姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~ 作:東雲(しののめ)
「――ガン待ちして遠距離攻撃、焦って相手が跳んできたら即処理、か――」
無敵の盾を起点とした戦術、やっていることは至極単純だ。
しかしだからこそ、その堅牢ぶりがよく分かった。
「――それに、あれは相当鍛錬してる動きだった――」
所作が完璧なのは、戦闘でも同じようだ。
弱点である薙刀を回すという『溜め』動作が、美しすぎるし速すぎる。
能力の使い方以前に、基礎の剣術すら達人級なのでは?
「戦闘スタイルや能力は分かった。あとはどう攻略するか……」
七聖ともなれば、聖装の『覚醒』という奥の手も使えるはず。
彼女を通路で待ちながら、攻略方法を考えてると――
「お待たせ。なんとか無事に勝てて良かったわぁ」
無事って、誰が見ても余裕だったのによく言うなぁ……。
「さて、カゲルヤくん、ここからが本題やけど」
「例の、目障りな姫騎士を、代わり倒せって件ですね」
「そ。いつも通りならもうすぐこの場に……」
「――おーっほっほ! 見事な試合でしたわねカグヤ!」
その時、廊下の奥からコテコテのお嬢様口調が響く。
「はぁ。現れよったわぁ……」
カグヤ先輩は、珍しく疲れたような表情を見せる。
威風堂々と向かってきている、あの金髪ドリルヘアの少女は……!
「ジャスティーヌ・ダルク――ここに見参ですわよ!」
高らかに名乗るや、少女の背後から薔薇の花びらが舞う。
一体どこから……と思いきや、後ろの双子召使いが撒いているようで。
「よっ、ジャスティーヌ様!」「……かっこいい登場のお嬢様」
ジャスティーヌと名乗った少女は、僕の方を見つめる。
「おやおや、貧乏人の悪臭がすると思えば! またお会いしましたね愚民!」
「愚民って……前ちゃんと名乗りましたけど」
「もちろん覚えてますとも! 確か……えぇっと……カエッタ・ノラ!」
違う。やっぱり覚えてないじゃないか。
「カゲルヤくん知り合いやったん?」
「いいえ。前に一度絡まれ……少し話しただけです」
知り合いなんてとんでもない。できれば関わりたくない相手です。
「改めて紹介しとくさかい。彼女は姫騎士学園二年生の――」
「ジャスティィィィィィィヌ・ダルクですわ!」
カグヤ先輩の話に割り込んで、今一度名乗ってくる。
「こなたのスメラギ家と並ぶ名家、ダルク家の娘で――」
「おっほっほ! ナンバーワンはダルク家! 我が家の方が歴史が長いですわ!」
「……あ、相も変わらず、お喋りが上手やなぁ」
話をまた遮られた上、御家マウントまでもらう。
先輩のニコニコフェイスに、静かな苛立ちが滲み出る。
「ジャスティーヌは元六つ星でな。今は二つ星になりはったんやっけ?」
「ええ! あなたに連敗しすぎて、一つ星に降格のペナルティをもらいましたとも! さらには資産まで没収された! しかぁし! どんな逆境に置かれようとわたくしの高貴さは消えません! 類い希なる才能と努力で、こうして二つ星になって――……」
ペラペラと自分すごい自慢が続く。いちいち話が長いなぁ。
「一日でも早く六つ星に戻り、次こそあなたに勝ちますわ!」
「能力の相性的に格付けは済んどる。いい加減に諦め――」
「諦める!? わたくしの辞書にそんな陳腐な言葉はございません! 図書統括長ともあろう者がそんなことも分からないとは! もっとご本を読みなさないな!」
勉強不足だと罵倒され、カグヤ先輩の笑顔が凍り付く。
「……ど、どの立場で説教して……フ……フフフフ………」
怒りを我慢しているのか、ニコニコ顔が本格的にピキってきた。
「カグヤ! あなたとは幼少からの付き合い!」
金髪ドリルを揺らし、黒髪美少女をビシッと指さす。
「これまで全ての勝負に負けてきた! ダルク家はスメラギ家に及ばないと笑う者もいる! しかし今度こそは違いますのよ!」
「……ほんま懲りひん女やねぇ。これ以上惨めで貧しくなりたいん?」
「勝者が全てを手に入れる。最後に勝てばいいだけの話ですわ!」
「はぁ。当主がそんな考えなしやと、ダルク家はいずれ潰えるで?」
「だからこそあなたを倒す! そして私もダルク家に頂点に返り咲く!」
まさに暴れ牛のごとく、何と言われようと愚直に突き進む。
これはカグヤ先輩も手を焼くのも分かる。
「――残念やけど、今回はいつものようにいかんよ」
そしてそんな状況を変えるために、彼女は僕にあのお願いをしたのだ。
「こなたに挑みたかったら、彼を……カゲルヤ・ノアを倒してからや」
その言葉に、金髪ドリルのお嬢様は目を丸くする。
「はっ! わたくしがそこの愚民と戦えと!? 面白い冗談ですわね!」
「冗談やない。カゲルヤくんはこなたの代理人。いい加減におたくの相手するのも大変やさかい――ここで、きちっと白黒つけしよし」
カグヤ先輩が本気を知るや、ジャスティーヌの表情も変わる。
「ジャスティーヌもカゲルヤくんも二つ星。階級戦はできる」
「おほほ。見誤りましたね。愚民如きが高貴なわたくしと勝負になるとでも?」
「どやろなぁ。ま、彼を倒せばまた何度でも戦ったるさかい」
それを聞いて、ジャスティーヌは高笑いで応じる。
「よろしい! その申し出――受けて立ちますわ!」
こうしてトントン拍子に、僕の新たな階級戦が決まった。
対戦者は天照卿の因縁の相手、ジャスティーヌ・ダルクである!