姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~   作:東雲(しののめ)

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第17.5話:獄炎卿

『よくぞ来たな、ヴェルグ』 

 

 あの日の夜、私は久しぶりに女王様との謁見が叶った。

 高まる喜びを抑え、一体なぜ呼ばれたか聞くと――

 

『カゲルヤ・ノアを、特別指導してほしくてな』

 

 最近の彼について、思うところがあると仰られた。

 

『ヤツの態度はちと目に余る。階級戦に勝利して調子づいておるのだ』

 

 しかし私は、その見解にすぐ頷けなかった。

 ――少々破廉恥が多いが、校則違反はしていない。

 ――むしろ階級戦に勝つため、誰より必死に奔走している。

 彼を特別指導する理由など、自分には思い当たらない。

 

『では収容所に反乱分子がいるとでっち上げよう』

 

 ――でっち、あげる? 冤罪をかけろと?

 

『カゲルヤが現れたせいで、余に刃向かう者が新たに生まれた――そういう筋書きにしておこうか。ヤツを処罰する理由付けなぞどうとでもなる』

 

 とにかく彼を痛めつけられればそれで良い、と嗤う。

 

『カゲルヤを殺さない程度に拷問……あぁいや、特別指導してやるのだ』

 

 彼に残された猶予は少ない。

 ここで大きな傷を負えば、階級戦で勝つことは不可能となる。

 

 ――騎士道に、反している。

 

 私はカゲルヤと対等な勝負がしたい。

 こんな騙し討ちのような形で、彼を戦闘不能にして何になる。

 

 ――それに、あの男は弱いが、悪い男ではない。

 ――むしろ、こんな私にも普通に接してくれる人間だ。

 ――進言、しなければ、女王様は大きな誤解をしている、と。

 

 しかし相手は母のように慕う存在だ。

 その御心を害することを言うのは……。

 

『では、期待しておるぞ、ヴェルグ』

 

 結局、私は勇気が出なかった。

 満面の笑みを浮かべる女王様に、黙って頷くしかなくて――

 

          ***

 

 翌日の朝、カゲルヤとまともに目を遭わせられなかった。

 冷たい態度を取って、突き放すしかなかった。

 そして今は感情を押し殺し、無抵抗な彼を何度も殴っている。

 

 ――わたしは一体、なにをしているのだろうか。

 

 決まっている。特別指導だ。拷問だ。

 女王様に命じられるまま、騎士としての務めを果たしている。

 

 ――これが、私の目指した騎士の、することか?

 

 痛みに呻く男の声、それを見て哄笑する女王様の声。

 彼と共にした日々を思い出す度。

 拳が重く、胸が張り裂けそうになる。

 

 ――私は、最低の騎士だ。

 

 許されるものなら、今すぐ己の首を絶ち、死んで詫びたい。

 彼が苦しむのを、一刻も早く終わらせたい。

 しかし、それは叶わない。

 だって私は女王様の騎士だから。

 主である女王様を喜ばせることが、自分の唯一の存在理由――

 

「……すまない……すまない……ッ」

 

 表情を凜と取り繕って、心の中で、意味のない謝罪を繰り返す。

 地獄のような時間を、情けなく耐えるしかない。

 

 こんな私を助ける人間など、もうどこにもいないのだから――

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