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「どうやってここに来たか聞いても良い?(アルフ、ジャマー結界の状態は?)」
私は時間稼ぎのために九朗に話しかけながらこっそりと念話でアルフに話しかける。
「(大きな穴が空いちまってるねぇ……。まだジャマーの範囲内に転送はできないだろうけど中の様子は向こうに筒抜けだし、あの穴から侵入し放題だ)」
「(そう)」
「簡単な話だ、アースラにある……あ、アースラってのは時空管理局の船な」
「うん」
「船についてた緊急時の物資やり取りに使うカーゴランチャーでジャマー結界の範囲外から此処まで吹っ飛んできた。そんで結界の壁にぶち当たった瞬間に俺の魔力で無理やり穴をあけたって訳」
次元航行艦船に搭載されてるカーゴランチャー……。
「あれは人が乗るような事態は想定していないはず。……大丈夫だったの?」
「最高の体験だったけど、正直二度目は体験したくない。とだけ言っておく」
九朗は目をそらして苦笑いしながらそう言い放つ。
「(とりあえず、九朗みたいに他の局員たちが飛んでくることはなさそう)」
「(それでも普通に飛んでこられたら侵入は防げないよフェイト!)」
「(なら、道はたった一つだけ)」
私はバルディッシュを構え直す。アルフも私の考えが分かったようで拳を構える。
「九朗、あなたがどんな状態でもここにきた以上、容赦はしない(他の管理局員たちが来る前に九朗を倒して離脱する!)」
「(やるんだね、フェイト!)」
普通の管理局員なら仲間の到着を待つためにもう少し、話を続けて時間を稼ごうとするだろう。けど、九朗はそんなことはしない。私がこうすればきっと九朗は―――
「いいね、んじゃヤろうか」
「うん。来て、九朗」
やっぱり。九郎は優しいけど戦うのが大好きだから乗ってくれると思ってた。九郎をやる気にさせたまでは良い。だけど九朗はとても強い。
「(アルフ、手は抜けない。全力で行こう)」
「(あいよ!)」
九朗は両手のデバイスを握りなおしてこちらに向かって飛翔する。相変わらず早い! けどっ!
「フォトンランサー・マルチショット! アルフ! 繋げて!」
「分かったよ! チェーンバインド!」
私が同時発射した複数のフォトンランサーをアルフのチェーンバインドが三発一組で繋ぐ。するとその三発の間には電気をまとった魔力の膜が張られ、点ではなく面での攻撃として九朗に襲い掛かる。
「おっとぉ!?」
自身の速度と機動力に物を言わせ最小限の回避で接近しようとしていた九朗は驚き最小限の回避を諦め大きく動いた。大きく動いた九朗の後ろをとった私とアルフはそのまま連携攻撃をして九朗に攻撃へと移る隙を与えない。
「随分、考えたみたいだな、フェイト!」
「九朗のことずっと考えてたから!」
このジュエルシードの奪い合いで一番の敵は間違いなく九朗だったから本当によく考えた。私が考えた九朗への対処法は三つ。
一つ、そもそも九朗がデバイスを展開していない間に傷つけること。これはすぐに却下した。一番効果はあるだろうけどどうしてもそれはしたくなかった。
二つ、超遠距離からの高威力狙撃でこちらに接近しきるよりも先に九朗を撃破する方法。これも有効だと思うけどこの結界内じゃ既に使えない距離だ。
三つ、面による制圧射撃で九朗の機動力を殺し、削りきる方法。広くはない結界内、ちらばったコンテナという障害物、おまけに面攻撃で追い込む、どれだけ早かろうと逃げ道がなければ意味はない!
「そりゃあ、嬉しいこと言ってくれるなフェイト!」
それでも攻撃の間を縫って躱し、こちらに攻撃をしながらそう言って笑う九朗。
「―――ぁ」
こちらを見て笑う九朗の顔を見たとき、ふと手が止まってしまった。こんなに魔力弾が飛び交っていて、雷鳴が響いているのに、九朗は笑って遊ぶように空を飛ぶ。夜明けの空に浮かんだ九朗の姿がとてもきれいで自由に見えた。なんなんだろう、この気持ち……。
「知りたい……」
「ん?」
私は知りたい。そんなに綺麗な笑顔で空を飛べる理由を。その強さの秘密を。その自由さを。胸に湧き上がるこの感覚の正体を。それが分かれば私は変われる気がするから。今の私は失敗してばかりだけど、私が変わればきっと母さんはまた笑ってくれるはずだから。
そしてまた母さんと一緒にピクニックに――――
―――アリ■ア―――
あれ? いま、母さんは私をなんて呼んだ? まだ母さんが笑っていてとても優しかった時の、私の一番幸せだった頃の記憶。家族でピクニックに出かけてお弁当を食べて、母さんが花冠を作って私の頭に乗せてくれて……。
――ほら、可愛いわ■■シア―――
私は……。
―――ア■シア―――
私の名前は……。
―――アリシア――
違う。違うよ母さん。私は、私の名前はッ!
「フェイト!」
「九朗? あッ!?」
九朗が私の名前を呼んでくれながら、左手にもったブレードで切りかかってきていた。私はそれに寸でのところで気が付いてバルディッシュで九朗のブレードを受け止める。ギリギリと鍔迫り合いの形になりながら九朗は私のことを真っすぐに見てくれている。
「知りたいと呟いたり、ボーっとしたり随分余裕そうだな?」
「ごめん。手を抜いたわけじゃない」
「別に怒ってない。別に体調が悪いなら別の機会にしても良いぞ? 適当に逃げられたって言っとくから」
「その必要は……ない! アルフ!」
「あいよ!」
私はそう言いながら魔力で身体を強化してバルディッシュで九朗を押し飛ばす。それと同時に上空に向かって雷を纏った槍状の魔力を飛ばす。飛んだ雷の槍を上で待機していたアルフがキャッチして押されて体勢の崩れた九朗に向かって叩きつける。
「か、雷の杭!?」
九朗は驚いた声を上げるけどしっかりと回避される。そして私たちと九朗の距離が開いて一度戦闘が止まる。
「……驚いた、そんな芸当もできるんだな」
「うん。私、電気の変換資質持ってるから」
手のひらに魔力球を作り出しバチバチと電気を流して見せる。
「資質……生まれつきの能力かぁ。いいなぁ」
「訓練すれば使えるようにはなるみたいだよ」
「訓練ねぇ……時間もないし無理そうだな」
あれ? 九朗なら絶対に時間を作って身に着けると思ってたんだけど違うんだ。
……お揃いにしてほしかったから少しだけ残念。
「さて、必要ないって言ってたし、まだまだパーティーは続けるってことで良いんだよな?」
九朗が武器を構えなおす。
「アルフ、まだいけるよね?」
「当ったり前だよ、フェイト!」
アルフは両手の骨を鳴らしながら答えてくれる。
「ありがとうアルフ。それじゃ、行こう」
そういって私は九朗の
―――あれ? 九朗の目の色って……?
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まだ転送はできないけどくー君が空けた穴の影響で結界の中の様子は確認できるようになっていた。アースラのブリッジに大きく表示されている映像の中ではくー君とフェイトちゃんが全力でぶつかり合っていた。
「―――くー君……」
非殺傷が使われていない、大怪我どころか命を落としかねない危険な戦い。それなのにくー君もフェイトちゃんも楽しそうに笑っている。
黒い服を纏った男女が朝焼けの空の下、魔法の光を瞬かせながら飛び交っている。離れて、近づいて、交差して、回り、重なる。まるでダンスみたいに飛び回る。
「綺麗……」
私がそう思えたのは二人とも全力だからだ。ちゃんと相手の目を見て向き合っているからあんな綺麗に飛べて、戦える。『あいつなら、ここでこうするはず』そんなある意味の信頼が二人の間でいつの間にか出来ちゃってるんだ。
「行かなきゃ……」
「なのは?」
このままだとくー君は間違いなく、フェイトちゃんに持っていかれちゃう。それが私は何よりも怖いし嫌だ。多分、ここが分かれ道なの。くー君を嫌いになるのか、大好きなままでいるのか。私は少し考えて結論を出した。
うん、無理。今更くー君を嫌いになれたらこんな悩んだりしてないの。
あの夕日の公園で手を差し伸べてくれた時から私の男性観はくー君に滅茶苦茶にされてるの。変わってしまったくー君は確かに怖いけど、私も新しい魔法を覚えるのは好きだし、空を飛ぶのは楽しい。人は大きくなるにつれていろいろ変わるもの。好きな相手のそういう変化を受け入れてこそなの!
だからまずはしっかりくー君と向き合って今までのごめんなさいをしないと!
「リンディさん!」
「なのはさん? どうかした?」
「私を二人のところに行かせてください!」
私はリンディさんに頭を下げる。
「ジャマー結界の効果はまだ一部が生きているここから転送はできないぞ」
「ここから飛んでいきます!」
「飛ぶって……高町なのは、君の飛行スピードだとここから行ってもつく頃には戦闘は終わってるかもしれな―――」
「それでも! 行きたいんです!」
私を止めようとしてくるクロノくんの言葉を遮って私は大声を上げる。ブリッジが静かになって注目されているのが分かる。でもここで折れちゃダメ。絶対、ぜったいくー君のところに行くの!
「……まぁ、正直な話九朗くんが勝っても負けても回収部隊は必要だもの、構わないわ。なのはさん、九朗くんのお迎え、よろしくね」
「はい!」
リンディさんの許可を得て私はすぐに出撃準備を整える。
「待っててね、くー君。私の気持ち……"全力全開"で伝えるから……」
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「(フェイト、気づいてるかい?)」
「(うん)」
九朗との戦闘中にアルフから念話が届く。九朗との戦闘は長引いていた。勝てるわけではないが、負けるわけでもない拮抗状態が続く。
「(以前の九朗の攻撃はこんなものじゃなかった。以前のままなら私たちととっくに負けてる)」
「(おまけにどんどんミスショットも増えてる。それにあの疲れよう……明らかに視界がぼやけてるね)」
九朗の様子が何か変。最初の方はなんともなかったのに戦闘が続くにつれて明らかに動きが悪くなっていってる。もしや短期決戦型だったのかとも思ったけど、九朗から感じる魔力量は減っているどころかむしろ増えている。
「ヅぅっ!?」
「え?」
「限界だと? まだいけるだろう……―――スキュラ! トラバース!」
突然、九朗が苦しそうな表情を浮かべたかと思うと距離をとって追従型の魔力弾と砲撃を放ってきた。爆発で視界が覆われ、その直後に襲ってきた追従型の魔力弾を回避するこに気を取られ私とアルフは九朗の姿を見失った。
「無事かい、フェイト?」
「うん、平気。けど九朗が逃げた……?」
「あいつらしくないねぇ」
「アルフもそう思う?」
「あぁ、そうだね。 ん? この匂いは……」
九朗のらしくない行動に首をかしげているとアルフがスンスンと鼻を鳴らして何かに気が付いたみたい。アルフの顔が向いている方に意識を集中させると物陰から九朗の魔力が漏れ出ている。なるほどアルフは狼だから匂いで気が付けたんだ。
急に隠れたと思えばそんなバレバレの潜伏なんて……。
「見つけた」
「あ、ちょ、ちょっとまってフェイト!」
私が九朗のいる方向に向かおうとするとアルフが私の手を掴んで止めようとしてきた。
「どうしたのアルフ?」
別に私は九朗みたいに戦うのはそんなに好きじゃないけど、前々から『いつか戦おう』と約束していた、それに私は九朗のことをもっと知りたい。あの強さの秘密は何なのか、九朗を見ていると感じるこの気持ちは何なのか、それが分かる気がする。九朗を倒したその時に!
「私は行く」
「あ、ふぇ、フェイト!」
私はアルフの手をとって一気に九朗の隠れている場所まで接近する。どんな罠だろうが、待ち伏せだろうが関係ない。私は負けない、ただ全力で九朗とぶつかるだけ!
「九ろ―――」
「う゛、っお゛っ…ッげぽッ! ゴポッ」
「――う……?」
物陰に居た九朗は蹲り、胸を押さえながらビチャビチャと血を吐き出していた。
え?
以下おまけ。 EXCEEDSルートでの出来事。パロディと多少のネタバレアリなので苦手やネタバレNGの方はここでブラウザバックを。
EXCEEDS所属 烏丸九郎一等空佐に関連する禁止リスト
・烏丸一佐の一日3回以上の出撃は許可されていません。EXCEEDS職員は無断で出撃しようとしている烏丸一佐を発見した場合、速やかに八神総督かアインス事務次官に報告をしてください。
↑
次点としては高町調査員への報告が挙げられますが、ハラオウン執務官に報告することは勧められません。ハラオウン執務官は『それが九朗のしたいことなら』と烏丸一佐の無断出撃に手を貸した前科があります。
↑
どれだけ書類を偽装しようとも撃破者不明の侵略種の残骸がある時点でアウトです。
↑
また部下たちに自身の功績を譲るのも武装隊員の正しい能力を図ることの妨げとなるので禁止です。
・烏丸一佐と八神総督はイチャつく際には周囲に細心の注意を払ってください。せっかく築き上げた久瀬シイナ隊員のEXCEEDSへの信頼が崩壊しかけました。
・烏丸一佐はどれほど任務が忙しくても最低で2か月に1回は地球へ帰還しなければいけません。またその際、月村すずか嬢とアリサ・バニングス嬢の二名を普段会えない分しっかりと愛して差し上げなければいけません。
・烏丸一佐はいかなる理由があろうと侵略種の幼体を飼育してはいけません。
↑ましてやコジマ粒子を与えるなんて論外です。コジマ粒子生成能力持ち特異侵略種が誕生した『アンサラー攻略戦(命名:烏丸一佐)』は繰り返されるべきではありません。
・元『魔人狩り』のメンバーを特訓と称して無人世界に拉致し、逆に狩りに興じるのは禁止です。彼女たちから抗議の連絡が届いています。
・『身体は闘争を求める』は、その世界の法や倫理を無視した戦闘を開始を正当化する理由にはなりません。
・唐突に職員たちが静まり返る意味は『何やってんだお前』であって『どうぞお好きなように』ではありません。
・烏丸一佐に『全員分の責任を取れ』というのは、ナンセンスです。烏丸一佐は既に全員の責任を取るつもりです。
―――以下の項目の閲覧には最高クラスセキュリティクリアランスが必要です―――
・烏丸一佐への通信は傍受を、郵便物などは事前の検閲を、烏丸一佐へのあらゆる連絡手段は専用の対策チームが極秘裏に監視してください。
・時空管理局から『執行官』という役職への勧誘が来ていたのを確認した場合速やかにリンディ・ハラオウン総務統括官とレティ・ロウラン時空管理局本局運用部部長に連絡してください。
・『執行官』という役職は時空管理局には存在しません。存在させてはいけません。
・フェイトちゃんもびっくりカーゴランチャー直行便。
・実は九朗に対しての理解度がかなり高いフェイトちゃん。魔法を知ってからの九郎への理解度はなのはよりも高いかも……。
・マルチショットとチェーンの連携技はプラネイトディフェンサーみたいな見た目だと想像していただければ。
・九朗のことをずっと考えてたフェイトちゃん。この気持ちが一体何なのか知りたくなってしまう。
・何かを思い出しそうになるフェイト。
・『私の名前を呼んでくれながら』『お揃いにしてほしかったから少しだけ残念。』ここらへん実は無意識なフェイトちゃん。
・リンディさん『九朗くんの戦闘時間にはコジマ粒子の関係で限りがある。なのはさんに迎えに行ってもらおう!』
・なのは『リンディさんに許可もらったし、私も"全力全開"でぶつかろう!』 すれ違いってこわぁ……。
・九朗くんの胸のコジマ生成器官「テンション上がってるのでいつもより多めに回しておりまーす!」
・戦闘はあまり好きじゃないと言いつつちょっと盛り上がっていたフェイトちゃん、最後に冷や水を浴びせられる。
・次回、連戦、VSなのは
一応両方やるつもりだけどどっちが先読みたいですか?
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Stsルート
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EXCEEDSルート