姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~ 作:東雲(しののめ)
「――こなたが勉強不足やと? 一体どの口がほざくねん!」
図書館の統括長室に戻ると、天照卿は苛立ちを完全解放する。
「ほんまイライラさせてきよる女やで!」
「ジャスティーヌ・ダルク……変わった人では、ありましたね」
「もっと直接的に罵ってええよ。あれは超のつく阿(あ)呆(ほう)さかい」
普段のしとやかさが消え、嫌悪の感情を丸出しにする。
「こなたに勝たれへんくせに、昔っからしつこく絡んできて――」
さらに愚痴を続けようとした時、彼女はハッと正気に戻る。
「……堪忍な。こなたらしくない汚い言動やったわ」
おもむろに扇子を取りだし、口元を隠すように広げる。
そして、いつもの優等生の仮面を被ろうとするが――
「――別に、僕相手なら愚痴ってもいいんじゃないですか」
そう切り出すと、先輩は鳩に豆鉄砲という表情に。
「他の生徒と違って、僕はカグヤ先輩の黒い本性を知ってます。そしてこの部屋では二人きり……無理に隠す必要もないかな、と」
愚痴られる中で、攻略に役立つ情報が得られるかも。
そういう思惑がないわけでもない。
しかし、彼女のフォローのお陰で、男でも部会で平穏にすごせているんだ。
だからギブアンドテイク。吐け口として扱われても文句はない。
「……………………」
そのように伝えると、彼女は驚いたまま固まっていた。
「とは言いましたけど、無理には話さなくても――」
「黒くないもん」
「え?」
「こなた、ぜんっぜん腹黒やないもん」
もん、もん、ってふてくされた子供みたいに言うが……。
「裏であんなことしておいて、流石にそれは言い訳できな――」
「復唱せい。カグヤ先輩は清楚で可憐な完璧美少女ですって」
「な、なにを急に――」
「ふ・く・しょ・う」
彼女がグッと身を寄せ、整いすぎた顔面が超至近距離に迫る。
「……カグヤ先輩は、清楚で可憐な完璧美少女、です」
プレッシャーに耐えきれず、渋々と復唱すると。
「うんうん。そうよなぁ。キミの言う通りやわぁ」
うわ。満足げにドヤ顔してるよこの人。
「本当に清楚な人は、こんなこと言わせて悦には入りませんよ」
「いけず。それ余計な一言っちゅうんやで」
彼女はわざとらしく怒ったフリをして、扇子で肩を小突いてくる。
「いつも明るく笑顔な美少女好きやろ? キミは素のこなたの方がいいん?」
先輩は結局敵だし、好きも嫌いも特にないが――
「……綺麗事だけ言ってる時よりかは、好感は持てます」
建前を用意するとか、空気を読むとか。
周りから人気を集めたり、社会生活を営む上では、必要な技術なのだろう。
僕も不得手ながら、時々使うこともある。
――でも、やっぱり面倒だと思うし、その場で正解できてるかも分からない。
たとえ中身が真っ黒だろうと。
いっそ腹を割ってくれた方が、理解しやすいし付き合いやすい。
「ふぅん。ほんまに変わっとるねキミ」
「いつでも笑顔って方が、嘘くさく思えますし……」
「気持ち悪い、ってな?」
「そこまでは言わないですけど……」
「女子同士だとな、個人よりも、まずは場の空気を大事にするんやけど――」
カグヤ先輩は扇子を顎にやり、感慨深そうに呟く。
「――男は、こなたらとは違うんかなぁ」
女子間のコミュニケーションがどうかは知らない。
ただ男同士だと、もう少しさっぱりというか、ドライな感じがある気はする。
「じゃ、カゲルヤくんだけには、素直なカグヤちゃんでいこか」
先輩は扇子を仕舞うや、あの妖しい微笑みを見せる。
「こっちのこなたの方が、キミは愛してくれそうやしな――?」