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ジュエルシードの反応が見つかるまでの間、私とくー君はアースラのトレーニングルームで一緒に模擬戦をしていた。今までも数回模擬戦をしたことはあった。くー君は最初の内は手を抜いて、私の攻撃を避けるだけ。そしてある程度すると私に向かって攻撃を始める。その攻撃もジュエルシードの暴走に対処しているときほど苛烈じゃなくて明らかに本気じゃなかった。それでも私はくー君に手も足も出ずにコテンパンだったのだけど……。
今日は何かが違った。
「ッ!」
「え? あ、シュート!」
くー君が得意のクイックブーストで私の攻撃を避けた後、その速度のまま壁に衝突する。かなりのスピードで体を壁に打ち付けたのでくー君は痛そうな顔をしてふらついていた。今までのくー君なら絶対にしなかったミスだ。
そうは思いつつもその隙を利用しない手はなく、私はいくつもの魔力球をくー君に向かって撃ちだす。
「クッ!?」
いつもなら何かあってもすぐに体勢を立て直して回避するはずなのに今日のくー君はそれができずにプロテクションで身を守ろうと、魔力球の方向を探るように目を凝らす。あれ? くー君の目ってあんな青緑色だっけ……? 違う! 全然違う! あの夕日の中、私に手を差し伸べてくれたあなたの目は綺麗な水色をしていたの! いや、それどころじゃない……。あの彷徨うように挙げられた手。
「……うまく見えていないの?」
結局くー君はいくつもの魔力球をとらえきれずに被弾する。
「しまっ!?」
「当たったの……」
くー君は自分が被弾したと分かると物凄く悔しそうな顔を一瞬してすぐ笑顔に戻り私の方に顔を向ける。
「いやー、ついになのはが俺に攻撃を当てるようになったかー。アースラに来てからなのははどんどん強くなるな」
「い、いや、今のはきっとくー君の―――」
「これは俺も本気で相手しなくちゃいけなくなるかもな!」
「――それはまだ怖いかなぁ」
きっとくー君の調子が悪かっただけ。そう言いたかった私の言葉を遮ってくー君は大声で話し続ける。変わった。魔法を知って私も少しは変われたと思う。けど、くー君は私以上にどんどん変わって行く。その変化は前から感じてユーノくんに相談するくらい怖かった。今はその時以上に怖い、今まで以上のスピードでくー君が離れていってしまっている。遠いどこかへ向かおうとしている、そんな気がしてならないんだ。
「ねぇ、くー君……私になにか隠し―――『トレーニング中に二人ともごめん! ジュエルシードの反応を見つけたすぐに出撃準備お願いしていいかな!』―――あ」
「こちら九朗、了解しました。ほら、なのは出番だ。行こう」
そう言ってくー君は私に手を差し伸べる。あの時みたいに手を差し伸べてくれた。けどそこにあの時のような笑顔はなくて、何かをごまかすための曖昧な笑みを浮かべている。
くー君が私に何か隠し事をしていて、私にはまったく相談してくれない。それが悲しくて、相談してくれないくー君に腹が立って、役に立ってあげられない自分が悔しくて……。あぁ、少し前に私もアリサちゃん達にこんな思いさせてちゃったんだ。
「くー君は休んでて。調子よくないんでしょ」
「え?」
あの時は私とアリサちゃん達の間をくー君が繋いでくれたけど、今の私とくー君の間を繋いでくれる人はこの場に居なかった。私はくー君の横を通り過ぎて一人で出口に向かう。
私は自分の意志で、あんなに欲していたくー君の手を拒絶してしまった。
「大丈夫、ユーノくんも武装隊の人たちもいるし……私も強くなってるから」
そうして私は一人でトレーニングルームを後にしてリンディさんたちにくー君の状態を説明。ユーノくんと動ける武装隊の人たちと一緒にジュエルシードの封印に向かった。
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「GYAAAAaaaaaaa!」
「バインド成功……。レイジングハート、周辺の魔力素の量は?」
≪規定量に達しています。≫
「それじゃあ、このまま
≪了解しました、マスター。空気中に漂う魔力素の収束開始≫
「うわ、すっごいなアレ……」
「いやー、九朗くんは分かってたけどなのはちゃんも大分才能ヤバいなぁ……」
「ユーノくんは凄い原石たちを見つけたなぁ」
「あ、あははは。確かにすごいラッキーでした」
本当に二人とも凄い才能をもった魔導士だ。それにああやって一人でジュエルシードの封印もできるようになったし、時空管理局の助けも借りられる、僕がなのはや九朗にしてあげれることなんてもう何もないかもなぁ。
僕は武装隊の人たちと一緒に万が一の為に待機しつつなのはの新技を見て少しだけ引いていた。
「お疲れ様、なのは」
「あ、ユーノくん。うん、無事に封印できたよ」
「ありがとうなのは。……大丈夫?」
「え、うん……大丈夫」
嘘だ。今日のなのはは何かがおかしい。いつもより顔が暗いし、普段は九朗と出撃するのに今日はなのは一人だけ。それに多分だけど九朗は戦うのが好きだ。そんな九朗が戦いに参加せずに戦闘終了後に通信の一つも送ってこない。出撃前、なのはと九朗はトレーニングルームで訓練していたはずだからそこで何かあったんだ。
転送ゲートの中に入っていくなのはの寂しそうな背中を見て僕は決心する。
「二人の関係性の変化は僕が二人を魔法の世界に連れ込んだから起こったんだ。なら僕が責任をもって解決してあげないと!」
僕も人付き合いが上手かと言われると微妙な方だけど九朗もなのはも僕の為に頑張ってくれているんだ。魔法で教えられることが少なくなった分、こういうところで二人にお返ししたい!
「まずは九朗を見つけないと」
僕はそう決心して転送ゲートをくぐりアースラ艦内へと戻り、九朗を探すため走り出した。
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トレーニングルームにも、自室にもいなかったし九朗はどこに行ったんだろう……。アースラの廊下を歩きながら僕は困り果てていた。
「ジュエルシードは?」
「無事、封印されたわ。なのはさんも強くなってるし、ユーノくんやうちの部隊もついてくれていたから怪我一つないわ。――――それよりあなた自身の事よ」
あ! 九朗とリンディさんの声だ。廊下にわずかに漏れた来た声。聞こえてきた方向を見ればわずかに扉が開いてる部屋がある。ここは……医務室?
部屋に入って声を掛けようとしたけど中から聞こえたリンディさんの真剣な声に一瞬体が止まる。僕は扉から少し離れてなぜか盗み聞きの体制に入ってしまった。
「体の感覚が鈍いのと……少し視界がぼやけてる。これくらいなら少し休めば自然と収まる」
「そう、思ったより症状の進行が速いわね。寝たままで構わないわあなたの身体についてまた分かったことがあるの。聞いてくれる?」
症状? 九朗の身体? 一体二人は何の話を……。
「まず前提が間違ってたの」
「前提?」
「えぇ、九朗くん。あなたはそもそも魔導師ではないのよ」
え? 九朗が魔導師じゃない……? それは、どういう? だって九朗はデバイスを使ってミッドの魔法を使えていて……。
「通常、魔導師にはリンカーコアと呼ばれる空気中の魔力素を吸収して魔力を生成する器官があるの。九朗くんにはそれがないのよ。その代わりにあるのは空気中の水と酸素を吸収して人体に有毒な粒子……えっと何だったかしら……九朗くんが名付けたのよね?」
「コジマ粒子」
「そうそう『コジマ粒子』を生み出す器官があなたの身体にはあるのよ」
人体に有毒……? コジマ粒子?
「それであなたが魔法を使える理由だけど、そのデバイスよ」
「
「そのデバイスはあなたの体内にあるコジマ粒子を燃料として魔力を生み出しているのよ。だから貴方はバリアジャケットを展開出来て、ミッド式の魔法も使えたという訳。大量の魔力反応とバリアジャケットに魔法、なのはさんもあなたも普通に魔法を使うから忘れていたけどここは管理外世界、魔導師じゃない可能性、というのを完全に見落としていたわ」
あのデバイス、初めて見た時から高性能だとは思ってたけどそんな機能がついてたんだ……。
「九朗くんの身体は普段からコジマ粒子を生成し続けてその毒素であなたの身体を蝕んでいった。デバイスはそのコジマ粒子を魔力に変換し消費することで毒素が蓄積するのを防いでいたの。それでもあなたが生み出す粒子の量は大量で毒素はたまり、20歳を迎えるかどうかのところであなたは死ぬはずだった」
「前にそれは聞きましたね」
し? 九朗が死ぬ? 20になるかどうかのところで九朗が死ぬ? リンディさんの言葉に僕の頭はフリーズした。しかも前に聞いた? 九朗は前から自分の寿命がわずかなのを知っていたの?
「でも、アクシデントが起きたわ」
「……魔法との出会い?」
「そうよ」
え
「ジュエルシードとの戦闘が始まり、あなたは戦いに身を投じた。結果、コジマ生成器官はその動きを活発化させ、今まで以上の量のコジマ粒子を生成するようになった。無論デバイスも戦闘の為に起動して今まで以上にコジマ粒子を魔力に変換するようになった。けど、それ以上にコジマ粒子の生成量が増えてしまい、体内にたまっていく毒素の量が指数関数的に増えていった。10年近くあったはずの余命はもう―――――
あと1、2年になってしまっているわ」
「あ、そすか」
あと、1年か2年で九朗が死ぬ? 魔法と出会ったせいで? 僕が助けを求めたせいで―――
「……相変わらずリアクション薄いわねぇ。あなたぐらいの年齢はもっと悲しんだり泣いたりしてもいいのよ? さすがに今回は泣き付かれたり、『どうして!』って怒鳴られる、みたいに予想してたんだけど」
「いやぁ、リンディ艦長に怒りをぶつけても仕方がないでしょう。俺は自分で戦うって選んだんです。勿論その時に死ぬかもしれないことは覚悟してたんで、まだ1、2年も猶予があるなら別に。って感じです」
僕が魔法を教えたせいで九朗が死ぬ。
「覚悟決まってるわねぇ……」
「ただまぁ……」
「?」
僕がもっとちゃんとしていれば、輸送船の手配だけじゃなくてしっかり護衛を付けたり、すぐに管理局に連絡を付けていたりしたら……。
「成人式は無理でも、せめてなのは達と一緒に小学校の卒業式は迎えたかったですね」
そもそもジュエルシードなんて発掘しなければ、こんな―――。僕はその場に居られずに逃げるように医務室の前から立ち去った。どうすれば、僕はどうすれば良い!? きっとこれだ、このことを九朗はなのはに隠していてなのははその隠し事が気になってあんな感じになってたんだ! でも、どうやって、あの状態のなのはにどうやってこのことを伝えれば良いんだ!?
僕が、僕が二人を巻き込んだせいで! 僕のせいで!
「ごめん―――ごめん九朗……ごめん、なのは……」
僕の口からは自然とそんな言葉が漏れていた。
・九朗くん目の色に翠が混じり始める。視界も不明瞭に
・なのは、せっかく差し出された手を自らの意志で拒絶。
・
・ユーノ君頑張る! ……頑張りたかった。
・九朗くんは強すぎるので寿命を下方修正しときました。
・ちなみに没案(ユーノちゃん)の方だとこのあとユーノちゃんが夜中に九朗くんの部屋に訪れて『ごめんね、なのは』します。
そして結構没案の話を後書きでしたのもあり、感想や中にはメッセージをくださる方もいるのでちょっと下に没案の軽い説明置いときます。
・第一案『だまして悪いが、仕事の時間だ』
一番最初の設定案。たびたび後書きで書いてるのはこの第一案のこと。はやてが単独ヒロインでその分色々と絡みが濃かった。(R-18シーンが無印時点で三回想定)結果的に没になったが今の作品の流れの多くはこの第一案を採用している。理由は他がぶっ飛び過ぎていたから。
大きな違いは三つ、主人公が海鳴ではなくミッド人と転生していること。さらにACfaではなくACⅥを主作品としている。そして、それほど戦闘に熱心ではないこと。
争いごとが絶えない次元世界、闘争欲は満たされまくり誰彼構わず襲い掛かることはなくなっている。その腕は時空管理局さえ重要な任務の際には彼を雇うほど。
時空管理局に雇われアースラに乗り込み海鳴へとやってきた。余裕のある主人公は久々に訪れた日本に感激し、仕事をサボりアースラを抜け出して海鳴をぶらつく。そしてはやてと出会い……みたいな話の予定だった。
没理由 これアーマードコア、というかフロムである必要なくない? やっぱ闘争に狂ってるほうが"フロムらしさ"あるよね。
・第二案『タイトル未定』
一番トチ狂っていた案。なにを思ったかヒロイン欄がリンディ・ハラオウンとレティ・ロウランになっていた。第一案の主人公の年齢をもう少し上に設定し大人キャラたちとの絡みが多くなっていた。何気にデバイスはネクストを採用していてオーメルのTYPE-LAHIREとTYPE-JUDITHの混合とかいうイロモノ。
没理由 言うまでもなし。
・第三案『転生者は死んでいる』
突然ポップした変わり種。時期的に『超闘争』を書き始めた頃に考えてた案。原作スタートが無印ではなく、Stsから。連載範囲はStsからvividを予定していた。物凄く簡単に言うと無印からA`sでなのは、フェイト、はやて、アリシア、アインスを救い、ヒロインとして堕としていた転生者が原作のなのはが大怪我を負った事件の際になのはが怪我を負わない代わりに死亡した世界線です。
そんな世界のStsでスカさんが機動六課へ嫌がらせの為だけに作った転生者のプロジェクトF(無印の時の小学生の姿、フェイトのような記憶の転写なし)が主人公です。あとはナンバーズのみんなと一緒に機動六課と敵対して六課のみんなを曇らせつつまぁ、原作通りって感じです。vivid編では更生して八神家にお世話になりつつミウラと甘酸っぱい恋をしてそれを見たなのは達の情緒をぐちゃぐちゃにする話です。
正直今作も九朗くんが死ねばこのルート行くと思う。というか、量産型九郎くんをスカさんに作らせてコジマ自爆とかさせて滅茶苦茶なのは達を曇らせたい。
没理由 なのは達が湿っぽすぎてミウラとの甘酸っぱい恋どころじゃなくなった。
・第四案『リリカルなのはVD』
第三案の転生者が生きていた頃の話を細かく考えたくて書き始めた。そして『超闘争』が滅茶苦茶好評で自分も『九郎くんでもっと遊びたいなぁ』と思っていたので彼を再び主人公に据えることに。第一案の話の流れを組み込みつつ、第三案のような未来になるために色々と考えた。
ヒロインはなのは、フェイト、はやて、ユーノ(TS)、アリシア、アインス、シグナム、ヴィータ、シャマル、すずか、アリサ、ティアナ。没案の中で一番のハーレムを築いていた案。もうビックリするほど馬鹿。
大体の話の流れは第一案のものだが、第一案とは違い海鳴転生の為、原作の数話分の話を加筆。デバイスはネクストではなく、V系のACを採用。因みにこの時の九朗くんは『超闘争』の九朗くんと設定が似通っているため最終的に
没理由 書いてる途中で九郎くんを生存させたくなって生存ifを描きティアナまで風呂敷を広げたがこの人数のヒロインを活かしきれないと判断。あとifの方に力を入れすぎて第三案の転生者の生存時を描くという趣旨から外れたため。
・第五案『リリカルAnswer』
現在連載中。これはこれでヒロインのメンバーを増やしたり減らしたりといくつかのバージョンがあるけど割愛。
あと、アンケートはA`sの終盤辺りから分岐になるのでそこまで開放しときます!
一応両方やるつもりだけどどっちが先読みたいですか?
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Stsルート
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EXCEEDSルート