姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~ 作:東雲(しののめ)
学園を飛び出すと、収容所へとひた走った。
玄関口に警備員はなぜか不在で、まるで招かれたように敷地に入る。
「――……ひどいな」
目の前に広がっていた光景は、地獄。
いくつもの建物が破壊され、炎が周囲を包み込んでいる。
男たちが何人も倒れ、そこら中から呻き声が聞こえた。
「朝から様子も変でしたけど、なんで突然こんなことを……ヴェルグ先輩」
地獄の中心に立つ、黄金髪の姫騎士。
その手には巨大な大剣が握られている。
「なぜと問われれば、彼らは粛正対象だからです」
振り返った彼女は、冷徹な目でこちらを睨む。
「この施設内に、反乱分子が数名いると情報を得ています」
「……数名? 百人以上を処罰していませんか?」
「害虫を数匹殺したとえ、巣を叩かねば根絶はできませんので」
平然とした顔で告げられる。
「それに男が何人死のうが、私にはどうでもいいことです」
むしろ社会のお荷物が減って良い、とまで続ける。
「……なら、ウルズを処罰したのは?」
「男に敗北した姫騎士です。少々灸を据えておきました」
いわば、カゲルヤに負けたらこうなるという見せしめ。
男に敗北することは絶対許されない――七聖から全生徒への警告だったのだ。
……一体どうしたんだ、彼女は。
先輩は厳格かつ公正をモットーとする。
反乱分子は潰しても、無関係な人間までは手を出さないはず。
彼女は常に誇り高く、敵だとしても僕はそれが――
『――おやぁ? 呆然という顔をしているなぁ?』
その時、空中に通信映像が映る。
遠くには水晶をもった女騎士たちがいて、これを映写しているのだ。
『久しぶりよのう、カゲルヤ・ノア』
「ルフェリア・アヴァロニクス……!」
玉座に座す美女が、愉しげにこちらを見据える。
『様を付けよ無礼者め。ところでどうだ? 見事な地獄絵図であろう?』
「そういう、ことか……」
ヴェルグ先輩に命じて、無理矢理これをやらせたわけだ。
今朝から冷たい態度だったのも、女王の意向というなら頷ける。
『くくく。親しい男どもが殺戮されてどんな気持ちだ?』
学習の一環として、以前ここに来させられたのは罠。
僕を追い込むための伏線だったのだ。
『可哀想になぁ。貴様のせいでこんな痛い目に遭ってなぁ』
「っ……」
『カゲルヤ・ノアと親しくなったばかりに、こうして目をつけられてしまった』
全部全部お前のせいだ、と彼女は嗤う。
『しかし不幸中の幸いだ。なにせまだ死者は出ていない』
大量の負傷者がいるが、どれも半殺しに留めてある。
もちろん偶然ではないだろう。
となると女王の策略はまだ続いて――
『貴様が誠意を見せるなら、ここで手を引いてやってもいい』
「……どういう、意味だ」
すると建物の影にいた、女王の部下たちが出てくる。
全員が剣を握っていて、それを倒れる男たちへ向けた。
『そうよなぁ。百発としようか』
「百発……?」
『ヴェルグに貴様を殴らせる。この回数を耐えたら余興は終えよう』
皆を半殺にした上で人質とする。
この提案を受けなければ、本当に殺戮ショーが始まるだろう。
『しかし余は寛大だ。両者とも聖装および聖気は禁止とする』
「…………」
『つまり肉体――いいや気持ちのみの勝負だ。簡単であろう?』
他の男たちに迷惑をかけて申し訳ないと思うなら。
誠意があるのなら、拳の百発くらい耐えられるだろうと結ぶ。
「……カ、カゲルヤ様、我々のことは……」
地面に伏した収容所のリーダー、僕に仕事を教えてくれたフレディさんが言う。
向こうには恐怖で蹲る、オリヴァーたち子供らもいる。
「…………分かった、受ける」
『決まりだな。では頼むぞヴェルグ』
女王が命じると、先輩が僕の正面に立つ。
……身体能力が規格外なのは、知っている。
筋肉量だけでも、自分の優に二倍以上はあるだろう。
「――……行きますよ、カゲルヤ・ノア」
百発耐えるというルール上、回避も防御も許されない。
瞬間。彼女は強烈な右ストレートを放った。
ドゴン! 拳が腹にめり込んで吹き飛ばされる。
「がはっ……!」
聖気なし、能力なし、素の力のみでのパンチ。
しかし全体重を乗せられた一撃に、僕は呆気なく倒れた。
『情けない情けない。一発でもうダメか――おい!』
女王に命じられた部下は、男たちを殺そうと剣を振り上げる。
「……ま、まだだ!」
僕はなんとか立ち上がると、先輩の前に立つ。
……彼らを、こんな風に、死なせるわけにはいかないッ!
惨めに死ぬことほど、辛いことはないと知っているから。
『よしよし。では再開といこうか』
ヴェルグ先輩は、小さく頷くと拳を構える。
それから無防備な僕に、超重量級の拳を叩き込んで――