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「ふぁ~あ。こんな朝早くから……よくやるよ……ったく」
早朝、俺はなのはからの電話に起こされ、近所の山の上のほうにある公園まで連れてこられた。俺は公園のベンチに腰掛けながら自販機で買ったお茶を片手に視線を前へと向ける。
「そう、集中して。心の中にイメージを描いて」
「うーん……」
視線の先にはレイジングハートを構えて目を瞑るなのはと、その横で魔法のコツを教えているユーノの姿があった。この公園、この時間帯はめったに人が利用することはなく、魔法の練習をするのに最適だったのだ。そういうことで二人は俺も誘って魔法の練習へこの公園へとやってきた。
「そのイメージをレイジングハートに渡して」
「うん。……お願い」
≪Standby ready≫
ユーノに確認したところやはりなのはのデバイス、『レイジングハート』はかなり強力なもので分類はインテリジェントデバイスというものらしい。デバイスにAIが付いており自ら考えて持ち主に最適化していったり、自分の判断でバリアを発動して持ち主を守ったりするらしい。それでAIが付いてるからおしゃべりもできるらしい。
それに対して俺のデバイスはストレージデバイスと呼ばれるものでもっとも一般的なデバイスであり、AIなどは搭載されていないため意思はなく、あくまで道具であるらしい。逆に言えばAIに機能を割いていないので実直でその分処理が早いのが特徴らしい。
「……」
まぁ、元ACプレイヤーとしてはAI制御の機体とか厄ネタな気がしてならないからストレージデバイスで問題ないんだけどああやってやり取りしているのを見ると一言、二言くらいなら喋ってくれねぇかなーなんて思ったりもするわけで。 安元ボイスとかで喋ったりしないかな……しないか。
「イメージに魔力を込めて呪文と共に杖の先から一気に発動!」
「えーと……捕獲魔法、発動!」
イメージ、イメージか。だとしたら俺がトラバースや三連ロケを使えないのはイメージが足りないせいか? とはいえ、背中に二つともくっついてないしなぁ……。ない砲口からは攻撃のイメージができないんだよなぁ……。
「やった! 撃てた!」
「いや、あの方向は……まずい!」
「ん? おわァァアアア!? ッぶねぇ!?」
なのはの喚起の声で意識を元に戻して前を確認すると俺の目の前になのはの放った魔法が迫っていた。俺は急いでオーメル突撃ライフルを展開して迫りくる魔法を切り払った。
「九郎! 無事かい!?」
「くー君、平気!?」
切り払ったとはいえ座り込んだ体勢からの一撃だったためバンスを崩して俺はベンチから滑り落ちる。地面に尻もちを付いた俺の元になのはとユーノが走り寄ってくる。
「ふ、不意打ちとは……なかなかやるじゃないかなのは。驚いたよ、うん」
「わ、態とじゃないからねくー君!」
なのはに賞賛を送りながら立ち上がるとなのはが両手を振りながら否定してくる。ふふ。
「ふはは、わかってるよ。揶揄っただけ」
「えぇっ! ……もう! くー君の意地悪!」
「あっははは。ごめんごめん」
ふくれっ面で頬を膨らますなのはの頭をなでながら謝る。そんなことをしているとなのはの携帯のアラームが鳴る。
「あ、もう朝ごはんの時間だ」
「じゃあ、今朝はここまでか」
「うん! ありがとうレイジングハート。またあとでね」
≪Good by≫
なのははレイジングハートを杖からアクセサリーの形に戻して首にかける。
「それじゃあユーノくん帰ろっか! くー君は?」
「んー、俺はもう少しゆっくりしてから帰るよ」
たしか今日は両親どちらとも研究所に缶詰で家に帰っても一人だし。
「……そっか、じゃあ先帰ってるね! あ、今日の午後の準備、ちゃんとしてる?」
「あぁ、できてるよ」
「良かった。それじゃあまた学校でね!」
「また、学校で」
そういってなのはは手を振りながら公園を後にした。
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私は公園からの帰り道ユーノくんとお話ししながら家へと向かう。
「魔法、なかなかうまくいかないね」
「いやいや、なのははとってもすごいよ。たった数日でここまでできるようになってるんだから」
「うーん、そうなのかな?」
ユーノくんはそういって褒めてくれるけど私の頭の中に浮かぶのは自由に空を飛び回り、高速で地面を移動して、一方的に攻撃を続けるくー君の姿。今の私はとてもあんな風に動けない。
「攻撃や防御の魔法のコツはなんとかわかってきたんだけどなぁ」
「なのははエネルギーの放出系が得意みたいだからね。元の魔力が大きい分、収縮とか圧縮とか微妙なコントロールが苦手なんだよ」
収縮と圧縮……。
「でもとりあえず大丈夫。捕獲や結界の魔法は僕がサポートできるはず。すこしは魔力も戻ってきたし元々そっち系の魔法が得意なんだ」
「ありがとうユーノくん。……ねぇ、一つ相談してもいいかな?」
「? どうしたんだいなのは?」
私は少し前から感じていた悩みをユーノくんに相談することに決めた。
「魔法を知ってからね。私、とっても楽しいの。私にしかできないこと、私のやりたいことが見つかったような気がして。それにくー君も……よく笑うようになったの」
「うん」
「くー君ってね、すっごく優しくてよく笑う子だったの。けど、小学生に上がって少ししてからかな。すごく悲しいことがあったみたいで全然笑えなくなっちゃったの。私も、アリサちゃんもすずかちゃんも、勿論くー君のお父さん、お母さんもくー君に笑ってほしくて色々したんだ」
アリサちゃんは家のパーティーにくー君を誘ったり、アニマルセラピーと言ってアリサちゃんの家にいるワンちゃんたちに囲わせたり。
すすがちゃんは二人っきりでお茶会を開いたり、アニマルセラピーと言ってすずかちゃんの家にいる猫ちゃんたちに埋もれさせたり。
私は当時無気力状態に近かったくー君と一緒に夢中になれる趣味をいろいろ探したり、翠屋で一緒にお菓子作りして作ったお菓子を一緒に食べたりしたの。
「でも結局くー君は笑えなくて、『ここまでしてくれてるのに本当にごめん』なんて逆に泣かしちゃったこともあったの」
……そんな顔を見たとき私も、アリサちゃんもすずかちゃんも思わず泣いてしまった。私たちはくー君に笑ってほしかった。そんな顔をさせたくなかったのに。
「九郎が泣いているところ……。僕はまだそんな付き合いは長くないけどそれでも想像しづらいね」
「うん。くー君、魔法を知ってからよく笑うようになったの。……本当に」
私はそこまで言って立ち止まってしまう。
「なのは?」
心配したユーノ君がこちらを振り返って首をかしげる。
「嬉しいはずなの。くー君が思いっきり笑えてる、とっても嬉しいはずなのに。なぜか私怖いの、笑ってるくー君が。同じ顔なのに、あの夕日の中私に手を差し伸べてくれたくー君の笑顔と全然違う気がして、私の知ってるくー君がどこか遠いところに行っちゃったみたいで。これって……変かなぁ?」
「それは……」
私の問にユーノ君は答えに詰まり沈黙が私たちの間に流れる。
「……ごめんね、ユーノくん。大丈夫だよ」
「僕の方こそごめん。……すこし僕も考えてみるよ」
「そっか、ありがとう」
そうして私たちは再び家に向かって歩き出した。
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なのはと別れた後少しだけ公園をブラブラ歩いてから帰路につく。なにかあったわけではないが、少しなのはの様子が気になった。何かに悩んでいるというか、考え込んでるようだった。俺に話せないことなら、ユーノに聞いて貰え、と思いついて二人だけで帰らせたんだけどなのははちゃんと悩みを口にできただろうか?
しっかしなのはがあんな風に悩むなんて一体何があったんだ?
「ただいまー」
「おぅ、お帰り。また美由希ンとこの妹と散歩か?」
そんなことを考えながら玄関を開けるとまさかの人物が玄関に顔を出してきた。
「
烏丸
「アァ、大丈夫だ。父さんも母さんも缶詰だろ? 可愛い弟が家で一人になっちまうからな、監督に事情話して今日は朝練休ませてもらったンだよ」
「別に……一人でも大丈夫なのに」
前世では俺が長男で弟がいた。しかし今生では自分が下のほう、しかも同性ではなく異性の姉ということで何となくこちらも関わりづらいんだよなぁ……。無効は大分俺のこと好いてくれているみたいだけどこっちとしては違和感アリアリだ。
「お前が大丈夫でも私らが心配するんだっつーの。ほら、さっさと手ェ洗ってこい。朝メシできてんぞ」
「ん」
「アァ、ちょっと待ちやがれ」
「なに?」
姉に呼び止められ洗面所に向かっていた足を止める。
「ただいまのハグがねぇぞ」
「……」
元々この家になかっただろそんな文化。
「はぁ……はい」
まぁ、俺のためを思ってわざわざ部活を休んでくれたんだ。それくらいはしてもいいか。俺は両ひざをついてこちらに向かって両手を広げている姉の腕の中にポスリと体を預ける。
「ッッ!? ィヒヒッ……ヤッベェな、これ……」
なんか震えてるけど大丈夫なんだろうかこの姉。
九朗くんの"お姉ちゃん"が登場です。
私の中での見た目は決まっていますがそれを細かく描写することはありません。
なぜなら、私が大雑把な情報だけ載せてあとは読者さん一人ひとりがイメージする見た目でいいかな。というのが私の方針ですので。
はいというわけで大雑把な情報ー。
烏丸
身長170 B70 W54 H87 腹筋割れてる系ギャル。