悪魔も泣き出す新エリー都   作:オムライスα

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この小説には、暴力シーンや
グロテスク表現が含まれています。
{WARNING.This novel ccontains scenes of expliecit violence and gore.}


ドドドドドッ!!

ガシャーン

let's rock baby.

カチャ

ズドン!

『Devil May Cry』


プロローグ 悪魔も泣き出す新エリー都

――魔界。

 

そこに、終わりというものは存在しなかった。

 

クリフォト。

 

人間界を脅かした魔界の樹。

 

その根を断ち、世界を救った後、ダンテとバージルは魔界に残った。

 

理由は単純だった。魔界から出ることができなかったからだ。

 

そして――もう一つ。

 

「決着がついていないから」

 

それだけだった。

 

かつては互いの信念をぶつけ合い、何度も刃を交えた兄弟。

 

力こそ全てだと信じた兄。

 

人間の心にこそ強さがあると信じた弟。

 

二人の道は、決して交わることはないと思われていた。

 

しかし、今は違う。

 

同じ敵を斬るために、同じ場所に立っている。

 

「……また来たか」

 

荒れ果てた大地。

 

その中で、ダンテは小さく息を吐いた。

 

目の前に広がるのは、無数の悪魔。

 

巨大な爪。

 

鋭い牙。

 

人間ならば、一瞬で命を奪われるような怪物たち。

 

だが、目の前にいる男にとって、それは日常だった。

 

赤いロングコートが風に揺れる。

 

手に握られているのは、一本の魔剣。

 

――魔剣ダンテ。

 

かつて父スパーダが遺した魔剣リベリオン。

 

そして、魔剣スパーダと融合した新たなる魔剣。

 

ダンテはそれを肩に担ぐ。

 

「悪いが……今日はちょっと機嫌が悪いんだ」

 

口元を歪める。

 

次の瞬間、ダンテは悪魔の群れへ飛び込んだ。

 

一閃。

 

二閃。

 

三閃。

 

巨大な刃が悪魔たちを切り裂く。

 

その動きは、まるで踊っているかのようだった。

 

さらに銃声が響く。

 

エボニー。

 

アイボリー。

 

二丁の拳銃から放たれた弾丸が、正確に敵を撃ち抜いていく。

 

「ほらほら、もっと来いよ」

 

軽口を叩きながら、余裕を崩さずダンテは戦い続ける。

 

「……じゃないと、眠くなっちまう」

 

その横を、一つの影が通り過ぎた。

 

「相変わらず無駄口が多い」

 

静かな声。

 

抜かれる刀。

 

――閻魔刀。

 

バージル。

 

ダンテの双子の兄。

 

一瞬、空間が歪む。

 

次の瞬間、彼の背後にいた悪魔たちは、何が起きたのか理解する暇もなく崩れ落ちた。

 

「相変わらず派手だな、バージル」

 

「貴様ほどではない」

 

「それ、褒め言葉として受け取っとくよ」

 

二人は背中合わせになる。

 

互いに向けていた刃。

 

今は、同じ敵へ向けている。

 

「……」

 

周囲を見渡す。

 

静寂。

 

残っているのは、消滅していく悪魔の残骸だけだった。

 

「終わりか」

 

バージルが呟く。

 

「みたいだな」

 

ダンテは魔剣ダンテを肩へ乗せる。

 

そして、大きく欠伸をした。

 

「……なぁ、バージル」

 

「何だ」

 

「そろそろ飽きてきたぜ」

 

バージルは無言でダンテを見る。

 

ダンテは肩をすくめた。

 

「だってそうだろ。出てくる、斬る、また出てくる、また斬る。これの繰り返しだぜ?」

 

「ならば鍛錬と思えばいい」

 

「お前は本当にそればっかだな」

 

「貴様が怠惰なだけだ」

 

「言ってくれるねぇ」

 

ダンテは笑った。

 

その笑顔は、昔から変わらなかった。

 

どれだけ傷ついても。

 

どれだけ失っても。

 

人間の心を信じ続ける。

 

それがダンテだった。

 

しかし、さすがの彼も終わりのない戦いには疲れを感じていた。

 

「悪い」

 

ダンテはその場に座り込む。

 

「少し寝る」

 

「……勝手にしろ」

 

「冷たいな」

 

「敵が来ても知らん」

 

「大丈夫だろ」

 

ダンテはそのまま地面へ横になる。

 

「バージル」

 

「何だ」

 

「起こすなよ」

 

「貴様が寝ている間に殺されても知らん」

 

「俺が?」

 

ダンテは笑った。

 

「そりゃないだろ」

 

バージルは答えない。

 

だが、その場を離れることもしなかった。

 

そして、ダンテは目を閉じる。

 

「じゃ……少しだけ」

 

魔界の荒野。

 

悪魔の呻き声。

 

遠くから響く異形の咆哮。

 

そんな場所でも、ダンテは眠ることができた。

 

なぜなら、彼は知っている。

 

隣にいる男が、自分を倒すことはあっても、他の誰かに倒されることなど決して許さないことを。

 

――――

 

どれほど時間が経ったのか。

 

「……」

 

ダンテはゆっくりと目を開けた。

 

最初に感じたのは、違和感だった。

 

風。

 

匂い。

 

音。

 

魔界ではない。

 

「……」

 

身体を起こす。

 

目の前に広がっていたのは、巨大な建物。

 

見たこともない機械。

 

走り抜ける車。

 

行き交う人々。

 

「……おいおい」

 

ダンテは周囲を見回した。

 

「ここ……魔界じゃないな」

 

立ち上がる。

 

その瞬間、さらに違和感に気付いた。

 

身体が軽い。

 

いや。

 

軽すぎる。

 

近くにあったガラスへ自分の姿を映す。

 

そこにいたのは、赤いロングコートを纏った青年。

 

まだ少年の面影を残した顔。

 

十九歳だった頃の自分。

 

「……マジかよ」

 

ダンテは自分の顔に触れる。

 

「若返ってるじゃねぇか」

 

苦笑する。

 

だが、記憶は失われていない。

 

バージルとの戦い。

 

ネロとの出会い。

 

ユリゼンとの死闘。

 

そして、魔界で過ごした時間。

 

その全てを覚えている。

 

「……変なこともあるもんだ」

 

腰へ手を伸ばす。

 

エボニー。

 

アイボリー。

 

そして背中。

 

「……」

 

そこにある感触。

 

魔剣。

 

しかし、違った。

 

「……リベリオン」

 

かつて父スパーダから託された魔剣。

 

それが、そこにあった。

 

「魔剣ダンテは消えた……か」

 

周囲を探る。

 

他の魔具の気配もない。

 

真魔人へ至る力も感じられない。

 

「弱体化ってわけか」

 

しかし、ダンテは笑った。

 

「まあ、いいさ」

 

リベリオンを抜く。

 

馴染んだ重さ。

 

懐かしい感触。

 

「こいつがありゃ、十分だ」

 

その時だった。

 

「……すみません」

 

背後から声が聞こえた。

 

ダンテの足が止まる。

 

ゆっくりと振り返る。

 

そこに立っていたのは、一人の女性だった。

 

黒い長髪。

 

そこに混じる赤いメッシュ。

 

整った顔立ち。

 

そして、どこかの治安組織と思われる制服。

 

女性はダンテの前まで歩いてくると、丁寧に頭を下げた。

 

「少しお時間よろしいでしょうか?」

 

ダンテは無言で彼女を見る。

 

「新エリー都治安局です。一応、確認のためにお聞きします」

 

女性はダンテの姿を改めて確認する。

 

「身分証明できるものはお持ちですか?」

 

「……」

 

ダンテは自分の服を見る。

 

赤いロングコート。

 

腰の二丁拳銃。

 

巨大な剣。

 

そして、周囲を見渡す。

 

知らない街。

 

知らない人間。

 

知らない世界。

 

数秒の沈黙。

 

そして。

 

ダンテは心の中で呟いた。

 

(……泣けるぜ)

 

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