を水槽にぶちこむ。
「「「「「いきなり突っこんだ!?」」」」」
観衆が揃って目を開き、素っ頓狂な反応をする。
水面の一番上に浮かんでるのはパンツか……ここは変なことは考えず……。
「「「「「七聖様のパンツを、手で洗っている――!?」」」」
じゃばじゃばじゃばと揉み洗いする。
「……もし作業者を訊かれたら僕の名前を。全責任を負います」
どうせ糸一本のほつれなんて誰も気づかない。
先輩の性格からして、丁寧にやればイチャモンもつけないだろう。
「すげー! さっすが英雄様!」
先の子供、オリヴァーが尊敬の目で見てくる。
パンツを洗うだけで、こんなに誉められるのか?
まったく、つくづく超のつく女尊男卑な社会である――
「「「「「ありがとうございました! カゲルヤ様!」」」」」
午前の仕事が終わると、全員が僕に頭を下げてきた。
獄炎卿の洗濯物を片付けたのが、よほど助かったらしい。
「カゲルヤ様。こちらは手伝っていただいたお礼です!」
フレディさんがしわしわの顔を綻ばせ、小さな箱を渡してくる。
中には直方形をした固形携帯食が、何本も入っている。
「……これは、貴重なものでしょう?」
なにせ学園にいる僕でさえ、食うに困っているのだ。
思わずフレディさんに問うと、彼は苦笑して。
「これ一本が、我々の一日分の食事ですね」
「む、無理です! もらえない!」
反射的に突き返すが、彼は首を横に振る。
「――あなた様は、わたくしどもにとって最後の希望なのです」
この場の全員が、期待の目で僕を見つめていた。
「幼い子供たちには、わたしたち年配者の食料分を与えます」
だから安心して受け取ってくれ、そう言われる。
最後には、再びオリヴァーが近づいてきて。
「英雄様! これどうぞ!」
「これは……ミサンガ?」
「えへへ。皆で作ったんだ。材料は余った布材なんだけど」
人からこんな風にプレゼントされたのも、初めてだ。
――でも借りは作りたくないし――施されたら施し返すべきだろう――
しかし、一体どんなものをお返しすればいいのか。
「……僕が女王に勝ったら、なにがほしい?」
たくさんの食べ物? それとも財宝とか?
正解が見えなくて、思い切って子供たちに尋ねた。
彼らは一瞬戸惑うが、先頭にいるオリヴァーが意を決して答える。
「……ぼく、お父さんに会いたい!」
真剣な、でもどこか泣きそうな顔で告げた。
「お父さんは、遠くの収容所にいて、それで――」
幼いながらに必死に、たどたどしく理由を説明してくれて……。
「……そう、だよな、お金なんかじゃ、ないよな」
親に会いたい。孤児院にいた自分もそうだったなと思い出す。
安請け合いはできないし、したくない。
僕は言葉を返さなかったが、それでもしっかりと頷いてみせた。
「「「「「カゲルヤ様! 頑張ってください!」」」」」
大勢に見送られ、学園に帰りながら考える。
生き残るために必死に働く男たちの姿。
その上で、ヴェルグ先輩に言われたことが、いま少しだけ分かった。
カゲルヤ・ノアは、誰のために戦うのか。
もらったミサンガを握り締め、決意をする。
「――僕は、彼らのために戦いたい」