姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~   作:東雲(しののめ)

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第21話:決闘制度

 ――決闘制度、発令。

 

 数百年続く学園の歴史で、それを使用した者は一人だけ。

 現女王、ルフェリア・アヴァロニクスのみだ。

 しかしその伝説が、今日をもって覆される。

 

「――聞いた? 獄炎卿と転入生が決闘するって!」

 

 正午にゼゼ先生と、最終作戦を練った後。

 放課後には、決闘の噂が学園中に広まっていた。

 

「――ど、どっちかホントに死ぬってこと?」「――バカ! これは階級戦じゃないのよ!」「――他の七聖様たちのご様子は?」「――ヤバすぎる。急いで上に確認して」

 

 生徒も教師も、大慌てで走り回っていた。

 無人の教室にいるからこそ、彼女たちの喧噪がよく聞こえてくる。

 

「――決闘の噂を流す、これで良かったのよね?」

 

 廊下すぐ近くの席に座っていると。

 扉近くで一人の少女が立ち止まり、小さく呟いた。

 

「……助かったよ、ウルズ」

「別に。たまたま面白い噂を耳にして。たまたまクルドとサンディにも伝えて。たまたま三人でお喋りしてたら、他の生徒にも聞かれた――それだけよ」

 

 偶然が重なっただけと、彼女は鼻を鳴らす。

 

「みんな大盛り上がりしてる。決闘を見る機会なんて普通ないからね」

「……思惑通り、外堀は埋められたわけだ」

「ま、最弱の男VS最強の女。こんなカード注目するしかないでしょ」

 

 獄炎卿には、決闘を承諾してもらわなくてはいけない。

 また女王からの横槍を、牽制する動きも必要だ。

 そこで『本気で決闘をやるんだ!』という空気がほしかった。

 学園中の期待値を高めて、引き返せない所まで流れを作る。

 

「……あんた死ぬわよ?」

「かも、しれない」

 

 曖昧な僕の回答に、ウルズは舌打ちをする。

 

「あの世に行かれたらリベンジできないんだけど?」

「そうなったら……来世に期待で」

 

 以前に言われた言葉を、真似して返す。

 

「あっそ。でも万が一あんたが勝ったら……まずはエッチで勝負だから」

「は? エッチ?」

「獄炎卿に勝利したら七つ星になる。星の差が開いて階級戦はすぐできないもの」

 

 僕みたいに決闘などという、バカな手段も取らない。

 だから夜の再戦ということらしいけど……。

 

「…………でも、先生とのが、既に控えてるし……」

「ん? なんか言った? まさか逃げるの?」

「……い、いや……」

「じゃあ決まりね。言っとくけどガチでテク磨いてるから。前みたいにやられっぱなしにはなんない。ひぃひぃ言わせてやるから覚悟しときなさい」

 

 ……な、なんで、エッチの予定ばかり埋まるんだろう?

 ……ホントに搾られすぎて死ぬぞこれ。

 

「そうだ、あとウルズ、明日の決闘だけど……」

「例のやつね。明日の朝に済ませればいいんでしょ?」

 

 そっちの件も了承と返ってくる。

 しかしここまで協力してくれるとは、かつての彼女からは考えられない。

 

「そりゃ獄炎卿にはボコられた借りがあるからね」

 

 僕に手を貸すことで、一矢報いてやるのだとわざとらしく笑う。

 

「ザコって、うざいくらいしぶといの、簡単には死なないの」

 

 そして自分にも言い聞かせるように、彼女は僕へ告げる。

 

「来世は分かんないけど――あんたの今世には、少しは期待してあげる」

 

 ウルズはそう言い残して去って行く。

 

「……期待、か」

 

 あれだけイジメてきた少女に、激励をされるとは。

 やり直しの人生、何があるか分からないものだ。

 

          ***

 

 夕暮れが校舎を照らす頃。僕は彼女を呼び出した所に向かった。

 

「……貴君との出会いを、思い出していました」

 

 立派な校門を見上げる、黄金髪の美少女。

 初邂逅したこの場所で、僕はヴェルグ先輩と向かい合う。

 

「学園創設以来、史上二度目となる決闘制度の使用」

 

 噂はもう知っていると、すぐに本題を切り出される。

 

「学園唯一の男、最弱種とされる貴君が、私へ決闘を挑むなど……」

 

 正気の沙汰ではないと、ヴェルグ先輩が重たく瞑目する。

 

「……既に、女王様の耳にも入っているそうです」

「そう、ですか」

「ここまで大事になっているのです。女王様も体面上なかったことにはできない」

 

 山よりも高いプライドの持ち主なのだ。

 ――女は絶対強者。男から逃げることはありえない。

 これを無下にすれば、世界のその鉄則にヒビが入る。

 

「聞けば、むしろこの機を、男たちへの見せしめに利用するつもりらしいです」

 

 彼女は政治的な動きまで教えてくれる。

 男性最後の希望とされる僕を、完全に打ちのめす。

 それで更に支配力を高めようというわけだ。

 

「……全部、予想の範疇ですよ」

 

 僕に残された手段は、もう決闘しかないのだ。

 どうしても成立させるため、わざわざ学園に噂を流布した。

 

「……いっそ女王は、喜んでるでしょうね」

 

 大衆の前で、最高の殺戮ショーができるのだ。

 まして男と戦うのは、自分が可愛がっている獄炎卿。

 彼女が負ける可能性はゼロと安心もできる。

 

「ヴェルグ先輩……いや、獄炎卿ヴェルグ・モルドレイド」

 

 僕は静かに、しかしハッキリと告げる。

 

「あなたに、決闘を申し込む」

 

 その宣言を受けて、彼女は俯いた。

 しばし沈黙してから、ゆっくりと面を上げる。

 

「……もう、引き返せないのですね」

 

 覚悟は決めたと、意思の強そう瞳を向けてくる。

 

「カゲルヤ・ノアからの決闘――承知しました」

 

 両者の合意。

 決闘の噂が、真実へと変わった瞬間だ。

 

「私に勝てば、貴君は七つ星になります」

 

 そして首の呪いも解け、女王への挑戦権も得られる。

 

「それなりに資産も所有していますが、他にも欲しいものあれば……」

 

 勝者が全てを手に入れる。

 今回の決闘は、女王の御心関係なく、際限なく全てが得られるのだ。

 

「お金も何もいらないですよ――なんなら、七つ星の階級もいらないです」

 

 僕の返答に、彼女は困惑顔をする。

 

「どういう、意味ですか?」

「女王からの試練は、七聖の一人を倒すことで、階級は重要じゃないです」

 

 当初は七聖との階級戦のために、高い星を必要とした。

 そして良い暮らしのためにも階級は必要だが……。

 でもそれは本質的な問題ではない。

 

「僕の最終目標は、女王を完全攻略すること」

 

 そのためにはむしろ、僕は七聖になってはいけないのだ。

 

「では、女王様の試練をクリアするためだけに、決闘を?」

「…………」

「特権も財産も、私の持つものなど、なに一つ要らないというわけですか」

 

 彼女は怒っているような悲しんでいるような。

 

「分かっていますよ。私のような女のこと、すぐに忘れたいですよね」

 

 そんな複雑な顔をして、僕のことを睨んでくる。

 

「……いえ、一つだけ、ほしいものはあります」

 

 もしもこちらが勝利したら、その時は彼女を自分の騎士に――

 いや、こんな柔い言い方では、本気度は伝わらないか。

 

「――ヴェルグ・モルドレイドを完全屈服させて、僕の雌奴隷(モノ)にする」

 

 喧嘩を売るように、あえて呼び捨てで告げる。

 

「私が、雌、奴隷……?」

「勝ったら主従聖婚をします。それで男に一生服従です」

 

 改めて聖婚についてまとめると。

 それは『騎士は二君に仕えず』を体現した大儀式である。

 一方が他方の配下になるために契約を結ぶのだ。

 

「姫騎士が主従聖婚できるのは、生涯に一度だけ――」

 

 正式に主を決めたら、その人間に一生を捧げることになる。

 

「本来は学園卒業時に、女王と結ぶはずの契約儀式らしいですけど――」

 

 結果を絶対遵守とする決闘制度。

 個人間でどんなやり取りをしようと、誰も文句はつけられない。

 

「聖婚をする……本気、ですか?」

 

 ここで恥ずかしがっては強いオスとは言えない。

 僕は確かに頷いて見せた。

 

「私に新たな主君……しかし残念です。それはありえない」

 

 決闘が決まったことで、彼女は強い闘志を見せる。

 

「私は貴君を殺す」

 

 女は男に屈しない。負ける気はないと言葉を返される。

 

「それに私は、降参を選ぶこともありません」

 

 決闘の勝敗の決め方は二つ。

 一つは相手を戦闘不能――つまりは殺すこと。

 もう一つは、どちらかが降参を選ぶかだ。

 

「もしも貴君が勝つとしても、それは私を殺した時だけです」

 

 当然ながら、死者と聖婚をすることはできないのだ。

 

「この決闘では、どちらかが必ず死ぬのです」

 

 僕の考えを甘いと断じて、彼女は踵を返す。

 

「さらばです。カゲルヤ・ノア」

 

 去って行く少女の背を、黙って見届ける。

 これまでだったら、バカみたいに呆然としていたけど。

 

「――誰も倒せないなら、代わりに僕が完全攻略する」

 

 今の自分に暗い気持ちはない。

 相手は学園最強の一角である獄炎卿。

 それを倒して僕は、彼女の全てを手に入れる。

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