姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~ 作:東雲(しののめ)
姫騎士学園には、二種類の戦場が用意されている。
一つは『訓練場《サブステージ》』で、よく階級戦を行っている所だ。
「……もう一つが『決闘場《メインステージ》』と呼ばれるこの場所」
きっと『決闘制度』が名前の由来なのだろう。
決闘場は、いわゆるコロッセオ型。
円形のフィールドを、階段状の観客席が囲っている。
『――本日、学園校則第零条に基づき、決闘を執り行います』
女王の部下が、音響設備を通じて、観衆に向けて宣言する。
学園七日目。生存を許された最終日。
戦闘服に着替え、ついに僕は決闘の地に立った。
『ふふふ。最高のステージであろう?』
観客席の最上段、設けられた玉座から声がする。
「女王……」
『まさか決闘などと言い出すとはな。しかし貴様の最期を飾るには相応しい』
僕が見上げると、彼女は邪悪に微笑む。
『全生徒全職員がここに集っておる。さらに特別処置として――』
女王が観客席下方、大量の通信用設備を指さす。
『決闘の様子は国中に中継だ。むろん収容所の男たちもこれを見届ける』
せっかくの余興と、収容所の仕事も中止させたと言う。
『貴様が無残に嬲られ、凄惨な死を迎える姿を、世界が目撃するわけだ』
ゼゼ先生がかつて言っていた。
――弱者である男たちの命運は、僕に掛かっていると。
女王は僕の虐殺をもって、全男性の心を折ろうというわけだ。
『早々に死んでくれるなよ? 余を存分に愉しませよ!』
それが主催者なりの挨拶だったらしい。
彼女の部下が咳払いをして、状況を進行させる。
『では決闘の対戦者をご紹介します。まずは――』
観衆の視線が右手側に移る。
『王剣七聖、ヴェルグ・モルドレイド様!』
黄金髪を靡かせる、巨躯の美少女。
炎熱系最強の能力と、学園一の攻撃力を持つ姫騎士である。
それに対するは――
『転生者、カゲルヤ・ノア!』
先輩と違ってもちろん拍手はなく、唯一声を上げたのは女王で――
『ヤツの能力は吸収、聖装も非武器型と、劣等種らしいゴミクズ仕様だ』
女王の言葉を受け、観衆は冷笑を向ける。
中には「死ね!」「消えろ!」という声を上げる人も。
……罵倒はともかく、僕だけ能力バラシは不公平だろ。
先輩は既に知っているので、大きな問題にはならないが不満はある。
「女王……」
『少々口が滑ったなぁ。決闘に水を差すつもりはないのだがなぁ』
彼女は悪びれもせず肩を竦めた。
女王の部下も、僕へのフォローもなく進行を再開する。
『――決闘の勝敗は、相手を倒すか、降参を選ぶことで決まります』
階級戦とは異なり、ここでは復活措置はなし。
傷は負っても癒えるが、死んだ場合はもう生き返れないのだ。
文字通り、殺すか殺されるかの大勝負である。
「――カゲルヤ。今の段階ならまだ貴君の降参を認めますよ」
その時、相対するヴェルグ先輩が口を開く。
「決闘が始まってしまえば、私自身はもう降参を認めない」
つまり僕を殺すまで終わらない、と。
「……始まってないに降参って、おかしな話ですね」
「結果は見えていますから」
目の前にいるのは、覚悟決めた最強姫騎士だ。
時折見せた甘さは一切なく、敵として冷徹にこちらを睨む。
「……勝負は、やってみなくちゃ分からないです」
「残念です。ならば私が引導を渡しましょう」
これ以上の会話に意味はない。
『――それでは、両者合意のもと、決闘制度をここに適用します』
僕たちは剣をもって、どちらが正しいか決めるのだ。
『女王様。開始の合図をお願いいたします』
『うむ。では殺戮ショーといこうか』
女王が右手を挙げ、高らかに宣言をする。
『決闘――――始めッッ!』
僕と先輩、構えた両者が同時に唱える。
「「――聖装、召喚」」
身体が煌めき、彼女は真紅の大剣を召喚。
僕の手にも黒い鞘が現れ、それを腰へと装備する。
「噂には聞いていましたが、鞘が大きくなっていますね」
現在、鞘のサイズは、長剣を収めるほどに成長。
……ウルズと散々エッチしたお陰だな。
最初は果物ナイフほど、それから狩猟ナイフ、さらにショートソード。
最後にはロングソード用の鞘にまで巨大化した。
「【獄炎業火】」
姫騎士はすぐさま能力発動。大剣からすさまじい炎を吐き出させる。
――獄炎卿は近接パワー型――とにかく攻撃全振り――
以前に六つ星との階級戦を見学し、一通りのデータは取っている。
「ヴェルグ・モルドレイド、いざ参ります!」
僕に近づこうと、勢いよく一歩を踏み出す。
――一撃もらえば大ダメージ、中距離以上の間合いを取るべき相手――
逃げ回ってカウンターの隙を窺う、それが定跡だろう。
「なっ――!」
驚く獄炎卿。なにせ僕の取った行動は定跡と真逆。
全力疾走で、彼女へと一直線に向かったのだ。
「この私と、真っ正面からやり合うと――っ!?」
動揺した彼女は、第二歩目以降が遅れる。
――その行動で戦いの空気が決まる。これで僕が先手番だ。
気後れした時点で、彼女は後手に回るのである。
「くっ! 舐めないでいただきたいっ!」
大剣を叩きつけて地面を割る。
「……地震も足場の悪さも、全部迷宮で経験済み……!」
最小限の動きで回避して、地割れの上を飛び越える。
「――爆ぜなさいっ!」
瞬間、割れた大地から、勢いよくマグマが吹き出した。
「【吸収】」
マグマはあくまで能力で作られたもの。
ならばと躊躇なく鞘で触れ、吸収して霧散させてしまう。
「――っ! 私の能力を奪えるのか!」
「――これが、成長した鞘の力です!」
七つ星の能力だろうと吸収できる。
もちろん経験差を含め、色々とハンデはあるがそれでも……。
「……長々と決闘するつもりは、ないので」
先手必勝。経験の差が出る前に決着をつける。
「
真紅の長剣を生成し、右手で抜刀、大出力の炎を相手にぶつける。
「くっ! 私と同じ能力だとしても……!」
獄炎卿は、こちらよりも更に大規模に炎を展開。
あともう数歩で接近できるのに、相殺しきれず炎の壁に阻まれる。
「焼け死になさいッッ!」
まるで火山の噴火。彼女を中心として火柱が上がった。
そこから特大の炎球がいくつも降り注いでくる。
「……相変わらず、めちゃくちゃな能力だ……!」
即死級の攻撃をとにかく放ち、一発でも当たればいいという技。
こんなの自然災害と一緒。もう逃げ場はない。
「この最速奇襲では、隠し球、使うつもりなかったんだけどな……!」
足を止めないまま、鞘の中に新たな剣を生成する。
「一つの能力で対処できないなら、二つで補うまで!」
「事前に吸収した能力を持ち込んで……! しかし並大抵の能力では……!」
自分の炎を消すことはできない、と叫ぶ。
だったら、並大抵ではない能力をぶつければいいだけの話だ。
「【絶対零度】」
空いている左手で握った、新たな剣の能力を発動する。
「銀色の、氷――!?」
凍てつく氷が吹き荒れ、炎の壁が相殺される。
「――ありえない、なぜ彼女の能力を貴君が――」
伝説の姫騎士ゼスティア・ゼネルヴィア。
最高傑作と謳われた氷の能力、それが長き時を経て再び炸裂する。
「――七聖の能力に対抗するなら、七聖の能力で」
これがゼゼ先生にしたお願いの一つ。
――あなたの能力を使わせてほしい。
こんな大舞台で使えば、氷絶卿の生存が明らかになってしまう。
それに経験不足のせいで、細かい操作も彼女には劣るだろう。
しかし力一杯ぶつけるくらいなら僕にもできる。
「――――っく!」
炎で炎を弱めたところに、氷でさらに追い打ち。
彼女の下半身が氷に飲み込まれ、苦悶の表情をする。
「これで、詰ませる」
予想にもしない、不意打ちの氷絶卿の能力。
千載一遇のチャンス、僕は躊躇わずトドメを刺しにいく。
唖然とする女王、観衆、それらを置き去りにして決着。
僕の剣が――彼女を貫いた。