姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~   作:東雲(しののめ)

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第33話:新入生総会

 保健室で諸々が済むと、僕は学園の大講堂へやってきた。

 初めて訪れるそこは、豪奢かつ広大な空間。

 学校の施設というより、演劇の舞台会場のような煌びやかさがある。

 

「――はっ、相変わらす冴えない顔してるわねぇ」

 

 すさまじい数の一年生たちが行き交う中。

 どの席に座るかと悩んでいると、旧知の女生徒が声を掛けてくる。

 

「さてと、できるだけ目立たない席を探して……」

「ちょっと! クラスメイトを無視すんじゃないわよ!」

「……あぁ、ウルズいたんだ」

「いたわよ! 気づいてたでしょ! てかそのメンドくさそう目はなに!」

 

 男というだけでも悪目立ちなのに、不良娘に絡まれるとさらに……。

 

「あんた超ラッキーよ。今ならあたしの隣が空いてるわ。偶然だけどね!」

 

 フフンと鼻を鳴らし、ここに座れと言ってきた。

 さらに傍にいたウルズの手下二人も手招きする。

 

「早く座っちゃいなよー! じゃないと取っておいた意味ないし!」

 

 ウルズの不良仲間その一、サンディ。

 ショートヘアに日焼けした褐色肌の、スレンダー美少女だ。

 テンション高いのはいいが、いつも声が大きく耳がキンキンする。

 

「そうですよぉ。ウルズがどうしてもと早くから確保したんです」

 

 ウルズの不良仲間その二、クルド。

 栗色のロングヘアに、垂れ目が特徴的なおっとり美少女。

 この中では一番の巨乳で、以前はそれで窒息させかけられたことも。

 僕のクラスが誇る不良娘三人衆が勢揃いである。

 

「あ、あんたたち! 席取っといたとか、余計なことは言わなくていいのよ!」

 

 どうやら偶然には理由があったらしい。

 これ以上騒がれても困るので、僕は一応お礼を言って席につく。

 

「ウルズたちのことだから、てっきりサボるかと思ってた」

「失礼ね。さすがには新入生総会はでるわよ」

 

 教室でも散々絡まれているので、互いに軽口はすぐに出てくる。

 

「ところでカゲルヤ、あんたは……その……」

 

 彼女はやや声を潜め、なぜか緊張気味に告げる。

 

「ど、どこの部会に、入るとか、決めてんの?」

「いや、無所属でいいかなと」

「ふ、ふぅん……ま、あんたのことなんかどーでも良いんだけどね!」

 

 彼女は当てが外れたみたいな顔をする。

 もしかしたら、大嫌いな僕と同じ部会だけには、絶対入りたくなかったのかも。

 こうして席取りをしてくれたのだってそう。

 僕の進路を聞き出すためだったと考えれば頷ける。

 

「逆にウルズたちは、どの部会に入るつもりで?」

「決めてない。そもそも部会に属するかも迷ってるし」

「でも将来を考えれば、七聖とパイプ作りした方がいいんじゃ?」

「そりゃね。ただペコペコしながら働くって性に合わないのよねぇ」

 

 サンディとクルドも頷く。

 

「部会に入ったら遊ぶ時間減っちゃうもん!」

「卒業後のことは、卒業後の自分になんとかしてもらいますぅ」

 

 とことんお気楽だなこの三人組は……。

 

「何も決まってないなら、風紀部会がすごくオススメだぞ」

「は? 獄炎卿のとこ? なんでよ?」

「なんでって……部会員が一人もいないから?」

「それ頭数増やしたいだけじゃない! 勝手に人柱にすんな!」

「今ならスパルタ指導のサービス付きだ」

「余計に嫌よ! あ、あんたも一緒にってなら考えてやんなくもないけどさ……」

 

 後半ゴニョゴニョ言って聞き取れなかったが――

 すいませんヴェルグ先輩、勧誘は失敗みたいです。

 

「――ねぇねぇ、もうどこに入るか決めた?」

「――そりゃ天照卿のところ一択よ!」

 

 耳を澄ますと、周囲も似たような会話をしている。

 特に、天照卿や図書部会という単語が、よく飛び交っているようだ。

 

「天照卿、大人気だなぁ……」

「へぇ、マヌケなあんたでも、さすがに天照卿は知ってるのね」

「ざっくりとは。何でもすごい優等生だとか」

「そうね。天照卿は名門スメラギ家のご令嬢で――」

 

 顔良し、血統良し、実力良し、そして性格良し。

 血と戦いに彩れた姫騎士学園で。

 誰よりも優しい彼女は、生徒にとって砂漠のオアシス的存在らしい。

 

「――天照卿が統括長の図書部会は、きっととんでもない倍率よ」

 

 志願した人全員が入れるわけじゃないようだ。

 特定の部会に集中したら、学園運営が滞るし当然か……。

 

「天照卿の元にいけるかは運次第。狭き門ってわけだ」

「基本はそうね。ただ例外もあるらしいけど」

「例外?」

「有望な新入生には、七聖側から直接スカウトがあるって噂よ」

 

 ただあくまで噂で、実例を見たことはないと言われる。

 

「でも今回、獄炎卿はあんたを指名すんじゃない?」

「いいや、それはない」

 

 実は大講堂に来る前、先輩には自分は無所属でいくと伝えてあるのだ。

 変なしがらみができて、動きにくくなるのは困るからな。

 

「っと、そろそろ時間みたい。お喋りはお終いね」

 

 その時、照明がついて、緞帳がゆっくり上がっていく。

 いよいよ総会が始まると、生徒たちも口を噤む。

 

「よく見ときなさいカゲルヤ。あれがあんた戦おうっていう王剣七聖――」

 

 幕が上がり、ステージの全容が明らかになる。

 壇上には空席の、豪華絢爛な椅子が七つ。

 そして左右の舞台袖から、選ばれし姫騎士たちが現れる。

 

「――さ、怪物どものお出ましよ!」

 

 それぞれ個性は異なるが、全員が超のつく美少女。

 各々が自分に合った、特別仕様の制服を纏っている。

 しかし真に驚くべきは、彼女たちが放つ強大なオーラである。

 

「確かに、これは、怪物だ」

 

 もしもここが迷宮(ダンジヨン)だったとしたら。

 もれなく全員、SSS級モンスターに匹敵するだろう。

 

「……あれ? 六人しかいない? 中央の椅子だけ空席のまま?」

 

 ウルズに目で尋ねると、あれは七聖統括長の席で、本日は欠席なのだと教わる。

 

『定刻となりましたので、これより新入生総会を執り行います』

 

 司会進行役の一般生徒が現れて、通信装置(スピーカー)を使って宣言する。

 

『この総会は、学園運営を行う七つの部会の紹介、ならびに入会志願者を募る会となって

います。各部会については後ほど王剣七聖ご本人から――……』

 

 と、定型のご挨拶から始まって。

 それから志願書の出し方や、選考スケジュールのこととか……。

 無所属になる身からすれば、割とどうでもいい話が続く。

 

『それでは、まずは図書部会よりお話をいただきます――』

 

 司会が一通りの説明を終えて、各統括長の出番がやってくる。

 

『――ごきげんよう。一年生の皆さん』

 

 黒髪の美少女が腰を上げて、ステージの中央前方に立って挨拶。

 

『図書統括長、カグヤ・スメラギと申します。どうぞお見知りおきを』 

 

 緊張で張り詰めていた空気が、その笑顔だけで一気に和らいでしまう。

 何か能力を使ったわけではない。

 清楚で可憐な佇まい、持って生まれたカリスマ、完璧な所作……。

 そういったものが凝縮されたような、人をとにかく惹きつける笑顔をしていた。

 

「あぁ、カグヤ様……!」「なんてお美しいお姿……!」

 

 案の定、新入生の多くが喜びの声を漏らす。

 初見の僕でも、彼女の高貴さ、自分とは育ちが違うとすぐ理解できる。

 

「……天照卿という異名に偽りなし、か」

 

 まさに世界を照らすような微笑みだ。

 

『では図書部会についてご説明いたします。最後まで聞いてくれたら嬉しいです』

 

 しかもすごいのは、ちゃんと親しみやすさを感じること。

 元いた世界にも貴族はいたが、みな平民のことは見下していた。

 カグヤ・スメラギにはそれが一切ない。

 僕の観察眼が衰えていなければ、彼女は心の底から皆と仲良くしようとしてる。

 

「……これは、人気が出るわけだ」

 

 肝心の部会説明も、流暢で明朗快活で――

 

『――――説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました』

 

 雅に一礼して名演説を締め括る。一年生たちも拍手喝采だ。

 

「……ふん。お嬢様は演説も完璧ってわけ」

「不満そうだな、ウルズ」

 

 鳴り止まない拍手の中、口を尖らせた隣人に小声で応じる。

 

「別に。ただ鼻につかないところが逆に鼻につくってだけよ」

「それは……そうかもな。確かに完璧すぎるってのは気がかりだ」

 

 生物には、必ず隙や弱点があるものだ。

 あの最強女王ですら、有限な寿命や、性格面に欠点を抱えている。

 しかし現時点では、不自然など天照卿にそれは見あたらない。

 

「へ、へぇ、あんたもそう思う? 意外と見る目あるじゃない!」

 

 ウルズに同意を示したところ、彼女は得意げに続ける。

 

「その通りよ。ああいう清楚なヤツほど、裏の顔があるって相場が決まってるわ」

「そこまで僕は言ってないけど……」

「それに天照卿は高嶺の花。間違っても惚れたりしないことね」

「いや惚れるって……」

「ま、あんたなんか絶対相手にされないだろうけど」

 

 ウルズは小馬鹿にするような、でも少し嬉しそうに言う。

 

「もし遊ぶ相手を選ぶんなら、身近なあたしとかにしときなさい」

「はいはい……」

「な、なによ、そのテキトーな返事! 嬉しくないの!?」

 

 ウルズと喋っていると、拍手もようやく止んでいく。

 天照卿の出番は終了。司会役も次の七聖に話を振ろうとした――その時。

 

『あ、そういえば、もう一つだけお話がありました』

 

 大事なことを思い出したとばかりに、壇上で手をポンと叩く。

 天照卿の話をまだ聞けると、一年生たちも顔を綻ばすが――

 

『ご存じの通り、部会員は自ら志願してなるものですが……』

 

 黒髪清楚な美少女が、司会役の生徒に笑って訊く。

 

『七聖側から一年生をスカウトするの――アリでしたよね?』

 

 瞬間、新入生たちにどよめきが生じる。

 スカウトの噂は本当だった、一体誰が選ばれるのか、と。

 しかし驚いていたのは、他の王剣七聖たちも一緒。

 表情からして、そんな話は事前に聞いてないぞって感じだ。

 

『実は、どうしても気になっている方が一人いるんです』

 

 天照卿が懐から扇子を取り出して、こちらに向かって迷いなく指した。

 

『カゲルヤ・ノア――わたしが、もらってよろしいですか?』

 

 隣にいるウルズが、あんぐりと口を開く。

 同じく唖然とする僕だが、それより先に周囲の生徒が一斉に叫ぶ。

 

「「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――!?」」」」」

 

 高嶺の花が選んだのは、日陰者の男子生徒だった。

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