姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~ 作:東雲(しののめ)
女王から与えられた猶予は一週間。
既に三日目の放課後、残り期間は半分と少し。
天照卿と取引した結果、最終日に正々堂々と決闘できることにはなったが――
「――それは、こなたのお願いを達成できたらの話やけどな」
現在、僕とカグヤ先輩は訓練場にいた。
更衣室から出てきた彼女は、制服から戦闘服に着替えている。
「どや? かわいいやろー? 戦闘服も特別仕様やで?」
「……それで、先輩の階級戦に、僕を付き合わせる目的は?」
「いけず。まずは誉めなはれ。ほんまこなたに靡かんねぇキミは」
カグヤ先輩からは、とある姫騎士を代わりに倒せとお願いされた。
その姫騎士のことを、放課後に教えてくれるはずだったが……。
「わかっとるよ。あの女はこなたの階級戦に必ず観戦に来るんや」
「じゃあ、これから紹介してくれると?」
「紹介っちゅうか……ま、階級戦終われば向こうから来るさかい」
曖昧に微笑む先輩だが、僕は正直僥倖だと思っていた。
――早急の課題だった、天照卿の能力を調査できる!
ヴェルグ先輩からざっくりと話は聞いているが、見極める良い機会だ。
「「「「「カグヤ様がいらっしゃったわ!」」」」」
戦闘ステージに向かう通路、一般生徒たちが駆け寄ってくる。
「――わたしの応援にきてくれたのですか? いつもありがとうございます」
先輩を取り囲んで和気藹々。もちろん僕は蚊帳の外だ。
……わたし、ね。さっきまでこなたこなた言ってたのに。
見事な化けの皮。その切り替えの早さに舌を巻くしかない。
「カ、カグヤ様! もしよろしければフィールドまでお供させ――」
「ごめんなさい。カゲルヤくんがいるから付き添いは十分です」
「し、しかし男なんか連れても……」
「彼がいればいい。意外と頼りになるりますし――ね?」
周りに見せつけるように、ここぞと僕に同意を求めてくる。
ね? と言われても僕は何となく頷くしかない。
「では、そろそろ行きましょうかカゲルヤくん」
極めつけに、僕の腕を取って歩き出す始末で――
背後の生徒たちからの殺気はすさまじいものがある。
「僕が頼りになるとか、なんで彼女たちを煽るようなこと……」
「こなたの戦闘服見せたのに、可愛いって誉めんかったお返しや」
二人きりになると、先輩は悪戯っぽく笑ってみせる。
「そんなことで……はぁ、また変な噂を流されて狙われる……」
「ふふふ。そん時はこなたが守ってやるさかい」
冗談っぽい会話だが、きっとこれも彼女の策略だ。
天照卿に頼らざるをえない状況を作ることで。
僕があの秘密をネタに、クーデターを起こすことを予防しているのである。
「……一応言っておきます。頑張ってください」
「任せい。七聖らしく勝つさかい」
僕の部会の統括長は、満天笑顔でフィールドへと足を踏み入れた。
七つ星であるカグヤ先輩と、六つ星の生徒の戦いが始まった。
万が一先輩が負ければ、階級が入れ替わることになるが。
「――あれが、天照卿の聖装――」
その武器形状は薙刀と呼ばれるもので、長い柄の先に刃が付いている。
そして肝心要、聖装が秘めた能力とは……。
『【天照煌盾(てんしようこうじゆん)】――発動です』
薙刀をグルリと一回転させると、刃先の円軌道に沿って光が生じた。
そして、その光を外周とした、円形の巨大盾が形成される。
盾の直径は薙刀と同じ。半透明で厚さは窓ガラス一枚ほど。
「ヴェルグ先輩から聞いた通りなら――」
刹那、六つ星から降り注ぐ能力攻撃。
しかし七聖は動じず、光の盾で全て弾いてしまう。
「――天照卿の能力は、無敵のバリアを出現させること」
その特性は、どんな攻撃でも必ず防ぐというものだ。
ヴェルグ先輩でも、ゼゼ先生でも、最強女王ですらあの盾は壊せないという。
『んー。手数増やしてきましたね。では盾を追加しましょうか』
グルリ。グルリ。グルリ。
彼女が薙刀を振り回すと、次々と盾が展開される。
「そして、戦闘スタイルは獄炎卿と真逆――超防御特化!」
事実、カグヤ先輩は開始位置からまったく動かない。
上下左右斜めに死角、どこから攻撃が来ても盾で防ぐ。
相手は攻めあぐね、近づけず、一方的に体力を消耗していく。
「出せる盾の数に上限はなさそう……弱点というと……」
盾を一枚出すごとに『溜め』が必要なこととか?
薙刀を一回転させるという動作、これが発動の条件と見える。
「そもそもどうやって先輩は勝つ? ただ守ってるだけじゃ勝敗は――」
僕の疑問に答えるように、彼女は薙刀の頭で盾を小突いた。
すると空中に静止していた盾が、押し出されるように高速で飛んで行く。
――遠距離攻撃! 盾を飛び道具にもできるのか!?
対戦者の目には、丸い大壁が迫ってきているように見えるだろう。
「対処は……頑張って避けるか、武器で弾くのがせいぜいか」
破壊不可能の物質が押し寄せてくる攻撃。
当たらなかった盾は壁にめり込み、その威力の高さを思い知らされる。
相手はたまらず跳躍し、空から接近攻撃を試みるが――
『跳んだらダメでしょう?』
カグヤ先輩が、待ってましたとばかりに薙刀を手早く回す。
しかも今回は一回転でなく、一気に三回転。
生じる盾は一枚だし、大きさもこれまで変わらないが……。
「……盾が、高速でスピンしている?」
もしも触れれば、手足なんて軽くちぎられるだろう。
『――
天照卿は薙刀振り回すそのままの勢いで、スピンする盾を射出する。
円盤投げと仕組みはほぼ同じだが、その速度はまさに光のごとし。
超高速の飛翔物体が、空中で隙だらけの相手に直撃する。
『ふふ。終局ですね』
微笑む彼女に、信者たちも歓声を上げる。
結局、天照卿は開始位置から動くことはなく、圧勝してしまったのだった。