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「着いたー……。いや、マジで本局見えてから入港まで時間かかった……」
「今は……14時だから二時間遅れだね」
「んもぅ! 待ちくたびれたよ」
「仕方がないわ、負傷艦の中には負傷した局員たちがいるもの、人命第一よ。ほら、三人とも降りるわよ」
リンディ艦長にそう言われて俺、フェイト、アルフは下船する。しかし―――。
「リンディ艦長、フェイトとアルフの周りはどうにか出来ないんですかねえ?」
手錠や囚人服を着ているわけではないが、フェイトとアルフの周りにはクロノ執務官を先頭に、武装隊の人たちが周りを囲んでおり、バルディッシュも没収されている。
「ごめんなさい、私たちは同じ艦で過ごしてきたからフェイトさんたちに危険がないって分かってるんだけど、本局では一応こういう扱いしないといけないのよ……」
「お役所の対外向けポーズってとこですか」
「えぇ。報告書も事前に送ってあるし、ある程度の聴取が終われば艦内と同じようにある程度自由にすごせるようになるからそれまでは我慢して頂戴。お願いね、フェイトさん、アルフ」
はぁ……。自分が拘束されてるわけでもないのに気分悪いな。
「はい、リンディさん。九朗、私は大丈夫だから気にしないで」
「いざって時にはフェイトには私が付いてるからさ」
二人がそう言うなら仕方がないか。俺は自分を納得させて歩き続ける。そうして港のターミナルに着くと眼鏡をかけた女性が局員たちを引き連れて俺たちを出迎えた。
「レティ!」
「お疲れ、リンディ。色々大変だったみたいね」
「えぇ、もう大変よ」
どうやらリンディ艦長の知り合いらしい。二人は顔を合わせると握手して色々と話しだした。偉い人同士なんだかよく分からん会話をしてる……。
「――で、この子たちが例の?」
「そうよ」
レティと呼ばれた女性の視線が俺とフェイトの方に向けられる。なにか……視線が冷たい!? 俺はサッと身を少し引いてフェイトを一手ども守れるような位置に移動する。その俺の動きに反応してレティさんの後ろにいた局員たちのデバイスがかすかに動く。―――やるか?
「……警戒を解いていいわ。……咄嗟に女の子を守ろうとするなんていい男の子じゃない」
「試された……?」
俺の呟きにフッとレティさんの視線が柔らかなものになり、局員たちの雰囲気も暖かいものに変わる。そのあとレティさんは膝をついて俺たちに視線を合わせる。
「ふふっ、ごめんなさいね。安心してリンディからの報告書には目を通してるから、二人に危害を加えるつもりはなかったの。初めてまして九朗くん、フェイトさん、アルフさん。私はレティ・ロウラン。時空管理局、本局運用部の提督よ」
提督……ってことは階級的にはリンディ艦長より上か!? え、でも、さっきリンディ艦長とだいぶ仲良さそうにして……?
「リンディとは友人であり同僚なのよ」
「な、成程……? あ、烏丸九朗です」
「フェイト・テスタロッサです」
「フェイトの使い魔のアルフだよ」
俺たちが挨拶するとレティ提督はにっこり笑って立ち上がる。
「着いてすぐで申し訳ないのだけれど、このあと私の後ろにいる局員たちの指示に従ってそれぞれ行動してもらうわ。フェイトさんとアルフさんは調査審問へ、九朗くんは医務室へ、リンディは私と一緒に、より細かく事件の話を聞きたいわ」
なるほど……。
「んじゃ、またあとでフェイト」
「うん。また」
「二人とも局員さんのいうことをよく聞いてね」
「面倒ごとを起こすんじゃないぞ、とくに九朗」
まるで親のような物言いのリンディ艦長とジト目で俺の方を見てくるクロノ執務官に手を振りつつ、局員に連れられて本局内の医務室へ向かう。
「烏丸九朗さん」
「はい?」
医務室へ歩いている最中、案内役の局員さんの一人が声を掛けてきた。
「私、ウーノと申します」
「あ、どうも」
「これからお会いになる医療スタッフですが、少し独特な方でして事前にお伝えしておこうかと」
「あー」
なるほど、
「最初は驚かれるかもしれませんがドクターの腕は確かなものですのでご安心ください」
「分かりました」
俺がそう言うとウーノさんは微笑んで視線を前に戻した。そのあと少しして医務室の前にたどり着く。
「こちらが医務室ですね。ただ入室前に烏丸九朗さんのデバイスを預からせていただいてもよろしいでしょうか?」
「え? デバイス?」
……い、いざという時の自衛手段が。俺の頬のひくツキにウーノさんは気が付いたのかしゃがんで俺の手を握る。
「大丈夫です。確かに独たてーは変わった人ですが研究に関してはまっすぐな方、いきなり解剖なんてされませんよ。それにデバイスも本局内の技師に渡して機能の検査などをするだけです。有毒物質を魔力に変換する機能があるのです、そこから治療法が見つかるかもしれないでしょう」
「確かに……」
じゃあ、お願いしよう。俺はデバイス二つを取り出してウーノさんに預ける。
「お願いします」
「はい、お預かりしました。デバイスを預けるのはマリエル・アテンザと言うレティ提督の部下で本局内でも優秀なデバイス技師です。もしお会いすることがあればぜひ話しかけてあげてください。薄緑のショートカット、丸眼鏡に白衣が特徴です」
「分かりました」
「デバイスは検査が終わり次第アースラへお届けしますので後日、アースラのメンテナンススタッフから受け取ってください」
「はい」
俺が頷いてしっかり返事をするとウーノさんは俺の頭を撫でながら立ち上がりこの場を去っていった。
「さて……」
ウーノさんが見えなくなると俺は医務室の扉の方を向いて気合を入れる。アースラの設備ではどうしようもなかったけど本局の設備なら! 頼む、どうにかコジマ汚染を除去できる方法を見つけてくれ~! 俺はそう願いながら扉を開ける。
「ごき―――」
扉を閉める。今のか? 今のがドクターなのか? あの紫髪で若干目のイっちゃってる感じのアレがドクターなのか?
――げん――
いや、でもウーノさんも『少し独特』って言ってたしああいうもんなのか? ……もう一回開けるか。
「――よぅー!」
もう一回扉を閉める。……んー、どうしよっかなぁ。腕は確からしいんだけどほんっと絶妙に胡散臭さが勝つなぁ……。と言うか、俺の勘がなんか警告してんだよなぁ。終盤ミッションなのに妙に敵の数が少なかったり弱かったときとか、ブリーフィングだと簡単なミッションだと思ったのになぜか僚機がいたときとか、オペレーターが『~するだけのミッション』とか『~の簡単な仕事だ』とか言い出し時の感覚に近い。
俺がそんなことを考えていると扉の方が勝ってに開けられる。
「おいおい、ひどいじゃないか。挨拶ぐらいはしっかり聞いてくれ。さ、中に入って早速検査を始めよう。報告書は見させてもらったが中々興味深い! 知りたいことが山ほどあるんだ色々検査させてくれよ!」
「……はぁ。よろしくお願いします」
もう、どうにでもなぁーれ。俺はドクターに手を引かれ医務室の中に入った。
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「……マトモだ」
「ふっははは。中々失礼だな君は!」
ハイテンションなドクターはそのテンションの割にテキパキと仕事をこなし様々な検査を俺に実施していった。そして現在俺は医務室のベッドに横たわり、ドクターは検査結果とにらめっこしている。
「―――にしてもこれは……私の手にも余るな。九朗くんだったね」
「はい」
「君、よく今まで生きてこられたな」
「おい、医務官」
思わず突っ込む。
「あっははは、申し訳ない。感染性がないとは言え、これだけ強い毒性に浄化できない残留性……一科学者として恐ろしいと感じているよ。申し訳ないが、私の手では治療できないだろう。無論私も研究は続けるが……君のデバイスの解析や無限書庫で治療法が発見されるのを待った方が賢明なレベルだ。最も過去にこの粒子について記述があればだがね」
「そんなに」
「あぁ、そんなに」
ドクターの目はどこまでも真っすぐで嘘はついていないことが分かる。そっか、そうなんだ……。無限書庫については本局につくまでに説明は受けていた。無限と言われるだけあり、その膨大な情報量は制御しきれておらず、現時点では全く整理できてなくて、必要な資料があればチームを組んで年単位で調べるらしい。
そう、結果が分かるまで数年かかるのだ。俺の余命には到底間に合わない。つまり、デバイスからなんの情報も得られなければ俺は―――。
「ひとまず、対処療法で君が死ぬまでの時間稼ぎをするとしよう!」
「時間稼ぎ? というか、『死ぬ』って言わないでもらえます? 気が滅入りそう」
「アッハハハ、すまない!」
「……」
なんでこの人こんなにテンション高いんだ?
「で? 対処療法って?」
「リンディ艦長が事前に提出していた簡易の報告書は読ませてまらった。そこに書いてあったし、君も知ってるだろう? 一時的に君の身体の汚染率を下げる方法が」
……内臓吹っ飛ばす気か?
「この方法の発見はある意味プレシア・テスタロッサのファインプレーだな。彼女によく感謝するといい。何をそんなに警戒して……あぁ! 安心してくれたまえ! 君の内臓を吹き飛ばす手段なんかここにはない! それにアースラの医務官から言われなかったか? 内臓の再生はデリケートなんだ」
「じゃ、どうやって汚染率を下げるんです?」
俺が首をかしげながらそう聞くとドクターはどこからかメスと桶を取り出した。
「この科学と魔法あふれたミッドチルダには似つかわしくない古き時代の治療法……瀉血だ。穢れた血を体外に出して綺麗な血を輸血するんだ」
医療教会の刺客、狩人ブラドーの得物か……。そして輸血とどのつまり、血の医療……。あぁ、青ざめた血を求めよ。
「サインとか……必要ですかね?」
「サイン? いや、必要ないが」
「かねて血を恐れたまえ……」
「君は血液恐怖症だったりするのか?」
「むしろ血に酔うのだ」
「……錯乱か? まぁいい、麻酔してサクッと行くぞ~」
ホワーイホワーイ
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「今日の治療はここまでだ。どうだね? 大分楽になったんじゃないか?」
ドクターの言葉に俺はベッドから状態を起こし体の調子を確かめる。……血を流すために開いた腕の傷もババッと処置してたし全然痛くない。……本当に腕は良いんだな。
「そうですね、内臓吹っ飛ばされた後の目覚めのときみたいに体が軽いです」
「うーむ、君にしか分からない感想だな。ぜひとも味合わないまま人生を終えたいものだな」
はは、言いよる。そんなくだらない話をしていると医務室のドアが開いて見覚えのある金髪のツインテールとオレンジの長髪が入ってくる。
「すみません……ここに男の子がいると思うんですけ―――九朗」
「フェイト、アルフも」
俺と目が合ったフェイトが俺に駆け寄ってきて体や顔をペタペタと触ってくる。
「アタシ達の調査も少し前に終わってさ、フェイトが九朗の様子を見に行きたいっていうから護送の人たちにお願いして寄り道させてもらったんだよ。アタシ達、アースラに戻るところだけどアンタの方はまだ治療中かい?」
「いや、俺の方も今日は終わったところ。ですよねドクター。……ドクター?」
ドクターの返事がない? 俺はドクターの方に視線を戻す。
「ほう……プロジェクトFの遺産……これが……」
「――ッ」
めっちゃフェイトを凝視しているドクターがいた。フェイトも視線に気が付いて怖がっちゃってるし。
「ドクター、彼女はフェイトです」
「あぁ、知っているプロジェクト
「プロジェクト名じゃないです。彼女の、一人の女の子の名前です。フェイト、俺の親友で可愛くて戦って楽しい、普通の一人の女の子です」
俺はフェイトとドクターの間に割って入りそう宣言する。
「……ほう」
「九朗……」
「ヘヘッ」
ドクターが少し不気味な視線を俺に向け、フェイトが俺の腕を握りしめ、アルフが得意げに鼻の下をこする。少しの沈黙が医務室に流れた後、ドクターがパッと笑顔を浮かべる。
「いやー、申し訳ない。科学者としてはどうしてもまず『一つの研究結果』として見てしまって……。すまなかった」
「だってよ、フェイト」
「あ……だ、大丈夫です。気にしてません」
「にしても九朗くんそういったことは気にしないタイプか……うちの娘たちとも仲良くなれそうだな」
え?
「ドクター、娘いるんですか?」
「あぁ、その子のように少しばかり生まれが特殊な子たちを育てていてね。……なんと12人もいる」
12ッ!? ま、まぁ実の娘でないならありえなくはない……のか。
「何かのタイミングがあれば紹介するとしよう。さ! 治療も終わり、迎えも来たんだ。栄養がつくもの食べて、今日はゆっくり休むといい」
そういってドクターは自分の机に向かい俺の血を何かの機械にセットし始める。
「ドクター、最後に一つだけ」
「ん? なんだい?」
「名前、聞いてないです」
「おっと、それはすまないことをした」
俺がそう言うとドクターは椅子に座ったまま体をこちらに向けてなぜか決め顔をする。
「私はドクター・スカサリス。ドクターでも、スカサリスでもスカさんとでも好きに呼んでくれたまえ」
「今日はお世話になりましたスカさん」
「うん、まさかのそれをチョイスとはな」
俺は最後にそう挨拶して医務室を出ていった。
治療法……見つからないかぁ……。
あぁ、クソッ。寂しくなるなぁ……。
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「うわぁ……これ、どうしよう……全然再現できない……」
私、今もしかして物凄いものを見ているんじゃないかなぁ……! これってもしかして魔力コンデンサ? こんな高性能なのにこのサイズ……代替部品ってあるかなぁ……?
「マリー、調査はどうかしら」
「お邪魔するわね、マリエルさん」
「やっほ、久しぶりマリー」
「わあっ!? あ、レティ提督! それにリンディ艦長にエイミィ先輩まで!」
私は急に背中に掛けられた言葉に飛び上がり手に持っていたタブレットを落としかける。いけない、いけない! デバイスの解析に夢中で三人の入室に全然気が付かなかった!
「全然進みません~。この子たち物凄い高性能で使われてる技術も高度なものばかりで……。どこが作ったんですかこのデバイス? ロストロギア級ですよ」
「……そんなに?」
「はい」
私はタブレットを操作して部屋のモニターにデバイスのデータを表示する。
「全部が全部、私たちが使っているものより小型で高性能。すべて私たちの技術力の先を行ってます。正に
ほんと頭が痛くなる。
「あら? でもいくつかは出来てるじゃない。さっすがマリーね」
そう言いながらレティ提督はモニター橋に映っている強化案の一つをタップする。そこに映っているのは一般的な杖型デバイスの何倍もある大きなデバイス。いくつものデバイスを束にした砲塔を五つも持つ大型デバイスに、次元航行船の魔力砲をそのまま手持ち武器にしたような異形のデバイスの二つだ。
それを見たリンディ艦長とエイミィ先輩は唖然とする。
「これがデバイス?」
「おっきい……でも大きすぎて取り回し悪くない?」
「そうなんですよ。この登録名『03-MOTORCOBRA』と『AR-O700』の二つのデバイスを上回る性能のものを作ろうと今の私たちの技術力を結集して設計したんですけど、どうしてもこんなに巨大化しちゃって、『それを個人で持つ必要あるのか?』 ってなっちゃったんですよね……」
「恐らく九朗くんのデバイスを作った人たちも通った道でしょうね。……さしずめ
リンディ艦長が私の強化案をジッと見つめながらそう呼んだ。……プロトタイプ・ネクスト! リンディ艦長、センスあるなぁ。
「それじゃあ、何か分かったら連絡して頂戴。お邪魔したわね」
「もしかしたら九朗くんが来るかもしれないから、その時はよろしくね」
「またね、マリー! しばらくは本局にいるから、予定合わせてお茶しようねー!」
「はーい! それじゃあまたー」
そういって三人はメカニックルームを後にした。さて、私も解析作業に戻りますか!
「と、その前に……」
私はプロトタイプ・ネクストのデータをタップする。せっかくシミュレーション上とは言え設計したデバイスだし、リンディ艦長がセンスある名前を付けてくれたし、その名前で登録して保存しとこ~。
―――『それを個人で持つ必要あるのか?』ってなっちゃったんですよね……―――
執行官計画が凍結されてなかったら、執行官の人にはいるのかも?
・フェイトが拘束されてることにモヤモヤ九朗くん。俺の友達なのに……。
・レティ提督。結構ビジュが好みのキャラ。早めに登場させちゃった。
・ドクターを前に危険信号ガンガンの九朗くん。
・血を受け入れたまえよ……。
・九朗くんにとってフェイトは大切な普通の女の子。
・ドクター・スカサリス 名前の由来はスカ?????+サイサリス。
・12人の娘がいて、紫髪でプロジェクトFに興味津々でCV. 成田剣のドクター・スカサリス、一体何者なんだ!
・【悲報】九朗くん、治療法発見できず。
・このせいで部屋に戻った後、自棄を起こしてフェイトに襲い掛かっちゃう九朗くんのR-18話がバージョンによってはあっただって!? しかもフェイトちゃんも受け入れちゃって傷の舐め合いみたいなズブズブの共依存エンド!? まぁ、流石にないわな。
・【悲報】九朗くんのデバイス、壊れると修理できない。
・マリエルさん、恐るべき発明をしてしまう……。
一応両方やるつもりだけどどっちが先読みたいですか?
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