姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~   作:東雲(しののめ)

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第5話:階級戦

『――獄炎卿は風紀に厳しい。遅刻しただけでも殺されるとご覚悟ください』

 

 保健室を去る間際、ゼゼ先生からそう警告された。

 遅刻程度で死ぬとか大袈裟な、と思うがガチな話らしい。

 

「……な、なんとか、ギリギリ間に合った……!」

 

 肩で息をしながら教室の前に辿(たど)り着く。

 これで遅刻は回避したと、扉をゆっくりと開けると。

 

「――これよりホームルームを始めます」

 

 教壇に立った若い女教師が、ちょうどに告げる。

 

「まずは例の男の転入生の件ですが」

 

 眼鏡をクイッと直し、こちらに気づかず話を進める。

 目立つつもりもないけど……僕、そんなに影薄いかな。

 

「ここで速報、なんと風紀統括長が殺処分したそうですッ!」

 

 大変嬉しいことですね、と生徒たちに拍手を促す。

 

「入学したばかりの皆さんも、偉大な七聖を見習って――」

「僕、生きてますけど」

 

 声を発すと教師はやっと気づく。ちょっと遅すぎないか?

 

「て、てて、転入生!? 殺されたはずでは!?」

 

 彼女だけでなく、教室中が大きくざわつく。

 僕が死んだと、全員が本気で思っていたらしい。

 

「一年生が、まして男が、七聖と戦って無事などありえな――」

 

 ここでも化物を見るような目。ひどい扱いである。

 

「つッ……転入生は、早く自己紹介をしなさい!」

 

 早口に命じられ、僕は壇上にあがった。

 四角い教室。二人掛けの長机が、階段状に設置されている。

 

「えっと……」

 

 約三〇名のクラスメイトから一斉の視線。

 そのどれにも警戒や侮蔑、悪意が籠もっている。

 ゼゼ先生という例外はいたけれど。

 やはり教師も生徒も――学園の(、、、)全女性が(、、、、)僕の敵(、、、)みたいだ(、、、、)

 

「……カゲルヤ・ノア、です。よろしくお願いします」

 

 当たり障りなく手短に済ます。変に刺激はしない。

 奥の席に座れと指示を受け、向かう途中――

 

「……あれが女王様に喧嘩売った男」「……特例入学だってさ」「……あの獄炎卿から生き延びるって」「……まず普通の男じゃないわね」「……シッ、こっちくるわよ」

 

 ヒソヒソとした会話が耳に入る。

 予想通り居心地が悪そう……休み時間は寝て過ごそうかな。

 

「――あーあ。さいっっっあく!」

 

 僕の隣席になる女生徒が、勢いよく足を机に置く。

 ざわついていた空気が静まりかえった。

 

「ザコばっかりの教室なのに、くっさいオス臭までするなんて」

 

 長い赤茶髪をワンサイドアップにした美少女。

 耳にピアス、爪にマニキュア、そして底意地悪そうなにやけた目つき。

 生意気感が満載で……見るからにイジメっ子タイプだ。

 

「劣等種ごときに騒ぎすぎなのよ」

 

 彼女の一挙手一投足に、他生徒が(おび)えた表情をする。

 雰囲気的に、彼女がこの教室のボスみたいだ。

 

「――しょーがないじゃんウルズ!」

「――ええ。どのクラスになるかは運ですもの」

 

 この不良娘はウルズという名前だそう。

 手下っぽい美少女二人、褐色のボーイッシュ系と、垂れ目のおっとり系が相づちを打つ。

 

「……机の上の足、どかしてもらえると」

 

 彼女が通せんぼをして席に座れない。

 同い年(タメ)とはいえ初会話、最初は丁寧めに声を掛けるが――

 

「はぁ〜? 男があたしに意見するわけ?」

 

 そんな配慮は無用だったようで、小馬鹿にするように睨んできた。

 それからスラッとした足を、再び机に打ち下ろす。

 人一倍短くしたスカート、赤いTバックが完全露出。

 極細の布が縦筋に食い込み、ツルツルの土手が大胆に盛り上がっている。

 

「…………それ、恥ずかしくないのか……」

 

 おおっぴらにしている紐パンに、つい嘆息が漏れる。

 友好関係になれないのはもう理解した。

 しかし、男を(あお)るようなその格好は何とかならないのか。

 

「――へぇ、あたしに楯突(たてつ)くの?」

 

 こちらの言動を、自分への反抗と見なしたらしい。

 ウルズは立ち上がって、僕に詰め寄ってくる。

 

「名乗っとくわ。あたしはウルズ。このクラスのトップで――」

 

 明らかに性悪なのに、一応は挨拶してくれるのか?

 意外とちゃんとして……と思った瞬間。

 ペッ! と顔面に唾を浴びせられる。

 

「ばーか! 勝手に油断してんじゃないわよマヌケ!」

 

 っ……そうだよな、常識的に考えた僕が悪かったよ。

 ストロベリーみたいな匂いの唾液を手で拭う。

 

「ねぇサンディ、クルド、確か一限目って」

「――階級戦!」「――でしたわねぇ」

 

 手下たちの答えを聞いて、意地悪そうに笑う。

 

「あたし、いじめ甲斐(がい)があるヤツって大好きなの――」

 

 サディスティックな瞳で、対峙(たいじ)する僕に告げる。

 

「――ひとりぼっちの男の子、あたしがたくさん遊んであげるわ」

 

           ***

 

 波乱のホームルームが終わった後。

 最初の授業として、移動してきた施設は――

 

「――チッ、決闘場(メイン・ステージ)を使いたかったのに、今日は訓練場(サブ・ステージ)なのね」

 

 戦闘服に着替えたウルズが舌打ちする。

 ここは分厚い壁に覆われた円形のフィールド。

 その中央に全員が集合したわけだが……。

 

「……みんな同じ格好、これが普通なんだろうけど……」

 

 戦闘服はピッチリ素材で露出多め。

 裸に直接着るので、身体の凹凸(おうとつ)がハッキリ出てしまう。

 クラスメイトの乳首や秘部の形が丸わかり……目のやり場に困る。

 

「――では今一度『階級戦』について説明します」

 

 担任が眼鏡クイをして、授業の概要を語る。

 

「まず姫騎士学園では、戦績に応じた『星』が生徒に与えられます」

 

 (いわ)く、星の数は、学園内での『階級』を示す。

 

「最低位が一つ星、最高位が七つ星、一年生のほとんどは前者ですが……」

 

 先生がチラリとウルズを(うかが)う。

 

「――ふん。弱小クラスだもの。あたしが昇格するのは当然よ」

 

 彼女の胸元には、星二つが刻まれている。

 ちなみに僕には星が一つ。最底辺だ。

 

「階級に応じて、学園での待遇や、卒業後の進路も変わるので――」

 

 だから授業で殺し合いをしましょう……か。

 イカれた校風だが、勝利至上主義なのは歓迎だ。

 

「いいえ、階級戦では(、、、、、)命を落としません」

 

 しかし僕の考えを読んでか、担任が首を横に振る。

 

「このフィールドには、特殊な結界が張られていまして――」

 

 瞬く間、周囲一帯が光に包まれる。

 

「これでどんな致命傷を負っても、フィールドを出れば全回復です」

 

 手足を失っても元通り、たとえ死んだとしても生き返れるという。

 ……その設定、都合良すぎでは?

 結界についてよく調べたいが、今はその時間はない。

 

「ただし階級戦は、自分と同格(、、、、、)か、一つ上の(、、、、)階級の者(、、、、)としか行えません」

 

 待った。近い階級同士でしか戦えないって?

 

「これは一方的な試合をなくすための措置であり――」

 

 中ボスたる七聖、獄炎卿の階級は七つ星だ。

 すると彼女に正式に挑むには……。

 

「……僕は同じ七つ星か、せめて六つ星にならなくちゃいけない?」

 

 ゼゼ先生は『まず教室で一番になれ』と言った。

 物事には順序がある。その意味がようやく――

 

「もうルール説明とかよくない? だるいんですけどー?」

 

 ウルズの悪態に、担任は肩をビクッとさせ苦笑い。

 彼女はまだ新人教師っぽいし、強く当たられても注意できないようだ。

 

「で、では、さっそく階級戦を……」

「初戦は決まってるわ。あたしと転入生よ」

 

 ウルズが偉そうに髪をかき上げ、僕の前までやってくる。

 

「――あんたを負かして、あたしの奴隷にしてあげる」

 

 その巨乳をぶるんと揺らして、堂々宣言する。

 

「奴隷にする……なるほど。そうやって教室のボスになったわけだ」

「勝者が正義。敗者をどう扱おうが自由よ」

 

 ウルズが『そうよね?』とクラスメイトを振り返る。

 一同揃って頷くが、中には半泣きの生徒もいて……。

 

「……よっぽど、ひどいイジメ、してるんだな」

「大袈裟な言い方ねぇ。退屈しのぎに可愛がってあげてるだけよ」

 

 クスクスと笑ってから、僕を下から覗き込む。

 

「あんた、本当は獄炎卿と戦ってないでしょ」

「え?」

「そういうデマを流せば、周りがビビって手を出してこないって魂胆ね」

 

 そんな浅知恵に自分は(だま)されないぞ、と鼻を鳴らす。

 

「もし違うって言うなら、証拠の一つでも見せ――」

 

 刹那、フィールド全体に緊張が走った。

 強大なプレッシャーを感じ、全員が入口を向く。

 

「――度の過ぎた揉め事は、校則違反になりますよ」

 

 特大の背丈と爆乳、黄金髪を揺らして歩いてくるのは……。

 

「「「「「獄炎卿!?」」」」」

 

 クラス全員の驚愕(きょうがく)が重なった。

 ウルズも口をあんぐりと開いて、目尻をひくつかせる。

 

「な、なんで、一年の階級戦に七聖が……」

「貴君ごときに興味なし。しばし黙っていなさい」

 

 超格上に凄まれ、ウルズは悔しそうに口を(つぐ)む。

 

「カゲルヤ・ノア――殺したと思っていましたよ」

 

 ウルズも他生徒の存在も眼中にない。

 彼女は真っ直すぐに、僕だけを見つめる。

 

「……ヴェルグ先輩、今朝ぶり、ですね」

 

 怒らせると絶対面倒だ。

 そこで慎重に話しかけるが……敵意全開で睨み返された。怖すぎる。

 

「……先輩は、自分の授業に出なくていいんですか?」

「七聖には、授業免除の特権がありますので」

 

 だからって観戦しにくるか? 僕に目を付けすぎでは?

 

「……サンディ、クルド」

 

 ここでウルズが手下を呼び、なにやら耳打ちをしていて――

 

「――カゲルヤ・ノア。私への蛮行を忘れていませんね?」

 

 キスしたり胸を揉んだり… …覚えてますよ。全部事故ですけど。

 

「貴君に傷つけられた誇りは、貴君を倒すことで取り戻します」

 

 面と向かって、正面から叩き潰したいと宣言される。

 しかし僕はまだ一つ星、階級戦はできな――

 

「言い訳は不要。生き延びるには勝ち続けるしかありません」

 

 獄炎卿は憎々しげに、だからこそ感情を込めて言う。

 

「貴君を倒すのはこの私――さっさとここまで上がってきなさい」

 

 獄炎卿はその言葉を残して場を後にする。

 今のを応援……と受け取るのは、流石(さすが)に前向きすぎるか。

 他の人も去って、フィールドには自分とウルズだけになる。

 

「七聖となに話したか知らないけど、あたしがしっかり教えてあげるわ。あんたみたいな

クソザコじゃ学園を生き残れないって」

 

 彼女の意地悪な笑みで、この戦いの火蓋は切られる。

 

「――階級戦、始めましょ!」

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