姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~   作:東雲(しののめ)

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第41話:観戦

 女王から与えられた猶予は一週間。

 既に三日目の放課後、残り期間は半分と少し。

 天照卿と取引した結果、最終日に正々堂々と決闘できることにはなったが――

 

「――それは、こなたのお願いを達成できたらの話やけどな」

 

 現在、僕とカグヤ先輩は訓練場にいた。

 更衣室から出てきた彼女は、制服から戦闘服に着替えている。

 

「どや? かわいいやろー? 戦闘服も特別仕様やで?」

「……それで、先輩の階級戦に、僕を付き合わせる目的は?」

「いけず。まずは誉めなはれ。ほんまこなたに靡かんねぇキミは」

 

 カグヤ先輩からは、とある姫騎士を代わりに倒せとお願いされた。

 その姫騎士のことを、放課後に教えてくれるはずだったが……。

 

「わかっとるよ。あの女はこなたの階級戦に必ず観戦に来るんや」

「じゃあ、これから紹介してくれると?」

「紹介っちゅうか……ま、階級戦終われば向こうから来るさかい」

 

 曖昧に微笑む先輩だが、僕は正直僥倖だと思っていた。

 ――早急の課題だった、天照卿の能力を調査できる!

 ヴェルグ先輩からざっくりと話は聞いているが、見極める良い機会だ。

 

「「「「「カグヤ様がいらっしゃったわ!」」」」」

 

 戦闘ステージに向かう通路、一般生徒たちが駆け寄ってくる。

 

「――わたしの応援にきてくれたのですか? いつもありがとうございます」

 

 先輩を取り囲んで和気藹々。もちろん僕は蚊帳の外だ。

 ……わたし、ね。さっきまでこなたこなた言ってたのに。

 見事な化けの皮。その切り替えの早さに舌を巻くしかない。

 

「カ、カグヤ様! もしよろしければフィールドまでお供させ――」

「ごめんなさい。カゲルヤくんがいるから付き添いは十分です」

「し、しかし男なんか連れても……」

「彼がいればいい。意外と頼りになるりますし――ね?」

 

 周りに見せつけるように、ここぞと僕に同意を求めてくる。

 ね? と言われても僕は何となく頷くしかない。

 

「では、そろそろ行きましょうかカゲルヤくん」

 

 極めつけに、僕の腕を取って歩き出す始末で――

 背後の生徒たちからの殺気はすさまじいものがある。

 

「僕が頼りになるとか、なんで彼女たちを煽るようなこと……」

「こなたの戦闘服見せたのに、可愛いって誉めんかったお返しや」

 

 二人きりになると、先輩は悪戯っぽく笑ってみせる。

 

「そんなことで……はぁ、また変な噂を流されて狙われる……」

「ふふふ。そん時はこなたが守ってやるさかい」

 

 冗談っぽい会話だが、きっとこれも彼女の策略だ。

 

 天照卿に頼らざるをえない状況を作ることで。

 僕があの秘密をネタに、クーデターを起こすことを予防しているのである。

 

「……一応言っておきます。頑張ってください」

「任せい。七聖らしく勝つさかい」

 

 僕の部会の統括長は、満天笑顔でフィールドへと足を踏み入れた。

 

 

 

 七つ星であるカグヤ先輩と、六つ星の生徒の戦いが始まった。

 万が一先輩が負ければ、階級が入れ替わることになるが。

 

「――あれが、天照卿の聖装――」

 

 その武器形状は薙刀と呼ばれるもので、長い柄の先に刃が付いている。

 そして肝心要、聖装が秘めた能力とは……。

 

『【天照煌盾(てんしようこうじゆん)】――発動です』

 

 薙刀をグルリと一回転させると、刃先の円軌道に沿って光が生じた。

 そして、その光を外周とした、円形の巨大盾が形成される。

 盾の直径は薙刀と同じ。半透明で厚さは窓ガラス一枚ほど。

 

「ヴェルグ先輩から聞いた通りなら――」

 

 刹那、六つ星から降り注ぐ能力攻撃。

 しかし七聖は動じず、光の盾で全て弾いてしまう。

 

「――天照卿の能力は、無敵のバリアを出現させること」

 

 その特性は、どんな攻撃でも必ず防ぐというものだ。

 ヴェルグ先輩でも、ゼゼ先生でも、最強女王ですらあの盾は壊せないという。

 

『んー。手数増やしてきましたね。では盾を追加しましょうか』

 

 グルリ。グルリ。グルリ。

 彼女が薙刀を振り回すと、次々と盾が展開される。

 

「そして、戦闘スタイルは獄炎卿と真逆――超防御特化!」

 

 事実、カグヤ先輩は開始位置からまったく動かない。

 上下左右斜めに死角、どこから攻撃が来ても盾で防ぐ。

 相手は攻めあぐね、近づけず、一方的に体力を消耗していく。

 

「出せる盾の数に上限はなさそう……弱点というと……」

 

 盾を一枚出すごとに『溜め』が必要なこととか?

 薙刀を一回転させるという動作、これが発動の条件と見える。

 

「そもそもどうやって先輩は勝つ? ただ守ってるだけじゃ勝敗は――」

 

 僕の疑問に答えるように、彼女は薙刀の頭で盾を小突いた。

 すると空中に静止していた盾が、押し出されるように高速で飛んで行く。

 ――遠距離攻撃! 盾を飛び道具にもできるのか!?

 対戦者の目には、丸い大壁が迫ってきているように見えるだろう。 

 

「対処は……頑張って避けるか、武器で弾くのがせいぜいか」

 

 破壊不可能の物質が押し寄せてくる攻撃。

 当たらなかった盾は壁にめり込み、その威力の高さを思い知らされる。

 相手はたまらず跳躍し、空から接近攻撃を試みるが――

 

『跳んだらダメでしょう?』

 

 カグヤ先輩が、待ってましたとばかりに薙刀を手早く回す。

 しかも今回は一回転でなく、一気に三回転。

 生じる盾は一枚だし、大きさもこれまで変わらないが……。

 

「……盾が、高速でスピンしている?」

 

 独楽(こま)に似ているとも思うが、しかし遊び道具にしては危険すぎる。

 もしも触れれば、手足なんて軽くちぎられるだろう。

 

『――(すめらぎ)流、月夜見(つくよみ)

 

 天照卿は薙刀振り回すそのままの勢いで、スピンする盾を射出する。

 円盤投げと仕組みはほぼ同じだが、その速度はまさに光のごとし。

 超高速の飛翔物体が、空中で隙だらけの相手に直撃する。

 

『ふふ。終局ですね』

 

 微笑む彼女に、信者たちも歓声を上げる。

 結局、天照卿は開始位置から動くことはなく、圧勝してしまったのだった。

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