姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~   作:東雲(しののめ)

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第8話:緊急依頼

 最悪の初日を終えて、登校二日目。

 

「……星の数で、待遇が違うとは聞いてたけど」

 

 姫騎士学園は全寮制だ。

 当然ながら、住居も階級に応じたものとなる。

 

「僕だけ無人のオンボロ寮って……」

 

 劣等種扱いの男だからか、他の一つ星より明らかに悪環境である。

 

「屋根があるだけ十分……そう思おう……」

 

 迷宮(ダンジョン)攻略で稼げず、野宿ばかりだった頃よりマシだ。

 

「というか…………お腹()いたなぁ」

 

 寮で食事は出ないし、お金がないので学食も利用不可。

 どこかで食料も調達しないといけない。

 

「――昨日は傑作だったわねぇ!」

 

 せめて教室では静かにすごせれば。

 でも残念、隣席のウルズがすぐ絡んでくる。

 

「なんだっけ? ロッカーの中で転んで? 獄炎卿に見つかってデコピン?」

「まぁ……だから水晶も割れて……」

 

 実際は、先輩が毒を飲むのを阻止した。

 それを言うと怒られるので、僕がドジをかましたと報告したわけだ。

 

「いくらなんでもマヌケすぎでしょ!」

 

 大笑い。僕がボコられたのがお気に召したらしい。

 

「バカ乳女の醜態が見れなかったけど、それはまた今度やればいいわ」

 

 ウルズも満足そうで、奴隷としての務めは……一応果たせたかな?

 

「あーでも、水晶代は弁償しなさいよ」

「え、でも僕は一文無しで、食料すら買えないんだから……」

「じゃあ依頼(クエスト)をこなせばいいじゃない」

 

 クエスト? なんだそれ?

 

「教務課の前に掲示板があるの。そこに色んな依頼が貼ってあるわ」

 

 さらに首を(かし)げると、彼女が教えてくれる。

 

「階級が高ければ、金銭や物品が援助されるけど――」

「最底辺には、最低限の支給しかない、と」

「そ。だから一つ星は、依頼をこなして日銭を稼ぐってわけ」

 

 律儀に説明してくれるが、これは優しさではない。

 

「――てことで、死に物狂いで働いてあたしに貢ぎなさい!」

 

 弁償だけでなく、カツアゲまでされることに。

 敗者である僕は、頷くしかないのだった。

 

 

 ――それから昼休み、僕は掲示板の前に立つ。

 

「……トイレ掃除……花壇の水やり……本当に雑用ばっかりだ」

 

 この学園では強者が優遇される。

 皆が嫌がる仕事は、弱者が代わりにこなしているわけだ。

 

「……簡単な依頼は報酬額が低い……もっと割高のものは……」

 

 女王に与えられた猶予は残り六日。

 大きな依頼を一つ二つこなし、あとの時間は階級戦に向けたい。

 

「…………緊急依頼、建物の撤去作業?」

 

 きっときつい肉体労働……って、すごい高報酬! これで決まりだ!

 僕は依頼書を取るや、教務課へと走ったのだった。

 

          ***

 

 午後の授業では、昨日と同じく階級戦があった。

 もちろん相手はウルズである。

 しかし【吸収】の欠点に加え、空腹も手伝いボコボコにされた。

 

「……マズイ、マズいぞ、このままだとずっと一つ星……」

 

 六つ星になって七聖に挑むなんて、夢のまた夢だ。

 今は放課後、例の依頼に向かいながら自問自答する。

 

「……いっそ校則違反を利用して、ヴェルグ先輩を怒らせて……」

 

 正式に勝負できないなら、非合法に勝負を誘う?

 

 ……いいや、それは正解じゃない。

 

 だって二つ星(ウルズ)にすら負けるんだぞ?

 そんな風に挑む時点で僕に勝ち目はない。

 

「……じゃあ、ゼゼ先生の言う通り……」

 

 童貞卒業して、聖装(レガリア)の進化にかけるか?

 でも絶対に成長する確証はないし……。

 ゼゼ先生を本当に信用していいか分からないし……。

 

「……なにより僕なんかが……セックスするとか……」

 

 迷宮攻略と違って、どうしても一歩が踏み出せない。

 

「――……あ、依頼で指定された場所、ここか」

 

 いつの間にか目的地到着。目の前には瓦礫(がれき)の山がある。

 一体なにをしたら建物がここまで崩壊するんだ?

 

「……仕事、しよう」

 

 借りてきたシャベルと台車を使い、瓦礫の撤去を始める。

 ……一体何時間かかるんだろう。

 弱音が出そうになるが、今は必死に働くしかない。

 

「――また貴君ですか! ここで何をしているのです!」

 

 せっせと働いていると、聞き慣れた怒号がした。

 

「ヴェルグ先輩?」

 

 戦闘服にジャージを羽織った獄炎卿登場。

 

「なにって……仕事ですよ、瓦礫の片付けを」

 

 そう答えると、先輩はひどく驚いた様子。

 やや瞑目(めいもく)してから、シャベルを持ってきて……手伝い始めた?

 

「この建物を破壊したのは、私ですから」

 

 聞くと、校則違反者をぶっ飛ばすついでに壊したらしい。

 

「でもこういう雑用は、僕みたいな一つ星がやるって……」

「自分の尻拭いは自分でする。騎士として当然です」

 

 相変わらずクソ真面目な……。

 だったら最初から壊さなきゃいいのに。

 

「……この依頼を受けたのも、貴君が初めてです」

 

 共に作業を始めてから、ポツポツと先輩が呟く。

 

「高報酬だから、普通だったら人気案件のような……」

「嫌われ者の私と、一緒に仕事することになるのですよ?」

 

 彼女は汗を流しながら、シャベルを大きく突き刺す。

 

「ゆえに誰も、やりたがらない」

 

 ウルズだけでなく、クラスメイト全員が彼女を恐れている

 先輩への悪口陰口は、これまで何度も聞いた。

 

「貴君は変わっています。私の敵だというのに……」

 

 彼女の口調は、どこか暗く重たくて。

 

「――僕は、報酬目当てで、この依頼を受けました」

 

 なぜだろう。弱気なヴェルグ先輩は見たくなかった。

 

「だから先輩がどんなに嫌われていても、関係ないです」

「カゲルヤ・ノア……」

「なんなら、僕の方が悪評高いですよ?」

 

 学園唯一の男として、誹謗中傷される毎日である。

 

「……ふふ、そうですね。貴君も私と同じ嫌われ者でしたね」

 

 先輩が、小さく笑った。

 いつも怖い顔してるけど、こんな風に笑顔も――

 

「さて、お喋りをするのはここまでです」

 

 しかし笑顔も一瞬。超パワーで瓦礫を片付けていく。

 

「念のため言っておきますが、これは歩合制の仕事です」

「そういえば依頼書にも……てことは……!」

 

 僕の分の瓦礫まで、次々と撤去していく先輩。

 こ、このままだと、自分の報酬が減ってしまう!?

 

「――せ、先輩はもう帰ってくださいよ。七聖は忙しいでしょう?」

「――配慮は結構。貴君こそ帰って鍛錬をするべきでは?」

 

 どっちが早く多く片付けられるか。

 僕と七聖の、激しい勝負が始まった――

 

「はぁ……はぁ……死ぬ……」

 

 空腹な上に力仕事で、膝に手をついてしまう。

 

「この程度で尽き果てるとは。鍛錬不足ですよ」

 

 先輩と共に、綺麗になった土地を見つめる。

 ちなみに建物再建については、他の姫騎士が能力でやるという。

 

「――カゲルヤ・ノア、今回は助かりました」

 

 厳格な口調で、ハッキリと告げられる。

 

「いつもよりかなり早く終えられて……なんですその顔は?」

「先輩が、御礼(おれい)を、言ったので」

 

 学園の全女性が、自分の敵。

 僕のことを、全員が理不尽に差別してきて――

 

「私は騎士道を重んじる。男だろうと成果を出すなら誉めもします」

 

 彼女の高潔な精神は、他とは少し違うらしい。

 

「……生命力の強さが、能力の強さ、か……」

 

 日陰者に甘んじる僕とは正反対だ。

 だから階級戦でも勝ち続けられて――

 

「私が七聖になれたのは、女王様に尽くしたいと思ったからです」

 

 (うつむ)いた僕に、彼女は静かに語り出す。

 

「これは独り言です。連敗中の貴君への助言ではありません」

「まさか、今回手伝ったから、それで……」

「口を(つぐ)めッ! 私の独り言の邪魔をするなッッ!」

「ハ、ハイ、スイマセン」

 

 そこまでブチギレなくてもいいのに。

 彼女はゴホンと(せき)(ばら)いをして。

 

「私は戦争孤児でした。それを女王様が救ってくださった」

 

 孤児……僕と、一緒だ。

 

「身の程知らずな考えでしょうが、女王様は私にとって母のような存在です」

 

 幼い自分をここまで育ててくれた、と。

 

「だから周りにどんなに嫌われても、私は女王様の学園を守る。これまでの恩を返して、

一人前の姫騎士として認めてもらえたなら……私の人生に悔いはありません」

 

 ところで、と彼女は一つ大きな声で

 

「カゲルヤ・ノアは、誰の(、、)ために(、、、)戦うのでしょうか」

 

 誰の、ため?

 僕は別に、自分さえ良ければそれで……。

 

「――己のためだけに戦う者に、本当の勝利はない」

 

 彼女はその考えを見抜いて一喝する。

 

「人を強く(おも)う心が、剣を成長させるのですよ」

「想う、心……」

「それが私の強さの秘訣(ひけつ)。精神論だと笑いたければ笑えばいいですが」

 

 獄炎卿は、最後に僕を見て告げる。

 

「よく考えることです。自分が誰のために戦うのかを」

 

          ***

 

 先輩と別れ、ボロボロの無人寮に戻ってくる。

 

「……誰のために戦うのか、か」

 

 正直、彼女の言葉を完全理解はしていない。

 人を強く想う気持ちってなんだ?

 どうしてそれで強くなれる?

 

「……やっぱりただの精神論……合理的な考えじゃない……」

 

 頭を悩ませつつ、部屋の扉を開ける。

 

「――お帰りなさいませ」

 

 真っ暗な玄関に待っていたのは、無表情の美女。

 

「ゼ、ゼゼ先生……なんでここに!?」

 

 気づけなかった。気配の消し方が上手(うま)すぎる。

 

「わたしが来た理由など、決まっているではありませんか」

 

 銀髪を(なび)かせ、僕の耳元で(ささや)く。

 

「――保健室での続きを、いたしましょう」

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