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「どわーーー! またやられたー!」
ブリッジにエイミィさんの声が響く。彼女の手元のコンソールを見ればそこには『signal lost』の文字が。
「すみません、艦長。恐らくジュエルシード、一個持ってかれました」
「そう、仕方がないわね。第一種戦闘配置は解除、第三種戦闘配置へ移行。観測班は再びジュエルシードの捜索を」
「「「了解」」」
リンディ艦長の言葉で艦内の緊張した空気はある程度緩和された。俺は隣にいたなのはに話しかけようとしたがプイ、と顔を背けられそのままなのははブリッジを後にしてしまう。
「え、あ、なのは……っと、く、九朗……」
「……なのはの方について行ってやってくれ」
ユーノは俺となのはの間で視線を彷徨わせどうしたものかと焦っていた。そんなユーノになのはのそばにいてほしいと伝えるとユーノは勢いよく首を縦に振りなのはの背中を追いかけていった。
……なのははともかく、ユーノまで俺に対して余所余所しくなってきてないか? なんかしちまったかなぁ……? 俺は首をかしげながらエイミィさんのほうに寄っていく。
「また逃げられましたか?」
「うん、フェイトちゃんってば物凄く高性能なジャマー結界を使ってるんだよね……」
「向こうも中々優秀だ」
「お、クロノ執務官。腕の調子は?」
俺がエイミィさんと話しているとクロノ執務官がそばにやってくる。ついに腕の包帯がとれて右腕が自由に動かせるようになっている。
「少し動かしていなかったからな。ちょっと違和感があるがこれくらいすぐに取り戻すさ。それよりも今はフェイト・テスタロッサへの対処だ」
「あのジャマー結界のせいで発見したジュエルシードも二個奪われちゃってるし……」
クロノ執務官とエイミィさんが考え込むように頭を押さえる。ふーん……あ。
「そもそも、その『ジャマー結界』ってどんな特性してるんです?」
「他者の転移、監視を阻害して一種の秘匿空間を作り出せるものだ」
「ジュエルシードの反応のおかげでフェイトちゃんがいる結界がどこにいるかは分かってるんだけど、ユーノくんの腕でも結界内への転移は難しいし外側からの攻撃でこじ開けようにも海鳴市自体への転移もジャミングされてるからジャミング範囲外の結界から離れた位置に武装隊や九朗くんを転移させても結界に到達する前にフェイトちゃん達はジュエルシードを封印して立ち去ってるのよね……」
結界内は勿論海鳴全体に転移阻害をかけているのか……。だから俺たちは結界から離れた市外にしか転移できない。しかしそうなると今度はジュエルシード封印に間に合わずフェイト達に逃げられる、と……。
それで現状の解決策はフェイトたちより先にジュエルシードを見つけるしかないわけか。
「使い魔の犬……たしかとアルフと呼ばれているんだったか?」
「えぇ」
「多分こいつがサポートしてるんだ。腕のいい魔導師の使い魔は決まって厄介だ」
……クロノ執務官が若干遠い目をしている。
「経験談ですか?」
「……ん、まぁちょっとね」
「ふふふ」
俺が質問するとクロノ執務官は気まずそうな顔をして視線をそらし、エイミィさんが堪えるように小さく笑う。……あぁ、これは確実にちょっとじゃない。絶対、厄介な使い魔をアルフの他にも知っている。それもこの顔色から考えるに結構苦戦したんだろう。
にしても……フェイト達をどうにかする方法か……。
「遠くにしか転移できず、スピードが足りない……」
俺のデバイスがネクスト系ってこともありVOBを提案したいがアースラはあくまで次元空間航行艦、デバイスのメンテナンスや軽い調整はできるが新装備を一から研究し、作り出す工廠は備え付けられていない。時空管理局、本局まで行けばそういった設備もあるらしいが、いつまた次元震が起きるかわからないこの状況で海鳴を離れるのは不味い。いまある装備でどうにかしないといけないわけだが……。
「あ」
「どうかしたか九朗。なにか案があるなら遠慮なくいってくれ」
俺の漏れ出た声にクロノ執務官が反応する。
「この船って次元空間内で他の船と物のやり取りとかすることあります?」
「ん? 直接他の船とドッキングしたりそれが難しい時用の荷物を打ち出したり、逆に打ち出された物を受け取る設備はあるが?」
あ、あるんだ。ならよし。
「それ、使いましょう」
俺は自分の考えをクロノ執務官に説明する。説明をしているとクロノ執務官とエイミィさんは『こいつマジか』みたいな顔で俺の方を見てくる。一度説明を終えたあたりで回りを見るといつの間にかオペレーターの人たちやリンディ艦長までいてびっくりした。全員が微妙な顔をしている。リンディ艦長は頭を手で押さえて『これって質量兵器にはならないわよね……?』とつぶやいていた。
「ま、やるだけやってみましょ。現状これしか方法ないでしょ?」
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『ジュエルシード反応確認! ……ジャマー結界も展開されました!』
通信でエイミィさんの声が聞こえてくる。海鳴市内で魔力反応が高まり、数時間内にジュエルシードが活動状態になると予測されていたがやっと来たか。……自分から提案したとはいえ夜中から
『できれば向こうより先に発見したかったけど……仕方がないわね。九朗くん!』
「準備は完了、いつでも行けますよ」
『くー君!? リンディさん、くー君は一体なにするつもりなんですか!?』
『九朗! そんな、君は――ッッ!』
なのはとユーノがブリッジで驚いた声を上げている。というか、本当にユーノはどうした? ちょっと前からずっとなにか言いたげで? ま、今はフェイトたちが優先だし、帰ってきたら話を聞いてやるか。
「プライマルアーマー展開、対ショック、対摩擦異常なし……」
『アースラ、転送準備! 場所は海鳴市沖合、ジャマー結界範囲外! 管理外世界用のステルス装置作動!』
『アースラを管理外世界に下ろすんですか!?』
ユーノの驚いた声が聞こえる。
『転送場所の選定……完了!』
『ステルス装置作動確認!』
リンディ艦長の号令で艦内は慌ただしくなる。そして少しすれば準備完了の連絡が入ってくる。……いよいよだな。
『転送!』
船全体がまるで大きな渦に引っ張られるような感じがしたあと一瞬の静寂が訪れ、通信先の景色が明るくなる。アースラが海鳴市近くの海の上に転送したんだ。
『転送完了、各所異常ありません』
『ステルス装置順調に作動中』
『カーゴ射出装置、ジャマー結界を目標に射角調整。まもなく作戦準備完了……日の出です』
『九朗くん改めて言っておくけど、それはあくまで物資予想の為の代物。有人で打ち出されるのは管理史史上初よ』
「良いですね、しっかり記録に残しておいてください」
『待ってくー君! 私も!』
『無理だよ、なのはちゃん! 超高速での奇襲作戦、普段から異常な速度を出してる九朗くんじゃなきゃ成功しない!』
ゴウンゴウンと重低音が響きながら砲身の向きが変わるのを俺はカーゴランチャーに装填されたコンテナの中で感じていた。
……なのはは急いでこちらに向かおうとしているらしいがどうやらオペレーターの人が止めているらしい。リンディ艦長の通信の後ろでガヤガヤしてるのがちらりと見えた。
『
『全て正常オールグリーン! 行けます!』
『それから』
「――?」
『ごめんなさい。あなたの状態を考えれば本来こんなことさせちゃいけないのに……』
「気にしないでくださいリンディ艦長。自分は承知の上ですよ。」
俺がそう言うとリンディ艦長は少しだけ微笑んでくれた。
『ありがとう。戻ってきたら秘蔵のお茶とお菓子を出すわね』
「それは楽しみです」
リンディ艦長って滅茶苦茶自分は甘党なのに他人に出すお菓子はちゃんとその人に合わせた好みの甘さだからびっくりなんだよなぁ。そんなリンディ艦長が特別に用意してくれるお菓子、これは絶対に美味しいに違いない。
『作戦を開始します! 鳥になってきなさい、幸運を祈るわ!』
その言葉と共に俺の身体は一気に加速して空へと押し出される。魔法での飛行とはまったく違う空中旅行。快適さなんてないただ、目標にいち早く到達するためだけの強引な加速!
「アハハハハハハハハハハ! すっげぇ! すっげぇなこれ!」
VOB使えないのは残念だけどこれも体験してみたかったんだよ! カーゴランチャーでの射出! あっははははは! こりゃ最高だ!
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今回ジュエルシードが発動したのは港、ジュエルシードの発動位置が少しずつだけど海に近づいて言ってる……。未発見の残り8個のジュエルシードのうち何個か、もしくは残りすべてがもしかしたら海にあるかもしれない。
「いまの……?」
海の中にジュエルシードがあった場合の回収方法を考えてたら、大きな魔力の動きを感じた。
「フェイト! 管理局の連中、ジャマーの範囲外になにか大きなものを転送させたみたいだ! なんにせよ、急いだほうが良い!」
「分かった」
ジャマー結界の展開と周囲の警戒をしてくれているアルフがそう言う。そうだ、管理局が
瞬間、結界が大きく揺れ、結界に穴が空いて魔力を帯びたコンテナが一つ、突っ込んできた。
「なっ!?」
「え!?」
コンテナは地面をゴロゴロと転がり港に元々あったコンテナに衝突して止まる。あまりに急な出来事に私もアルフも呆然としてしまった。しかし飛んできたコンテナにあった時空管理局のマークにハッとする。
「アルフ! 急いで結界の修復を!」
「分かったよ、フェイ―――「そうはさせない」――チィッ!?」
ジャマー結界を修復しようとしたアルフに向かって魔力弾が飛んでいき邪魔をする。私は魔力弾が飛んできた方を見る。すると飛んできた時空管理局のコンテナにさっきまでなかったいくつもの穴ができていた。
あの中に誰かいる!
「バルディッシュ! フォトンランサー、連撃!」
≪フォトン・ランサー フルオートファイア≫
私はコンテナに向かってフォトンランサーをいくつも放つ。
「プライマルアーマー、再展開」
……防がれた。私が放った攻撃はすべて緑色の魔力の膜のようなものに阻まれて防がれる。
「本当に厄介……」
ジュエルシードを集めるようになって幾度も見たプロテクションとは違う知らない魔法。
優しかったり、意地悪だったり、味方だったり、敵だったり……あの
いつの間にか目が追っていて、いつの間にか近くに寄って行ってしまう……初めて会った同年代の男の子。いつの間にか呼んでいた彼の名前を口にすると母さんやアルフといるときとは違う不思議な感じがする。
「九朗……」
「よぉ! いつかの約束通り、
爛々とした光る、九朗の水色の瞳にはなぜか嬉しそうな表情をしている
・クロノくんが苦戦する使い魔、いったい誰なんだ……。
・VOBは準備できなかった。しかし……。
・鳥になってこい! ……あのシーンのやり取り、最高にカッコいい。男なら一度は憧れるはず。
・九朗が来て母親やアルフとは違うものを感じて、笑顔になっちゃうフェイトちゃん……無知ッ子とはな。
以下おまけ。Stsルートでの出来事。パロディと多少のネタバレアリなので苦手やネタバレNGの方はここでブラウザバックを。
『時空管理局 烏丸九朗執
・烏丸執行官は有望な新人局員に『(模擬戦に)付き合ってほしい』と声かけをしてはいけません。
一部の価値観が歪んでしまった新人局員たちが起した『血のオーバーブッキング事件』は二度と繰り返されるべきではありません。
・休日に次元犯罪者達を無人世界に拉致して、狩りに興じるのは禁止です。犯罪者とは言え彼らにも人権があります。
↑
既に捕まっている受刑者達なら良いというわけではありません。再び拘束できるからと言って軌道拘置所からスカリエッティ、ナンバーズを連れ出したのは許されざる行為です。
↑
ノーヴェやチンクを姉やドクターに会わせたかった、は言い訳になりません。
・クロノ・ハラオウン提督は烏丸執行官を囮として敵勢力本拠地に対し出撃させ帰ってくるのを待つだけの通称『烏丸戦術』の使用を停止してください。後進の武装隊職員たちが成長できません。あとそれは最早囮とは言いません。
・一週間以上デスクワークしかしていない烏丸執行官に直接書類を渡すことは禁じられています。この状態の烏丸執行官は長い間戦闘行動をとれていないため極度のストレス状態にあり刺激するのは危険です。どうしても渡さなければいけない書類がある場合は高町なのは一等空尉、フェイト・T・ハラオウン執務官、八神はやて二等陸佐、アインス事務官の四名のうち誰かにアインス事務官に書類を渡すように頼むこと。アインス事務官が他三名の紛れ込ませた婚姻届けに気が付かなかったら本局は大惨事になっていました。
・烏丸執行官に常識を問うのはナンセンスです
・烏丸執行官がロストロギア保管室に立ち入ることはいかなる理由があっても許可できません。
・本局内に『コジマ祭壇』なるものを作るスペースはありません。
・烏丸執行官はいかなる世界であろうと宗教団体を作り出すことは禁止されました。
・『すぐ前線に戻るから』というのは血まみれの状態で管理局内を出歩いて良い理由にはなりません。ただちに医務室へ行ってください。
・『烏丸九朗』は全ての困難に対する解決法ではありません。
・烏丸執行官は報告書を書くとき、『結果:敵全滅 詳細:焦土 考察:なし』よりも詳細な記述をするべきです。
・高町なのは一等空尉、フェイト・T・ハラオウン執務官、八神はやて二等陸佐、アインス事務官といった元機動六課メンバーの前で烏丸執行官を『人類種の天敵』と呼ぶことは推奨されません。
一応両方やるつもりだけどどっちが先読みたいですか?
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Stsルート
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