姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~ 作:東雲(しののめ)
『お二人とも、戦闘準備よろしいですね?』
審判席にいる教師が、
僕の元いた世界では、声を飛ばしたり大きくする魔道具があった。
この異世界にも、それと似た技術があるらしい。
「文明水準は同じくらいか……あるいは……」
今いるこちらの世界の方が、若干進んでいるか。
大きな差はない。ひとまず戦闘に支障はないだろう。
『それでは、階級戦――開始してくださいっ!』
聞かされた勝敗の決め方は、至ってシンプル。
どちらかが降参するか、先に相手を戦闘不能にするかだ。
「見せてあげるわ、あたしの
対峙する姫騎士ウルズの身体が輝く。
その手に現れたのは、大きくカーブをした細身の刃。
「……あの形状、
軽量ゆえに攻撃力は低い。
その代わり片手で扱え、取り回しに優れた武器である。
「……聖装は、生命力を具現化したものらしいけど」
性根が曲がっているから、剣も曲がって現れているとか?
そんな深読みをしつつも、僕も聖装を呼び出す。
『『『『『――男の聖装!?』』』』』
観客席で待機するクラスメイトがどよめく。
「なにそれ? 非武器型? なっさけない形してるわねぇ!」
ウルズは心底バカにした様子である。
獄炎卿に、
「……僕の予想が正しければ、
大きな賭けだが、素手で挑むよりはマシだ。
「いくわよ。あたしの【
三日月剣を振るって、秘められている能力を発動。
風の斬撃波が作られ、すさまじい勢いで迫ってくるが。
「避けずに突っ立ったまま? あんたマジでバカなんじゃ│」
僕はその場を動かず、攻撃を鞘で受け止めた。
「――
鞘が
「あたしの能力が消されて……いや、吸収された!?」
獄炎卿と
つまり、許容量が増えたのである。
それでも七つ星の能力は、まだ吸収できないだろうけど――
「二つ星程度の能力なら、もう吸収できる」
取り込んだ『風を操る能力』をどう扱えば良いか。
己の聖装が、脳に直接教えてくれる。
「――
鞘の中に緑がかった、半透明の短剣が現れる。
「チッ、調子に乗るんじゃ… …!」
ウルズが複数発の風斬撃を放つ。
「【旋風】」
鞘から短剣を抜くと、足に風をまとわせ加速回避する。
……よし、ちゃんと僕も使えたぞ!
「男の分際で、あたしの能力をパクって……!」
激高するウルズだが、すぐに余裕の表情に直る。
勢いで飛びかかってくると思ったのに……意外に冷静だ。
「超激レアの【吸収】能力、確かに驚かされたけど」
彼女は、この聖装の弱点を知っていると告げる。
「その
ウルズは
瞬間、三日月剣と短剣がぶつかった。
激しい
「っ……!」
どちらの剣も、能力による風を帯びている状態。
刃を
しかし追加でダメージを負うのは――
「所詮あんたのは付け焼き刃!」
同じ能力を行使しているはずなのに。
風のパワーもスピードもコントロールも、彼女が数段上を行く。
「【吸収】の最大の欠点――それは、
大気を操作し、超三次元的な立体移動を見せる少女。
なんとか反撃を放っても、竜巻と踊るように避けられる。
「っぐ!」
三日月剣の先端に、バッサリと肩をえぐられた。
さらに風斬撃の追撃、僕も技を真似するが――
「あたしは【旋風】を、ずっと使い続けてきた!」
「対してあんたは、この場で【旋風】を初めて使う!」
魔力でガードしたが、勢いで後方に吹っ飛ばされる。
「どちらがこの能力を使いこなせるか――分かるわよね?」
彼女の主張は、どんな物事にも言える。
――同じ楽器なら、プロと素人が、同じ演奏をできるか?
――同じ食材なら、プロと素人が、同じ料理をできるか?
「そんなわけ、ない、よな……」
膝に力を入れて、静かに立ち上がる。
……っ、受け身は取ったけど、
これが経験の差。素人ではプロに勝てない。
「…………ゼゼ先生の、言った通りに、なったな」
百戦錬磨の姫騎士に【吸収】は機能しない。
常に後手に回り、常に押し負け、常に敗北する。
――ゆえに
相手が一般人ならともかく、鍛えられた姫騎士の前では無力だ。
「どうするぅ? もう降参しまちゅかー?」
満身創痍の僕に、ケラケラと笑いかける。
「剣術も平凡だし、能力でも勝負にならないんだから――」
「だったら、他のことで、差をひっくり返せばいい」
「はぁ? その弱っちい鞘以外になにがあんのよ?」
弱者が強者に勝つにはどうするか。
「――僕には、
どんな強敵にも隙や弱点がある。
それらを見つけ、大逆転をするのが攻略力なんだ。
「
再びウルズとの激しい剣戟が始まった。
しかしジリジリと押され、僕は防戦一方になっていく。
「フィールドを出れば全回復! でも痛みはあるの!」
風刃がいくつも肌を切っていき、
「ほらほらほらほら! 痛いでしょ怖いでしょ!?」
己が優位だと分かるや、ウルズはあえて急所を狙わない。
僕をギリギリまで
「――攻撃パターン、使用技の特徴、この場所の特性――」
パズルゲームを解くように頭をフル回転。
耐えて耐えて耐えて、考えて考えて考える。
「――詰み筋は、見えた」
剣戟中、タイミングを計ってあえて前に出る。
そしてウルズの剣をモロに
左脇腹を横から貫通し、先端刃が反対の右脇腹から出てくる。
「っ!? 自分から致命傷をもらって――!?」
口元から
痛みに耐えながら腹筋に力を入れ、簡単に抜けないよう刃を締め上げる。
「風を纏った剣よ!? 内臓はめちゃくちゃで――」
「……だから?」
僕の言葉に、彼女は信じられないという顔をして開口する。
「う、動きを止めるためだからって、そんな自殺行為は――」
この合理的行動を、彼女は理解できないらしい。
「
場所の特性を最大限活用、それも攻略の一端だ。
即死はマズイが、どうせ治るなら内臓くらいくれてやればいい。
「あ、あんたは、自分の命すら道具扱いして――きゃ!?」
左手が伸びて、ウルズの髪を
「――勝利さえあれば、それでいい」
女性への配慮、必要なし。
死や痛みへの恐怖、必要なし。
「コ、コイツ、イカれてる――ッ!?」
必死に逃げようとするが、髪を引っ張って離さない。
「っ! 普通の男じゃ、ない……そっちが本性ってわけ……!」
ずっとニヤついていたウルズの表情が、初めて恐怖に染まる。
「これで、詰みだ」
右手の短剣を、彼女の首元へ高速で放つ。
自分自身を含め、きっと誰もが僕の逆転勝利――だと思った。
「……!?」
勝負が決しようとした、その間際だった。
いきなり足下が割れて、蒸気が吹き出す。
予想外の事態に、僕は思わす動きを遅らせてしまって――
『――馬鹿者め。詰めが甘い』
音響装置を通じ、ヴェルグ先輩の
「なッ!?」
さらに割れた地面から、植物のツルが出てきた。
僕の足に絡みつき、身動きが取れなくなる。
「【蒸気】と【
おかしい。これはウルズの【旋風】能力ではない。
以前に女王も、聖装が秘める能力は一つだけと……。
「……そうか、あの手下二人の能力!」
獄炎卿が僕に話しかけ、皆が気を取られている時。
「っ、吸収で――!」
新たな二つの能力に、鞘を当てるが【吸収】は発動しない。
今の僕の鞘では、二つ以上は吸収できないのか――!?
「
どんな
ウルズは僕の腹から剣を引き抜く。
そして髪を摑んでいた左腕を切り落として……。
「
ウルズの剣が、僕の心臓に突き刺さる。
「残念でした――あんたの、負・け・よ」