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「将来の夢ねぇ……」
現在昼休み、俺達は学校の屋上で弁当を広げていた。話題は先ほどの授業で出た『職業』ひいては『将来の夢』について。しっかしどうしたものかなぁ……。
友人関係や家族関係に何か問題があるわけ出来ないが、それでも何かぽっかりと胸に穴が開いた感覚が消えない。死にたいわけではないのだが生きたい理由もそれほどない。
「……」
俺はポケットからレイレナードとオーメルのネックレスを取り出してじっと見つめる。記憶にこびりついて消えない闘争の思い出。やっぱ
「九郎、あんたまたそのアクセサリー持ってきてたのね。もう、ほんとは先生に言って没収してもらうところなんだから」
「あぁ、すまないなアリサ」
「ふん、私たちは特別に黙っててあげてるんだから他のやつらには見つからないようにしなさいよ!」
「わかっている」
気が付けばアリサだけではなくなのはとすずかも俺の手の中にあるネックレスを見つめていた。
「九郎くんは本当にそのネックレス好きなんだね」
すすかはそう笑いながら言ってくる。
「あぁ、なんというか、落ち着く。考えこみたいときとかは握っていると集中できる」
「そうなんだ」
「それでくー君はなにか夢ないの?」
「そうだなぁ……。いっそ何かスポーツでも始めようかな。命の危険があってヒリヒリするやつ」
「ダメだよ!」
俺が呟くのと同時になのはが大声をあげてくっついてくる。……びっくりした。
「私、くー君に危ないことして欲しくないよ……」
「なのは?」
「私もなのはちゃんと同じ。九郎くんがどうしてもしたいっていうなら止めないけど、できるだけやってほしくはないな」
「どうしてアンタはそう自分に無頓着というか……もっと自分を大切にしなさいよ! なのはもすずかも心配してるんだから!」
なのはに続いてすずかはそっと俺の手を取ってそう微笑ん見ながら言ってきてアリサは俺の前に仁王立ちしてそう説教してくる。しかし……。
「……アリサは」
「なによ」
「アリサは心配してくれないのか?」
「はぁ!?」
「……」
「うぅ……してるわよ! 私も心配よ! なにか悪い!?」
「いや、ありがとう。心配してくれていること、とても嬉しい」
そうだよなぁ……前世から失ったものはたくさんあるけどこうやって好意を寄せてくれている友人たちも出来たことだし無為に死ぬようなことは避けるべきだよなぁ……。
「というか、逆にアリサ達は決まってるのか?」
「勿論よ。といってもふんわりとした感じよ? いっぱい勉強して親の会社を継がなきゃってくらい」
「私は機械いじりが好きだから工学系で専門職がいいなぁ、と思ってるけど」
「……しっかりしてるねぇ」
俺はなんとなく聞いただけなんだけど二人とも思ったよりしっかりした目標を持っていたようだ……。大した理由もなく闘争に走ろうとした自分がちょっと恥ずかしいくらい。
「なのはは?」
「うーん……」
「喫茶翠屋の二代目じゃないの?」
「それも将来のビジョンではあるんだけど……」
ビジョン……。
「やりたいことが何かあるような気がするんだけどまだそれがなんなのかハッキリしないんだ……。私、特技も取柄もないし」
なのはが俯きながらそう話す。
「まぁ、それでもいいんじゃない?」
「え?」
「別にやりたいことが見つからなくても、特技や取柄が無くても。……まだまだ大人になるまで時間はあるんだ。案外夢とかどっかからフッと湧き出るかもしれないし」
ほんと、いつの間にか大人になんてなっちゃうものだし、いつの間にか職なんてついてるもんだよ。なりたい、やりたい職業が無くても生きてはいける。なりたい夢があるなら努力は必要だけど。
「今はまだ小学生なんだし、思いっきり遊んで授業をしっかり聞いていればいいと思う」
「もう! なのはは自分をそんなに卑下して言わないの! それに九郎も……良い事言ってるかもしれないけどなんか言い方気に食わない!」
「それになのはちゃんにしか出来ないこともきっとあるよ!」
俺なりに考えて発言はしたんだがどうやら秀才努力家のアリサはお気に召さなかったようで目を吊り上げてキーキーと怒鳴りあげる。
「ん……悪かったななのは」
「ううん、くー君もちゃんと考えて話してくれたんだよね。ありがと」
そんなこんなで昼休みを過ごして放課後。いつもならなのは達の通っている塾までついて行って帰るのだが帰りの会あたりから嫌な耳鳴りが聞こえだして俺だけ別の道ですぐに家に帰った。
俺の方は耳鳴りに頭を押さえながらも何事もなく帰宅したのだがどうやらなのはちゃんたちの方は帰り道で怪我した動物を保護したらしい。
「なんだがなのはの方はすごい体験をしたみたいだな。……クソ、耳鳴りが消えない」
帰宅後なのはから送られてきたメールを見ながらそんなことを呟く。しかしなんだこの耳鳴りは……周期もまばらで今までこの天気や気圧でなったことなんてなかったのに……。
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帰ってきた両親に話をして市販薬だが頭痛薬をもらい食事も風呂も全て部終わらせあとは寝るだけという時間帯。
「やっと耳鳴りも落ち着いてき―――ア゛ッ゛!? くそっ、また耳鳴りがする!?」
僅かな鈍痛と共に頭に響く耳鳴りの甲高い音。せっかく収まってきたと思ったらなんなんだよこれは!? 痛みに耐えかねて布団から起き上がり頭を押さえる。
「っぅ……。収まったな。っては?」
耳鳴りが一度止んだため眼を開ける。すると何やら視界の端が明るかった。なんだ? 光源は机の上、しかしこの光り方は携帯じゃない。ならいったい何が光っている? 俺は恐る恐る机に近づいて光の正体を確かめる。
「これは……なぜ光っている?」
光っていたのはレイレナードとオーメルのネックレスたち。まさかこの二つが耳鳴りの原因か? 俺はゆっくりとネックレスを手に取る。
『聞こえますか? 僕の声が聞こえますか!?』
「っ!? また耳鳴り! ……じゃない?」
ネックレスを手に取ると今まで不快だった耳鳴りが消え、今度はそれが言語として脳内に流れ込んでくる。
『僕の声が届いている方。少しだけ、少しだけ僕に力を貸してください!』
なんだこれCパルス変異波形か何かか? いや、だとしたらせめてベイラムとアーキバスのネックレスにしとけよ。なんで4系企業のデザインしてるんだよ。
「だが今はそれよりも……」
この声が呼ぶ場所に向かうべきだな。俺は二つのネックレスを手に取り両親にバレないように家を抜け出す。
不思議な感覚、いつもよりはるかに体が軽く感じる。そのせいか普段より走る速度も出てるし坂を走り下りるではなく跳んですっ飛ばせる。
だんだん声の主に近づいているのか光が強くなってくる。
「なのは!?」
「くー君!? なんでここに!?」
住宅街の曲がり角を曲がると塀に背を預けてへたり込むなのはがいた。なのはの腕の中には首から赤い宝石をぶら下げた小動物がいる。一体どんな状況だ?
「くー君危ない!」
へっ? っぶな!? なのはが俺の背後を見て顔を青ざめたので急いで頭を下げると何かが俺の頭上をものすごい勢いで通り抜ける。
「なんだ、これ?」
何かの正体を確かめようと振り返るとそこにはいくつもの触手が生えた黒いスライムのような何かがいた。おいおい、なんだこれ? 生物兵器にしては微妙過ぎるデザインだな。もっとAMIDAを見習ったらどうだ?
「ってそれよりも! なのは、一旦逃げよう! 走れる?」
「うん!」
なのはの手を取って走り出す。とにもかくにも一度距離をとって少しでもいいからなのはから話を聞いて状況を確かめよう! 俺よりも先に現場にいたんだし何か知っているはず!
「アナタも僕の声を聞いて助けに来てくれたんですね。ありがとうございます」
ぬあっ!?
「喋るのかそのリス!?」
「リスじゃなくてフェレットだよ!」
なのはの手の中にいたリス――じゃなくてフェレット? が急に日本語をしゃべりだして転びかける。なんとか体勢を立て直し驚愕を口にするとなのはから鋭いツッコミが入る。
いや、今はどうでもいいだろうその指摘は!?
「あ、僕はユーノって言います!」
「自己紹介どーも! 俺は烏丸九朗!」
「高町なのはなの!」
自己紹介をしながら走って住宅街の中にあるこじんまりした公園に入る。効果があるかは分からないが公園の茂みに隠れてあの生物兵器が追ってきているか確認する。……姿がない、撒いたかな?
「で、アレは何なんだユーノ。状況が状況だから簡潔に頼む」
「アレはジュエルシードの暴走思念態。辺りに災厄をもたらす魔力の塊だと思って貰えば」
「魔力って……魔法ってこと?」
ユーノの台詞になのはが驚く。声にこそ出さなかったが俺も驚いた。『魔力』とはな……。なんら前世と変わらない世界に転生したと思ったらまさかのファンタジー世界だったか。あぁ……でも感じ……いいねぇ。わくわくしてきた。俺はじんわりと熱を持ち始めた二つのネックレスをポケットの中で転がす。
「はい。僕はあのジュエルシードを回収する為にこことは違う世界から来ました。けどいまのままだと思いを遂げられない。だから迷惑だとは分かっているんですが、魔法の資質を持っている二人に協力してほしいんです」
「魔法の力……」
「お礼はします、必ずします! だからお願いします!」
そう言って地面に頭を擦り敷けるユーノ。……小動物が地面に頭をこすりつけているという微妙な絵面だが誠意は伝わってくる。
「うん、わかった。私、ユーノ君を手伝うよ! それで私はどうすればいいの?」
「ありがとうございます! そしたらこれを!」
そう言ってユーノは自身の首に掛かっていた赤い宝石をなのはに渡す。
「俺はどうする?」
「九郎さんはなのはさんのセットアップが終わるまで時間稼ぎをお願いします」
「……俺も戦い方は知らんぞ」
なんで俺は知ってる前提で動いてるんだこの小動物。
「え!? あ、え、あ、九郎さん管理局員じゃないんですか!? でもそれデバイスですよね?」
俺の言葉にポケットを指さしながら驚くユーノ。というかまた知らん単語が出てきた。確かに簡潔にとは言ったが後で色々聞かないとわからんことが多すぎるな。
「知らん、これは俺が赤ん坊の時にいつの間にか持っていたものらしい。管理局員もデバイスも聞いたことがない」
「そうなんですか!? ちょ、ちょっと失礼しますね!」
俺はポケットから二つのネックレスを取り出してユーノに見せる。するとユーはなのはに朱い宝石を渡した後、俺のネックレス……デバイスというらしいそれに触れるユーノ。
「なんだこのデバイス、二つとも初めて見た……しかもかなり高性能だ……」
ただのネックレスだと思っていたそれは正真正銘デバイスと呼ばれるものだったらしい。それにユーノのつぶやきを真に受けるなら高性能なやつ。
「えっと、まず九郎さんにも魔法の素質はあります。で、このデバイスですがフォトンバレットとプロテクションの術式は組み込まれてるので少しだけ手を加えました。攻撃の際は『シュート』防御の時は『バリア』と唱えてください。『シュート』は魔力の光弾が真っすぐデバイスの先から跳んでいきます。『バリア』は自身の前面に円形のシールドを展開します。他にも使える魔法は組み込まれてるみたいですが今は時間稼ぎの為これだけ教えておきます」
なるほど、シュートにバリアね。わかりやすくて結構。
「分かった。また後でじっくり教えてもらうとするわ。やっこさんも来たみたいだしな」
嫌な雰囲気を感じ取って俺がそう言うと公園のど真ん中に暴走思念体が現れる。ユーノ自身が任せたということもあり、あの赤い球のデバイスはなにか特別製なんだろう。そうなると出所不明な俺のデバイスよりなのはの持つデバイスに止めを任せるほうが確実だよな。
「……さて、女の子は色々準備に時間がかかるんだ。それまでは俺と遊びましょ」
俺はそう言って暴走思念体の前に歩き出す。
「九郎さん! 『セットアップ』と言ってデバイスを起動してください!」
ユーノの声が聞こえてくる。俺は無意識的に右手にレイレナードのネックレスを、左手にオーメルのネックレスを持ってユーノに教えてもらった言葉を唱える。
「セットアップ」
その瞬間、俺の脳内に一気に情報が流れ込む。
HEAD:03-AALIYAH/H
CORE:03-AALIYAH/C
ARMS:03-AALIYAH/A
LEGS:03-AALIYAH/L
FCS :FS-LAHIRE
GENERATOR :GN-JUDITH
MAIN BOOSTER :03-AALIYAH/M
BACK BOOSTER :03-AALIYAH/B
SIDE BOOSTER :03-AALIYAH/S
OVERED BOOSTER:KB-JUDITH
R ARM UNIT :03-MOTORCOBRA
L ARM UNIT :AR-O700
R BACK UNIT :CP-49
L BACK UNIT :GRB-TRAVERS
SHOULDER UNIT :SM01-SCYLLA
R HANGER UNIT :-
L HANGER UNIT :EB-O600
STABILIZER
CORE R LOWER :03-AALIYAH/CLS1
CORE L LOWER :03-AALIYAH/CLS1
LEGS BACK :03-AALIYAH/LBS1
LEGS R MIDDLE:EKHAZAR-LEGS-1
LEGS L MIDDLE:EKHAZAR-LEGS-1
「これは……!?」
俺の頭に流れ込む懐かしい情報たち。この機体構成は……俺の……! 気が付けば俺の姿は紺色の魔導士のような姿になっていた。ロングコートの裾の先はAALIYAHのスタビライザーのような形状になっており手足にはあのAALIYAH独特の流線形の装甲が手甲、足甲として装着されてる。さらに肩にはSM01-SCYLLAがそのままくっついてる。……こう見ると足甲についたEKHAZARのスタビライザーがかなりいかつい。これで蹴ったら痛いだろうな……。
そして両手にはあの二つのネックレスがモーターコブラとオーメル突撃ライフルとなって握られていた。
「は、ははは」
「くー君が、笑って……―――」
思わず口から笑いがこぼれ出る。知っている、俺はこの感覚を覚えている。初めてPVをOPを見たときの衝撃とコントローラーを握ったときの興奮を覚えている。
「あぁ、ユーノ。さっきの言葉は訂正だ」
「え?」
「俺は知っている。この体の戦い方を知っている」
攻撃の仕方、よけ方、空の飛び方、すべてあの頃のように感覚で理解できる。
「メインシステム、戦闘モード起動」
そういって俺は夜空に向かって飛翔した。
ちなみに九朗くんのアセン、レギュレーションは1.40想定です。良かったら組んでみてね!