姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~   作:東雲(しののめ)

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第24話:決闘③

「八獄が最終手――」

 

 折れた大剣から、これまでで最も巨大な炎が生じる。

 

「――大焦熱地獄ッッッ!」

 

 全身全霊。持ちうる全てを注ぎ込んだ大技。

 ひたすら攻撃力全振りで、ただただ剣を叩きつける力業だ。

 

「【獄炎業火】!」

 

 右手の紅の長剣を振るうが、あっけなく砕かれる。

 彼女の剣の炎を僅かに弱めたが、僕の右腹をえぐって駆け抜けた。

 

「【絶対零度】!」

 

 まだ終わらない。獄炎卿が下から猛追してくる。

 それに対し、さらに白銀の剣をぶつけるが、やはり粉砕された。

 僕の頬を一枚裂いて、大剣は空へと抜ける。

 

「【旋風】!」

 

 獄炎卿も足を踏ん張り、ダメ押しの上段から振り下ろし。

 火力をだいぶ減らしながらも、薄緑の剣を両断、僕の左腕を切断した。

 

「これで、詰みです――!」

 

 持っている武器を全て破壊した、と。

 そう目で語る彼女は、最後となる必殺の一撃を放つ。

 

「――いや。まだ武器はある」

 

 獄炎卿は隙が多い。攻撃特化すぎて防御が甘いのだ。

 そして決着が付くと勝手に思い込んで、今までで一番の大ぶり――

 

「なっ!? 鞘で受け止めた!?」

 

 三つの能力を犠牲にして、彼女の炎は随分と力を落とした。

 ここが絶好のタイミングと、自分の聖装をぶつけたのだ。

 

「パズルの、最後のピースは、僕自身の力――!」

 

 普段なら砕かれそうな鞘だが、この状況に限ってはそうではない。

 

「カゲルヤ……貴君は……!」

「……鞘だって、立派な武器だ!」

 

 折れた大剣を、逸らすようにして弾き飛ばす。

 そして自らの鞘を、鈍器にしてフルスイング。

 

「――勝利のためには、手段は選ばない!」

 

 告白してくれた美少女の頭を、思いっきり打ち抜いたのだった。

 

          ***

 

 頭部を強打され、獄炎卿がぶっ倒れる。

 鎧は喪失している上、大剣さえも手放してしまう。

 

「う、ぐぅ……!」

 

 これで気を失っていないのだから、すさまじい肉体の強さだ。

 彼女は地に手を突き、なんとか起き上がろうとする。

 

「――僕の、勝ちです」

 

 鞘を持って、彼女の頭に向ける。

 もしもう一度振り抜けば、さすがの獄炎卿も再起不能だ。

 観衆も勝敗を理解し、重く静まり返るが――

 

『こ、このゴミクズ女がぁぁぁぁぁぁ!』

 

 女王が沈黙を破って、いきなり汚い言葉を叫び散らす。

 

『七聖が男に負けるなど! 大醜態だ! さっさと死ねこの駄犬が!』

 

 ヴェルグ先輩を犬呼ばわりして罵倒を始める。

 

「女王様……」

 

 母代わりであった彼女の変わりよう。

 先輩はそれを見て、膝をついたまま動けない。

 

『才覚が少々あったゆえ、貴様のような薄汚い孤児を拾ってやったのに!』

「わ、私は、これまで、女王様のために……」

『貴様は最悪の駒であった! 頭が硬く、融通が利かず――腕力しかない無能のくせに、余に会うたびにバカな犬のように尻尾を振る! 鬱陶しいったらなかったわ!』

「っ…………!」

 

 女王のために力を尽くして。

 会える日が来たら精一杯の化粧もして。

 しかし先輩のその想いは、何一つだって届いていなかったのだ。

 

『とっとと死に失せろ! 貴様の顔を見ているだけで吐き気がするわ!』

 

 母のようと慕っていた人物に、完全に切り捨てられる。

 ヴェルグ先輩の目から、一滴の涙が零れた。

 

「――……私を殺しなさい。カゲルヤ・ノア」

 

 女王に捧げた人生は、あっけなく終わりを迎えた。

 彼女の心中、その絶望は、他人である僕には推し量れない。

 

「殺しません」

 

 しかし終わったらなら始めればいいのだ。

 僕のように、第二の人生を。

 

「……私の降参はないと、言ったはずです」

「もう決着はついています」

 

 僕が殺さないと終わらないと、彼女は涙を流しながら怒鳴る。

 

「いいから……殺せっ……頼むから、殺してくれ……っっ!」

 

 もうこんな世界にいたくない、と喚く。

 しかし本当に決着はついているのだ。

 

「だって先輩、一番最初に言ったじゃないですか」

 

 転校初日。空から隕石の如く降ってきた美少女。

 彼女は他の姫騎士たちに向かって、こう宣言したのだ。

 

「涙は敗者の証」

 

 先輩はハッとして面を上げる。

 彼女が言った台詞を、僕をそのまま返してやる。

 

「女が泣いたら負け、なんですよね――?」

 

 もう一度言う。だからこれで決着なんだ。

 

「……私など傍に置いても、厄介なだけですよ……」

「僕は、そう思いません」

 

 でなければ、聖婚など端から申し出ない。

 

「……私と、一生を共にする覚悟は、ありますか?」

「もちろん」

「…………ふっ、やはり貴君は、大馬鹿者ですね」

 

 少女は目元を緩ませ笑った。

 それから涙を拭って、なんとか立ち上がって口を開く。

 女王と、そして大観衆に聞こえるよう堂々宣言。

 

「ヴェルグ・モルドレイド――降参(リザルト)、します」

 

 その言葉を聞いて、会場中がどよめいた。

 下剋上――弱者の男が、強者の女を倒したのだ。

 さらにこの光景は、通信設備により国中に届いている。

 

『こ、降参!? 馬鹿者めが! 自害だ! 自ら腹を切れェ!』

 

 外野にいる女王が獄炎卿を責め立てる。

 しかしその必要はないと、僕は首を振って否定を示す。

 

「勝者であるカゲルヤが望んでいない……ゆえに、自害はいたしません」

『こ、この恥知らずのクソ女がぁぁぁ!』

 

 女王が怒髪天。一層激しく罵ろうとするが――

 

「――――あんまり怒ると、シワがもっと増えるのに」

 

 僕のボソッとした呟きに、女王は目を見開く。

 

『シ、シシシシ、シワァ!? 余にそんなものないわ!』

「……一番顕著なのは、手の甲で……」

『でたらめを抜か――お、おい映像でアップにするな! さっさと放送を止めろォ!』

 

 女王は大慌てで、通信設備を止める。

 

『カ、カゲルヤァ! 余のことをまた……』

「ババア……いやクソババア扱い?」

『ク、クソバ……もう許さん! 絶対に許さんからなっ!』

 

 すると女王はムリヤリに余裕ぶった笑みを浮かべた。

 そして部下たちに何か命令を発っそうとする。

 

『おい! 準備させていた騎士団を動かし――』

「――当てつけに、収容所の男たちを殺戮する、と?」

 

 僕が先回りしてその命令を、言い当てる。

 

『な、ど、どうして……それを……』

「……僕が勝っても負けても、あくどい嫌がらせをするのは予想してた」

 

 なにせ腐りきった性根の持ち主だ。

 だが前回の拷問のようにはいかない。既に手は打ってある。

 

『――じょ、女王様! 大変です!』

 

 部下の一人が、凄まじい形相で女王に駆け寄る。

 

『な、何事だ!?』

『そ、それが……配備していた騎士たちが、全滅して、います』

『はぁ!?』

 

 その時、会場空中にいきなり映像が映る。

 

『――お久しぶりですね、女王』

 

 収容所をバックに、仮面をつけた銀髪の姫騎士が立っている。

 

『ゼ、ゼスティア・ゼネルヴィア……!』

『この程度の騎士の殲滅、わたしには容易いことです』

 

 これがゼゼ先生にお願いした、もう一つのこと。

 

 ――収容所に先回し、女王の部下を倒してほしい。

 

 それは達成したが、姿を晒し、僕が【絶対零度】まで借りたのだ。

 学園内に氷絶卿が隠れていると疑われる不安はある。

 しかしその心配は無用。

 アリバイはもう完了して――って、細かい話は後で話そう。

 

『氷絶卿……貴様が余の配下を……!』

『いつか必ずあなたを倒します。どうかご覚悟を』

 

 そこで通信が一方的に切られてしまい、プルプルと女王が震える。

 女王の軍が、収容所に黙って配備されていた事実。

 そこにダメ押しの追い打ちを掛ける。

 

「まさか僕を倒したくて、あの最強女王が、収容所を人質にしていたなんて……」

『ひ、人質ぃ!? 余はそんな姑息なことは一度もせんわ!』

「……じゃあ僕の思い込み、今後はないみたいで安心だ」

『あ、当たり前だ! 勘違いも甚だしいわ!』

 

 全生徒と全職員の手前、そう言わざるをえない。

 しかし大衆の面前で釘は刺せた。

 何かある度に、収容所の人々を人質を取られてはたまらない。

 

『お、おい! それより早く氷絶卿を追え! 絶対に逃すな!』

『じょ、女王様、まずはこの場を……』

 

 伝説の姫騎士の登場、女王と僕のやり取り、そして男の下剋上。

 それにより決闘場はすさまじい混乱に。

 

『くぅ! 決闘はこれにて仕舞いだ! そして此度の勝者は……勝者はぁ……!』

 

 女王は悔しさ一杯という表情で、観衆に向かって宣言する。

 

『カゲルヤ・ノアであるッッ!』

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