姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~ 作:東雲(しののめ)
「――マルリスからの手紙、どのような内容でしたか?」
学園の保健室。ゼゼ先生が尋ねてくる。
決闘が終わった現在、立入禁止命令は解除されている。
「あなたは英雄ですとか何とか……ひたすら感謝、って感じの内容ですね」
僕を褒めそやす文章が並んでいる。
読んでて途中で気恥ずかしくなるほどだ。
末尾には、これからも陰ながら助力すると添えられていた。
僕は手紙を鞄にしまうと、先生に向き直る。
「それで……七聖全員を倒せば、女王への挑戦を認める、でしたっけ?」
「ええ。先ほど女王がそう発表しました。つまりこれは新たな試練で……」
女王打倒への道のりが遠いた、と告げられる。
彼女は無表情ながらも深刻そうにしているが。
「……新たな試練、こっちには好都合ですよ」
僕は問題ないと先生に応える。
「驚かれないの、ですか?」
「女王の性格からして、こうなるかもと予想はしてましたし……」
むしろこの状況を狙って、あえて女王を馬鹿にしたまである。
「――好都合とは、どういう意味ですか?」
壁際に控えていた巨躯の姫騎士、ヴェルグ先輩が声を発した。
――主従聖婚を結んだことで、彼女は絶対に僕を裏切れない。
だから味方として、この保健室に連れてきていたのだ。
「カゲルヤ。貴君はどうやって女王様……いえ女王を倒す?」
彼女が甘々になるのはベッド限定。
今は凜とした振る舞いで、今後のことを尋ねてくる。
「……まずは王剣七聖を、完全に掌握するつもりです」
「掌握、というと?」
いまいちピンとこないらしいので、ハッキリと言う。
「七聖全員と決闘して勝つ。そして七聖全員と聖婚します」
「「なっ!?」」
先輩と先生の驚愕が重なる。
「これの目的は二つです。一つは女王との直接対決に向けて」
女王の能力は【全知全能】である。
仮にこの三人の能力で挑んでも、たぶん勝機は薄い。
「勝率を高めるには、強力な能力を多く揃えるのが最善」
百年の一人の天才が、七人集まったという今回の七聖。
黄金世代と呼ばれる彼女たち、その最強能力を全て使えたら――
「――女王と、良い勝負ができませんか?」
確認するように訊くと、二人は共に考え込んだ後に。
「……カゲルヤさんの攻略を込みといたしまして」
「……四割、いや五分五分には、持っていける、かもしれない」
そこまでやって、勝率五割あるかどうかと返ってくる。
「良かった」
そう呟くと、二人は不思議そうに見てくるけど。
「世界最強が相手なら、賭けるには十分な数字だと思います」
少なくとも、今のまま挑むよりずっと良い。
……女王が性悪、回りくどい性格で助かった。
きっと今すぐ対決したら必敗だったろう。
……でも呪いの延長で、準備実行できる猶予ができた。
まして試練という名の、七聖と戦える口実までくれたのだ。
「――では七聖全員と聖婚する、もう一つの目的とは何でしょう?」
ゼゼ先生の問いかけに、静かに答える。
「女王の学園を乗っ取って、僕の学園にします」
「……はい?」
今度こそ本当に意味が分からない。
そんな顔をして、二人とも首を傾げている。
「新しい試練をクリアしても、女王がすんなり挑戦を認めるかは疑問です」
正確に言うと認めはすると思う。
しかしそうなると、きっと彼女はなりふり構わない。
国そのものを動かし、僕を窮地に追いやろうとするだろう。
「女王だけじゃない、彼女に従う女王軍とも、戦う可能性が生じます」
なら、それに対抗する力が必要だ。
でも戦争は数の勝負になりがちで、数人ぽっちで国軍とは戦えない。
「ヴェルグ先輩は、学園の権力一/七を持つんですよね?」
「え、ええ。その範囲内であれば好きにできますが……」
「じゃあ、七聖全員がこっちの味方になったら?」
「学園を完全自由に、動かすこと、が……まさか…………」
ここは姫騎士学園。ただの学校ではない。
聖装を使える少女の中でも、エリートが集まった最高育成機関だ。
「姫騎士学園を支配して、対女王軍に転用します」
高い戦闘力を持つ生徒。最先端の設備や施設。
さらには潤沢な食料までも備えていてる。
この学園は、最強の軍隊を有する、巨大要塞にもなりえるのだ。
「……女王の学園が、女王に反旗を翻す、カゲルヤさんは恐ろしいですね」
過去に独りでクーデターをしたからだろう。
壮大な計画を知って、先生は固唾を飲む。
そこにヴェルグ先輩も納得したと続けて。
「だから私から星を、階級を奪わなかったのですね」
僕は二つ星のまま。ヴェルグ先輩は七聖に据え置いた。
それもこれも、いずれ学園を支配するための布石だ。
「……先輩の立場は、しばらく苦しいと思いますが……」
他の七聖から、差別や侮蔑を受けるかもしれない。
それが分かっていても、僕は勝つためにどうしても……。
「――承知しました」
しかし彼女は、姫騎士らしく片膝をついて頭を垂れる。
「私は貴君の剣。どんな命令もにも従う所存です」
覚悟は決まっていると、声高に宣言する。
「ゼゼ先生にも、これから助けてもらうことが、増えますけど……」
「わたしも協力するのが使命です。お任せください」
サポート役である彼女も首肯する。
――話はまとまった。
僕は七聖を倒して、学園を獲りに行く。
そして巨大勢力を作り、女王に、いや女王の世界を完全攻略する。
「ゼゼ先生、ヴェルグ先輩、よろしくお願いします」
僕はお辞儀をして二人に感謝を示す。
計画を引っ張る立場、もっと強く偉そうに振る舞うべきかもだが……。
残念ながら、僕はこういう人間なのだ。
「……じゃあ、そろそろ教室向かいますか」
部屋の時計を見れば良い時間だ。
風紀統括長がいる手前、遅刻するなんて許されない。
「カゲルヤ。最後に一つだけ確認を」
解散となりかけた寸前、先輩が待ったをかける。
「なんですか?」
「主従関係において、主君となる者は、配下の働きに応じて褒美を授けます」
それはまぁ……そうか。そうですね。
「私は全力で責務を果たしますが、どんな褒美を頂けるのですか?」
え。そこまで考えてなかったな……どうしよ……。
すると先輩は近づいてきて、耳元で囁いてくる。
「……では、よ、夜伽を共にするなど、いかがでしょうか?」
夜伽!? エッチすることを褒美に希望と!?
「……今日中に何か成果を出します、だ、だから今夜また……」
長身の美少女が、こちらの顔と下半身を交互にチラチラ。
……あ、あんなに破廉恥厳禁と叫んでいたのに。
蓋を開けてみれば、この人が一番破廉恥だったのか。
「――お待ちください」
先輩のお願いにほだされそうになった所、ゼゼ先生が割り込んでくる。
「カゲルヤさんは、今夜わたしと先約があります」
「……なに? どういう意味でしょう?」
「ですよねカゲルヤさん。決闘前に約束しましたよね?」
無表情で詰め寄ってくるその背には、大荒れの吹雪が見えた。
「カ、カゲルヤ……まさか、この女とも関係を……!」
「関係もなにも。彼の筆下ろしをしたのはわたしです」
「なっ!? 教員が生徒に手を出すとは……破廉恥極まりない!」
先輩が激怒して、身体から炎が噴出する。
先生も応戦するように氷を纏う。
「あの、二人とも……落ち着いて……」
「黙れッ!」「黙っていてください!」
バチバチと散る火花、これは女の対決だと叱責を受ける。
……実はウルズとも約束あるって言ったら、ホントに殺されるかな……。
萎縮する僕の前で、彼女たちは舌戦を繰り広げる。
「――そこまで仰るなら今夜は三人で致しましょう」
「――そこで白黒をつけると。その勝負乗りましたッ」
銀髪の美女と、黄金髪の美少女、二人が僕に振り向いて。
「「今夜は三人でする、いいですね?」」
「い、いや、さすがに、無理で――」
「「いいですねっ!?」」
「――…………は、はぃ」
プレッシャーに負けて頷く男。
つくづく女は強いなと、改めて思い知らされる瞬間だった。
***
これから先も、最強の女たちが、僕の前に現れるだろう。
まだ相まみえぬ、残り六人の王剣七聖。
そしてその先に待つ、世界最強である絶対女王。
「――その全員を、僕が完全攻略する」
戦って、エッチして、強くなって。
虐げられる男たちに応え、いつか世界の頂点に立てれば。
「――僕なんかでも、人生大逆転(ハツピー・エンド)を、掴めるかもしれない」
だって、この異世界のルールはたった一つ。
「勝者が、全てを手に入れる」
姫騎士学園の下剋上性活。
物語は、まだ始まったばかり。