姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~ 作:東雲(しののめ)
「ぬあああああああああああああああああああああああああああ!」
豪奢な大広間に、怒りの大絶叫が響いた。
「クソクソクソクソクソォォォォ――ッッッ!」
玉座の傍にある、高級燭台を足で蹴飛ばす。
――カゲルヤが男の幸せを味わっていた時。
ルフェリア・アヴァロニクスは、悔しさに打ち震えていた。
子供のように八つ当たりする姿は、とても最強女王とは思えない。
「ヴェルグめっ! この余が目を掛けてやったというのに……!」
男に敗北をした。
そして自分に大恥をかかせたのだと拳を握る。
「すべてはカゲルヤ・ノアのせい……っ!」
いまや絶世の美貌は見る影もない。
目尻はつり上がり、頬は引きつって、まさに感情剥き出しである。
「カゲルヤ……カゲルヤ……カゲルヤァ……!」
決闘が終わった直後。
彼に浴びせられた罵倒の数々を思い出す。
「シワがどうとか……クソバアアだとか……大衆の面前で余をコケにしおってぇ!」
床に散乱した蝋燭を、ゲシゲシと激しく踏みつける。
「じょ、女王様……」
荒れ狂う彼女に対し、部下が恐る恐る前に出る。
「彼は七聖を、倒しましたが、例の件はどのように……」
「あぁ!?」
「ひっ……!」
部下の言葉に、怒声で返す女王。
ここで言う例の件とは、試練をクリアしたカゲルヤの処遇について。
彼の首にかけた呪いはどうするのか。
女王への挑戦権を認めるかどうかだ。
「ぐうううううううううううう!」
部下が進言したのは、女王の体面を守るためだ。
一度約束したことを反故にしては、現体制に亀裂が生じることになりかねない。
「呪いは……呪いはぁ……!」
彼を認めるしかないのか、女王は爪を噛んで葛藤する。
深く悩んだ末に、彼女に一つの閃きが走った。
これならばカゲルヤ・ノアを引き留められる、と。
「……呪いは、解かんッッ!」
なぜならばと、その理由を声高に説明する。
「転生直後の無礼は、獄炎卿を倒したことで不問としよう!」
「で、であれば……」
「しかぁし! 決闘後にヤツは余を罵倒をしたのだ!」
クソババアとかクソババアとかクソババアとか。
よほど根に持っているのか、執拗にその単語を繰り返す。
「つまり新たな不敬罪が追加されたのだ! ゆえに呪いの期間を延長とする!」
「女王様……」
「余へ挑みたいなら、七聖全員を倒せとカゲルヤに伝えろ!」
彼女の部下ですら、さすがに強引な理屈だと思った。
――まさに理不尽。無理矢理に話に筋を通す。
さらに『七聖全員を倒せ』という新たな試練まで立てる始末だ。
「そ、それで、よろしいの、ですね……?」
「なにか文句があるか!? あるならここで決闘でもするか!?」
「い、いえ! 滅相もございません!」
失礼しましたと、部下は急ぎ頭を垂れる。
それからしばらくして、大広間にとある姫騎士が招集される。
「――女王様。お待たせしてしまい申し訳ありません」
「――よくぞ来た! 面を上げよ!」
女王の眼下にいる彼女こそ、カゲルヤの新たな刺客となる人物。
「転生者は転生者をもって潰す――そなたなら、殺れるな?」
邪悪に笑う最強が、刺客へと命令を下す。
「王剣七聖、カグヤ・スメラギ――委細承知いたしました」
姫騎士学園二年生にして七聖の一角。
大和撫子を体現したような、黒髪清楚な超美少女。
ニコニコと笑みを絶やさず、女王にしとやかに頷いて見せる。
「あ、あの、スメラギ様、もしよろしければ他の七聖様にも――」
協力を仰ぐべきではないか、と女王の部下が提案。
カグヤに対して熱心に説得をしていくが……。
「――おたく、よう喋らはりますなぁ」
女王相手ではないので、彼女は素の話し方で応じる。
それは先祖から代々伝わる、京言葉と呼ばれる独特の口調だ。
「えらくお元気そうで。そないに弁が立って羨ましおす」
「え……あ、はい、お褒めにあずかり、光栄です?」
女王の部下は困惑して、提案する口を止める。
一見、やんわり丁寧に断られたと、そう勘違いしそうになるが――……。
「うふふ。こなたに全て任しとぉくれやす」
大和撫子な京美人は、はんなり微笑んで一礼。
ゆったりとした足取りで、その場を後にしたのだった。
***
「――三下の雑兵がやかまし――なんて押しつけがま――おっと」
一人きりになったことで、あの部下への本音が漏れかけてしまう。
カグヤは扇子を出すと、口元を隠すように広げる。
「せやけど獄炎卿を倒しはった男、カゲルヤ・ノアが相手……おもろいやんか」
これは武勲を立てるチャンスだ、と黒く微笑む。
敵となる男の名を呟くと、狐のように目を妖しく歪ませた。
「――ほな。