姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~   作:東雲(しののめ)

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第27.5話:女王の間章Ⅲ

「ぬあああああああああああああああああああああああああああ!」

 

 豪奢な大広間に、怒りの大絶叫が響いた。

 

「クソクソクソクソクソォォォォ――ッッッ!」

 

 玉座の傍にある、高級燭台を足で蹴飛ばす。

 ――カゲルヤが男の幸せを味わっていた時。

 ルフェリア・アヴァロニクスは、悔しさに打ち震えていた。

 子供のように八つ当たりする姿は、とても最強女王とは思えない。

 

「ヴェルグめっ! この余が目を掛けてやったというのに……!」

 

 男に敗北をした。

 そして自分に大恥をかかせたのだと拳を握る。

 

「すべてはカゲルヤ・ノアのせい……っ!」

 

 いまや絶世の美貌は見る影もない。

 目尻はつり上がり、頬は引きつって、まさに感情剥き出しである。

 

「カゲルヤ……カゲルヤ……カゲルヤァ……!」

 

 決闘が終わった直後。

 彼に浴びせられた罵倒の数々を思い出す。

 

「シワがどうとか……クソバアアだとか……大衆の面前で余をコケにしおってぇ!」

 

 床に散乱した蝋燭を、ゲシゲシと激しく踏みつける。

 

「じょ、女王様……」

 

 荒れ狂う彼女に対し、部下が恐る恐る前に出る。

 

「彼は七聖を、倒しましたが、例の件はどのように……」

「あぁ!?」

「ひっ……!」

 

 部下の言葉に、怒声で返す女王。

 ここで言う例の件とは、試練をクリアしたカゲルヤの処遇について。

 彼の首にかけた呪いはどうするのか。

 女王への挑戦権を認めるかどうかだ。

 

「ぐうううううううううううう!」

 

 部下が進言したのは、女王の体面を守るためだ。

 一度約束したことを反故にしては、現体制に亀裂が生じることになりかねない。

 

「呪いは……呪いはぁ……!」

 

 彼を認めるしかないのか、女王は爪を噛んで葛藤する。

 深く悩んだ末に、彼女に一つの閃きが走った。

 これならばカゲルヤ・ノアを引き留められる、と。

 

「……呪いは、解かんッッ!」

 

 なぜならばと、その理由を声高に説明する。

 

「転生直後の無礼は、獄炎卿を倒したことで不問としよう!」

「で、であれば……」

「しかぁし! 決闘後にヤツは余を罵倒をしたのだ!」

 

 クソババアとかクソババアとかクソババアとか。

 よほど根に持っているのか、執拗にその単語を繰り返す。

 

「つまり新たな不敬罪が追加されたのだ! ゆえに呪いの期間を延長とする!」

「女王様……」

「余へ挑みたいなら、七聖全員を倒せとカゲルヤに伝えろ!」

 

 彼女の部下ですら、さすがに強引な理屈だと思った。

 ――まさに理不尽。無理矢理に話に筋を通す。

 さらに『七聖全員を倒せ』という新たな試練まで立てる始末だ。

 

「そ、それで、よろしいの、ですね……?」

「なにか文句があるか!? あるならここで決闘でもするか!?」

「い、いえ! 滅相もございません!」

 

 失礼しましたと、部下は急ぎ頭を垂れる。

 それからしばらくして、大広間にとある姫騎士が招集される。

 

「――女王様。お待たせしてしまい申し訳ありません」

「――よくぞ来た! 面を上げよ!」

 

 女王の眼下にいる彼女こそ、カゲルヤの新たな刺客となる人物。

 

「転生者は転生者をもって潰す――そなたなら、殺れるな?」

 

 邪悪に笑う最強が、刺客へと命令を下す。

 

「王剣七聖、カグヤ・スメラギ――委細承知いたしました」

 

 姫騎士学園二年生にして七聖の一角。

 大和撫子を体現したような、黒髪清楚な超美少女。

 ニコニコと笑みを絶やさず、女王にしとやかに頷いて見せる。

 

「あ、あの、スメラギ様、もしよろしければ他の七聖様にも――」

 

 協力を仰ぐべきではないか、と女王の部下が提案。

 カグヤに対して熱心に説得をしていくが……。

 

「――おたく、よう喋らはりますなぁ」

 

 女王相手ではないので、彼女は素の話し方で応じる。

 それは先祖から代々伝わる、京言葉と呼ばれる独特の口調だ。

 

「えらくお元気そうで。そないに弁が立って羨ましおす」

「え……あ、はい、お褒めにあずかり、光栄です?」

 

 女王の部下は困惑して、提案する口を止める。

 一見、やんわり丁寧に断られたと、そう勘違いしそうになるが――……。

 

「うふふ。こなたに全て任しとぉくれやす」

 

 大和撫子な京美人は、はんなり微笑んで一礼。

 ゆったりとした足取りで、その場を後にしたのだった。

 

          ***

 

「――三下の雑兵がやかまし――なんて押しつけがま――おっと」

 

 一人きりになったことで、あの部下への本音が漏れかけてしまう。

 カグヤは扇子を出すと、口元を隠すように広げる。

 

「せやけど獄炎卿を倒しはった男、カゲルヤ・ノアが相手……おもろいやんか」

 

 これは武勲を立てるチャンスだ、と黒く微笑む。

 敵となる男の名を呟くと、狐のように目を妖しく歪ませた。

 

「――ほな。戦祭(しょうぶ)といきましょか」

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