姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~   作:東雲(しののめ)

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第Ⅱ章:天照迷宮
第29話:カグヤ・スメラギ


 姫騎士学園二年生、カグヤ・スメラギ。

 彼女は完璧なお嬢様である。

 

 黒髪を(なび)かせる大和撫子な美貌――

 先祖から受け継いだ最強の能力――

 女王より与えられた王剣七聖の地位――

 

 極めつけは、慈愛と寛容に溢れた心を持つこと。

 圧倒的強者でありながら、誰に対しても平等に接するのだ。

 ゆえに、多くの生徒に尊敬され、憧れられる。

 カグヤは学園において一番の『人気者(アイドル)』と言っても過言ではない。

 

「――わたしのご先祖様は、大昔にこの世界に転生してきたそうです」

 

 学園の巨大図書館の地下。

 薄明かりの下に、黒髪清楚な美少女の声が響く。

 

「なんでもキョウトという場所から召喚されて……って、おたくと二人きりやさかい、こなた本来の喋り方でええか。わたしって一人称はどうにも肩が凝りよるし」

 

 カグヤが独特の訛り口調、京言葉に切り替える。

 これも能力と共に、先祖から代々伝わってきたもの。

 生来の口調になったことで上品さはやや薄れ、素の横柄さがにじみ出す。

 

「初代スメラギは強者でありつつ、品位や人格にも優れとった。せやから偉人として歴史に名を残しはって――何百年経った今も、ぎょうさんの人に愛され続けとる」

 

 彼女は対面の女生徒に、滔々と語る。

 

「ええよなぁ。生きている間だけでなく、死んでも皆に慕ってもらえるなんて」

 

 ただいくら話しかけても、相手からの返答はない。

 

「こなたもそんな風に、未来永劫ずぅっと愛されたいわぁ」

 

 漆黒の瞳で微笑んで、今一度問いかける。

 

「どやろ? おたくは羨ましいと思わん?」

 

 相手の少女はカグヤを睨み、震える声でようやく言葉を発す。

 

「……長々と御家自慢? 人をこんな風に拘束しておいて?」

 

 七聖のカグヤに対して不遜すぎる物言い。

 しかしそんな態度を取るのは無理もなかった。

 なにせ女生徒は全裸にされた上、椅子に縛り付けられているのだから。

 

「酷い言われようやなぁ。自慢やのうてただの世間話やん」

「っ……なにが清楚で可憐な七聖……腹の内は真っ黒なくせに……!」

 

 そう罵声を浴びせられてなお、カグヤの微笑は崩れない。

 

「は、はやく解放しないと、今までの悪事を告発して――」

「――こなただってな、ほんまは手荒いことしとぉないよ?」

 

 ニコニコしつつも目を細め、相手の言葉を遮る。

 

「ただ、どこの『部会』の差し金かは知らへんけど、こなたを陥れんとコソコソ工作(いたずら)しはった。仕置きの一つや二つされるのはしゃぁないやろ」

 

 そしてカグヤは、用意していた凶器の一つを手にとる。

 

「安心しぃ。殺したりせぇへん。ただ仲良ぉなりたいだけ……」

 

 己の悪事を、己の本性を、学園中の生徒に知られてはいけない。

 ――だって自分は人気者だから。

 ――だって自分はたくさん愛されたいから。

 目の前の敵対者さえ、カグヤは自分の『信者(ファン)』にしてしまいたい。

 

「……友人も、恋人も、家族も、全部要らんのや」

 

 自分と対等な存在は、いずれ必ず裏切るとカグヤは知っているから。

 従順忠実な信徒さえいれば、彼女はそれで満足なのだ。

 

「みなからの愛を手に入れるためなら――こなたは、手段を選ばん」

 

優しい笑みを作ると、手にした凶器を振り下ろしたのだった。

 

 

 

 カグヤは口封じを終えた後、赤く汚れた制服を着替え始める。

 

「今回の子ぉは、随分あっさり屈してくれたなぁ」

 

 丁寧にボタンを外し、服を静かに床に落とす。

 特別仕様の制服の下に隠されたのは、傷一つない雪肌と――

 

「気に入って買うたけど、ちと卑猥すぎる下着やろか?」 

 

 鏡の前で身だしなみを整えながら思案する。

 確かに、下着のデザインは凶悪極まりなかった。

 男が見たら即欲情する代物だろう。

 

「――こなたは中も外も清楚であらんと。どないしよかなぁ――」

 

 だが、本当に凶悪なのはその肉体の方である。

 たぷたぷと揺れる大きな双房は、いわゆる長乳型。

 

「――せやけど、地味過ぎんのは趣味に合わんし――」

 

とてつもない柔らかさを誇り、谷間の長さはあのヴェルグをも凌ぐ。

 

「――ま、せっかく新調したんやし、しばらく着てみよか――」

 

 そうして真新しい制服を上品に着込む。

 その下に、ドス黒い本性と、雌として下品すぎる身体を完璧に隠して。

 

「ほな、あとの問題は新入生総会と……」

 

 彼女の脳裏に、一人の少年の姿が浮かぶ。

 

「例の転入生、カゲルヤ・ノアやな」

 

 カグヤは女王に、彼を倒すことを命じられている。

 

「かの転入生さえ葬れば、女王様のご機嫌も取れて、みなも一層こなたを褒めそやす。こんなに美味しいお仕事はあらへんけど――」

 

 しかし、本当にただ倒すだけでいいのかと、顎に手をやる。

 ――カゲルヤの存在を、もっと有効活用できないか?

 強欲な性分ゆえ、彼のさらなる使い道を模索する。

 

「あ……ええこと思いついたわ……」

 

 カグヤの中にとある閃きが走る。

 彼女は懐から扇子を出して、口元を隠すように広げた。

 

「……であれば、まずは彼の警戒を解き、こっちに引き込まんとな」

 

 一旦はカゲルヤを仲間とする。

 そして厄介な仕事を代わりにしてもらうと考えたのだ。

 女王からやり方は一任されている。

 最終的にきちんと葬れば文句は出ないだろう、と彼女は頷く。

 

「――カゲルヤ・ノア、仲良ぉなれたら嬉しいなぁ」

 

 名門スメラギ家の令嬢、その美貌に満開笑顔が咲く。

 優等生の皮を被り、他者を騙し眩まし欲を満たす――

 にんまりと細く歪む漆黒の瞳は、まさに妖狐(ようこ)そのものだった。

 

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